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 安宅関へ行った訳ではない。<br /><br /> 石鎚登山で修験道に目覚めたドラゴンは行場巡りをすることにしたのである。<br /><br /> 山伏姿に身を変えて安宅関を通ろうとした義経主従のように、作り山伏のドラゴンは宝塚の友人と「山路はるかに行くバイク 鷲峰山に着きにけり」<br /><br /> 余談ながら59歳で死んだドラゴンの父親は素人の旦那芸であるものの長唄の名取りであった。落語の「寝床」ではないが子供の頃から三味の音に乗せた「勧進帳」をよく聞かされたものであった。<br /><br /> ご存じない方のために「勧進帳」のあらすじご紹介。<br /><br /> 頼朝に追われた義経一行は京の都を脱出、琵琶湖を北に渡って加賀に入り、北陸道を北上すべく安宅の関を通ろうとする。<br /><br />  義経一行が山伏に化けているのは既に先刻承知の関守富樫左衛門、一行を捕らえようとするも「東大寺建立の寄進を集める客僧である」と主張する弁慶 。<br /><br /> ならば寄進を募る「勧進帳」を持っているはず、読んで聞かせろと富樫。あるべくもない勧進帳、持ち合わせの巻物を取り出してその場ででっち上げて読み上げ切り抜ける。<br /><br />  しかしさらに富樫は「そもそも山伏とはなんぞや」とか「その装束や杖の意味は」など専門的な仏教知識を問う「山伏問答」を仕掛けてくる。<br /><br /> もともと比叡山延暦寺で少、青年期を過ごし優秀な学僧であった弁慶淀みなく答える。<br /><br />  「勧進帳」っぽい文章をでっちあげるのも、山伏問答で正確無比に答えられるのも朝飯前なのである。<br /><br />  一度はだまされた関守の富樫だが、最後に関所を出ようとした強力が義経に似ているのに気付き詮議しようとする。<br /><br />  弁慶、「ろくに荷物も持たないくせに、困らせてばかりで困った奴」と義経を散々に金剛杖で打擲する。<br /><br />  「いくらなんでも主君、源義経をここまで打たないであろう」と思わせる弁慶の所作に心ほだされた富樫は義経一行と見破りつつ、騙されたふりをし勧進の布施物を出して一行を通してやる。<br /><br />  少し離れた山の中、弁慶の機転に感謝する義経、主を打擲したことを泣いて詫びる弁慶、そこに富樫がまたやってくる。<br />あわてる一行だが、富樫は「さっき失礼をしたお詫びに」と酒や肴を持ってきたのである。<br /><br />  「我らを義経主従と見抜いた上で逃がしてくれるのだな」と悟った弁慶。<br /> 何食わぬ顔で酒を飲み、求められて舞を舞っている間にまぎれて一行は出発し逃げる。<br /><br />  幕が引かれたあとひとり残った花道で、弁慶は富樫に深く一礼、そして先に逃げた義経たちを追って花道を飛び六法で豪快に引っ込むのである。<br /><br /><br />

旅の衣は篠懸の、露けき袖や、しおるらん。時しも頃は神無月、宝の塚を立ち出でて。

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2015/10/21 - 2015/10/21

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旅行記グループ スーパーカブでゴー!Vol.1

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熟年ドラゴン

熟年ドラゴンさん

 安宅関へ行った訳ではない。

 石鎚登山で修験道に目覚めたドラゴンは行場巡りをすることにしたのである。

 山伏姿に身を変えて安宅関を通ろうとした義経主従のように、作り山伏のドラゴンは宝塚の友人と「山路はるかに行くバイク 鷲峰山に着きにけり」

 余談ながら59歳で死んだドラゴンの父親は素人の旦那芸であるものの長唄の名取りであった。落語の「寝床」ではないが子供の頃から三味の音に乗せた「勧進帳」をよく聞かされたものであった。

 ご存じない方のために「勧進帳」のあらすじご紹介。

 頼朝に追われた義経一行は京の都を脱出、琵琶湖を北に渡って加賀に入り、北陸道を北上すべく安宅の関を通ろうとする。

 義経一行が山伏に化けているのは既に先刻承知の関守富樫左衛門、一行を捕らえようとするも「東大寺建立の寄進を集める客僧である」と主張する弁慶 。

 ならば寄進を募る「勧進帳」を持っているはず、読んで聞かせろと富樫。あるべくもない勧進帳、持ち合わせの巻物を取り出してその場ででっち上げて読み上げ切り抜ける。

 しかしさらに富樫は「そもそも山伏とはなんぞや」とか「その装束や杖の意味は」など専門的な仏教知識を問う「山伏問答」を仕掛けてくる。

 もともと比叡山延暦寺で少、青年期を過ごし優秀な学僧であった弁慶淀みなく答える。

 「勧進帳」っぽい文章をでっちあげるのも、山伏問答で正確無比に答えられるのも朝飯前なのである。

 一度はだまされた関守の富樫だが、最後に関所を出ようとした強力が義経に似ているのに気付き詮議しようとする。

 弁慶、「ろくに荷物も持たないくせに、困らせてばかりで困った奴」と義経を散々に金剛杖で打擲する。

 「いくらなんでも主君、源義経をここまで打たないであろう」と思わせる弁慶の所作に心ほだされた富樫は義経一行と見破りつつ、騙されたふりをし勧進の布施物を出して一行を通してやる。

 少し離れた山の中、弁慶の機転に感謝する義経、主を打擲したことを泣いて詫びる弁慶、そこに富樫がまたやってくる。
あわてる一行だが、富樫は「さっき失礼をしたお詫びに」と酒や肴を持ってきたのである。

 「我らを義経主従と見抜いた上で逃がしてくれるのだな」と悟った弁慶。
何食わぬ顔で酒を飲み、求められて舞を舞っている間にまぎれて一行は出発し逃げる。

 幕が引かれたあとひとり残った花道で、弁慶は富樫に深く一礼、そして先に逃げた義経たちを追って花道を飛び六法で豪快に引っ込むのである。


旅行の満足度
4.0
同行者
友人
交通手段
バイク
  •  宝塚の友人と原チャリでやって来たのは、京都府相楽郡和束町にある鷲峰山金胎寺。<br /><br /> 役小角が開いたとされる山岳信仰の霊地、大和の大峰山に対し北大峰と称される修験道の寺。<br /><br /> 奇岩怪石連なる行場があるのだ。

     宝塚の友人と原チャリでやって来たのは、京都府相楽郡和束町にある鷲峰山金胎寺。

     役小角が開いたとされる山岳信仰の霊地、大和の大峰山に対し北大峰と称される修験道の寺。

     奇岩怪石連なる行場があるのだ。

  •  先ずは鷲峰山山頂の宝篋印塔に修行成就祈願。<br /><br /> お祈りしている様には見えんというか、台座に乗っかって罰が当たるとは知る由もないドラゴン。<br /><br />(じゅうぶざん ほうきょういんとう)と読みます。

     先ずは鷲峰山山頂の宝篋印塔に修行成就祈願。

     お祈りしている様には見えんというか、台座に乗っかって罰が当たるとは知る由もないドラゴン。

    (じゅうぶざん ほうきょういんとう)と読みます。

  •  いよいよ行場へ修行に入る。<br /><br /> 300円の入山料が必要である。行場の沙汰も金次第。

     いよいよ行場へ修行に入る。

     300円の入山料が必要である。行場の沙汰も金次第。

  •  役小角が出迎えてくれる。(えんのおづぬ)

     役小角が出迎えてくれる。(えんのおづぬ)

  •  急な下りから修業が始まる。

     急な下りから修業が始まる。

  •  いよいよ行場に突入であるが時計回りに一方通行で回るのだ。

     いよいよ行場に突入であるが時計回りに一方通行で回るのだ。

  •  幅30cmの岩の足場を伝って絶壁を見下ろす東の覗き。

     幅30cmの岩の足場を伝って絶壁を見下ろす東の覗き。

  •  行者を見習い岩にへばりついて覗くドラゴン。(迫力ないな〜)

     行者を見習い岩にへばりついて覗くドラゴン。(迫力ないな〜)

  •  岩の崖を降りる友人。

     岩の崖を降りる友人。

  •  さて、いよいよこれから本格的なとっても危険な行場を巡るのであるが、二人してまたも道を見失ってしまった。宝篋印塔の罰が当たったのである。神無月なのにちゃんと神様いたのね。それとも仏罰の方かも。<br /><br /> しばらく藪漕ぎの後、遭難の危機を乗り越え引き返した二人であった。<br /><br /> 胎内潜り、鐘掛、蟻の戸渡りなどの行場また今度にしといたろか。

     さて、いよいよこれから本格的なとっても危険な行場を巡るのであるが、二人してまたも道を見失ってしまった。宝篋印塔の罰が当たったのである。神無月なのにちゃんと神様いたのね。それとも仏罰の方かも。

     しばらく藪漕ぎの後、遭難の危機を乗り越え引き返した二人であった。

     胎内潜り、鐘掛、蟻の戸渡りなどの行場また今度にしといたろか。

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