2015/07/27 - 2015/08/03
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ken-kenさん
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今日は朝一でピッティ宮殿に向かいました。
ピッティ宮殿はメディチ家がトスカーナ大公となった時からの宮殿です。
フィレンツェを名実ともに支配下に置いた後に建てられた宮殿なので、昔のように外観も質素ではありません。
ルネッサンス式の豪壮な宮殿で、庭園も広大です。
宮殿の中にいくつか美術館がありますが、今回はパラティーナ美術館だけを見学しました。
昔のように芸術家を保護し養成したと言うより、金にあかして美術品を集めたと言う感じもしますが、その収集品は素晴らしいもがあります。
特にラファエロとティツィアーノは名作ぞろいと言われています。
そしてピッティ宮のそばにあるのがサンタ・フェリチタ教会。
日本語に直すと「聖幸福教会」
ここにポントルモの名作フレスコ画があります。
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ピッティ宮殿の外観です。
逆光です。
ミュンヘンのレジデンツに似ています。
と言うよりレジデンツがこの宮殿をまねたのだと思います。 -
同じく外観です。
朝一でフィレンツェカードを持っていたので、一番で入れました。
けれども、ここは入場者が少なく、通常入場でもほとんど並ばずに入れます。
フィレンツェで並ぶのは、なんと言ってもアカデミア美術館とウフィッツィ美術館でこの二つだけは予約入場かフィレンツェカードを持っていたほうがいいでしょう。(時は金なりです)
その次がドゥオーモ内部とドゥオーモのクーポラ。(ただしここはフィレンツェカードも予約も不可)
後はほとんど並ばずに入れます。 -
内部は美術館と言うより、宮殿に絵画がさりげなく展示してあるという感じです。
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こんな感じで絵画が展示されています。
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フィリッポ・リッピの聖母子が展示してある部屋です。
この部屋には傑作が沢山展示されています。 -
まずはフィリッポ・リッピの「聖母子」
1452年頃の作品です。
リッピの唯一のトンド(円形)作品だそうです。 -
リッピの作品の向かって左の壁にはルカ・シニョレリの「聖家族」が展示されています。
1490年頃の作品です。
ルカ・シニョレリと言えばオルヴィエートのドゥオーモに描いた肉体表現が素晴らしいフレスコ画が有名です。
ミケランジェロも絶賛したと言われています。 -
そして同じ場所にボティッチェリも。
「婦人像」1475年頃の作品。 -
ボッティチェリの絵をもう一枚。
「聖母子と洗礼者ヨハネ」 -
そして次の部屋にラファエロの傑作が。
左側の壁の中央にあるのがラファエロの「布張り窓の聖母」です。 -
ちょっと光が入ってしまいましたが
ラファエロ「布張り窓の聖母」
1513年頃の作品です。 -
何故かカラバッジョの「眠れるキューピッド」もここにあったような気がします。
1608年の作品。
こう言う風に展示物も年代順とかあまり考えられずに展示されているので、うっかり見逃してしまう作品もありそうです。 -
その隣には主にアンドレア・デル・サルトの作品が展示された部屋があります。
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イチオシ
絵画だけでなく部屋そのものが素晴らしいです。
もうルネッサンス様式ではなくバロック様式になっています。 -
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アンドレア・デル・サルト「聖母被昇天」
1526年頃の作品。
ラファエロの後継者と言ってもいいかもしれません。
ラファエロがローマに行ってしまった後、フィレンツェで活躍しました。 -
アンドレア・デル・サルト「聖母被昇天」
1529年頃の作品。
非常に美しいのですが、ラファエロのような個性がなく、次のマニエリスムへの橋渡しをしただけで終わってしまったような気がします。 -
この美術館で意外に良かったのがフラ・バルトロメオの作品。
「聖カテリーナの神秘の結婚」1512年頃の作品です。
フラ・バルトロメオもサヴォナローラに感化された人。
画家をやめドメニコ会に入り、サンマルコ修道院の修道士となり、暫く絵筆を捨てています。
再び絵筆を取ったのは1504年、サンマルコ修道院内の工房の責任者となってからです。
その経歴もあって宗教画ばかり描き続けましたので、ボッティチェリのように絵が荒れることはありませんでした。 -
フラ・バルトロメオ「キリストと四聖人」1516年頃の作品。
美しいだけでなく品格があります。
同じサンマルコ修道院で描き続けたフラ・アンジェリコの後継者と言う感じもします。 -
フラ・バルトロメオ「ピエタ」
1511年頃の作品です。 -
そして次の部屋にラファエロの傑作群が飾られています。
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イチオシ
ラファエロ「大公の聖母子」1504年頃の作品。
大好きな作品です。 -
先日、日本にもやってきましたね。
この気品と優しさ。
ラファエロのマドンナの中でも一番好きかもしれません。 -
2015年に撮ったこの写真に比べると、絵の回りがあっさりしています。
実は2016年にはラファエロが大量に他の美術館に貸し出ししていたみたいです。
「布張り窓のマドンナ」「アニョーロ・ドーニ夫妻の肖像」「身重の女」などが貸し出されていて、見ることが出来ませんでした。 -
その逆側にラファエロの「小椅子の聖母」が飾られています。
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ラファエロ「小椅子の聖母」1514年頃の作品。
「大公のマドンナ」に比べるともっと庶民的で可愛らしい感じがします。 -
イチオシ
ラファエロ「小椅子の聖母」のアップです。
この2作品がパラティーナ美術館の至宝と言ってもいいでしょう。 -
これらに比べるとやや見劣りがする「バルダチーノの聖母子」
1507年頃のラファエロの作品です。 -
「バルダチーノの聖母子」の飾られた部屋です。
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ラファエロ「トマソ・インギラーミの肖像」
1510年頃の作品。
トマソ・インギラーミはユリウス2世が教皇だった頃の法王庁の図書館司書だった人だそうです。
斜視に描かれている肖像画は珍しいです。 -
ラファエロ「アニョーロ・ドーニの肖像」1506年頃の作品。
アニョーロ・ドーニはフィレンツェの豪商だった人で、ミケランジェロに「トンドの聖家族」を注文した人です。
ミケランジェロにラファエロ!
凄い人ですね。
もっともミケランジェロの絵は完成時に値切ったと言う噂もあります。
そうして見るとなんか吝嗇そうな感じが・・・・ -
その奥さんの「マッダレーナ・ドーニの肖像」1506年頃の作品。
ダ・ヴィンチの「モナリザ」の影響を受けた作品と言われてます。
けれどもモデルの違いが作品の差を決定的にしています(笑)。
ラファエロとダ・ヴィンチは仲が良かったと言われています。
と言うかラファエロのことを悪く言う人はほとんどいません。
そのラファエロを「あの生意気な若造」と罵ったミケランジェロは本当に気難しい人だったんだなと思います(笑)。
(ミケランジェロは年上のダ・ヴィンチのことも嫌っていました) -
ラファエロ「エゼキエルの幻視」1518年頃の作品。
40cm×30cmと言うかなり小さな作品です。 -
ラファエロ「ビッビエンナ枢機卿の肖像」1516年頃の作品。
ビッビエンナ枢機卿はレオ10世の元家庭教師にして秘書。
レオ10世が教皇になる時のコンクラーベで活躍しました。
塩野七生さんの「神の代理人」によると、「あの人は若いが病気持ちで長くない」と言って対抗馬のリアーリオ枢機卿を騙したと言う話です。
その功績で枢機卿に任じられた人です。
騙されたと知ったリアーリオ枢機卿は後にレオ10世の暗殺未遂計画に加担してしまいます。 -
大失敗です。
ラファエロの「ヴェールの女」を写したつもりでしたが、撮っていませんでした(涙)。
代わりにラファエロの「身重の女」1505年頃の作品。 -
2016年秋に行ったときに撮ることが出来ました。
ラファエロ「ヴェールを被った女」
1516年頃の作品
モデルはラファエロがキージ・ファルネーゼ荘のフレスコ画を描いていた時に知り合った近くのパン屋の娘フォルナリーナと言われています。 -
アップです。
どうしても光が入ってしまいます。 -
同じ部屋にラファエロの師匠ペルジーノの「ピエタ」も飾られています。
1495年の作品。 -
ペルジーノの「ピエタ」(左側)とラファエロの「小椅子の聖母」(右側)が飾られています。
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ペルジーノ「聖母子と洗礼者ヨハネ」
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ブロンツィーノ「グイドバルド・デッラ・ローヴェレの肖像」
1531年頃の作品。
グイドバルドはフランチェスコ・デッラ・ローヴェレの息子。
フランチェスコはユリウス2世の甥でウルビーノ公グイドバルド・モンテフェルトロの養子になった人です。
祖父の名前を貰ったわけですね。
父が暗殺された後、ウルビーノ公になったわけですが、重税を課して親子して市民の人気はなかった模様。
後に反乱を起こされています。
祖父のグイドバルド、曽祖父のフェデリコは市民にあんなに慕われていたと言うのに・・・・ -
イチオシ
その後、ヴェネチア派の絵画が飾られています。
ジョルジョーネ「3つの時代」
1500年頃の作品。
若者、中年の男、老人の絵です。
ジョルジョーネはウィーンの美術史館にある「東方の三賢者」も同じように描いています。
「時と共に」と書かれた紙きれを持った「老女」の絵もあります。
かなり老いと言うものを意識していた人のような気がします。
ただ、幸か不幸か本人は三十そこそこでペストで夭逝してしまいました。
そのため作品数も極めて少ないです。 -
そのジョルジョーネの3倍近く生きた人が後輩のティツィアーノ。
この人、90歳まで長生きしました。
そのため莫大な数の名画を残しましたし、時期によって絵の感じも変わっています。
そのティツィアーノの若き日の作品です。
ジョルジョーネの「3つの時代」の影響を得て描かれたと思われる「コンツェルト(合奏)」
1510年頃の作品。 -
ティツィアーノ「マグダラのマリア」1532年頃の作品。
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ティツィアーノの名作「婦人像」1536年頃の作品。
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イチオシ
ティツィアーノのもう一つの名作「若き英国人」1540年頃の作品。
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ティツィアーノ「ユリウス2世の肖像」1545年頃の作品。
ラファエロの絵の模写です。
この時にはもうすでにユリウス2世もラファエロも泉下の人です。 -
ティツィアーノ「若き英国人」を中心に。
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ティツィアーノと同じヴェネチア派を代表するヴェロネーゼの「紳士像」
ティツィアーノより40歳年下ですが、亡くなったのはティツィアーノの10年後ですからほぼ同時期に活躍したと言っていいでしょう。 -
ムリーリョの「聖母子」1650年頃の作品。
スペインの画家です。
この人の聖母も本当に美しい。 -
ヴェロネーゼ、ムリーリョを中心に。
豪華な部屋に素晴らしい絵画が満遍なく飾られています。 -
グイード・レーニの「クレオパトラの死」1635年頃の作品。
ラファエロ風の古典主義の絵です。
ゲーテに「神のごとき天才」と称えられました。 -
イチオシ
部屋はどこもバロック芸術の粋を集めたような豪華さです。
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天井画も素晴らしいです。
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絢爛豪華とはまさにこのことです。
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さらに奥に進むと美術館と言うより、宮殿博物館と言う感じになります。
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玉座があって謁見の間と言う感じです。
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ピッティ宮の庭、ボーボリ庭園です。
イタリア式庭園の代表ともいえる庭園です。 -
イタリア式庭園は丘を利用して作られていますので、階段を登るたびに景色が変わります。
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もう一つ階段を登ると噴水があります。
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もう一つ階段を登りました。
フィレンツェ市街を背にしたピッティ宮です。 -
丘の上にあるのでフィレンツェ市街も美しく見えます。
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この不気味な建物がグロッタ。
ヴェッキオ宮からウフィッツィ美術館、ポンテヴェッキオの上を通るヴァザーリの回廊の出口がここだそうです。
ヴェッキオ宮で何かあった時、外を通らず回廊伝いにここに出てこれるそうです。 -
ピッティ宮殿の下にあるサンタ・フェリチタ教会。
ここの2階とヴァザーリの回廊がつながっています。
アーチの上がヴァザーリの回廊です。
サンタ・フェリチタ教会とは聖幸福教会の意味です。
この幸せ教会の中にポントルモが描いたフレスコ画に飾られた礼拝堂があります。 -
この教会にあるカッポーニ礼拝堂。
ポントルモの代表作「キリストの十字架降架」です。
1528年頃の作品です。
人嫌いで悲観主義者だったポントルモらしく、人々の表情はうつろです。
キリストの右斜め上に聖母マリア。
そして聖母マリアの右隣にポントルモも描かれています。 -
そして隣の壁には「受胎告知」の絵が描かれています。
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この聖母マリアの表情も何かうつろです。
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イチオシ
後ろに下がるとその理由が判ります。
なんと!聖母マリアは今、受胎を告知された我が子の未来を見てしまっているのです。
いずれは十字架にかけられて自分より先に死んでしまう我が子・・・そんな未来を予見しているかのようです。
ずごい!すごすぎます!
侮れません、ポントルモ! -
ところがこの写真が思ったような構図で撮れません。
何枚かパシャパシャ撮っていたら、売店から小母さんが出てきて、「あんた!写真撮り過ぎよ!撮っていいのは一枚だけ!」と怒られてしまいました(汗)。
もともとはここは写真撮影禁止だったみたいです。
政府の方針で一応は撮影許可したんでしょうけど、基本的にはあまり撮ってはいけない教会のようでした。
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