2022/04/20 - 2022/04/20
23位(同エリア52件中)
れいろんさん
2022年4月中旬の熊本&鹿児島旅(9泊10日)の7日目。
この日は甑島滞在日なので、一日かけてじっくり島々を巡ります。
絶景だけではなく、島の歴史や文化が垣間見られればいいなぁと、車を走らせました。
さて、平成の大合併で薩摩川内市となった甑列島(有人島は、北から上甑、中甑、下甑の3島)ですが、以前は大きく4つの行政単位に分かれていました。
まず、(1)私が宿泊している上甑島の「里村」、(2)上甑島の西側半分と中甑島の全域が「中甑村(7集落)」、(3)下甑島の北側1/3が「鹿島村」、(4)下甑島の南側2/3を占める「下甑村(5集落)」です。
※( )内の集落数は、明治22年以前の村数です。
興味深いのは、明治22年~23年の行政整理で、(2)里村は上甑村に、(3)藺牟田村は下甑村となったにも関わらず、直後の明治24年に里村は上甑村から分かれ、更に昭和24年には藺牟田村が鹿島村として下甑村から分離したという歴史です。
外部の人間=私が邪推するに、薩摩藩の武家屋敷が軒を連ねていた「里集落」、離島の中にあって、更に「島の中の孤島」だった「藺牟田集落→鹿島村」は、やはり一緒にやって行くには譲れない「独自の方向性」があったのでしょう。
また、下甑の手打集落には「ドクターコトー診療所」のモデルとなった医師が39年間勤務していた診療所があるので、そこも訪ねてみましょうか。
(「ドクターコトー診療所」のYVドラマは与那国島でロケが行われましたが、漫画(原作)作中で、島の名前は「古志木島」です。)
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- ホテル
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- レンタカー 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
甑島2日目。
日の出に間に合うように早起きしました。
早速、朝飯前のドライブに出発します。 -
まだ、月が空の高い所にあって・・・
-
反対方向の海の上(正確には「海の上の雲の中」)からは、お日様が顔を出しました。
-
トンボロの上の里集落に、徐々に朝日が当たっていきます。
-
お日様、おはよう~~。今日も良いお天気になりそうです。
この写真の右側の建物が、宿泊中のHOTEL Areaone Koshiki Islandです。 -
甑島・里の朝の光景を見ることができて満足です。
日の出(&昨日の夕日)のために、日をまたいでレンタカーを借りたんです。 -
朝日を受けている私の相棒(レンタカー)。
今日も一日、無事に、一緒に走ってね。 -
では、里集落に降りましょう。
人気の少ない朝に、行きたい場所があるのです。 -
里の「麓」エリア。
八幡神社の朱の鳥居が朝日を受けています。 -
里には薩摩藩が置いた「麓」と呼ばれた武家屋敷跡があります。
以下の解説はこしきツアーズのもらった旅のしおりより抜粋しました。
『麓とは、地頭仮屋とその周辺に武士(または郷士)を住まわせた、「外城(とじょう)」のことで、薩摩藩独自の軍事ネットワークを構成していました。 -
里集落の「麓」は、道幅や石垣が当時のまま残っています。』
-
散策前に八幡神社にお参りをしていきましょう。
この神社は平安初期に、川内の新田神社から勧請されたと言われていて、御祀神は瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)です。
(八幡神社なのに、八幡三神をお祀りしていないそうです。) -
「秋の例大祭では内侍舞が奉舞され、式中に直会が執り行われるなど、本土側では見られなくなった儀式を今も継承している神社」だと説明書きがありました。
-
おっと、マンホール発見。
絵柄が魚に、鹿子百合に島の山々。 -
「里の武家屋敷通り」本当に美しい景観が保たれています。
八幡神社の前の通りは「中町馬場」と呼ばれるメインストリート。
馬場の名前のとおり、乗馬の練習や馬の調教が実施されていたそうです。 -
おはようござます。
住民の方たちが、毎朝、掃き掃除をしていらっしゃるのですね。
美しい景観が保たれているのは、こういう不断の努力があってこそ・・・なのですねぇ。 -
横道も覗いてみました。
こちらも美しいです。 -
すがすがしい朝の武家屋敷通り。
ゆっくり散策することができました。 -
釣り人の姿がみえる漁港の堤防。
-
朝ご飯を食べに、いったんホテルに戻ります。
-
HOTEL Areaone Koshiki Island の朝食はビュッフェです。
サラダに、スープに、焼き立てのパン。オムレツやウインナーのおかず類。
きびなごの一夜干しもあったので、ご飯も食べちゃいます。
おそらくお昼ごはん抜きになるのでしょうから、がっつりいきます。 -
甑島では雉をよく目にしました。(春は里に出てくるのかなぁ?)
車窓から視認して車を止めるのでが、さっと隠れてしまって、写真に収められません。
この時は夫婦2羽一緒でした。二羽の姿が判るかな? -
長目の浜展望所から、この日の島観光をスタートします。
-
やっぱり、私は橋の絶景より、こちらが好きだなぁ。
きょうは、まず、下甑島の南端まで行きますよ。
一気に南下して、見どころに立ち寄りながら戻ってくることにします。 -
下甑島の長浜集落の手前(北側)は狭いワインディングロードが続いていました。
昭和24年から平成16年まで「別の自治体」だった証拠(大げさ)ですね。
写真は長浜港です。 -
長浜港の乗船客待合室には土産店と食堂が併設されているので、ちょっと立ち寄ってみました。
-
船の発着時刻ではないので、人の姿もありませんでした。
トイレをお借りしていきましょう。 -
では、更に南下します。
まず、手打海岸に向かいます。 -
下甑島の手打集落には「下甑の歴史と風土・下甑郷土館」があります。
甑島の歴史、風俗を知ることのできる施設です。(入館無料)
庭に面して移築された古民家(左側の平屋)が、島の昔の生活の様子を見せてくれます。 -
本館は鉄筋コンクリートの2階建て。
1階には生活や作業に用いられてきた道具などの展示品が並んでいて、
2階はキリスト教宣教師の衣服などキリシタン関連の品、葛の蔓を繊維にして仕立てた着物「クズダナシ」など失われた昔の風俗に架かる品、産業として周囲の海で採取されていた赤珊瑚などなど、なかなか興味深い品が展示されています。 -
それらの写真が1枚もないのは、撮影禁止かどうかという話とは別に、管理人さんがマンツーマンで「松岡修造氏のように熱く」展示物の説明をしてくださったからです。
本当に熱心な管理人さんで、丸一日ここから出られないのでは? と、感じるほどでした。(微妙な時間になってきたタイミングで、新しい入館者(2名)があったのは、まさに僥倖!) -
そして、手打集落には「武家屋敷通り」もあるんです。
郷土館の管理人さんによれば、手打集落に武士が移住してきたのは、里集落よりはるかに早い鎌倉時代。
元寇に度肝を抜かれた鎌倉幕府が、外国からの侵攻を見張るために、鎌倉武士を移住させたのだとか・・・。
石垣が、里集落のそれより「荒積み」な気がするのは、それだけ古いものだからなのでしょうか。 -
手打の武家屋敷通りも綺麗に掃き清められています。
石垣の内部は空き地になっている所も多いのですが・・・ -
立派な木製の門を構えたお屋敷も健在でした。
-
手打の武家屋敷通りも風情のある素敵な場所でした。
-
武家屋敷通りから1本南の通り行くと、目に飛び込んでくるのはこの眺め。
静かな武家屋敷通りから、わずか200m弱で手打浜に出ます。
南向きに開けた弓なりの湾で、長く白い砂浜がとても美しいです。 -
お天気が良すぎて白く飛んでしまった世界。
人の姿が全くないのも、現実離れしていました。
優しい波の音を聞きながら、しばらくぼーっと眺めていました。 -
次は下甑島の最南端にある釣掛崎灯台展望所へ。
標柱と灯台と一緒の写真がこれしかないので、邪魔な物が入っていますが載せちゃいます。 -
海上から146メートルの断崖上に作られた灯台は、明治29年に開設されたもの。
125年もの間、東シナ海を行き交う船の指針になっているんですね。 -
と、いうことを鑑みると、やはり甑島は西から来る船に対する重要な場所なのですね。
鎌倉幕府が手打集落に武士を移住させた(下甑郷土館の管理人さん談)というのも納得できます。
では、次に行きましょう。 -
駐車場に車を止めて、様々な野草を眺めながら、整備された歩道を歩いて行きます。
これはミツバテンナンショウかな? -
緑色のものもあるのねぇ。
-
甑島列島で一番大きな滝、「瀬尾観音三滝」の滝の前に着きました。
マイナスイオンというか、水しぶきが気持ちいい。
「三滝」の名のとおり三段の滝です。
3段の合計の高さで55mとのことなので・・・ -
滝の右側(左岸側)にある階段を上って、一の滝二の滝展望所へ。
ベンチも整備された展望所からは、綺麗な2段になって流れ落ちる、上段、中段の滝が見られました。 -
なかなか、凄いです。
一段目の落ち口まで行けると良いのに・・・。
滝の上の流れを見てみたいですね。 -
次は瀬々野浦集落に向かいますが、途中の「前の平展望所」から、有名な(?)なナポレオン岩(沖瀬)を眺めていきます。
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沖瀬=ナポレオン岩 (Napoleon Rock)。
ナポレオンの頭部に見えるかな?
明治の初めころ、フランス人がこの岩を見て「我が国の皇帝ナポレオンにそっくりだ!」と言ったとか?? -
「前の平展望所」そばからの、瀬々野浦集落とローソク岩など集落の南側の岩々。
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こちらにも「〇〇岩」と名前がついてもおかしくないような形の岩がありますよ?
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瀬々野浦集落の全容。
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ズームをしていくと・・・
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私の目的地が見えました。
集落の高台に位置する西山小学校(跡地)です。 -
子供たちが通学していた路は急な階段道だと聞いていたので、先生たちが車で通勤していた(?)校舎横の出入口からお邪魔します。
-
わぁ、綺麗に保存されているんですね。
長いこと子供たちが登校していないなんて思えない!
春休み中の学校みたいです。 -
西山小学校は平成25年(2013)3月に廃校になっています。
もう、9年も前のことになります。 -
なのに、校舎も体育館も校庭も綺麗に保たれていて、今にも休憩時間になって子供たちが飛び出してきそう。
-
校門の近くには、ナポレオン岩に模した「閉校記念碑」が建てられていました。
奥の海上にはナポレオン岩が見えます。 -
西山小学校は1879年開校の歴史のある小学校でした。
2000年から、本土からの留学生を受け入れる「ナポレオン留学」を行っていのですが、希望者がいなくなって、2011年に同制度は廃止されたとのことです。 -
130年以上の長い年月、多くの児童たちが登って来た通学路(階段)を眺めて、寂しい気持ちになります。
お天気が良く、空も海も青いのも、切ないです。 -
旧鹿島村役場の中にある「甑ミュージアム恐竜化石等準備室」に来ました。
甑島の白亜紀後期の地層から発見された恐竜の歯や骨の化石を目玉として、同じ時期の恐竜の骨格模型などが展示されています。
壁の骨はサウロロフス(モンゴルで発見された化石のレプリカ)。 -
実際に甑島で見つかった恐竜の化石は、獣脚類恐竜の肋骨とは、角竜類恐竜(ケラトプス類)の歯根、竜脚類恐竜の歯、鳥脚類恐竜(ハドロサウルス類)の大腿骨です。
-
すごいなぁと思ったのは、角竜類恐竜(ケラトプス類)の歯根の化石です。
これが日本初のケラトプス類(と分析できる)の化石だそうです。
(ケラトプス類の化石はアジアでも数例しかないとの解説。)
小さな島での大発見だったようですね。 -
この骨格標本はプロトケラトプス(中国ゴビ砂漠で発見された幼竜)で、上記の化石はこの恐竜の仲間になります。
このほか、アフロベナト、マティラサウルスの実物台のレプリカも置かれていてます。迫力があって、眼を引きますが・・・。う~ん。
まあ、まだ準備室なので、今後に期待します。 -
下甑島をぐるりと走ってきました。
そろそろ帰路につきます。その前に中甑島で2つの展望所に立ち寄ります。
まず、烏帽子山展望所へ。 -
烏帽子山展望所からの中甑島の平良集落と、奥に見える下甑島。
-
更に先へ。
簡易舗装のくねくね道をたどって、木の口展望所へ到着しました。 -
甑大橋の全容を中甑島(北)側から眺めることができます。
-
下甑島の鳥の巣展望所からは、まっすぐに見えた甑大橋ですが、こちらからは緩くカーブしているの状態が良くわかりました。
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上甑島~中甑島~下甑島、橋で繋がった甑列島。
とても便利になったのに、人口は減少していきます。
この日一番印象に残ったのは、瀬々野浦地区の西山小学校跡地の静謐な姿でした。 -
再々度、そして最後の長目の浜展望所。
ここが甑島ドライブの最終地。 -
相棒ともお別れなんだよなぁ。
2日間、一緒に走ってくれてありがとう。 -
レンタカーを返却してホテルに戻ってきました。
部屋から里港を眺めます。 -
串木野港発のフェリーが入港してきました。
-
ズームして、正面からも一枚。
かっこいい~。 -
フェリーの2便の下り便は、串木野~里~長浜です。
長浜港で一夜を過ごし、明日の朝、長浜港発、鹿島港へ寄港して・・・ -
・・・ここ里港から私を乗せて、串木野港へ向かいます。
-
おっ、船の頭が開きながら接岸するんですねぇ。
-
乗用車が出てきました。
船の荷下ろし、荷揚げ、車の出入りのシーンが大好きです。
フェリーって、本当に「働く船」という感じがしますよね。 -
甑島2日目終了です。
明日はフェリーで串木野港へ渡り、鹿児島市内へ移動します。 -
空も海もだんだん暗くなって、じきに島の真っ暗な夜がやってきます。
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