改装前の富士屋ホテルに泊まる

2018/02/22 - 2018/02/23

２０１８年４月から２年間の予定で改装休業中の富士屋ホテル

暫く宿泊できないから、休業にはいる前に現ホテルの見納めに、と２月に宿泊してきました。

再開業は２０２０年夏
耐震補強工事を中心とした改修工事で、クラッシックホテルとしての魅力は変わらないと思いますが、どうでしょう？

現在大阪にて、１２月６日からは東京のLIXILギャラリーで「富士屋ホテルの営繕さんー建築の守り人ー展覧会」が開催されています。
クラシックな建物好きの方は是非

エリア 宮ノ下温泉(神奈川)

宮ノ下にある富士屋ホテル

そのクラッシクな佇まいに魅了されている一人です。

約２年の休業前に見納めの宿泊

富士屋ホテルは　本館（明治２４年）、西洋館（明治３９年）、花御殿（昭和１１年）、フォレスト館（昭和３５年）の４つの宿泊棟があります。

フォレスト館以外の宿泊棟、食堂棟、旧御用邸の別館菊華荘、建物の登録有形文化財、近代化産業遺産に指定されています

花御殿は外国人旅行客にはフラワーパレスと呼ばれる宿泊棟
千鳥破風付の入母屋と校倉を模した壁が特徴的

昭和１１年竣工で、当時から外国人旅行客の利用を想定した造りになっている。

ダイニング　ザ・フジヤから撮った本館

富士屋ホテルでは宿泊者の希望者に館内ツアーをしてくれる
比較的早い時間なので、早めのチェックインが望ましい

集合場所のチャペル（花御殿地下）

ここで　富士屋ホテルの歴史をおさらい

チャペル内にあった１９００年代のオルゴール

この日の館内ツアーではオルゴールの説明がなくて残念

チャペルでの説明後、所蔵品等が集められた資料室へ移動

ゆかりの品や写真、宿泊帳などを見ながら説明を聞く

冨士屋ホテルの歴史を語る所蔵品等が集められた資料展示室は１３０周年を記念に作られた

資料室は一般に開放されていて、ツアーに参加しなくても見学できる

資料室内の展示①

天皇陛下がご利用になったという椅子

座面の裏に記載あり

資料室内の展示②

ジョンレノン夫妻が利用した　花御殿の部屋の写真

資料室内を見学して移動

メインダイニングのザ・フジヤが館内ツアーの最終地

ザ・フジヤへは、ロビーの入口から渡り廊下風の通路を使います。

ザ・フジヤ グルメ・レストラン

ザ・フジヤへの通路に飾られた　イヤープレート（大倉陶園製）

富士屋ホテルでは食器も大倉陶園に特注しています。

ディナータイムの準備で忙しいレストラン内の一角でツアーの説明が続きます。

夕暮れ時のザ・フジヤ　は照明も付き始め、華やかさがでてきました。

この日は早目にチェックインしましたが、その時点でも夕食の席は予約で満席でした。
残念

冨士屋ホテルを大きく発展させた　３代目社長　山口正造氏は食事中も飽きさせない、見ても楽しむことのできるものにと、レストランの装飾に拘ったそうです。

中央の欄干にはゴルフ・野球などスポーツをする人が描かれた彫刻が施されれています。

格天井には636種類の異なる高山植物が描かれ、天井付近の壁には507羽の野鳥・238曳の蝶、天井下には鶴などの絵が施されています。

柱の足者には、眼光鋭い人の顔が彫られていて、写真の働きぶりをみている　３代目社長の山口正造氏だそうです。

館内ツアーは小１時間

以前　資料室がなかった頃は本館の彫刻等の説明が多くありました

赤い階段は本館の客室へ

本館にはチャールズ・チャプリンが宿泊した部屋があります。

チャプリンズ・ルームとしてルームプレートが飾られている

この日は宿泊者がいたそう

サンパーラー

最近はここで休む人を見かけることも少なくなりました。

外国からの旅行者を楽しませるように、日本を意識した彫刻・飾り物が多く設置されている。

朱塗りの階段もそのひとつ

サンパーラーにいる猿の彫刻
近くの柱に蛇の彫刻があり、伝説にまつわるとの説も

館内の装飾は伝説等に由来したものが多く、海外からの観光客に日本らしい話題を提供するツールだったようです。

写真は花御殿の地下への階段だったと思います。
木彫りで兎と亀の絵が彫られていました。

ロビー横のマジックルーム

かつては客室として使用されていた

西洋館の増築に伴い、ロビーへと改装

マジックルームの名は、中国からマジシャンを呼んでカードマジックなどが行われていたことに由来

館内の照明はアンティーク物が多い。

マジックルームでは３灯式で上部の木枠には花型のくり抜きが施されている

廊下のアンティークな照明も個人的に見どころ

天井飾りも素敵

雰囲気のある階段（フロント前へ）

この照明の木枠も彫り物がありました

西洋館廊下沿いにあるドアですが、ドアノブが最近の物より低めにつけられています。

日本家屋建築の襖引き戸の高さに合わせていたと聞いたことがあります。

西洋館の廊下にあるトイレにお邪魔しました。

タンクが上に設置され、紐をひく　レトロなトイレも現役で活躍していました。

今回のお部屋は花御殿

花御殿へは　本館から西洋館を抜けての移動
少し歩きます。

花御殿の建物に入るとヒノキの香りが廊下にも漂っています

花御殿のお部屋は部屋番号とは別に花の名前がつけられています。
今回のお部屋は「萩」でした

鍵のキーホルダーも花の絵

天井が高く、窓も大きく、空間の広さを感じる

照明のレトロ感も素敵

部屋のインテリアはシンプル

このソファの座り心地がとても良かった

テレビ・冷蔵庫は隠されておらず（むき出しで）、窓前に設置

正直この部屋の雰囲気には　テレビが異質な感じではありますが、仕方ないですね。

お部屋タイプはデラックスツイン

ベッド回りの設備も必要最小限という感じです。

左手奥がウォーキングクローゼット

３畳近くあり、かなり広い
長期滞在のスーツケースに対応可能だったのがわかる

鏡台前のドアが浴室

お部屋のお茶セット

鏡台も和洋折衷の雰囲気

ルームウエアは浴衣でパジャマはなし

デスク横の飾り絵にも萩

アンティークの机の両袖はバタフライ式

富士屋ホテルでは、各部屋の浴室にも温泉が出てきます

フォレスト館のバスタブは手狭に感じましたが、花御殿のバスタブは十分な広さ

浴室のタイルにも　萩の絵

かつてはバス・トイレ内に電話を置くなんて考えらえなかったのでしょう。

壁をくり抜いて電話が設置されています。
奥に見えるのは　トイレのタンク

洗面台は一般的

収納スペースも少な目

神奈川県内でも冬は寒さが一段厳しい箱根

浴室には暖房設備がありました

フロント近くにあるラウンジオーキッド

席数は少ないのでいつも混雑している印象

富士屋ホテル ラウンジ グルメ・レストラン

オーキッドの窓は大きく　建物裏手にある庭・池を眺めながら

デザートメニューもちょっとノスタルジーを感じませんか？

バナナスプリット

デザート皿の下のプレートは大倉陶園のもの。

富士屋ホテルの特注品で富士屋のロゴ入り

珈琲単品だとラスクがついてきます

ホテルオリジナルの富士屋ラスク

売店での販売はなかったと思う

因みにお庭は散策可能

高低差があって、ちょっとした運動になります。

水車もあります。

夕食は地下にあるグリル・ウィステリアでいただきました

６時台に予約しましたが、数組のみで、こちらはややさびしい感じの賑わいでした。

グリル ウィステリア グルメ・レストラン

今回はコース料理（５０００円台）をいただきました。

前菜・主菜を2-3種類のメニューから選べるコースです。

オードブル
魚のサラダ仕立て

オードブル
テリーヌ

オードブルの味付けは控え目

写真映りがちょっと良くありませんが、主菜の牛の赤ワイン煮

お肉がボリュームたっぷりかつホロホロに煮込んであって、実に美味しかったです。

主菜

子牛のカツレツミラノ風

デザート

このほかに珈琲がつく

パンも自家製のものが３種類
サービスも良く、満足な夕食となりました。

外からみた食事棟

２階がメインダイニングのザ・フジヤ
１階はグリル　ウィステリア

翌朝は　ザ・フジヤで朝食をいただきました。

窓が大きくて朝の清々しさがレストラン内にも入ってきます。

ザ・フジヤ グルメ・レストラン

朝食メニューはアラカルトのほかセットメニューも複数あります。

おいしかった　オレンジジュース

セットメニューのサラダのゴマドレッシング

目の前でドレッシングを混ぜ直してくれたのですが、少々濃厚過ぎたようです。

オムレツ
カニホワイトソース

カニ肉がオムレツの上にも載っていますが、中にも沢山入っていて驚きました。

サラダブレックファーストのセットはメインがサラダ

ドレッシングはブルーチーズを選んだところ、フレンチドレッシングにブルーチーズが入っているもので、非常においしかったです。

パンはもちろん温かく、布ナプキンで丁寧に包まれて提供されます

セットメニューにはヨーグルトがついています。

ヨーグルトは食後かと思っていましたが、主菜の前か食後かと聞かれました。

蜂蜜が添えられていました

チェックアウト前に花御殿地下にある　室内温泉プール　ANGEL　SPAで軽く運動してきました。

プールも温泉水を使っています

メンテナンスはしっかりされていますが、改装はされていないので、レトロ感満載

脱衣所が昔の学校プールを思い出させます

ビーチチェアも並び、プールサイドでのんびりできます。
２階は立入禁止でした。

レトロな雰囲気があって、素敵なプールなのですが、利用者が少ないようです。

新しいホテルに比べると、水回りを始め快適さに見劣りがするかもしれません。
メンテナンス・掃除も丁寧にされていますが、やはり蓄積された傷み・汚れはあります。
（その点が好きでない方にはただただ古いホテルになってしまうのでしょう）

私はクラシックホテルが好きなので、今から改装後の宿泊を楽しみにしている一人です。