2001/12/12 - 2001/12/15
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旅人のくまさんさん
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<2001年12月15日(土)>
昨晩の呉さんからの電話で、今日の午前中はたっぷりと市内見物に当てました。早起きをして、早々に朝食を済ませて出発の準備をしました。午前中にチェックアウトを済ませなければならないので、一度、昼前にホテルに戻り、フロントに荷物を預けて、もう一度出かける計画にしました。
<228和平公園>
最初はホテルを南に下って、歩いて228平和公園に向かいました。台湾大学医学部も近いところにあります。
この公園は1947年2月28日に起きた暴動にちなんだ公園であると、 ガイドブックに載っていました。台湾の原住民と大陸からの移住者との間の軋轢だったようです。
公園内にはいくつもの東屋があり、それぞれの中央部分に胸像が建立されていました。名前や碑文を読む時間はありませんでした。228暴動に結んだ重要な人達でしょう。和平公園の名前から類推すると、和解に貢献した人達かも知れません。
都心部の公園は、緑が多く、ビンロウジュや椰子のような亜熱帯の植物を多く見かけました。朝早い時間でしたが、写生をする子供達や、ジョギングの人、太極拳の人等、様々な姿が見られました。
公園内には、和平鐘や野外コンサート会場なども整備されていて、市民の憩いの場であるようでした。この辺を、ガイドブックでは『日本でいえば東京の日比谷公園に当たる』と解説されていました。
<総統府>
赤レンガが使われた建物は、見覚えがあるものでした。なぜなら、東京駅と同じ設計家の手になる歴史的な建造物であるためです。歴史的には、日本帝国主義時代の台湾総督府として、台湾を支配下に置いた暗い歴史を持っています。
同じ時代の朝鮮総督府はソウルにあり、国立博物院の建物として長く使われていましたが、こちらの方は、既に取り壊しが済んでいます。国立博物院時代や、取り壊し作業中、更地になった後も見学した事がありますので、想い出のある風景でした。
台湾にあるこちらの建物は、今も総統府として使われています。台湾総督府時代の暗い次代があったにも拘らず、今も国の一番大切な建物として使われてることに、韓国での運命と比較しながら、複雑な思いがしました。
<植物園>
総統府を更に南に下って、今度は植物園を見学する事にしました。地下鉄駅では小南門駅が近いが、総統府からは歩いてそんなに時間は掛かりません。しかし、広い通りを渡る時は、いつも車にヒヤヒヤさせられます。
植物園の正式名称は、「台湾省農林試験場付属植物園」と呼ぶらしく、北側の出入口にはそのように記した看板が懸かっていました。ガイドブックによれば、『熱帯、亜熱帯の植物1500種が栽培されている』とありました。
温室もありましたが、まだ開館前の時間でした。それとなく覗いてみましたが、余り大きな規模ではありませんでした。運がよければ、台湾原産の蘭にお目にかかれるかと思いましたが、叶わない夢でした。
園内は改造工事中で、少しホコリぽかった。ブルドーザが入って、水路工事などや歩道整備を行っているためでした。地植えのビンロウジュや椰子、ブーゲンビリアなどを見学できましたので、台湾風土の一端を味わう事ができ、これでよしとしました。
この見学を終えた後、チェックアウトのためホテルに一旦もどる事としました。今度は徒歩でなく、地下鉄を利用しました。何かの事情で、地下鉄路線が一部閉鎖になっているようでした。乗換えで戸惑い、少し時間がかかりました。
<中正紀念堂>
チェックアウトを済ませ、荷物を預けた後で、もう一度出かけました。今度は昼食も済ませて、呉さんとの約束の13時半に間に合うように戻るスケジュールです。最初は中正紀念堂です。1回目は車で案内してもらいましたが、今度は地下鉄です。
衛兵交替の時に呉さんに案内して貰いましたが、今度は違う門から入って見学する事にしました。しかし、駅から最寄りの
『正門から紀念堂までは2kmはありますよ』
と、その時呉さんから聞いていましたので、遠くから眺めるだけにしました。障害物が無い、開けた場所なので、思ったより遠い距離があり、正直驚きました。正門の正式の名前は『中正至正門』と呼ぶようです。
<南門市場>
中正記念堂駅の直ぐ近くに『南門市場』が地図にありましたので、覗いてみることにしました。広い通りをもう一度渡るのは怖かったので、もう一度地下に潜って、東南方面の出口から市場へ向かいました。
市場は4、5階建てのビルになっていて、1階と地下1階が市場らしい食品売り場になっていました。2階も覗いてみましたが、服飾店は昼間の時間は閑散としていました。
食品は、ものすご数でした。野菜、肉、鳥、魚、ナッツ、フルーツ等、あらゆる品が色とりどりに山盛りにされていました。午前中の時間なので、人出は余り多くなく、、売り手の方が多いくらいでしたが、市場特有の活気に溢れていました。
地下の店では生きたニワトリも売っていて、柵の前の溝には、穀物が与えられていました。
<帰国>
昼食はホテル近くまで戻って、2日間昼食を摂った店の近くにしました。今度は餃子専門店です。二人前を頼んだら、皿一杯になりました。同時に麺類を頼まなかったのは、大正解でした。
スープは大鍋からセルフサービスでとることになっていました。若布と卵が入ったさっぱり味の中華風でした。味を濃くしたかったら、用意されていた塩、胡椒等のスパイス等を自分で追加すればよいシステムでした。値段は安く、メニューに書いてあるとおりでした。
呉さんとの約束の10分ほど前にホテルに戻りましたら、丁度、呉さんが着いたところでした。フロントに預けた荷物を引き取って、迎えのマイクロバスに乗せて貰いました。
途中、もう1つのホテルに寄って男性二人組みを乗せて、中正国際空港へ向かいました。言葉の訛りで、九州からの観光客であることが知れました。
中山国際飛行場へ向かう途中で
長き夏終て短き冬近し
尾花は揺し蒼き野原に
常緑の島に冷き風吹きて
カラーマスクの若きライダー
中山国際飛行場で
見送りの呉さん旅人に感謝せり
共に平和を祈りて別る
大型機着けども降る客寂し
テロの影響有しと思う
搭乗の時待つ内に傾きぬ
カーテン越に顔を染たり
帰国途中の機内で
雲海の彼方に少し凹凸の
見ゆるは中国大陸ならん
空低き処は茜に染りつつ
高き空には群青残る
海燃ゆる炎の如く夕焼て
西の空見て一日終りぬ
白ワイン去年(こぞ)の生れの辛口を
機内で飲み干す小さきボトル
締括る赤きワインの軽口の
ソービニオンに少し酔いたり
弓なりに街の明りの褶曲す
鹿児島湾を機長告げたり
<おわりに>
短い旅でしたが、時間を惜しんで飛び回り、21年振りの台湾旅行を存分に楽しみました。
殊に故宮博物院の文物は見応えがありました。案内して頂いた現地ガイドの呉さんが、NHK番組のスタッフに付き添って70万点近くの写真操影に立ち会われた方だったのも幸いしました。分りやすく、ポイントをつかんだ説明に、自分では気づかなかった点を教えて貰いました。
旅行中、メモは俳句の走り書き程度ですが、本文へは日本へ戻ってからその素材を使って、短歌に置き換えました。
その走り書きの俳句をいくつか記して、この旅行記の締めくくりとします。旅の途中でお世話になった皆様方、本当にありがとうござました。 謝謝 再見
吾酔て他人も酔たり冬始め
異国語の心地よき也酔始め
道通る人振向きぬ鍋の宴 (本文完)
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旅行最後の日です。夕方の便ですから、早めに起きて市内散策に出かけました。泊まった台北ヒルトン近くのビル光景です。
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時間は十分にありますので、今日もMRTの1日フリーチケットを買い求めての移動です。台北ヒルトンホテル近くの三越デパート前には、朝早くから行列が出来ていました。
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三越の開店待ちの行列のようでした。特売品目当てでしょうから、女性の方が多いようです。日本と同じのようです。
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地図で調べましたら、台北駅、泊ったヒルトンホテルからは近い距離に国父史蹟記念館がありました。歩いて訪れました。
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孫文の功績をたたえた国父史蹟記念館の平面図です。逸仙公園になっています。良く知られた中山のほか、逸仙も号です。
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漢文で認(したため)られた中国の国父、孫文の顕彰碑文です。今でも中国本土でも敬愛されています。
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おそらく孫文が住んでいた頃のままの面影を残している玄関先でしょう。履物を脱いで見学が出来るようでした。
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たっぷりと水を湛えた泉水が庭の中央に配されていました。都心部ですが、この場所だけには別の時間が流れているようでした。
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蒋中正の銘が入った中華民国建国の発祥地の石碑です。中正は蒋介石総統の号。建国60年記念に建てられたものです。
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庭園で咲いていた花のアップです。都会の中心街に近い場所とは思えない静けさでした。
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ピンクの花を咲かせているのは、沈丁花に良く似た花でした。香りは余りしなかった記憶です。沈丁花の仲間の花のようです。
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離れと母屋を結ぶ、結構長い廊下です。床は石畳なので、土足のまま、渡ることができました。
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東京駅とイメージがそっくりな、旧台湾総督府の赤レンガ造りです。壊された旧朝鮮総督府とは違った運命になりました。
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こちらは総統府の東北側からの写真です。韓国の旧朝鮮総督府の建物は、国立博物館に使われたあと、現在では完全に壊されてしまいました。歴史観の違いか国民性の違いかは解りません。
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総統府として使われていますので、警備は相当に厳しいようです。植え込みの間にも棘の無い鉄条網があります。
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総督府前の広場には、何かの記念行事の飾りがありました。上空には、いかめしい建物には似合わないようなアドバルーンも上げられていました。総督府の南東側からの写真です。
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228和平公園の入口です。台北駅近くのホテルから南に歩いてここにたどり着きました。東京の日比谷公園に例えられる、都心部の憩いの場所です。
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228公園の案内看板です。228とは、中国本土人と台湾人との間で起きた、1947年2月28日の事件を意味します。
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公園内には、椰子やビンロウ樹の大木が天に向かって伸びていました。この日は、好天にも恵まれました。
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東屋の中央には胸像が飾られていて、その台座部には、略歴・功績などが刻まれていました。
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噴水の中央に三層の塔屋がありました。小さな東屋が点在する中で、最も大きい建物でした。
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小さな東屋には、それぞれに建国の英雄などの胸像が飾ってありました。朝早い時間から、写生に取組む子供さん達がいました。
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作品名までは確認しませんでしたが、現代彫刻のモニュメントのようです。
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民族和解のシンボルの公園内には、野外コンサート会場がありました。この施設はその中央ステージのようです。
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公園内にはいろいろの施設があり、朝早い時間から幅広い年代の方が、それぞれに憩っていました。これはその施設案内の標識です。
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公園の南に位置する『和平の鐘』です。鐘楼の中ではなく、現代アートのような鉄骨で吊るされているのが面白いところです。
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『和平鐘』の縁起を記した石碑です。国際獅子会中華民国総会メンバーの後に、1998年6月に建立されたとあります。
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公園の一番南側にあった噴水付きの小庭園です。小さいながら、石組みが中々で、雰囲気のある一角でした。
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植物園の地下鉄最寄駅である小南門駅です。旧台湾総督府、現在の総督府から南に少し下った位置になります。歩いて行ける距離です。
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試験場付属植物園の入り口看板です。植物園の一番北側になります。
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植物園の平面図です。植物園内には、水色で記された大きいため池と水路が配されています。散歩道も縦横に走っています。
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公園内の通路では、南国を思わせるヤシ類の大樹が道の両側に立ち並んでいました。
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ばっさりと枝を切られ、真っ白な断面をみせていたのはゴムの木です。樹液を取る器が設置されていなかったので、単に邪魔な枝が払われただけのようでした。
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芭蕉のような大ぶりの葉の間から顔を覗かせた白い花房です。トロピカルムードたっぷりの花です。
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