2019/03/17 - 2019/03/17
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ドクターキムルさん
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葛原岡ハイキングコースの2方向しか表紙されていない道標のある三差路を、行先が表示されていない方向の尾根に分け入って行く3人の外国人の女性たちがいる。英語などの外国語で書かれた鎌倉のガイドブックにはこの先の下の谷にある瓜ヶ谷やぐら群のことでも記載されているのかと思い、また、この先は山道がきつくなるので、後を追い、「案内しましょうか?」と声を掛ける。この先の笹竹の藪を見て、「時間がないので引き返します。」と言って葛原岡ハイキングコースに戻って行く。
すると、母娘の親子がやって来る。「この先に史跡があります。行きたいのなら案内しますよ。」娘さんは行きたいという。私が案内して笹竹が刈られた尾根道から、ロープが張ってある急な谷に下りる山道を、ロープを頼りに下りる。何年も前になるが、この谷を下りる際も、あるいは上る際にも、これほど山道は整備されていなく、獣道であった。しかし、最近ではシニアグループでやぐら巡りがやけに多くなったような気がする(https://4travel.jp/travelogue/11428653)。鎌倉近隣のシニア連中が毎度毎度鎌倉に来て寺社ばかり巡っていたのでは年度も同じ寺社を参拝することになり、常連で鎌倉散策しているシニア連中には飽きられる。どうせ、ハイキングがてらなのだから、ここ瓜ヶ谷やぐら群は第一にその散策地になってしかるべき唯一の鎌倉市指定のやぐら群である。
急な山道をロープを伝って下りるのはこの娘にとっても冒険だ。特に女の子で小学3年生ならば尚更だ。「今では学校でも事故があると責任を取らされるのでこんなところには行かなくなっているのです。」と母親が言う。しかし、保護者同伴であるのだから、こうした場所も恐れずに行くべきだと思う。
勾配が緩やかな坂道になると山裾に小さな横穴がある。見ると五輪塔が並んでいる(。手前にあった第5やぐらは見落とした)。その横はそれよりも格段に大きく、中に入ると奥壁と両側面に五輪塔が何基も掘られている。そこの腰掛けのような段には骨壺を埋めた穴がたくさん並んでいる。その穴の数を数えながら、親子は大喜びである。ガイドブックにある葛原岡ハイキングコースから100mも離れるとこうした五輪塔が彫られたやぐら群があるのだ。
その隣は中に五輪塔は1基だけ彫られたやぐらで、中ではその次の地蔵やぐらと呼ばれる大型やぐらに通じている。こうした手掘りのトンネル、それも古い鎌倉時代に掘られた隧道の穴を潜ることも日常ではないことである。
最後の地蔵やぐらの中央には大きな地蔵菩薩が安置されている。坐像でありながら、人間の背丈ほどの高さがある。この娘さんよりはかなり高い。しかし、8年前とは違って地蔵菩薩の頭が鎌倉石の頭(、頭が落ちて、それをそのまま乗せていたような、)から白っぽい小振りの彫りの深い頭に変わっているような(https://4travel.jp/travelogue/10563407)気もするのだが…。この地蔵やぐらには奥壁にも大きな石仏と五輪塔が彫られている。その他にも、側面にも小さなお地蔵さまや奥壁にも五輪が何基も彫られ、龕(がん)と呼ばれ納骨穴の上にもお地蔵さまなどの石仏が彫られている。やぐら好きの私でなくても、鎌倉のお寺を巡ってもこれほど近くでお地蔵さまを眺められる訳ではない。また、やぐらの中にこうした仏像や五輪塔などが彫られているやぐらはそれほど多くある訳ではない(https://4travel.jp/travelogue/10629042)。3,000基あるとも5,000基あるとも言われる鎌倉にあるやぐらの中でも数%のオーダしかない。この親子も自分たちだけでは決して訪れない瓜ヶ谷やぐら群のこうしたやぐらの中に入り、こうした仏像や五輪塔などの彫刻を目の当たりにして感激ひとしおである。
また、瓜ヶ谷やぐら群の下に下りると谷戸に棚田が見え、娘さんも感激している。鎌倉で田圃が見られるとは思ってもいないからだ。
さらに、葛原岡神社の参道の神社隣の大機山望岳楼/田邊山荘下の道端で、生えている竹を親子に触ってもらう。娘さんは「あら、変だわ。」という。母親も触ってみる。この辺り、一般には鎌倉中なら60%の竹は浄智寺由来の四方竹だ。
結果、この娘さんは親子で、ロープを伝って谷に下り、やぐらに入って仏像や五輪塔などの彫刻を目の当たりにし、棚田を眺め、竹にも四角い四方竹があることを身を持って体験したのだ。私も先日のフランス人親子(母・娘)(https://4travel.jp/travelogue/11466347)に続いて、日本人親子(母・娘)をおもてなしすることができた。ただし、今日の天気では富士山は朝から雲の中に隠れている。ゴールの葛原岡神社手前にも富士山のビュースポットがあるのに残念。葛原岡ハイキングコースでの3分の工程を反れ、20分程度の回り道をすることで、隠れた鎌倉の魅力がてんこ盛りなのだ。
昨今は体験学習を求めて来日する外国人が多いという。本当なら、最初の3人連れの外国人にもこうしたガイドブックからちょっとだけ離れた場所を散策したら、この親子以上に楽しめたのではないかと思う。ここ鎌倉も実は外国人であれ日本人であれワンドーランドなのだ。しかし、それを上手く伝えるガイドブックがないというだけなのだ。
(表紙写真は地蔵やぐらの地蔵菩薩と娘さん)
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瓜ヶ谷やぐら群の第4やぐら。第5やぐらは見落とした。
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瓜ヶ谷やぐら群の第3やぐら。
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瓜ヶ谷やぐら群の第3やぐらの中に彫られた五輪塔。
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瓜ヶ谷やぐら群の第3やぐらの中に彫られた五輪塔。
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瓜ヶ谷やぐら群の第3やぐらの中に彫られた五輪塔。
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瓜ヶ谷やぐら群の第2やぐら入口。
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瓜ヶ谷やぐら群の第2やぐらの中に彫られた五輪塔と娘さんがほぼ同じ高さだ。
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瓜ヶ谷やぐら群の第1やぐら内部。地蔵やぐらの中央の地蔵菩薩が坐像ではあるが、娘さんよりも高い。
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瓜ヶ谷やぐら群の第1やぐら(地蔵やぐら)の側面に彫られたお地蔵さま。
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瓜ヶ谷やぐら群の第1やぐら(地蔵やぐら)の側面に彫られた段々の横穴。これは鳥居なのだという。それならば神仏習合の地蔵やぐらだ。
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瓜ヶ谷やぐら群の第1やぐら(地蔵やぐら)の奥壁に彫られた仏像と五輪塔。
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瓜ヶ谷やぐら群の第1やぐら(地蔵やぐら)の龕(がん)とその上に彫られた仏像。写真左端の龕(がん)の形に注目。
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瓜ヶ谷やぐら群の第1やぐら(地蔵やぐら)の奥壁角に彫られた大型の五輪塔。
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瓜ヶ谷やぐら群の第1やぐら(地蔵やぐら)の奥壁中央に彫られた3基の五輪塔。
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瓜ヶ谷やぐら群の第1やぐら(地蔵やぐら)の奥壁隅に彫られた五輪塔と側壁に彫られた龕(がん)。
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瓜ヶ谷やぐら群の第1やぐら(地蔵やぐら)内部には中央に地蔵菩薩、後ろに石仏。
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瓜ヶ谷やぐら群の第1やぐら(地蔵やぐら)入口。ここから出る。
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西瓜ヶ谷やぐら群の直ぐ下は谷戸の棚田がある。娘さんは棚田だと喜んでいる。鎌倉の道路から見えないこのような場所にも昔懐かしい田園風景が残っているのだ。
この谷戸から山林が続くのだが、この谷戸の上の山は谷になっており、木立の間から尾根の先の空が透けて見える。この尾根は「蛇居ヶ谷の大堀切」(https://4travel.jp/travelogue/11397331)で、「石切場跡か」と思っていたが、切通である可能性が強いと思った。
東慶寺(縁切り寺)西の東瓜ヶ谷から山道を南下して西瓜ヶ谷やぐら群がある谷の上の尾根道(葛原岡ハイキングコース)に出る尾根道と東瓜ヶ谷から西瓜ヶ谷を通り、西瓜ヶ谷やぐら群がある谷戸から尾根を越えて海蔵寺裏に出た街道があり、その尾根の部分が切通(「蛇居ヶ谷の大堀切」)となっていたのだろう。
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