奥の細道を訪ねて第11回13芭蕉の最上川下りの上陸地・清川関所（船番所）跡

2012/08/29 - 2012/08/29

最上川リバーポートのやや下流、立会沢川が最上川と合流する地点を過ぎたところに清川河岸はあり、芭蕉達は此処で舟を降りる。

此処が出羽三山参詣の表玄関（登山口）であった。

案内の先生の説明で、清川が江戸時代の末期、草莽（武家でない）の出ながら、坂本竜馬等に先駆けて、尊王攘夷を旗印に倒幕を画策し、終には麻布一の橋で凶刀に倒れた清河八郎の故郷だと知る。

鶴岡出身の藤沢周平は、小説「回転の門」で、その清河八郎の生涯を描く。

清河八郎は、最上川の土手下に広がる五百石を越える田地を持ち、荘内最大の酒造家であった、清川村の素封家・斉藤家の長男で、幼少名は元司。

その小説の冒頭部分で、清川の風景を藤沢周平は次のように記す。

「羽州田川郡清川村。そう呼ばれる最上川べりのこの土地は、十四万石酒井家が支配する庄内藩の咽喉部にあたっていた。
江戸あるいは仙台、羽州内陸諸藩と庄内領をつなぎ、もっとも多く人と物資が通過する場所で、藩はここに関所を置いていた。
・・・・・
咽喉部という形容は、地形の上からもそう言えた。

置場、村山の平野を北上する最上川は、新庄領に至って、急に向きを西に変えて、羽州を二つに分ける山脈を横断する。

左右は切りたつ断崖が続き、川は底深く、波は荒れる。

清川村は最上川が断崖の間をくぐりぬけ、漸く緩やかな水勢をとりもどす場所にあった。」

芭蕉達は本合海で紹介状を手に入れており、これを船番所に提出し無事上陸を果たす。

しかしながら今の清川河岸は、当時を偲ばせる遺構は何も無い。

「芭蕉上陸之地」と記されて石柱の脇に芭蕉像と句碑があるだけである。

　　　五月雨を　集めて早し最上川　　芭蕉　　

芭蕉像の後ろは、関所跡に建てられた、清川小学校だが、この校舎も今や廃校となっている由。

エリア 羽黒・余目(山形)

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 観光バス 新幹線 JRローカル
• 旅行の手配内容: ツアー（添乗員同行あり）