![旅行7日目(5月4日)、後編。<br />津和野と言ったらまず思い浮かぶのは白壁の土塀が続く“殿町通り”。殿町通り沿いの掘割を自由に泳ぐ色鮮やかな鯉たちに目を奪われるけど、通り沿いには数々の史跡が集まっているので江戸時代の趣きを感じながらの散策が楽しい。<br />1931年に建てられたゴシック建築の“津和野カトリック教会”を訪ねてみると、畳敷きの礼拝堂とステンドグラスのギャップが美しかったけど、隣接している“乙女峠展示室”で長崎浦上から流人としてやってきた153名の隠れキリシタンらが殉教に至るまでの哀しい歴史を詳しく知り、やるせない気持ちでいっぱいになった。<br />その後は市街地から少し離れた場所にあり、苔でツルツル滑る山道を登って先にある1951年に建立された“乙女峠マリア聖堂”へ。津和野藩の改宗案に応じなかった37人は拷問によって殉教してしまい、その37人を追悼するために建てられた小さな教会のステンドグラスに描かれた殉教物語が印象的だった。<br />最後に津和野の町を見下ろすような高台に建つ、日本5大稲荷の1つに数えられる“太皷谷稲成神社”を参拝してから山口に戻った。](https://cdn.4travel.jp/img/thumbnails/imk/travelogue_album/11/83/90/650x_11839074.jpg?updated_at=1712976019)
2023/04/28 - 2023/05/06
280位(同エリア370件中)
RiEさん
旅行7日目(5月4日)、後編。
津和野と言ったらまず思い浮かぶのは白壁の土塀が続く“殿町通り”。殿町通り沿いの掘割を自由に泳ぐ色鮮やかな鯉たちに目を奪われるけど、通り沿いには数々の史跡が集まっているので江戸時代の趣きを感じながらの散策が楽しい。
1931年に建てられたゴシック建築の“津和野カトリック教会”を訪ねてみると、畳敷きの礼拝堂とステンドグラスのギャップが美しかったけど、隣接している“乙女峠展示室”で長崎浦上から流人としてやってきた153名の隠れキリシタンらが殉教に至るまでの哀しい歴史を詳しく知り、やるせない気持ちでいっぱいになった。
その後は市街地から少し離れた場所にあり、苔でツルツル滑る山道を登って先にある1951年に建立された“乙女峠マリア聖堂”へ。津和野藩の改宗案に応じなかった37人は拷問によって殉教してしまい、その37人を追悼するために建てられた小さな教会のステンドグラスに描かれた殉教物語が印象的だった。
最後に津和野の町を見下ろすような高台に建つ、日本5大稲荷の1つに数えられる“太皷谷稲成神社”を参拝してから山口に戻った。
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- レンタカー 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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本町通り終点の立派な屋敷前をを通り過ぎると…
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ここから白壁の土塀とうろこ壁が続く“殿町通り”が始まる。
中央のタイル部分は車道になっていて道幅が広めのせいか、車通りは結構多かった。 -
殿町通りの始まりに建つ“津和野カトリック教会”は1931年に建てられた教会で、敷地内にある乙女峠展示室と看板が出ている建物が開放されていた。
先程訪れた津和野町日本遺産センターのコンシェルジュから「ここ津和野は隠れキリシタンに強い弾圧行為をしていた場所でもある」という話を聞いたばかりだったので、先に見学することに。津和野カトリック教会 寺・神社・教会
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長崎県浦上のキリシタンたちは信仰心を隠さずに熱心な活動を行っていたことから弾圧の対象となり、江戸幕府から明治政府に切り替わってもなお、改宗強要が引き継がれた。
当時は戊辰戦争が勃発して会津・箱館は戦争状態だったものの、西日本は新政府の支配下にあったため、捕えた浦上のキリスト教信者約3400人は西日本各地(20藩22箇所)に流配されることとなった。
その1つが津和野町だった理由は、御前会議で流配選定を行った際に津和野藩主が御上にイイ顔をしたくて名乗り出たのがキッカケだそうで、「あくまで言い伝えですが…」とコンシェルジュが教えてくれた。
改宗させるなんてチョロいだろうと思っていた津和野藩に対し、屈する様子の無い隠れキリシタンに業を煮やしたその結果、津和野では1868年-1873年まで浦上のキリシタン153名が氷責めや食責めなどによる過度な拷問による改宗が求められ続け、当時の苦しい様子を伝える文章や、その中で殉教した36人に関する資料などがパネル展示され深く知ることができた。
ちなみに津和野に来てから改宗した人は城下町から少し離れた乙女峠にある尼寺に住まわせられ、1日米5合・菜代71文・ちり紙1枚を与えられて仕事を見つけて働いてもOKという高待遇を受けることができ、飴と鞭作戦ごとく格差による改宗も進められたため、拷問前の段階で改宗する人たちも少なくなかった。改宗した人は拷問に耐え抜く人たちに食糧援助などを行い、手助けをしていたそう。 -
津和野カトリック教会は信仰への信念を曲げず殉教の道を選んだ人々の信仰を称えて、イエズス会のドイツ人司祭:パウロ・ネーベル神父によって建てられた。
後にネーベル神父は後に日本に帰化をし、殉教者の1人の「裕次郎」の名をとって「岡崎祐次郎」と名乗っていたことも詳しく説明されている。 -
ゴシック建築の外観だけど入口で靴を脱いで中に入る。
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中央以外は畳敷きになっていて和洋折衷な造りをしており、外から見るとコンクリートか石造りかなと思ったけど木造平屋建て。
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畳敷きなので正座して見上げてみると、あまり高さがない天井だけどステンドグラスから光が降り注ぐような感覚があり素敵だった。
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江戸時代の情趣をいまに伝える殿町通りの掘割には、坂崎出羽守時代に飼い始めたという色鮮やかな錦鯉が優美に泳いでいる。
殿町掘割 名所・史跡
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花菖蒲の花が咲時期になれば掘割の華やかさが一層増し、5月下旬-6月中旬なら約3000本もの花菖蒲を観賞できるそう。
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“大岡家老門”は津和野藩の家老職を勤めた大岡家の表門にあたり、薬医門形式の格式の高さが窺える。
多胡家老門・大岡家老門 名所・史跡
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残っているのは門だけなのでそれ以外の遺構がなく、現在は津和野町役場庁舎が建っていて街並みの雰囲気に溶け込む造りをしていた。
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津和野藩8代藩:主亀井矩賢が1786年に創立した藩校“養老館“前は小さな石橋が渡されていて、ここは特に掘割が深いのか錦鯉が多く集まっている。
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近くで鯉の餌を販売しているようで、小さな子が餌やりすると集まってくる鯉たちを眺めていたら、どこからともなくサラリーマン風の中年男性と体格の良い女性がやってきて食パンを千切りはじめ、ポン!ポン!投げていくと鯉たちは入れ食い状態になりビチビチ大暴れし始めた。
そしたら突然「スマホ落とした、2個とも落とした!」と男性が焦りはじめ、まだ暴れまくっている鯉がひしめく掘割の中に腕を突っ込んだけど、思った以上に深くて底まで手が届かないらしく、身を乗り出して肩まで潜った状態でようやくスマホが拾うことができ頭からずぶ濡れだった。
掘割に全身が突っ込まないよう爪先を隣にいた人が抑えていたけど、一緒に来た女性はケラケラ笑って見てるだけなので、周りはどう助けたらいいか分からずあっという間の出来事だった。 -
津和野川まで行ってみると、橋のそばに川沿いに鷺舞像が展示されていた。
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殿町通りに戻り、養老館向かいに建っている津和野藩筆頭家老を歴任した多胡家の表門“多胡家老門”を見に行く。
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江戸時代中期に建てられた推定されており薬医門の形式で、左右には木造平屋建て桟瓦葺き門番所が配されておりため、出入りする人間を監視・管理することが出来た。
多胡家老門・大岡家老門 名所・史跡
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門は通過できるようになっているけど、裏は小さな庭のようになっているだけで何もなく、そのまま1本裏の高岡通りに繋がった。
高岡通りは津和野駅から南に延びている道で、こちらにも掘割があり鯉が泳いでいるけど、飲食店・和菓子屋・病院などが立ち並んでいるから生活感があった。 -
車に戻って少し移動し、乙女峠下の原っぱのような駐車場にレンタカーを止めて手摺付きの坂道を上っていく。
勾配が地味にキツいのでしっかり歩ける靴が必要なのと、苔で滑りやすいから足元が不安な人は手摺を利用した方が安全。 -
道幅は大人1人が通れる程度しかなく、川と並走するように設けられているので昼間なのにヒンヤリした空気が漂ってきた。
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息が上がり始めた頃、木々に囲まれた教会の尖塔が姿を現す。
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石垣で囲われた平地の隅建つ小さな木造の“乙女峠マリア聖堂”は、弾圧が収まった後にかつての殉教者たちを偲び、祈りの場として建てられたそう。
乙女峠マリア聖堂 寺・神社・教会
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中は鍵がかかっておらず誰でも見学できるようになっているけど、山の中なので昆虫対策として入口扉の開け放ち厳禁と貼紙に書いてある。
外から見たままの小さな聖堂正面にはキリストと聖母マリアが描かれており、ステンドグラスには迫害の苦しみに耐えるキリシタンたちの様子を表した殉教物語が表現されていた。 -
中央は広場のようになっていて特に何もない。
空が曇り始めてしまい、木々に囲まれているせいか寂しい雰囲気が漂っていた。 -
ここ乙女峠が隠れキリシタンたちへ改宗を迫った地であることを示す石碑や、弾圧のリアルな様子を再現した90cm四方の身動きの取れないほど小さな檻にふんどし姿で監禁した様子は言葉が詰まった。
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最初は説得するはずだったのに拷問へと変わっていき、追い詰めていく様子がここにきてリアルさを増す。
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この簡素な橋を渡ったら山道を600mのぼると、十人塚と呼ばれる殉教者の墓に辿りつく。
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14:30でもこの薄暗さなので、この先に進む観光客はおらず私たちも戻ることに。
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色々な思いが頭の中を駆け巡るけど、津和野城下町の華やかさと乙女峠の侘びしさが対照的で、実際に訪れてみないと感じ取れない歴史の一場面を心に留める。
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津和野7代藩主:亀井矩貞が藩内の安穏を願って、京都の伏見稲荷大社から1773年に分霊を勧請したのが始まりの“太皷谷稲成神社”は、伏見稲荷大社・竹駒神社(宮城県岩沼市)・笠間稲荷神社(茨城県笠間市)・祐徳稲荷神社(佐賀県鹿島市)と共に日本5大稲荷の1つに数えられていて、一般的な稲荷神社とは異なり、願望成就の「成」を取って「稲成」と表記されるのが特徴。
太皷谷稲成神社は津和野城から見て北東の方角にあたるため、津和野城の鬼門鎮守として歴代藩主から崇敬庇護されていたそうで、津和野の町並みをを見下ろすように鎮座していた。
私たちは車で坂道を一気に駆け上がり神社併設の駐車場から入ったせいか、代名詞ともいえる表参道の千本鳥居が見当たらない。太皷谷稲成神社 寺・神社・教会
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駐車場から続く階段脇には、御狐信仰に欠かせない油揚げが「お供えお揚げ」と書かれた扉付き木箱に入っていて、油揚げ・マッチ・ローソクが1セットになっていた。
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太皷谷稲成神社の祭神は宇迦之御魂神と伊弉冉尊の2神で、厚い信仰を集めていて参拝者も非常に多い。
立派な注連縄が飾られた新殿が境内で1番大きな社だから最初に参拝してしまいがちだけど、境内には参拝するところが4か所あって四ヶ所参りと呼ばれており、元宮・命婦社・新殿・神殿裏奉拝所の順に参拝するのが正式ルートなのを後で知った。 -
ちなみに江戸時代の間は藩主だけの神社だったそうで、津和野藩が廃藩になった1871年になってようやく一般人も参拝出来るようになった。
ここから見て境内を真っすぐ進んだ先に見える、木々に挟まれた小さな社が元宮。 -
元宮の横には表参道からの出入口にあたる朱色の神門が待ち構えていて、派手さについ目が奪われてしまう。
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素朴な佇まいで一段高いところに祀られている元宮は1923年に建てられた。
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ニィ!と歯を見せる狛狐がユニークだった。
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神門から石段を下がると手水舎があり、千本鳥居の終点が見えた。
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太鼓谷稲成神社の千本鳥居は、麓の大鳥居から太皷谷中腹の境内までの表参道を埋め尽くす。
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石段263段あるそうで行けるところまで逆走してみたけど、数が多くてトンネルのようだった。
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大きくL字に曲がったところでUターンしたところで、16:00の営業終了を知らせる案内が流れていたけど、私たちが車に戻る途中も参拝者が次々に訪れていたので授与品や祈祷の営業時間なのかもしれない。
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温泉施設が併設された“道の駅 津和野温泉なごみの里”に立ち寄ってみると、ここは島根県なのに土産物の8割が山口県産で島根感が薄くて、津和野土産も源氏巻き以外見つけることが出来なかった。
道の駅 津和野温泉なごみの里 道の駅
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道の駅の駐車場で見つけた電気マンホール。
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16:30に道の駅を出発したけど途中で渋滞に巻き込まれてしまい、山口湯田温泉エリアに戻ったのは17:45だった。
明日は長らく滞在した山口を離れて福岡まで移動し、レンタカーを返却したら福岡のB級グルメやお酒を楽しむ予定。
続きは10へ。
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