2016/10/11 - 2016/10/20
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ken-kenさん
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今回の旅行で幸運だったのは、友達がフィレンツェにいたことです。
忙しい人なのでほとんど一緒に行動できませんでしたが、大きな荷物を快く引き受けてくれました。
なので図々しく友達の家に荷物を預けて、身軽になってオルヴィエートに2泊しました。
ケーブルカーで登る中世の街です。
ここで素晴らしかったのはなんといってもトリュフ料理でした。
本当に蠱惑的香りでトリュフを食べまくり、また値段も安かったのでトリュフの瓶詰を買い込みました。
そしてドゥオーモのサン・ブリツィオ礼拝堂に描かれたルカ・シニョーレのフレスコ画!
素晴らしい街でした。
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オルヴィエートはフィレンツェからはIC急行で2時間弱で着きます。
オルヴィエートの鉄道駅です。
広場を挟んだ向かい側にフニクラーレ(ケーブルカー)の駅があります。 -
フニクラーレの駅。
オルヴィエートの旧市街は標高300mの丘の上にあります。 -
フニクラーレで旧市街に上がると、目の前に凱旋門のようなものが立っています。
追記
この門、記憶ではオルヴィエートのフニクラーレの駅そばで見たはずなのですが、グーグルマップにそれらしき建物が見当たりません・・・
あれ?記憶違いだったのだろうか・・・・ -
フニクラーレの到着時間と連動してドゥオーモ行のバスが出ています。
始めはそのバスに乗ったのですが、旧市街の中心部に行きたいのなら、目の前のメインストリートを歩いてもたいして変わりはありません。
メインストリートを暫く歩くと街の中心街とも言える共和国広場に出ます。 -
レパブリカ(共和国)広場にあるサンタ・アンドレア教会です。
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オルヴィエートの小路です。
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これもオルヴィエートの小路。
中世の街並みが残り素晴らしいのですが、シエナと同じく街がやや大きいのが玉に瑕です。 -
イタリア・トスカーナの丘陵に点在する町はどこも多かれ少なかれ中世の雰囲気を残していて、オルヴィエートだけが特別というわけでもありません。
そのため昼間の写真は少なめです。 -
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こんな風に谷に向かっている小路もあります。
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やはりオルヴィエートと言えばドゥオーモでしょう。
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ドゥオーモのファサード。
絢爛たる寺院です。 -
ドゥオーモ前にある小路からドゥオーモを写しました。
オルヴィエートは小さな街ではありますが、15世紀から教皇領であったので、こんなにも立派な教会が建てられました。 -
1527年の神聖ローマ帝国の兵隊がローマに侵入し略奪を行いました。
(サッコ・ディ・ローマと呼ばれています)
神聖ローマ帝国カール5世はバリバリのカトリックでしたが、傭兵のドイツ兵はルター派の兵士が多く、カトリックの本拠地ローマを金まみれの教皇が治めている悪魔の巣窟と信じていました。
しかも皇帝軍の指揮官だったブルボン公シャルル3世はこの戦いで戦死したので統制が取れていませんでした。
結果、教皇軍を打ち破ってローマに入ったドイツ兵たちは破壊と略奪の限りを尽くしました。
教会は破壊され、文化財は取り上げられ、市民は殺され、女は強姦されました。
この事件がきっかけでルネサンスは終了しました。
この時教皇クレメンス七世も教皇領のオルヴィエートに避難しています。 -
ファサードの天辺には、聖母戴冠のモザイクが描かれています。
このモザイクは24金の金箔をガラスに貼り付けているそうで、太陽の光を受けてキラキラ輝いています。
絶対に晴天の時に訪れる寺院でしょう。 -
ちなみにこれは曇天の時の写真です。
明らかに色が違います。 -
中に入って見ましょう。
こちらに入るには入場料がかかります。(確か5ユーロでした。)
ドゥオーモ内部。
シエナのドゥオーモやサンジミニャーノの聖参事教会のような華やかさはありません。
どちらかと言えばピサのドゥオーモに似ていると言えましょうか。
バシリカ式の建築です。 -
正面の主祭壇です。
照明がついてなく、暗かったです。 -
主祭壇のフレスコ画。
聖母マリアの生涯を主題にしたフレスコ画だそうです。
14世紀の中頃にウゴリーノ・ディ・プレーテ・イラーリオやピエトロ・ブッチョが描いたそうです。
15世紀末に一度修復されたそうですが、修復をした画家にピントゥリッキオもいたそうです。 -
そして向かって右にあるのがコルポラーレ礼拝堂です。
やはり14世紀の中頃にウゴリーノ・ディ・プレーテ・イラーリオ、ドメニコ・メオ等の手によって描かれたそうです。 -
コルポラーレ礼拝堂の正面に描かれているのはキリストの磔刑図です。
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コルポラーレ礼拝堂にはボルセーナの奇跡の聖遺物である聖体布が安置されています。
この祭壇の中に安置されているようです
ちなみにコルポラーレとは聖体布のことだそうです。 -
コルポラーレ礼拝堂の左側部分です。
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コルポラーレ礼拝堂の左側部分のフレスコ画です。
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こちらは右側部分です。
どちらのフレスコ画も鮮やかです。 -
右側部分のフレスコ画です。
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天井画です。
聖人たちが描かれています。
聖パウロ、聖ジョヴァンニ、聖アゴスティーノ、聖トマソだそうですが、誰が誰だかわかりません(笑)。 -
そして上部が光ってしまいましたが、リッポ・メンミの「慈悲の聖母」
1350年頃の作品です。 -
普通ならこの礼拝堂がメインになるくらいの美しさですが、コルポラーレ礼拝堂の対面にサン・ブリツィオ礼拝堂があります。
この礼拝堂の素晴らしさにはコルポラーレ礼拝堂も完全に霞んでしまいます。
オルヴィエートののシスティーナ礼拝堂と言ってもいいんじゃないかと思うくらいに素晴らしいフレスコ画でした。 -
始めはフラ・アンジェリコが描き始めましたが、途中で法王に呼ばれて一時中断されます。
その後50年以上経ってコルトーナの出身のルカ・シニョレッリがフレスコ画を完成させました。
彼はバチカンのシスティーナ礼拝堂の壁面のフレスコ画をボッティチェリやペルジーノなどとともに描いています。
けれども彼の代表作と言えばやはりこの礼拝堂でしょう。
美術史家のヴァザーリによれば、ミケランジェロはいつもルカ・シニョレッリを讃嘆していて、システィーナ礼拝堂の「最後の審判」を描くにあたってこの絵を参考にしたということです。
この絵もやはり「最後の審判」をテーマにしています。
ルカ・シニョレッリ作「最後の審判」
1499年から1502年に渡って描かれた作品。 -
サン・ブリツィオ礼拝堂の向かって右側部分のフレスコ画です。
右が「死者の蘇り」
左が「地獄に堕ちる人々」 -
こちら側はきれいに撮れました。
「死者の蘇り」です。
天使がラッパを吹くと、死者が墓場から蘇ります。
この人たちは死んだあとそのまま埋葬されたのでしょう。
しかし火葬して遺骨がバラバラになってしまうと蘇る肉体が無くなってしまいます。
そのため生きたままの火炙りの刑はもちろんの事、遺体であっても火で焼かれるというのは当時のキリスト教信者にとっては非常に耐えがたいことだったようです。
そしてそれがペストなどの伝染病が広がる原因にもなったのでしょうね。 -
この肉体表現がすごいです。
ミケランジェロが感嘆したのもよく判ります。 -
骸骨に肉がついて人間となります。
永い眠りから目覚めて皆さん嬉しそうですが、この後最後の審判が待っています。 -
そして「地獄に堕ちる人々」
この絵が一番の傑作と言われています。 -
上部では堕ちていく罪人を冷静に見つめる天使と、罪人を地獄に落とす悪魔が描かれています。
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そして真ん中で悪魔に背負われている女のモデルはルカ・シニョレッリの愛人だったと言われています。
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天井画です。
真ん中、円形の中で最後の審判を行っているキリストと、その右側の聖人たちの絵はフラ・アンジェリコの作品です。
1447年頃の作品。
フラ・アンジェリコは描いている途中でローマ教皇に呼ばれ、この礼拝堂の絵を中断してローマに行ってしまったそうです。
(多分その時に教皇に頼まれて描いたのがニッコリーナ礼拝堂だと思います。) -
正面部分です。
上部真ん中に描かれているのがフラ・アンジェリコ作の「最後の審判をするキリスト」
1447年頃の作品です。
フラ・アンジェリコが描きかけのままローマに行った後、この礼拝堂は50年以上もそのままになっていました。
そして1499年にルカ・シニョレッリが後を引き継いだのです。
右側が地獄部分、左側が天国部分です。 -
右側に地獄に落とされる人々の絵が描かれています。
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そして左側には天使に導かれて天上に昇る人々が描かれています。
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こちらが向かって左側部分です。
なぜかこちらの絵はアップにしようとするとピンボケになってしまいました。
光の加減でしょうか?
右が「天国行きが決まった人々」
左が「偽預言者」 -
ピンボケです。
「天国行が決まった人々」
天使が祝福して何かを振りまいています。 -
そしてやはりピンボケになってしまったのですが「偽預言者」
真ん中(この絵では中央やや右)でキリストに似た人がいますが、これが偽預言者です。
悪魔が後ろで何かをささやいています。 -
ややアップです。
このくらいならなんとかなるのですが・・・・・ -
向かって左側部分と入り口の上に描かれたフレスコ画。
右が「偽預言者」
左は「アポカリプス(ヨハネ黙示録)」
絵の中央、首を絞めている男たちの左隣にいる黒いマントを纏った二人の男。
右がフラ・アンジェリコで左がルカ・シニョレッリです。
シニョレッリはアンジェリコのことを多分知らないでしょうから、想像図か、なにかの絵の自画像をもとにしているのでしょう。
ただアンジェリコは画家である前に修道士だった人物。
神のことを賛美するために画家になったので、自画像なんかまず描くわけないと思います。
なのでこれは想像図ではないでしょうか? -
入り口の上に描かれた「アポカリプス」
まるで飛び出すようです。
この人たちがなぜこんなに逃げ回っているかというと・・・・ -
上で悪魔が光線を発射しているからです。
この辺なんて、少年ジャンプの世界みたいです(笑)。 -
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そして「死者の蘇り」に戻ります。
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飛び出すと言えば、柱にもこんな飛び出す絵が描かれています。
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そして下部には「キリストの哀悼」の絵が。
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本当に素晴らしかったです。
とにかく必見の礼拝堂ですね。
あまりの興奮でサッコ・ディ・ローマの時にクレメンス七世が掘らせたサン・パトリッツィオの井戸のことをすっかり忘れてしまいました(笑)。
オルヴィエートを離れた後で気付き後の祭りとなりました。 -
そしてオルヴィエートで忘れてならないのがトリュフです。
オルヴィエートがあるウンブリア州はトリュフの一大産地。
トリュフ料理を出すレストランがいろいろありますが、日本人の間で有名なのが、このトラットリア・パロンバです。 -
レパブリカ広場の左側の建物の門をくぐって左側にあるレストランです。
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前菜はトリュフのブルスケッタを注文しました。
これで7ユーロとめちゃ安い値段です。
オリーブオイルがかかったトーストが運ばれ、その上にふんだんにトリュフをかけてくれます。
あまりの芳香に目眩がしそうです。 -
そしてプリモピアットはカルボナーラのスパゲッティのトリュフがけです。
こちらは12ユーロ。
さすがは本場!
フィレンツェで食べたトリュフのスパゲッティは20ユーロしました。
カルボナーラのトリュフがけってこの店以外はあまり出しません。
が、トリュフと卵の相性は抜群です。
何故広まらないのか不思議です。
これも目の前でトリュフをかけてくれます。
あまりの美味しさに涙が出そうです。 -
こちらは二日目に頂いたトリュフのウンブッケリ。
ウンブッケリはこの地方独特の腰のある太麺パスタです。
こちらも12ユーロ。
が、前日のカルボナーラのほうが香りが立っていたような気がします。 -
ステーキのトリュフソース。
これで15ユーロです。
すべてのトリュフ料理は目の前でトリュフを削ってかけてくれます。
ただ個人的にはセコンドはトリュフではなく、普通の料理でもいいかなという気がいたしました。 -
そして二日目のセコンドに選んだのが、トリュフのオムレツ。
12ユーロです。
卵とトリュフだから絶対に合うはずと思っていただいたのですが、オムレツに火が通り過ぎて想像していたよりは香りが立ちませんでした。 -
デザートの桃のシロップ煮込みとアイスクリームのチョコレートソースがけ。
4.5ユーロです。
世界的に有名な店のようでアメリカ人グループも来ていました。
が、誰一人としてトリュフ料理を注文しません。
(一人カルボナーラのトリュフがけを注文した人がいましたが、チーズが嫌いだからチーズ抜き作って、と言い、出来たスパゲッティに店の人がトリュフをかけようとすると、「いらない!」と遮るのです!
なら普通のカルボナーラを注文すればいいのに・・・・)
だったら、こんな店来ないでくれれば、もっと予約が取りやすくなるのにと思ってしまいました。(アメリカ人らしくすごく気のいい人達でしたが・・・・) -
グラスの赤ワインを二杯飲んで、いい心持ちで夜のオルヴィエートの街を散策します。
夜のリパブリカ広場。 -
やはりリパブリカ広場の教会。
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昼間は観光客でいっぱいの目抜き通りも夜になると静かになります。
こうして子供が遊んでいるくらいですから、女性の一人歩きでも安心だと思います。 -
中世の街はどこの街も昼間より夜のほうが趣があって美しいですね。
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ドゥオーモは夜になると照明に照らされて漆黒の闇の中に浮かびます。
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小路から見たドゥオーモ。
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ファサードのアップです。
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ファサードのモザイクも昼間とは違ったきらめきが。
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こんな小路に迷いこんでみたくなります。
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ただただ美しい・・・・言葉はいりません。
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闇が街を覆い、現代的なものすべてを隠してしまうような気がします。
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やはり、中世の街では夜と早朝を体験するために泊まったほうがいいと思います。
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そして朝も幻想的な美しさです。。
朝霧が街の下に立ち込めます。 -
はるか向こうの丘の教会が雲の上に浮いているように見えます。
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朝霧に浮かぶオルヴィエートの街です。
これはこの時期特有のものかもしれませんね。 -
街から朝霧を見下ろしました。
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本当に幻想的な美しさです。
オルヴィエートに泊まってよかったなと思った瞬間でした。
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