2024/12/26 - 2025/01/04
1870位(同エリア2291件中)
RiEさん
旅行6日目(12月31日)、後編。
尚古集成館を見学したあとは共通券で“仙厳園”の門をくぐると、大晦日とは思えない程の強烈な日差しが降り注ぎ、カメラ泣かせのコントラストの強さに手を焼いた。
島津家19代目にあたる島津光久により薩摩藩島津家の別邸として1658年に築かれた名勝 仙巌園は、桜島を一望できるのを活かして雄大な桜島を築山とし、錦江湾を池に見立てた約1万5千坪の広大な庭園を所有しており、鹿児島県を代表する景色の1つとして親しまれている。
併設の御殿は、島津家29代目にあたる島津忠義の代には一時期本邸として利用され、また国内外の要人を招く迎賓館としての役割も果たしていたので見事な装飾が施されており、真っ赤に染まる季節外れの紅葉を観賞したり11種ある釘隠しを探しながら見て回った。
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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正月3が日は着物での来園者は入場料無料になり混雑が予想されるので、大晦日に“仙巌園”を訪れた。
仙巌園(磯庭園) 正門 名所・史跡
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<鹿児島世界文化遺産オリエンテーションセンター>
正門をくぐってすぐの場所にある2019年11月に誕生した施設で、薩摩の近代化ストーリーを学ぶことができる。 -
入ってみると中央を陣取るのは江戸時代の1/10サイズで造られた反射炉の復元模型。
反射炉模型は一部が断面になっているから反射炉の仕組み・構造についても学べる。 -
外に出ると反射炉跡へ続く階段が見えたので上ってみる。
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<反射炉跡>
1851年に薩摩藩主:島津斉彬は海外からの脅威や海から侵入する外敵から護るための大砲・武器・軍船を自前で作る必要があると考え、溶鉱炉や反射炉建造に着手した。
1852年に反射炉1号炉の建設に着手したものの炉が傾いて耐火レンガが崩れ落ちるなど失敗したため、1857年に2号炉を完成させて鉄製大砲の鋳造に成功した。
現在残されているのは2号炉の基礎部分石垣のみで、石垣は1.5mほど埋没しており本来の高さは4mを越えていたそうで、この上に高さ15-20mの炉がそびえていたと説明を見てもピンとこないから、あの模型を見なければ全体像が掴めなかった。 -
<山神・水神社>
反射炉跡に隣接する小さな社には島津氏によって祀られたと推測されるけど、一切の詳細は不明。 -
1895年に建てられた正門は不便な場所にあるため、現在ここから出入りすることはないけど見学可能。
瓦屋根をみると各所に島津家の家紋が入っている。 -
太陽が1番高い位置にある時間なので容赦なく照り付ける日差し。
この付近から工事中の箇所が増えて… -
江戸時代の正門だった錫門と望嶽楼は工事中で見ること叶わず、見学ルートも変更されていた。
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御殿入口に辿り着くと御殿の真後ろに山が迫っていて、空も敷地も広いのに異様な圧迫感を感じた。
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南国感満載の木々が植えられている後ろが御殿の正面。
玄関が混んでいたので先に庭園から見て回ることにした。仙巌園(磯庭園) 公園・植物園
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御殿入口から御殿前を突っ切って真っすぐ進むと、庭園の入口に繋がっている。
本来ならこの右側に朱色の錫門が見えるらしい。 -
庭園側から見ると、御殿から庭園や桜島が眺められるような造りをしているのがよく分かる。
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<獅子乗大石灯籠>
島津家第29代目にあたる島津忠義が1884年に御庭方:小田喜三次に造らせた燈籠で、大きくロを開けた獅子が灯籠に飛びついたようなポーズをとっていて、飛び獅子と呼ばれている。
この石燈籠の大きな笠石と台石は自然石で組まれており、笠石は磯海岸の防波堤に使われていたものを用いてて、その大きさ畳8帖分もあるのだとか。 -
所々に黄色や朱色の葉が残っていて視線を奥に移すと霞みがかった桜島が姿を現した。
桜島 自然・景勝地
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肉眼でもこれくらい眩しいため、カメラで撮った写真を見返したときレンズの方が優秀なので「こうだったんだ」と後から気付くことが多かった庭園散策。
大きな石で組まれた橋を渡ろうとしたら、その下には今も水が流れていていた。 -
緩やかな階段を下っていくと…
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<高枡>
池の先に頭頂部に筒を配した石造りの高枡と呼ばれる園内の湧き水を池などに配水したり、水の分岐と水量を調整するための水道施設があった。
石壁からじわじわ水が滲み出ているのでシダ系植物に覆われていて周囲と馴染んでいる。 -
保津川の上にかかる橋の上からの眺め。
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この庭園は海岸と傾斜地を切り開いて作られているため起伏が激しく、この石段を上がったら絶景ポイントと案内が出ていたけど体力的に厳しかったので私はパス。
ここで夫と別行動することになり夫は石段を上がっていき、最後は猫神社(豊臣秀吉の朝鮮出兵=文禄慶長の役で活躍した島津家17代目当主:島津義弘が朝鮮半島に連れて行った7匹の猫の内、無事生還した匹の猫の魂を祀っている)まで見てきたそう。 -
私は逆方向へ進んでいくと、鹿児島市内で見た記憶がないくらい燃えるように赤い紅葉が目に飛び込んできた。
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曲水の宴に向かう途中にある滝石組。
この先には島津家第21代当主目の島津吉貴の時代に作庭された曲水の庭があるけど、日差しの強さに歩く気力を奪われてしまい、曲水の庭に辿り着く前にUターンした。 -
御殿は合流してから入場したかったので“仙巌園ブランドショップ”で、美しい薩摩切子を観賞しながら夫を待った。
仙巌園ブランドショップ お土産屋・直売所・特産品
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<御殿>
13:00前になりちょうど人が捌けた時間帯だったので、先に御殿内をサクッと見学して写真を撮り、全体を把握してから13:40開始の定時ガイドに参加した。
定時ガイドは10:40・11:40・13:40・14:40・15:40に開催され、先着20名と書いてあったけど人数確認は無く、時間になると玄関ホールに集合するよう声をかけられるのでわらわら参加者が集まって来る。 -
<鳳印の間(玄関の間)>
玄関入ってすぐ右側にある1室で、島津家30代目当主:島津忠重が12歳まで過ごした部屋。
島津忠重は父である島津忠義の死にともない家督を継ぎ、その後公爵となった。 -
歩くとキシキシ床が鳴る小さな中庭が見える廊下。
この辺りは特段豪華な印象もなく、昔の古い日本家屋という感じ。 -
突き進むと畳敷きの幅広い廊下が出現して、ようやく御殿感を感じた。
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畳廊下に取り囲まれた外に面していない部屋など、部屋の配置は複雑な造りをしている。
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<朱塗網代女乗物>
大名家の女性が乗る駕籠を眺めながら、順路に従って写真左側の畳廊下に進む。 -
ライトアップされている1m近い薩摩焼の一対の大壺は、帝政ロシア最後の皇帝:ニコライ2世の戴冠式の際に島津家29代目当主:島津忠義が薩摩焼窯元:沈家12代沈壽官窯に制作させて贈られた物のレプリカ(本物の片方はエルミタージュ美術館が所蔵)が展示されていた。
大壺には島津家とニコライ2世の紋章が入っており、薩摩焼がバトンとなった薩露交流が行われたことを示す。
ちなみにこのレプリカは島津家33代目から依頼を受けた沈家15代沈壽官窯が1年半かけて造り上げたそうで大変豪奢で細部まで美しかった。
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<中庭>
枯山水と池泉庭園が融合したような意匠の中庭に、色を沿えるのは鮮やかに紅葉したモミジ。 -
<祖霊社跡>
奥まった突き当りの部屋にあるのは島津家先祖代々を祀った祖霊社で、先祖を参拝するための場所だったと伝わる。
この黒い馬は園内にあった神社に奉納されていた神馬とのこと。 -
障子が閉まっていてもこれくらいの明るさは保てるようになっている。
畳廊下から人が覗いている部屋前まで行ってみると… -
<謁見の間>
賓客と面会するために利用された、2間続きの広くて豪華な謁見の間が現れた。
畳の上に西洋風のイスとテーブルが置かれ、今まで見学してきた部屋とは雰囲気が異なる。 -
天井から吊り下がるシャンデリアは明治期のもので、水力発電で電気を供給していたそう。
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大晦日という絶好のタイミングだったので見ることが出来た仙巌園の鎌倉流正月飾り。
鏡餅は三宝に米を盛り、その上に餅を32個と7本の立松を飾るのが特徴で、米を盛る紅白の紙にも32本の線が入るように折り、紙の四隅が谷になるように決められている。 -
板張りの縁側を進んでいくと庭園と桜島が見えた。
遠くて見えづらいけど左の野筋の凹んで見える部分に亀石が配置されている。 -
<御小座(化粧の間)>
この辺りの部屋は1室ずつコンパクトな個室のようになっていてプライベート感がある。
山谷の傾斜が付いた立体的な天井に見えるけど実はフラットで、天井が高く見える様に矢筈上に貼られている天井板が面白い。
錯視効果があるので奥行きも感じられ、正座して見上げると広がりを感じた。 -
<島津斉彬筆「鷹図屏風」写>
12羽の鷹が描かれたこの作品の現物は尚古集成館が所蔵しているそう。 -
絵の才能も秀でていたという島津斉彬の多彩な才能に驚かされるばかり。
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<御小座(披露の間)>
島津家に贈り物が届くとこの部屋でお披露目されたそうで、この丸テーブルは昭和天皇行幸の際にも使われたとのこと。
説明を聞きながら見学すると深みが増して改めて御殿内の広さに驚いていたら、話が上手い無料ガイドの女性から一言「かつての1/3の広さまで縮小されてるんですよ」に不意打ちを食らった。 -
イチオシ
別角度から中庭を見ると影になってしまい見えづらいけど、池の中には八角形のくぼみがあり、中国趣味を取り入れた風水の影響が感じとれる。
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池を埋め尽くすように散ったモミジがきれいだった。
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御殿見学の密かな楽しみは11種類あるという釘隠し探しのコンプリート。
釘隠しとは建物の柱と長押を繋ぐ部分に打つ釘の頭を隠してくれる装飾品で、武家屋敷や明治期の豪奢な建物を訪れると見かけるけど、縁起物を取り入れたりするのでよく見る形も多い。
ただ中央1番下の桜島大根は他のものとは異なり、薩摩焼で造られていて御殿ならではの釘隠しなので、レア度が高くてテンションが上がった。
明日は2025年元旦を迎えるので鹿児島市内の観光施設は休館が多いため、タイムズのカーシェアを利用して出水まで足を延ばす予定。
続きは08へ。
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