ベトナム旅行記 5-2 雨と闇のメコン川ナイトクルーズ

2010/08/06 - 2010/08/13

2009年、旅本にハマり、初の海外一人旅。
三泊四日のバンコク旅行で旅の面白さを知った。
そして2010年夏休み、2回目の海外一人旅・・・
ベトナム一週間旅行！

それまで国内でもホテルは予約しておいてから旅行し、
一週間続けての一人旅も経験が無かったが、
このベトナム旅行では予めホテルも取らず、
自分で現地で探して、自由に行動する旅にした。

そんな旅がしてみたかったから。
旅本のような旅がしてみたかったから
自分には一体どんな旅ができるんだろうと思ったから。

エリア カントー(ベトナム)

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 高速・路線バス 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

シントーを飲んだ後、
川沿いで雨が止むのを待っていた。
ボートに乗ろうと思っていたのだ。
カントーでボート乗るなら今日が最後だ。

カントーのボートクルーズは水上市場だけではない。
夕方は美しいサンセット、夜はホタルが見られるのだ。

最初カントーのホテルに着いた時、
ホテルオヤジも強く勧めてきた。
ホタルはともかく、サンセットは見たい。
メコンでサンセットなんてイイ感じではないか。

だが、雨は止んでくれなかった・・・
ぶらぶら歩きながらどうしようか考えていたら、
出店に座ってたおばちゃんと目が合った。

おば　「金くれ」
えの　「なんでだよ！」
おば　「ならボート乗ってけ」
えの　「なんじゃそら！」
おば　「サンセット、ホタル、GOOD」
えの　「こんな雨でサンセットもホタルもねえだろ！」

あまりの無茶苦茶に笑ってしまった。
おばちゃんはGOODGOODと言ってるし、こっちも暇なので
誘いに乗ってボートに乗ってみることにした。
もしかしたら、突然パーッと晴れるかもしれないし。

17時15分、灰色の曇り空、シトシト雨の振る中、
カントーで3度目のメコンクルーズに出発。
ボートを漕ぐのは金くれおばちゃんとは別のおばちゃん。

果たしてサンセットは見られるのだろうか。

だが、雨は止む気配すら見せない・・・
間違いなくサンセットもホタルもないだろう。
今は雨がシトシトだからいいが、
スコールなんて来たら最悪だ。

おばちゃんは無言でただボートを進ませる。
ああ、なんで俺はボート乗ったんだろう・・・
後悔が頭の中で渦巻いた。

ボートは雨のメコン川をどんどん進んでいった。

だんだん空が暗くなってきた・・・ということは、
サンセットが今まさに起きているわけだが、
空一面覆った雨雲のせいで見えない・・・
最初から分かっていたことだが残念だ・・・

ぞんざいに取り付けられたビニールの屋根の前や横から
ぽつぽつと雨に攻められる。
まあそれは傘を指さないベトナムだし気にならないが、
舟が大きく傾いた時、ビニールの屋根に溜まった雨が
サイドからどしゃーっと中に入ってくるのは参った。

気分の盛り上がらないメコンクルーズだが、
木々の生い茂る小道に入り、
さらに空が暗くなってきた頃、
それまで沈んでいた気分が突然一変した。

この暗さ・・・雨のメコン川、しかも夜・・・
恐怖感や孤独感とは全然違う心地良い感覚・・・

この闇は凄い・・・
光は邪魔だ・・・
暗く、もっと暗く・・・もっと闇を・・・

要所要所に道を示す電球のような灯りがあるため、
完全な闇は得られなかったが、
座ってただただ闇を求めた。

こんなに闇が心地良いとは・・・
雨が降っていたのも心地良さを増した一因かもしれない。
俺、雨の音や雰囲気って好きだから。

メコンでサンセットやホタル、
水上市場を見に行く人はいても、
闇を楽しむ目的でボートに乗る人はいないだろう。
雨の夜のメコンクルーズ、是非オススメしたい。

以前、闇ナイトというイベントのレポートをした時、
ナイトピクニックを楽しむ人達の話が出てきたが、
「ああ、これなんだ」とその人達の気持ちが
分かった気がした。

雨と闇のメコンを進んでいくと、
遠くに何やら小さな青白い光の連なりらしきものが見えた。

あれは一体なんだ？
街灯か？
橋の灯りか？

橋か？
橋だとしたらカントー橋なのか？

カントー橋は船着場からも遠めに見えたくらい大きな橋。
でも、今自分がどこにいるのか、全然分からない。
闇のせいで遠近感や距離感もつかめないのだ。

本当に橋か？

橋は川に対して垂直にあるものだが、
橋と川が並行に見える・・・
道路沿いの街灯だろうか・・・

光の端がさらに伸び、光の連なりに対して
舟が垂直に向かうようになった時、
これは橋だと確信した。

間違いなくカントー橋だ！
こんな巨大な橋はカントー橋しかない！

光の連なりがさらに広がる・・・
もうこうなったら道路沿いの街灯はありえない。

闇の部分が川なのか街なのかが
はっきりしなかったところがトリックだ。

お、おお・・・
光が水面に反射した様子が幻想的・・・

なんて光景だ・・・

橋直前。
なんという夜の橋の美しさ・・・

近くで見てみたいなあと思っていたカントー橋に
まさか夜に来ようとは・・・
ホタルコースの順路に入ってたんだなあ。

色とりどりな街の灯り・・・
ああ、帰ってきてしまったのか・・・

約2時間、闇のメコンクルーズ終了・・・
最初はなんで舟乗ったんだろうなんて思ってたけど、
こんなに楽しんでしまうとは思わなかった。

船着場に着いておばちゃんに2時間分、10ドル払った。
おばちゃんにも感謝だ。
モーさんの時と違い、何もしゃべらなかったが、
そのおかげで闇が存分に楽しめたのだから。

ガイドブックにもツアーにもない闇のメコンクルーズ、
雨が降ってると雰囲気なお良し。
闇と光の幻想的な世界、楽しみました。

ナイトクルーズ後、夜8時過ぎ、晩飯へ。
ぶらぶら散歩してた時から目をつけていた
バインクォンの店に行った。

バインクォンは蒸し春巻きのこと。
生春巻きも美味いが、
蒸し春巻きも食べてみたいと思ってた。

店に入るとめっちゃ視線が集まった。
まあ外国人が来るような店には見えないが
なんかやりにくいなあ・・・
とりあえずメニュー貰おうか・・・

と思ったら、いきなりバインクォン持ってきた！

え、メニューないの？
ブン・ボー・フエ(フエ名物の辛い麺)とか
表の看板に書いてあったじゃん・・・

ま、まあイイか・・・
元々バインクォン食べるつもりだったし・・・

う〜ん、あんまり美味しくない・・・
中の具が少なくて、ライスペーパーだけ食べてる感じ・・・

つけダレもあまり好きではないヌクチャムだし・・・
魚肉ソーセージみたいなのも美味くない・・・
マズくはないんだけど美味くもないんだよなあ・・・

期待してただけに失敗したかなと思っていると、
店にいる人が皆じっと俺が食ってるのを見ている。
その視線は「美味いか？」って言っているように見えた。

こうなったらもうウマイマズイの問題ではない。
「ん〜、GOOD！GOOD！」
と言ってバクバク食ったら、
そうだろうそうだろうと言うように
店のじいさんが頷いて店の雰囲気が和んだ。

まあ、イイか。

店を出た後、カフェで日記を書きながら一休み。

雨で延泊したカントーでの一日。
適当にぶらぶらしながら過ごしたが、
なんかゆる〜い感じのイイ一日だった。

短期旅行で精力的に行動するんじゃなくて、
一箇所でのんびり過ごす旅って
こんな感じなのかなあと思った。
たった一日長く居ただけなんだけどね。

さ、明日こそヴィンロンだ！

(ベトナム旅行　5日目終了)