一富士二鷹三茄子、鍵屋の辻で荒木又右衛門を偲ぶ。

2018/11/07 - 2018/11/07

　我々は映画や小説や講談や歌舞伎などで面白おかしく脚色されたものをホントの史実だと思い込んでいるかも知れない。

　高々７０年前の第二次世界大戦の頃の南京や朝鮮半島における出来事も、今となっては絶対的な考証は難しいようである。ましてや数百年前の出来事は誰にも本当の事は分からない。

　世の中には根拠が全くはっきりしない言い伝えなどがあるが、初夢に関する表題もその一つである。

　歴史学とは程遠い、ドラゴンのテキトーな蘊蓄の旅行記である。

　初夢ベストスリーの解説は、諸国の名物を並べたものとか諸説あるのだが日本三大仇討ちの事だという説が広く人口に膾炙されている。

　一富士とは、富士の裾野で頼朝が巻き狩りをした折に五郎、十郎の曽我兄弟がに工藤佑経を親の仇として討ったことから来ているのだ。因みに他家へ預けられたため兄は伊藤十郎、弟は江島五郎と呼ばれ兄の方が十郎になってしまった。

　二鷹とは、忠臣蔵の浅野家の家紋が鷹の羽のぶっ違いから来ているという事らしい。これほど多く歌舞伎や映画などで繰り返し演じられた演目も珍しいが、ほとんどが実際の史実とは大きく異なっているようだ。

　三茄子はかなりのこじつけの様で、「三に名を成す（び）伊賀の仇討ち」の他諸説ありだが、河合又五郎を渡辺数馬が荒木又右衛門の助太刀で討った事を指しているらしい。

　いずれも立派で天晴れな仇討ちであるという事で、三大仇討ちとして初夢の題材に選ばれたようである。

　しかしである、どうも皆逆恨み的要素が多く討たれて悪者にされた方はたまったもんじゃないという気がしないでもない。

　確かに多勢に無勢という点では納得できる要素もあるが、曽我兄弟は嵐の夜に不意打ちを掛け、浅野家臣も準備万端で夜中に押しかけ、又右衛門も上野で待ち伏せをして不意打ちを仕掛けている。
又右衛門は映画や小説で「鍵屋の辻の三十六人切り」などと言われているが実際には桜井半兵衛と河合甚左衛門の二人である。

　理不尽に殺された親の仇を正々堂々と討ち果たしたというならまだしも、カッとなり数百人のいや家族や郎党を含めれば数千人の家臣を路頭に迷わせるバカ殿が「風さそう花よりも猶我はまた春の名残をいかにとか」などという辞世の句を残したばっかりに、忠義の家臣は殿の意向を汲んで御上に逆らっても仇討ちせざるを得なかったと言う説に納得である。もっともこの辞世の句も内匠頭が実際に詠んだものかどうかも疑わしいのが歴史と言うものか。

　鍵屋の辻の仇討ちも仇を討ったのは渡辺数馬で荒木又右衛門は助太刀しただけの脇役のはずだが、こちらの名が残って「渡辺数馬って誰？」状態である。

　史実は映画や小説ではなかなか判らないものであるという感想を鍵屋の辻での法要前に抱いたドラゴンであった。
　

　

エリア 伊賀・上野(三重)

• 旅行の満足度: 3.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: バイク

　１１月７日に伊賀上野を訪れたのだが、奇しくも寛永１１年１１月７日は渡辺数馬が荒木又右衛門らの助太刀を得て、河合又五郎を弟の仇として討ち取った日という事で、ここ鍵屋の辻では故事を偲んで法要が営まれていたのだった。

　奇しくもドラゴンは又右衛門一行と同じように笠置から伊賀上野にやって来た。（バイクでだけど）

　妻子を犯され殺されたブロンソンが犯人や社会の悪に復讐をする「オオカミの挽歌」のようなストーリーの方が立派な仇討ちのような気がするのだが。

　流石に茶屋の名前は「数馬茶屋」になっている。「又右衛門茶屋」では脇役が主役を食ってしまうものね。

　仇討ちをした渡辺数馬の名前がないのは何故？

　紅葉の名所でもあるらしいのだが時期早尚。

　前後するが、笠置から柳生街道で柳生の里へ寄り「十兵衛杉」を鑑賞。

　柳生の里から月ヶ瀬へ抜ける街道にある「龍王の滝」

　役行者が修行したとの伝説あり。

　カタツムリ発見。

　名古屋の友人宅へ行ったのだが途中「なばなの里」へ寄り道。

　以下、そこの花。

　同上。

　名前分からず。

　ユリですね。

　なばなの里に昼間来るバカ！

　夜のイルミネーションがウリです。

　コスモス畑もあり。

　牡丹が見ごろの様でした。