2019/04/10 - 2019/04/10
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しにあの旅人さん
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7才にもならない少年王フェデリーコ2世の威厳に満ちた、あるいは狂気の振る舞いにより、彼を拉致して傀儡に祭り上げようという、シチリアの封建領主たちのもくろみは失敗しました。これ以降、彼に手を触れようとする者はおりません。
要するに、「面倒くさいヤツだからほっておこう」ということになりました。放置されたわけです。
7才の王が、王宮、離宮、パレルモ市内を勝手にほっつき歩いていいことになったのです。楽しかっただろうな。
フェデリーコ2世の少年時代を描いた塩野の文中に、彼のほっつき歩き先として、王宮はもちろん、マルトラーナ、モンレアーレの教会とならんで、ジッザ、クーバというのがあります。マルトラーナ、モンレアーレは定番の観光地ですが、、ジッザ、クーバとなると馴染みがありません。
行ってみました。まずクーバ。
この旅行記を書くにあたり、参考にした資料は下記に列挙してあります。
フェデリーコ2世紀行-1 イエージ・誕生
https://4travel.jp/travelogue/11505518
なおこの旅行記はフェデリーコ2世の年代記風に並べたいと思います。4Travelではブログは旅行日順に並ぶので、表紙写真下に表示される訪問日と実際の訪問日は異なります。パレルモ滞在は4月15日―20日です。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
シチリア王家はパレルモの郊外、現マレドルチェ(Maredolce)城からモンレアールに至る緑豊かな広大な領地をもっていました。そこに、フェデリコ2世の祖父ルジェーロ2世が鷹狩り用の狩場、人口の池、城を作りました。城といっても軍事用のものではなく、優雅な館でした。王家の離宮を作ったわけです。
クーバもその一つ。
ノルマンニ宮殿のヌオーヴォ門からモンレアーレに向かう、コルソ・カラタフィーミ通りを10分くらい歩くと、左側にあります。
小さな銅板が表通りに出ているだけで、注意していないと通り過ぎます。道路からは見えません。 -
通りに面する門です。
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中庭。大木の左が入口です。大木と建物の向こうが道路。
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中庭に入ると右にクーバです。
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展示室にあった絵です。当時を復元しつつ制作されたものでしょう。かつての面影を伝えてくれます。上の写真と同じ方向から描いています。
この城は人工湖に囲まれており、船でしか城には入れませんでした。
完成したのは1180年。王室所有の農園の真ん中にあり、王はきわめてプライベートな生活を楽しんだようです。 -
時代不明ですが、中世以降のクーバの絵です。アラビア数字が使われているので16世紀中頃以降ということですね。上部の窓は開いています。近世になって窓は塞がれたことが分かります。
もはや人工池はありません。左上「33」と数字がふられているのは、パレルモの町でしょうか。左の尖塔は大聖堂のつもりですね。 -
側面。現在の入口はこちら。
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大きさは長辺16.8m短辺11.5mの長方形、高さは16m。
3室に分かれます -
残念ながら内部の荒廃はひどい。
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第1室、図面左の部屋です。屋根は抜け落ちています。
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中央の部屋です。
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ここも天井はありません。
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正面、王座でしょう。
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頭上にはアラビア模様と鍾乳石の飾り。王家の離宮の、王座の頭上に堂々とアラビア風の装飾があったのです。パレスティナに意地になって十字軍を送っていたローマ法王が見たら気絶しそうな部屋です。
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この部屋にはこうした出っ張りが2箇所、4面の壁にありました。
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ここから8本のアーチが伸びていたと思われます。天井を支えていたのです。
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床は抜け落ちています。
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階段があります。地下室があったようです。
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第3室、一番右の部屋です。
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第3室だけに天井が残っています。かつてはほかの2室もこうした天井があったのです。
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フェデリーコ2世はここに遊びに来て、王座によじ登ったりしたでしょうか。そんなものあまり面白くなさそうです。そもそもそういう子供らしい遊びが好きな、かわいげのある子供ではなかったような気がするのですが。
ここで楽しいのは、船遊びかな。 -
展示室にあった模型です。それにしても、もう少し誠意をこめて作ってほしいな。ご覧のとおりのいい加減な模型です。
でもクーバの池が地面を掘り下げたものであったことは分かります。現在の入口の高さから推定すると、水深は2~3メートルくらいで、船を浮かべて遊ぶことはできそうです。どうやって水を流し込んだかは分かりません。もし給水と排水がしっかりしていれば、水はきれいで、泳げたかもしれません。これだけの広さの池で好き勝手に遊んでいたら、かなり楽しかったのではないでしょうか。
放置されていたそうですから、「危ないからおやめなさい」などというお付きもいなかった。いてもいうことなんか聞かない。
ところで素朴な疑問ですが、フェデリーコ2世は泳げたでしょうか。そもそも当時の騎士は泳げたのかな。
おじいさんにあたる神聖ローマ帝国皇帝フリードリッヒ1世は、勇猛果敢な武人で有名ですが、十字軍遠征途中、小アジアのサレフ川で溺死しています。泳げなかったかのではないでしょうか。
おじいさんが溺死したのを知っていたので、フェデリーコ2世はここで水練に励んだ、という可能性なくはない。
彼は、乗馬はもちろん、弓、槍、剣術、なにをやらしても秀でていたと言われています。このへんのオリーブ畑を跋渉し、汗だらけになってかえってきたらこの池に飛び込んだのです。そうに違いない。 -
うら庭のレモンの木です。フェデリーコ2世がレモンをもぎって食い散らかしたという、お手もぎのレモンです。
嘘です。
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この旅行記へのコメント (3)
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- しにあの旅人さん 2019/08/02 16:59:07
- お疲れ様でした
- あの本を読まれたのですね。ごくろうさまでした。重くて、寝っ転がって読むわけにもいかず、ちゃんと机に座って読むしかない本です。正しい姿勢で本を読んだのはなん十年ぶりか。
あの本は、おっしゃる通り理屈が多くて、哲学的考察というやつですね。どこまで行ってもキリスト教と離れられないのですね。うっとおしいことで。1920年代ですから、そんなものか。
これからも勝手にフェデリーコ2世の追っかけに使います。あの本の中で、使えそうなところをノートしております。
パレルモの少年時代はまだ続きます。塩野もカントーロヴィチも、彼はパレルモを勝手に放浪していたと言っているので、こっちも書きやすい。おおいに想像の羽を羽ばたかせております。
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- kummingさん 2019/08/01 17:34:29
- フェデリコ2世友の会?
- ほんとうにフェデリコ2世の人生をなぞる旅を遂行されたのですね~
最近、4tr 内にかなりの数のフェデリコ2世愛好家がいらっしゃる様だと認識し始めました♪
そうなるとシニアの旅人さんには、さしずめ、愛好会の会長さんに就任して頂く(笑)
子供らしい遊びが好きな可愛げのある子供じゃなかったのでは?に一票~
おじいさんがはるばる十字軍遠征しといて、何もなさずに溺死した(-。-;のを知っていたから泳ぎは得意!にも一票♪
レモンもちぎって食い荒らしたかも(笑)
さて、私事ですが、おススメ頂いた、カントーロヴィッチ、読みました♪もちろん、図書館で借りました!
まさか図書館にあるかな~と半信半疑でリクエストしたところ、あった~^ ^
フェデリコ2世シンパの私でさえ、ここまで神格化する?と思う程の美辞麗句で礼賛されていて、ちょっとひきましたが…。最後の解説に、歴史学者からの賛否両論が併記されてていて、思わず頷いてしまいましたが、色んな視点から見たフェデリコ2世、興味深い面白い本を紹介して頂き、感謝m(._.)m
- しにあの旅人さん からの返信 2019/08/02 17:01:02
- Re: フェデリコ2世友の会
- また間違えて、返信ではなく、新たに書き起こしてしまいました。
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