2024/06/24 - 2024/07/12
19位(同エリア62件中)
クリスさん
2024年6月24日から7月11日までのスペイン旅行。カスティーリャ・レオン州のアビラ県を除く8県とリオハ、アストゥリアス、カンタブリア、バスクの5自治州にある主に西ゴート、モサラベ様式のロマネスク教会を巡る旅になります。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- レンタカー
- 航空会社
- ANA
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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2024年7月8日月曜日。今日はサンティリャーナ・デル・マル(Santillana del Mar)までの行程ですが、エンテリアスからサンティリャーナ・デル・マルのある北ではなく南に向かいます。
一時間近く車を走らせるとカンダブリア州境を越え暫くぶりカスティーリャ・レオン州のパレンシア県に入ります。
ピコス・デ・エウロパが遠くに見えます。 -
ピエドラスルエンガスの展望台(Mirador De Piedrasluengas)は、エンテリアスから43km行った準高速道路のCL-627号線にあります。
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ピコス・デ・エウロパの中央山塊とその東山塊、そしてペーニャ・サグラ山脈(Sierra de Peña Sagra)の景色を眺めることができます。
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準高速といっても狭い曲がりくねった道が多く神経をつかうのですが、小休止してこの景色を堪能しました。
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海抜1355mに位置する展望台で、冬は大雪が降るので閉鎖される事もあるそうです。
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ピエドラスルエンガスからは下り道になります。サン・サルバドール・デ・カンタムダ(San Salvador de Cantamuda)の辺りは、高原になるので、牧歌的な風景の草原が広がっています。
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村の名と同じサン・サルバドル・デ・カンタムダ教区教会(Colegiata de San Salvador de Cantamuda)。
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月曜日は基本的に教会の定休日なので閉まっています。
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教会は1185年に建てられたものと考えられます。
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後陣の風景。教会は村の南側の牧草地にポツンと建っています。
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三祭室をもつ後陣。
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1993年にカスティーリャ・イ・レオン州政府により重要文化財として指定されています。
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北側に塔に登る階段がついています。
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均整のとれた美しい教会は、周辺の景色とも調和しています。
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次はシラマヨール(Cillamayor)のサンタ・マリア・ラ・レアル教会(Iglesia de Santa María la Real)。 サン・サルバドル・デ・カンタムダからは南東に37km40分程の距離です。この辺りは海抜960mになってきます。
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アギラール貯水池(embalse de Aguilar)の北8kmに位置するシラマヨールの村はパレンシア(Palencia)県のバルエロ・デ・サントゥリャン(Barruelo de Santullán)市に属しています。
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村の住宅街の中ほどに位置する教会で12世紀に修道院付属の教会として建設されたと考えられています。
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パレンシア北部では最もエレガントで、保存状態の良いロマネスク様式の寺院の 1 つです。
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蕾形の柱頭を持つ後陣の半円形の窓。
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持ち送りの彫刻。
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何度かの改修拡張の工事を請けていますのでロマネスクに関しては、これらのの後陣部が面白いです。
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内部にもビクトリアアーチの柱頭彫刻や洗礼盤等注目される作品がありますが、訪問が月曜日では仕方ありません。
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北側に廻ります。
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今は閉鎖されてしまっている北扉口。
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上と下、つなぎ目が目立ちますが、後世の工事の影響です。
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北側には石棺が置かれています。
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この写真は次の教会です。このパレンシア北部とカンタブリア州にかけての地域にはロマネスク教会がとても多いのですが、月曜日に訪問出来る教会を探した所、facebook でヴァルデオレア(Valdeolea)地域のロマネスクの見学を行う「Conoce Valdeolea Cantabria」というガイドツアーを見つけました。
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南身廊、柱廊玄関上部の明り取り窓。
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11時予約で教会前で待ち合わせしてそのままガイドツアーに入ったので、後で気付いたら、次への出発となって外観の写真は、車を止めた待ち合わせ場所の、これらの写真しか撮れていませんでした。
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ツアーには他に2名の同行者がいました。5ユーロで3つの教会を見学する事が出来ます。写真には獅子の柱頭が写っています。
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ヴァルデオレア(Valdeolea)に属するマタ・デ・オス(Mata de Hoz)の集落は、シラマヨールからは北西に13kmほどの距離にあります。この辺はパレンシア県とカンタブリア州の州境が複雑に絡み合っているので、シラマヨールと違いカンタブリア州になります。
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シラマヨールと同じ赤みがかった黄土色の砂岩の切石で造られていますが、彫刻については質素な印象を受けます。
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室内に入ります。マタ・デ・オスの洗礼者聖ヨハネ教会(Iglesia de San Juan Bautista)。
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南扉口。後年に礼拝堂が追加されたために左は切断されています。
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市松文様のアーキヴォルト。
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幾何学文様で構成されたポータルです。
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これまで見て来た柱頭とは印象が異なりますが、これはこれで美しいです。
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欠けた柱の下に洗礼盤が代わりに置かれています。
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後陣の主祭壇は、15世紀末にマエストロ・デ・サン・フェリーチェ(Maestro de San Felices)という工房で制作された壁画で飾られています。
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この工房は、パレンシア県のサン・フェリーチェ・デ・カスティーレリア(San Felices de Castillería)の村の教会装飾をはじめとして、この地域のいくつかの教会に作品を残しています。
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上面の受胎告知から始まるキリストの生誕の物語と、教会の守護聖人である洗礼者ヨハネの物語が記されています。
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受胎告知と下部には公現祭が描かれています。
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こちらはエリザベート訪問と下部には生誕と割礼。
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訪問の場面、二人の表情は印象的です。
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広場で説教する洗礼者聖ヨハネ。
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同じ絵の場面で連行される様子も描かれています。
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ヨハネの斬首。
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上部は食事風景ですが、その下の場面ではテーブルの上に乗った首を見るサロメとヘロデ王が描かれています。
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主祭壇の教具。
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北側の礼拝堂に置かれたシンプルな洗礼盤。制作年代は明らかにされていません。
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南側の礼拝堂。
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南側のビクトリアアーチの柱頭。
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クリフォンと獅子が戦っているようです。
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北側のビクトリアアーチの柱頭。
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中央では二人の男が手を取り合っているようです。
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側面にはケンタウロスがいます。
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西側のロフト。ずっと立っていたので疲れて小休止です。
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次の教会は、同じヴァルデオレア市に属するラ・ロマ(La Loma)にあります。国道CA-833号線と挟んで、南にあるさらに小さな集落サンタ・オララ(Santa Olalla)です。6軒の家があるだけで、冬には無人となってしまう事もあるとのことでした。
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その村の北外れにあるサンタ・オララ教会(Iglesia de Santa Olalla)。オララとはメリダの聖エウラリア(Eulalia de Mérida)として知られる若くして殉教した聖人です。
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国道からも見える距離なのですが、集落を外周を回り込む形となるため思った以上に遠く感じます。
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草むらの中を歩いて教会に向かいます。
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教会の入口。この教会は1174年に奉献されましたが、後に大規模な改修が行われたので、外観は13世紀初頭のものと言われています。
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教会は1993年に文化遺産に指定されました。
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後陣の外観は方形単一の後陣ですが、南側の後陣内部は仕切られていて、ロマネスク構造の側祭室が存在します。
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その左の中央後陣、こちらは尖頭アーチのゴシック様式となっています。
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入口よこの祭室に置かれた方形の洗礼盤。
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ロマネスクと説明されました。ベースにわずかに装飾がほどこされています。
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後陣を飾る15世紀のフレスコ画。
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先の洗礼者聖ヨハネ教会と同じマエストロ・デ・サン・フェリーチェ工房の作品です。写真は地獄の場面です。
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中央には最後の晩餐。
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最後の晩餐の上には、キリストの逮捕、鞭打ち、ゴルゴダへの道の場面が描かれています。
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十字架降下の場面。中段にはマグダラのマリアの前に現れた復活したキリストが描かれています。
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下段は欠落部分がありはっきりしませんが、残された絵はサン・セバスティアンに向かって矢を放つ弓を持った兵士と説明されました。
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下段は一部枠外になってしまいましたが騎馬に乗るサンチャゴ、大天使ミカエル、聖エウラリアが描かれています。
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聖エウラリアの詳細は裁判を受ける場面の描写です。
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聖エウラリアの殉教場面。
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主祭壇の上部の磔刑場面。
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壁の一つに碑文のある切石があります。教会が教会が1174年奉納された事を記す碑文ですが、誰が奉納したかについては記されていないとの事でした。
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外側に出てまず持ち送りを撮影します。
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狐と思われる動物が彫られています。
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横にもう一頭の四足動物が彫られています。
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拡大して見ましたが摩耗していて特定までに至りませんでした。
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鐘楼。
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北側は後付けされた部分になります。
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東側の後陣の外観。
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周辺の緑豊かなカンタブリアの景色はとても美しいと思いました。
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最後の見学となる三番目の教会。周辺の景色と調和した丘の上にあるロマネスクの教会、とても美しいシチュエーションです。
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バルデオレア市のラス・ヘネストロサス・デ・ラス・キンタニージャス(Las Henestrosas de las Quintanillas)の南にあるサンタ・マリア・ラ・レアル教会(Iglesia de Santa María La Real)は、 1982年に文化遺産に指定されました。
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教会はヘネストロサス・デ・ラス・キンタニージャスとその南にあるベルセド(Bercedo)の2つの町の中間に位置する丘の頂上にあります。
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教会の北側に古代ローマのネクロポリスの後や南側の墓地の埋葬碑、墓石の碑文等によって起源は8,9世紀と推定されています。
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正確な年代は特定されていませんが、現在の外観から見ると12世紀末から 13世紀初頭にかけての後期ロマネスク様式の教会で、シトー派の影響が見られる装飾が施されています。
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車を止めた位置からだいぶ登ります。
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当初の教会は単身廊の教会だったと言われています。南側の身廊は16世紀の拡張工事により突き出された部分になります。
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入口となる南側扉口。13世紀の初頭に造られたといわれています。
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尖頭アーチを持つゴシック様式となっていています。
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柱頭彫刻もシンプルな花の蕾をモチーフとした植物文様になっています。
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右側部分。
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教会内部。西側部分です。内部はゴシック要素の強くなっています。
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後陣。
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この教会にもマエストロ・デ・サン・フェリーチェの作品があります。
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この教会の柱頭彫刻は素晴らしいです。
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ライオンと戦うサムソン。
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グリフォンの像。
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ライオンの尾をつかむ男。
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こちらにもグリフォンがいます。
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フレスコ画の説明に移りましょう。聖ペテロと聖パウロの像。
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下は顔だけですが聖バルバラだそうです。
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その横に描かれているのはマグダラのマリア。
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上部にあるフレスコ画。
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ミサをあげる聖グレゴリウスだそうです。
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身廊部分の柱頭。
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人頭彫刻が見られます。
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全体的に植物文様の柱頭でシトー派の影響が出ています。
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剣を振りかざすサンティアゴ・マタモロス。
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上の絵は剥落部分がありますが3人の使徒が描かれています、その下でキリストの香油を塗るマグダラのマリアが描かれているそうです。
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聖家族のエジプト逃亡。
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祭壇の横に描かれた3頭の馬を操る調教師。
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反対側の祭壇横にはベツレヘムでの嬰児殺し。
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主祭壇に鎮座するゴシック様式の聖母子像。
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洗礼盤。年代は不明です。
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上に登る階段が見える鐘楼下のアーチ。
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植物文様の柱頭は至る所に見られます。
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土台にある彫刻。
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外観の説明に移ります。
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後陣の外観。
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後陣の明り取り窓の柱頭彫刻。
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こちらはその右側の部分です。どちらにもグリフィンが彫られています。
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コーベルの彫刻も素晴らしいです。
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読書、あるいはキャンパスに絵を描いているのでしょうか、摩耗していますが精巧な彫刻が見られます。
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北側のコーベル。
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中央後陣の窓。
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中央、笛を吹く人、アニマル像があります。
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鐘楼は16世紀の工事で改装されています。アーチは半円のロマネスク様式を引き継いでおりロマネスクの柱頭彫刻も残されています。
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土台部分。
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ここでもトカゲを見つけました。これで3つの教会のガイドツアーは終わりです。同行の二人はパレンシアで写真家をしているという親子でした、本格的な撮影機材を使って入念に撮影しています。娘さんが助手の役目をしていて重い機材は彼女が担いでいます。この後撮影を続けるというので、私たちは先に解散して次の目的に向かいます。概ね2時間近いツアーで今日は、昼ごはん抜きになりそうです。
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