三菱鉱業大夕張鉄道 　客車スハニ6・オハ1・ナハフ1 　貨車セキ1・セキ2 　ラッセル車キ1

2019/08/16 - 2019/08/16

先日、旧岩内線で昔の客車を見る機会があったんだけど、残念ながら休館日で乗車できず。
ならばと言う事で、もっと古い客車を求めて夕張へ出かけることにしました。台風が近づいてるけど、夕方までに帰れば多分大丈夫でしょ。

退屈な鉄ネタですが、興味のある方はどうぞお付き合いください。

エリア 夕張(北海道)

今年のお盆は仕事が立て込んでしまい、明日の15日がようやく休み。どっか行きたいなぁ～、と思いながら札幌駅を歩いていると、目の前を運転士さんが通り過ぎて行きました。

鞄にブレーキハンドルとレバースハンドルが‥

明日は、にわか撮り鉄にでもなってみるか？

という事で翌日やって来たのは、旧清水沢駅。今年の春、廃線になった夕張線の駅です。看板、外されちゃいましたね。

閑散とした待合室

入口にあった昔の写真

残念ながら背景がガラスに映り込んじゃってますが、山口百恵ショーの立看板があるのが分かります。こんな ど田舎に山口百恵！？
よくみると「いい日旅立ち」の文字が‥
なるほど、スポンサーが国鉄だもんね。いい日旅立ちは国鉄のキャンペーンソングだった。

駅前食堂

今日も営業中でホッとする。

横に周ると年季の入った壁が‥

裏路地ではお父さんがお散歩中

駅横の跨線橋から眺めた下りの夕張方面

よかった、まだ線路が残っていました。

跨線橋から眺めた、清水沢駅ホーム

道路側から見たプラットホーム。

先程の跨線橋が奥に見えます。手前の線路が撤去されていますが、ここは国鉄線ではなくて、三菱鉱業大夕張鉄道があった所。大夕張鉄道の起点が清水沢駅でした。

大夕張鉄道は総延長17km。清水沢から大夕張炭山までの各坑道口を結んでいました。

さて、大夕張鉄道跡をたどるのをはしょって、いきなりやって来た所は旧 南大夕張駅。

ここに古い車両が保存されています。

上り方面の先頭はラッセル車。

その眼光は衰えず。

ラッセル車の型名は「キ1」。

雪 → ユキ → キ

客車が3両

まずはこちらから

こちらの客車は残念ながら中へは入れず。

かなり古そう。

形式はナハフ。

※ 車両の記号：ご存知ない方へご参考まで（ざっくりなんで突っ込まないでね）

重量
・コ：小型
・ナ：並型
・オ：大型
・ス：すこし大型
・マ：まったく大型
・カ：かなり大型

等級
・イ：一等車 → 廃止
・ロ：二等車 → グリーン車
・ハ：三等車 → 普通車

その他
・フ：ブレーキ → ブ → フ（手動ブレーキあり）
・二：荷物車（チッキなんて知っている人、少なくなったもんね）
・シ：食堂車

所有は三菱鉱業

隣の車両に移ります。

おっはぁ～

ドアが開いたぁ～

じゃ～～ん

銀河鉄道999の世界へようこそ。

木の床

壁や柱も内張は木

背もたれも木

座席は軟座。もっと昔は、板の上にゴザ、いつの話じゃ。

木製の窓枠

世界の車窓からを聴きながら‥
合わないな

窓の留め金

窓を開ける時はトイ面の乗客と共同作業で開けたり、ガタが来ると左右にシーソーの様に揺らしながら開けたりして‥

二重窓じゃないね。

網棚

天井の灯り

石炭ストーブ用の台座

達磨ストーブ、着けといて欲しかったな。

その上の天井にある煙突の穴

最後のクレゾール消毒は昭和62年7月10日

この地図は懐かしいね。かつての国鉄、私鉄の路線が全部のってる。

デッキ同士をつなぐ扉は観音開き

デッキの灯りは裸電球

連結部分

幌がないね

扉は走行中でも開閉ができる。だから夏の暑い日、開けっ放しにしていてポイント通過時の横揺れで振り落とされて亡くなったり、ホームに完全に停止する前に降りて転んで怪我をしたり、そんな事故がありましたね。

続いて隣の車両へ移動‥

スハニ6

奥に美しい人影が‥

メーテルか？

奥にある別室

ここはかつての荷物室。主にチッキの荷物を収納していた所。

スハニにある荷物室と車掌室

スハニの二は荷物の二。

荷物室の扉と車掌室の扉

さて、木の床の裏側はどうなっているのかと言うと‥

なんとそのままの木がむき出し

しかも電気の配線もむき出し。

碍子（ガイシ）で浮かす配線も昔の家屋でも採られていた電気工事と同じ方法だ。でも、まさかむき出しだったとは‥

補強のために鉄の棒がトラスバーとして4本着けられています。

元々この車両は木造車だったので、大型にするためには補強のための鉄棒が必要だったみたい。
その後、鋼体化された後もトラスバーは残されたようですね。

はい、こんな感じ‥

つまり三角構造と言う事だね。

この車両、鉄道院の時代に造られたようです。

鉄道院といえば
鉄道院 → 鉄道省 → 国鉄
かなり前の話だ。

台車

分かりにくいけど、車軸が3本あるタイプ。とても珍しい。

もっと車両の下にもぐっていたかったんだけど、近くにスズメ蜂の巣があるようで、草むらを踏んですぐ4匹くらいまとわりついて来た。

仕方ない、一旦、フリーズしてからゆっくりと車の中へ退避。こういう時はハゲが有利なのだよワトソン君。

さて、貨車へと移動しましょう。

2両、連結されています。

一つはセキ1で‥

もう一つはセキ2。

セキは石炭運搬用の貨車のこと。
なぁ～るほど、石炭だからセキね！
と思うでしょ。ワシも昔そう思ってたんですけど、実は違うんです。
「セ」は石炭のセで正解。じゃあ「キ」はと言うと、これは荷重の大きさを表す記号でム・ラ・サ・キの順に重たくなっていく、だからキは一番重いものを積める貨車という意味。

なんかややっこしい。

セキを上から覗くとこんな感じ。真ん中に三角の山みたいのがあって車両の両脇の側扉を開けると自重で石炭が左右に分かれて下にドサっと落ちる仕組み。貯炭場の上に鉄橋（石炭桟橋）を架けてその上にセキを引っ張って来てドサっとな、てな感じ。

でも、冬がやっかい。

室蘭の製鉄所に着いた頃は石炭同士が凍りついちゃって、ドサっとな、と言うわけには行かない。
だから車両の横をハンマーやスコップで叩いて落とす作業が必要になる。これを「ガンガン叩き」と称し室蘭の冬の風物詩となっていた。だからよくみるとボコボコになった痕ががあるね。

さて、ここは一応遺産として経産省からのお墨付きをいただいているのですが、屋外保存は冬の雪下ろしが大変なんだわ。

だから、後もっても数年かな？ そんな気がする。
鉄ちゃんは早めに見に行った方がいいかも‥

後半へ続く

この旅行記へのコメント （6）

• ateruiさん 2019/08/26 23:55:37

  素晴らしい車両

  床や壁天井が木造だと落ち着いていいですね
  子供のころ乗ったのを思い出します
  此処迄行くのが大変そうですね！
  aterui

  エフサさん からの返信 2019/08/27 12:37:47

  Re: 素晴らしい車両

  昔の客車はこんな感じのも結構走ってましたよね。でもスチームラジエターはついていましたよ。さすがにストーブ列車はなかったなぁ。
  南大夕張は車で行かないと、ちょっときついですね。新千歳空港からは車で1時間弱くらいかな。

  ateruiさん からの返信 2019/08/31 00:00:18

  Re: 素晴らしい車両

  そんなもんで行けるのならば　
  行けそうですわ
  これから北海道は美味しいですね！
  aterui

  エフサさん からの返信 2019/08/31 07:47:48

  Re: 素晴らしい車両

  空港から夕張へは高規格道路と高速道路を使えば1時間弱で行けます。以外に近いかもしれませんね。
  秋の味覚と言えば秋刀魚。でも今年も不漁。目黒の秋刀魚も大変ですね。
  鮭はどうかな。鮭の白子は安いのでこの時期は煮付けにしたり、ポン酢和えにしたりして良く食べます。天ぷらもうまい。軽く湯がいてから切り分けて串に刺し、塩コショウして火で炙るとこれも結構いけますよ。鮭の白子は庶民の味方です。

• ロータスさん 2019/08/17 15:50:55

  エフサさん、こんにちは

  私は鉄道はさっぱりわからないのですが、鉄ちゃん的には大作だと思います！
  運転手さんはキーホルダーの様にブレーキハンドルとレバースハンドルを鞄にぶらさげるんですね。鞄にもJRと書いてある！！コスプレではないんですね。
  古い車両も保存してると云うよりは置いてあるだけ。
  北海道はワイルドだなぁと思います。　　　　　　　ロータス

  エフサさん からの返信 2019/08/17 18:09:43

  Re: エフサさん、こんにちは

  ロータスさん、お晩でした。
  
  台風一過の猛暑、お見舞い申し上げます。体調の方はいかがですか。あっ、ミズ・インドは熱波には強かったですよね。余計な心配だったかな？
  今回は退屈な鉄ネタにコメントいただきありがとうございました。
  
  屋外保存は雨風にさらされる分、屋内よりは不利なのは分かりますが、北海道は雪がありますからね。1シーズン、最低でも2回は雪降ろしの必要があります。毎回、保存会の有志一同がボランティアで行っている様ですが、高齢化が進んでますから大変です。
  もう一つ大変なのが地盤の変化。プラットホーム側はしっかりしてるのですが、ワシがスズメ蜂にまとわりつかれた反対側の地盤がゆるくて、何年か前にも春に1両脱線転覆してるんです。一番いいのはコンクリなんかで地盤をしっかりと固めるのがいいのですが資金不足でそうもいかないみたいですね。
  
  経産省のお墨付きもいいのですが、認定するなら金をくれ、ですかね。
  
  夕張市は依然として財政再建団体ですから