2015/07/27 - 2015/08/02
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ken-kenさん
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フィレンツェ美術館編、最後は彫刻の数々です。
正直、自分は絵画は好きなのですが、今一彫刻に興味を持てません。
ミケランジェロと言えばダビデ像やピエタ像より、ヴァティカンの最後の審判や天地創造の天井画が思い浮かんでしまうのです。
そのため、ミケランジェロの聖地フィレンツェに来ながら、絵画に比べて極めて数が少ない事をお詫びします。
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まずはメディチ家の礼拝堂に行きます。
ここにミケランジェロが作った有名な墓があります。 -
この礼拝堂に最後のメディチ家の人間となったアンナ・マリア・ルイーザ・メディチの像があります。
彼女はメディチ家最後のトスカーナ大公ジャン・ガストーネ・デ・メディチの姉です。
ジャン・ガストーネは暗愚の大公で、子供もいませんでした。
ジャン・ガストーネの死後、トスカーナ大公国はロレーヌ公フランツ・シュテファン(オーストリアの女帝マリア・テレジアの夫)のものとなり、以後ハプスブルク家の支配下となります。
アンナ・マリア・ルイーザはメディチ家の遺産の全てを受け継ぎました。
彼女のが亡くなる時、遺言でメディチ家のコレクションがフィレンツェに留まり、一般に公開されることを条件に総ての美術品をトスカーナ政府に寄贈しました。
彼女のおかげで現代の我々も素晴らしい作品群を見ることが出来ることになったわけです。
フィレンツェにとっても我々観光客にとっても彼女の功績は大きかったと思います。 -
ロレンツォ豪華王の孫(長男ピエロの息子)ウルビーノ公ロレンツォの墓。
ミケランジェロが制作しました。
1525年頃の作品。
真ん中の像がウルビーノ公ロレンツォ、そして左の老人が夕暮れで右の女性が曙を現した寓意像です。 -
右側の曙の寓意である女性が筋肉質で実に男性的です。
ミケランジェロは女性像を作る時も男性モデルを使ったと言われています。
ウルビーノ公ロレンツォは祖父の血と言うより、父の血を引いたようで、野心はあっても肝心の政治力はなかったみたいです。
子供は女の子一人だけでした。
ただ、その一人娘が後にフランス王アンリ2世の妃となったカトリーヌ・ド・メディシスです。
彼女は曽祖父ロレンツォ豪華王の血を引いたのか、フランス王宮を牛耳るほどの政治力を持つようになります。 -
その対面にある、ヌムール公ジュリアーノの墓。
真ん中の像がヌムール公ジュリアーノです。
ヌムール公ジュリアーノはロレンツォ豪華王の三男です。
そして左側の女性が夜の寓意で右の男性が昼の寓意。
この墓の左側の夜を表す女性像も男性的。 -
イチオシ
ヌムール公ジュリアーノの墓を左側から写しました。
ヌムール公ジュリアーノは父ロレンツォから善人と評されたように、政治的野心も政治力もなかった人物です。
さらには病気がちで体も弱かったみたいです。
この人にも正当な子供がいなかったので、二人の死後、ジュリアーノ・メディチ枢機卿(のちの教皇クレメンス7世)の支配の後、暴君アレッサンドロ(クレメンス7世の庶子と言われています)がフィレンツェの支配者となります。
塩野七生さんによると、このウルビーノ公ロレンツォとヌムール公ジュリアーノと言う凡庸な二人が後世に名を知られたのは、この墓のおかげだということです。 -
ロレンツォ豪華王とその弟ジュリアーノ・ディ・メディチの墓は未完成のままです。
真ん中の聖母子像のみミケランジェロの作品です。
1525年頃の作品です。 -
イチオシ
メディチ家礼拝堂の君主の礼拝堂の天井画です。
ピエトロ・ベンヴェヌーティの作品です。
1828年頃の作品です。 -
豪華絢爛と言っていい礼拝堂です。
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旧約聖書と新約聖書の場面が描かれています。
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これはアダムとイブの原罪の絵。
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キリストの誕生でしょうか。
19世紀の絵画で、しかもそれほど有名でない方なのであまり取り上げられていませんが、自分は結構好きでした。 -
キリストの磔刑図。
天井に開けられた穴から差し込む光と絵画の光がちょうど重なっていて、その美しさに暫く見とれていました。 -
ヴェッキオ宮の近くにあるバルジェッロ国立博物館の中庭。
かつては警察署で、この中の牢獄にサヴォナローラやマキアヴェリも収監されていました。
今では彫刻を集めた博物館になっています。
ミケランジェロのダビデ像があるアカデミア美術館に比べるとマイナーで観光客も少ないですが、ダビデ像を抜かせば全体的にはアカデミア美術館よりいい作品があると思います。 -
一階に展示してあるミケランジェロのバッカス像。
1497年頃の作品。
ミケランジェロの初期の作品です。
まだ22歳でこれだけの彫刻をものにしたわけですから、いかに天才だったかよくわかります。 -
これはミケランジェロの後期の頃の作品。
ブルータス像。
1540年頃の作品。
この頃すでにフィレンツェはメディチ家のコジモ一世の支配下に入っていました。
その中で(フィレンツェを離れていたとはいえ)僭主だったシーザーを暗殺したブルータスの彫像を作ったのですから、ミケランジェロがいかに共和制支持者だったか判ります。 -
一方ミケランジェロに終生ライバル心と嫉妬心を抱いていたバンディネッリがトスカーナ大公コジモ一世の彫像を作ったのが対照的で面白いです。
バンディネッリはミケランジェロに嫉妬心を抱くあまりにミケランジェロのカッシーネの戦いの下絵を破いてしまったと言われています。 -
そのバンディネッリが摸作したラオコーン像。
これはウフィッツィ美術館に飾られています。
塩野七生さんの「神の代理人」によれば、フランス王フランソワ一世がイタリア侵略をした時、講和会議でヴァティカンの秘宝のラオコーン像をねだったため、時の教皇レオ10世はバンディネッリに命じてこの模像を作らせたとのことです。
結局フランソワ一世はラオコーン像ではなく、レオナルド・ダ・ヴィンチを手に入れてフランスに帰りました。 -
そして、ヴェッキオ宮の前にはまるで嫌みであるかのように、ミケランジェロとバンディネッリの彫刻が並べられています。
左がミケランジェロのダビデ像。
右がバンディネッリのヘラクレスとカクスの像。 -
バンディネッリのヘラクレスとカクスの像
この像のディスられっぷりは凄いです。
ライバルであったチェッリーニは「人間なのか怪物なのか判らない。前から見るとメロンの入った袋みたいだ。(筋肉が誇張され過ぎているため)」
イギリスの近年の新聞評「イタリアルネッサンス期の腐ったリンゴ」
そこまで言わなくてもと言う気もするんですが・・・・
位置情報がありません -
バンディネッリの彫刻を「メロンの入った袋」と評したチェッリーニの作ったコジモ一世の彫像。
1546年頃の作品。
バンディネッリの同じモデルの作品と比べて、どんぐりの背比べと言う感もしないでもないんですが・・・・ -
ダニエレ・ダ・ヴォルッテラ作、ミケランジェロの彫像。
ミケランジェロと親交が深くミケランジェロの彫像を多数作りました。
でもこの人が一番有名になったのが、システィーナ礼拝堂のミケランジェロ作「最後の審判」の性器の部分に腰布を書き足したことです。
おかげで後世「ふんどし画家」の異名をもらってしまいました。 -
バルッジェロ国立博物館の2階です。
2階にはルネッサンス初期の彫刻が展示されています。 -
バルジェッロ国立博物館の2階の天井画です。
いかにもルネッサンスらしく星空が描かれています。
ヴァティカンのシスティーナ礼拝堂もミケランジェロが天井画を描く前はこんな風な星空が描かれていたようです。 -
ここで見逃せないのはドナッテロのダビデ像です。
1430年頃の作品です。
実に優雅で美しいです。 -
そしてもうひとつの必見がヴェロッキオのダビデ像。
1473年頃の作品。
このモデルはレオナルド・ダ・ヴィンチだったと言われていますが、すでにダ・ヴィンチは20歳を超えているので、こんな少年体形ではなかったような気がします。
なのでこれは伝説だと思います。 -
ヴェロッキオのダビデ像。
ドナッテロもヴェロッキオもダビデを少年として描きました。 -
イチオシ
ヴェロッキオ(手前)とドナッテロ(奥)という二つのダビデ像。
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違う角度から写しました。
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イチオシ
そしてアカデミア美術館に展示されている、ミケランジェロのダビデ像。
1504年作。
前の二つが少年なのに対して、こちらは完全に青年の像になっています。 -
ミケランジェロが共和制を称えて作った像です。
そのためかここはアメリカ人観光客が特に多いです。 -
イチオシ
いろいろな角度から写してみました。
素晴らしいとは思うのですが、とにかくここは人が大勢で大変です。 -
正直ダビデ像のための博物館と言う感じで、その他にあまり傑作はありません。(ミケランジェロの制作途中の彫刻が置いてあるくらいです)
そこに大勢の人が集まるので、一般入場では非常に時間がかかると思います。
入場するのも予約入場やフィレンツェカード所持者を最初に全部入れてから一般の入場者を入れますので、一般入場では列がなかなか進みません。
それほどの列でなくても30分くらいは待たされると言います。
こことウフィッツィ美術館だけはフィレンツェカードを持っていて本当に良かったと思いました。
せっかく高いお金を払ってフィレンツェを訪れるのですから、時は金なりだと思います。
予約入場かフィレンツェカードをお買いになることをお勧めします。 -
真横から写したダビデ像。
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後ろから見たダビデ像。
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ダビデ像はフィレンツェにいくつかありますが、これがミケランジェロのオリジナル。
そしてこのアーチの下にあると言うのが劇的な空間を作っていて、さらにダビデの美しさを引き立てているような気がします。 -
これがヴェッキオ宮の前にあるダビデ像。
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ミケランジェロ広場にあるダビデ像。
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こうして同じ構図で比べて見ると、このアカデミア美術館のダビデ像が一番美しく見えると思います。
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ダビデ像の他には、ジャン・ボローニャの「サビニの女の略奪」があります。
1580年頃の作品です。
シニョーリア広場のロッジアにも同じものが展示されています。
シニョーリア広場のほうが大理石像でこちらは石膏で出来ているそうです。
どちらもオリジナルだそうです。 -
同じくサビニの女の略奪。
ジャン・ボローニャの最高傑作と言われています。
ただジャン・ボローニャは群像を掘りたかっただけのようで、このタイトルは全部掘られてから付けられたそうです。 -
絵画も沢山展示されています。
ブロンツィーノのキリストの十字架降架。
これはヴェッキオ宮の「エレオノーラ・トレドの礼拝堂」のフレスコ画を描く前の下絵だと思います。 -
アカデミア美術館はフィレンツェ美術学校に付属する美術館です。
いかにも美術学校と言う感じの展示もされています。
この部屋の中に入ることは出来ませんでした。
映画「ムッソリーニとお茶を」でジュディ・デンチがこの部屋を覗くシーンがありました。
ただ、アカデミア美術館の魅力はなんと言ってもミケランジェロのダビデ像に尽きるような気がします。
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