2024/12/26 - 2025/01/04
195位(同エリア218件中)
RiEさん
旅行7日目(1月1日)。
2025年元旦の朝は雲1つ無い晴天のキリッとした寒さで始まった。
タイムズのカーシェアリングを利用して出水まで足を延ばす道中、たまに対向車とすれ違う程度で静かな田舎道をひたすら進み、1時間45分かけて鹿児島県西側の北に到着した。
最初に訪れたのは国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている出水麓地区に建つ”出水麓歴史館“。出水麓に関する歴史資料の展示やジオラマ模型などで、肥後藩との境にあるため薩摩藩の防衛上、特に重要な拠点の1つだった出水麓について知ることが出来た。
周囲は約46ha・東京ドーム9個分の広さを誇る薩摩藩最大の外城だった“出水麓武家屋敷群“が広がっており、碁盤の目のような町割や川石を積み上げた石垣や緑の生け垣は、400年前からほとんど変わらずに当時の面影を残している。現存する約150戸の武家屋敷は現在も住居として使われているため、出水麓歴史館に隣接する公園を挟んだ向かいに建つ“竹添邸“と“税所邸“が公開武家屋敷として、出水麓歴史館との共通チケット(1年間有効)で見学可能だった。
カーシェアリングは6時間を超えるとレンタカーよりもコスパが悪くなるのでゆっくり滞在できなかったけど、最後に一刀彫りでは日本一の大きさで台座まで含めると高さ4.15mの“八坂神社 日本一のお地蔵様”を訪ねてから鹿児島に戻った。
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- レンタカー 徒歩
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10:00から予約していたタイムズのカーシェアリングを利用して、今日は出水へ。
朝は昨日より寒かったけど移動している間に日差しが和らぎ、昼の出水は最高気温14℃まで上昇したのでポカポカだった。
11:25に元旦なので開いている店もほぼ期待できないので、出水に入ってすぐ夫が見つけた元旦も営業しているというスーパーよしだ(元旦は予約品のおせちやオードブルを取りに来る客のために営業してて、2日と3日が休業だった)で昼食を調達した。 -
12:00過ぎに“出水麓武家屋敷群”に到着。
薩摩藩内には外城と呼ばれる地方支配の拠点が約100か所存在したと言われており、その中でも熊本の肥後国との境に近いため防衛上重要な場所だった出水麓の外城。
薩摩藩内で最初に築かれて規模も最大だった出水武家屋敷群は、約46ha=東京ドーム9個分とも言われている。 -
最初に訪れたのは公園に隣接する2017年にオープンした“出水麓歴史館“。
出水麓歴史館 美術館・博物館
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受付で出水麓歴史館・竹添邸・税所邸の3施設共通入館料大人1人:510円を購入。
この缶バッジが出水市歴史文化施設共通入館証となり、同年の12月末日まで何度でも入場可能。 -
缶バッジを見せて有料ゾーンを見学する。
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入館するとすぐにジオラマと年表が展示されていて、出水麓武家屋敷群の歴史を知ることが出来る。
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広さはないけど新しい施設なので明るくて見やすい展示がされていた。
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鎧・兜などの武具も。
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公園と一体化するように建っているのは1869年10月に戊辰の役従軍戦死者12名を祭神として創建された神社で、以降大東亜戦争までの従軍殉国の士の英霊を合祀しており、後に“出水市護國神社“と改称した。
戦没者2058柱の命(出水出身)が御祭神になっている。 -
狛犬さえ見当たらない小さな神社は、黄色く染まった銀杏の絨毯が日差しを浴びて輝いていた。
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“出水御仮屋門”は現在、出水小学校の正門になっているけど、かつて江戸時代では藩主のもと地方巡狩の宿泊所などだった。
島津家第17代目当主:島津義弘が出水で隠居しようと、帖佐から門をこの地に移したとものの、移住は実現ししないまま門が取り残されたと伝わっている。出水御仮屋門 名所・史跡
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公園を突っ切って堅馬場通りへ。
現存する武家屋敷は復元したものだけど碁盤の目のような町割や、川石を積み上げた石垣や生け垣などは、400年前からほぼそのままの姿で当時の面影を残している。出水麓武家屋敷群 名所・史跡
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<武家門>
公開武家屋敷の“竹添邸“は上級武士の屋敷で、元は肥後人吉にあった球磨城主:相良氏の一族で、相良氏と島津氏の戦いが和睦となり、島津氏に仕えるため大口に移住した。
1637年に米ノ津を経て江戸初期に出水麓に移住して以来、代々出水郷の要職を務めた家柄。公開武家屋敷「竹添邸」 名所・史跡
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<中門>
武家門をくぐってすぐ右側にある中門に入ってみる。 -
<氏神>
正面には小さな祠があり氏神が祀られていた。
竹添邸の建物は幕末から明治期に建て替えられたそうで、現在は瓦屋根となっているけど江戸時代の武家屋敷は茅葺の屋根だった。 -
出水麓で唯一、座敷・次の間・玄関の間が鍵型に折れる配置でつくられた武家屋敷で、庭から覗くと部屋が続いているのがよく分かる。
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竹添邸は出水市が買い取って改修し、庭の馬小屋・風呂・蔵などはこの時再現されて1996年から一般公開されている。
武家門から真っすぐ伸びる踏み石を渡って玄関へ。 -
玄関は正面ではなく右に90度回転した位置にあり簡素な印象。
案内もしてもらえるけど先客が質問していたので、私たちは見学順路に従って反時計回りに見学することに。 -
<広間>
靴を脱いで最初に入る部屋が炉裏のある広間で、その名の通りゆったりしていて当主はここで食事をていた。 -
<仏間>
仏間と書いてあるけど仏壇がなく、天井付近に神棚がある小さな部屋。
鹿児島でも明治初期に廃仏毀釈があり、仏壇を撤去して神棚を作ったと推測される。 -
<次之間>
付き人が待機する部屋で、中庭から見えたのはこの部屋。 -
<座敷>
壁にはベンガラが塗られていて特別感があり、他の部屋とは少し違う印象。 -
<納戸>
長持ちが置いてあるだけの小部屋。 -
<機織りの間>
障子がある部屋なので光が差しむけど、部屋の半分くらいを陣取る機織り機。 -
<奥納戸>
横に長い奥納戸はなかえのすぐ後ろにある横長の部屋で、左右を広間と次之間に面しているから3方向から入室できた。 -
<なかえ>
食器棚の役割を果たす棚が置かれている。 -
<次之間>と<奥座敷>
なかえの先は武家門から見て1番遠い部屋にあたり、年長者や御隠居の部屋として使われていた。
現在は管理人室になっていたので入口から覗くだけにした。 -
<板の間>
なかえから玄関方向にある部屋は板張りになっていて今はジオラマ模型などが展示されているけど、元々ここは土間だったそうで農作業などが行われていた。 -
<土間>
竹添邸が公開されたとき再現された台所。
板張りされて本来より面積が少ないため、かなり狭い。 -
<風呂>
靴を履いて外に出ると、玄関の向かいにには修復して再現された風呂場がある。
薪を焚くための通風孔が設けられていて、扉があるこちら側は床板が張ってあるので建物の反対側へ。 -
中に入ってみると、周囲を大きな平たい石に囲まれたミニマムな浴槽が隅に置かれていた。
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<納屋>と<馬屋>
左側に見えるこの2つの屋根は繋がっている。
風呂側手前には見切れてしまっているけど、木の棒で束ねられた横木をひたすら打ち込む鍛錬のための道具:示現流鍛錬用横木が置かれていた。
これは一撃で相手の受けた太刀ごとたたき切るという薩摩独特流派の剣法で、いつ攻められても応戦できるよう日頃から備えていたのがよく分かる。 -
裏手に周るとグレーの毛色をした猫が水を飲みに来ていて、私に気付くとサッと逃げてしまったけど、猫が飲んでいたのは…
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<太刀洗>
石で造られた細長い造形物は戦で刀についた血を洗うためのもので、知覧の武家屋敷では見かけたけど他県の武家屋敷では見た記憶がない。
江戸時代は平和なイメージだったけど薩摩藩からすれば、徳川幕府から攻められるのを恐れて緊迫していた時代だったのかもしれない。 -
<蔵>
太刀洗の向かいに建つ蔵周辺は木々が植えられて緑豊かだった。 -
<武家門>
竹添邸と同じ並びにの数軒先にある“税所邸“は、丸いシルエットの背の高い木がシンボルになっている。
税所家は関ケ原の戦い前年に加世田から移住を命じられて、代々上級郷士噯などの出水郷の要職を務めた家柄。公開武家屋敷「税所邸」 名所・史跡
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<玄関>
竹添邸と比較するとかなり立派。
竹添邸より100年ほど古いそうで建築年代は出水麓では最古といわれており、かなり老朽化していたため出水市が数千万かけて4年間大改修を行い、2011年から一般公開している。 -
<玄関の間>
玄関の間右側の納戸のような細い小部屋は… -
<弓的場>
雨天時の弓の練習場所になっている。
いつ何時も鍛錬を怠らない薩摩藩男子が背負わされている物を察した。 -
<下座敷>
税所邸も案内人が常駐しており出迎えてくれるので、こちらはある程度の人数が集まるとこの下座敷に呼び寄せられて集団で建物案内が始まるけど、それまでは自由見学可。
隣接する次の間と上座敷の壁にはベンガラが塗られている。 -
<上座敷>
この上座敷は結婚式の前撮りにもよく使われるそう。 -
下座敷に集まるよう集合がかかったので、5-6人で一緒に案内してもらった。
ここ税所邸は建物内に入った瞬間から煙の臭いに包まれていて独特の匂いがしていたのだけど、案内人によると正月だけ特別に囲炉裏を焚くのが習わし(普段は火災対策で不可)で、元旦の今日は火入れをしていて「子供の頃はこの匂いが家中に広がっていてとても懐かしい」と語っていた。
例年なら元旦は焼餅の振る舞いがあるらしいけど、今年は複数の感染症が猛威を振るっているため中止らしく残念。 -
<広間>
下座敷の隣室:広間は税所邸の中でも1番広い間取りになっており、下座敷に近い位置に囲炉裏があった。
時々爆ぜるのでびっくりするけど、囲炉裏横にある木の蓋を外すと床下に抜けられるようになっていて、女性や子供が隠れられるようになっている。
広間はかつて、煙草を乾燥させるための煙草部屋としての役割もあったそう。 -
<奥座敷>
奥座敷は隠居部屋として使われており、広間から見ると奥座敷の天井付近の壁(欄間などがある位置)がやけに高いことに気付くけど、でも奥座敷に入ると天井の高さは広間と同じ。
見学は出来ないものの、この奥座敷には隠し部屋と呼ばれる2階があり、熊本に近いことから密談など公に出来ない様々な秘匿案件に使われてきたそうで、税所邸が重要な役割を果たしてきたことを示す。
薩摩藩は長男へのプレッシャーが半端なかったけど出水は特にその傾向が強かったらしく、逆に女子は何も期待されていなかったそう。 -
<なかえ>と<板の間>と<炊事場>
土間があるせいかこの部屋は冷え込んでいて、ガラス窓に囲われているのに光が差し込まないから薄暗かった。 -
靴を履いて、中門を通って庭から見学。
木々は多いけどスッキリまとめられていて広さを感じた。
竹添邸も税所邸も出水市歴史文化施設共通入館証の缶バッジを提示すれば、同年の12月末日まで何度でも入館可能。 -
出水を出発する前に訪れたのは出水市麓町にある“八坂神社(日本一のお地蔵様)”の赤い旗が揺らめく駐車場。
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駐車場脇の狭い階段の途中にはアパートがあったりするので、知らなければ素通りしそうな参道を上っていく。
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更に狭い階段脇には大きな地蔵が並んでいて、鳥居とのミスマッチが不思議な雰囲気を醸し出していた。
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境内はかなりコンパクトで何もなく、社殿隣に建つ大きな地蔵がこの神社の目玉らしい。
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台座まで含めると高さ4.15mあるこの地蔵は一刀彫りでは日本一のサイズだそう。
1925年に真言宗の僧侶:斑目仏師によって建立された地蔵尊で交通安全・無病息災・子育て・延命などの御利益があるとされている。
ところで既視感ある顔つき(2024-2025年在職の)石〇元首相っぽくない? -
うん、似てる。
14:00過ぎに出水を出発して、カーシェアリングの駐車場に戻ってきたのが15:48で、5時間48分利用して146km走行して合計:4290円だった。
12月29日は指宿の長崎鼻ヘ、今日は出水を訪れたので、鹿児島県西側の最南端と最北付近を制覇した。 -
30分ほど休憩してから市電に乗車して、この周辺だと唯一元旦から営業している鹿児島中央駅のキャンセビル地下にあるイオンスーパーへ夜ごはんの調達に行ったら…
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夕方は混みやすいから乗れないこともあるのに、元旦の鹿児島中央駅行きの往路はこのようにガラガラで、復路の鹿児島中央駅から乗る17時台の市電(天文館までが激混み)なんて乗車率が高すぎて1本見送ることもあるのに、空席が目立っていて驚いた。
明日は“いおワールドかごしま水族館”でイルカショーを見学してから、1月2日から営業しているという“立飲み屋 Kiritsu 鹿児島中央駅前店”で遅いランチを兼ねた昼飲みをする予定。
続きは09へ。
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