2020/10/18 - 2020/10/19
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ミズ旅撮る人さん
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小樽運河に面した場所にある「小樽芸術村」。
小樽の町に散在する昭和初期の石造りの銀行だった建物と、
運河沿いに見られる倉庫が、それぞれ特色のある美術館になっています。
「似鳥美術館(旧北海道拓殖銀行小樽支店)」「旧三井銀行小樽支店」
「ステンドグラス美術館」
これら3館で構成される「小樽芸術村」。
中でも「ステンドグラス美術館」に行きたくて、1泊2日のプチ旅行をしました。
3回目は、2階の展示品を紹介します。
2階には、ステンドグラスを製作するための道具や原画なども展示されていて、
制作過程の映像も見られます。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通手段
- JALグループ JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
「ステンドグラス美術館」の2階です。
前回、3作品(19~21)を掲載したので、
今回は22から最後の35までになります。
これまでの作品とは趣の異なる作品がいくつか見られます。ステンドグラス美術館 (旧高橋倉庫) 美術館・博物館
-
22.「幼子よ我に来れ(Let the Children Come to Me)」19世紀末
中央2枚のパネルに描かれているのが、イエスの評判を聞いて、
大勢の母と子が祝福を求めて集まった「幼子よ我に来れ」の場面です。 -
左から2枚目のパネル。イエスが幼子を膝に乗せて祝福を与えています。
-
右から2枚目には、集まって来た人々が描かれています。
このテーマは、作品4でも扱っていました。 -
子供たちの髪や衣装が、大層細かく描写されていて、
19世紀末~20世紀初めという時期は、
ステンドグラスの最盛期だったことが実感できます。 -
左端には、サムエルとアンナという
旧約聖書に登場する親子が描かれています。
子供が出来ないことで悩んでいたアンナは、
ある日、神に男の子を授けてくれるよう祈りました。
願いが聞き届けられ、男の子を生んだアンナは、
サムエルという名前を付けます。
「サム」は名前、「エル」は神を意味します。
アンナはサムエルが乳離れするとすぐに教会に預け、
一生を神に捧げました。 -
右端にはテモテとユーニスという
新約聖書に登場する親子が描かれています。
キリスト教にとって旧約聖書は過去を、
新約聖書は未来を意味することから、
2組の親子は、時の経過を表現するために意図的に
旧約聖書と新約聖書から選ばれたと考えられます。 -
作品22「幼子よ我に来れ」の4枚のパネルの上部には、
このようにティンパヌムが付属していました。
ティンパヌムとは、ステンドグラスのある壁面を飾るための装飾窓です。 -
四つ葉形の3つのパネルには、3人の人物が描かれています。
右側。 -
中央。右手にハートを持っています。
-
左側。
当初、3大天使かなと思ったのですが、羽根がないんです。 -
24「信仰(Faith)」 19世紀末~20世紀初め
「信仰」を象徴する女性が描かれています。
この他にも「希望」「慈善」などをテーマにした
パネルが存在していたと考えられます。
女性は手に「信仰」と書かれた書物を持っています。
作品5で、この3テーマの作品を見ています。 -
24「受胎告知 部分(The Annunciation)」19世紀末~20世紀初
※作品24は、2作品に振られています。
処女でイエスを身ごもったというお告げを受ける
聖母マリアが描かれています。
この左側にはお告げの天使聖ガブリエルのパネルが
存在していたと考えられます。 -
随分と雰囲気の違うステンドグラスです。
なんとなくトランプのカードのような絵柄です。
19世紀末~20世紀初めの作品ということですが、
20世紀に入って、時代が変わり、宗教色の強い作品から、
ポスターのように装飾性が強い作品になったのかなと感じます。 -
衣装の模様も、手で描かれたようなものから、
くっきり描き出された柄に変化しています。 -
25「大天使聖ミカエル」 19世紀末
天上の戦士、大天使聖ミカエル。
聖ガブリエルや聖ラファエル、聖ウリエルとともに
四大天使とされています。 -
この衣装の豪華なこと。
作品24で時代が変わったと感じたのに、また元に戻った気がします。
足元には「全能の神の幾多の恵みへの感謝」と書かれています。 -
ああ、なんて見事な羽根。落ちていたら是非とも拾いたい。
余談ですが、先日佐渡に行った時、トキ保護センターの方が、
トキ色の美しい羽は、生え代わりなどで結構落ちているのですが、
特別天然記念物ですから、拾っても人にあげたりは出来ないんですよ
とのことでした。
生え変わった孔雀の羽根をくれる動物園ならあったけど、
さすがにトキは別格でした。 -
25「聖ヨハネ」 19世紀末
※作品25も2作品あります。
聖ヨハネは、十二使徒の中でも、イエスに最も愛された弟子でした。
イエスの磔刑や最後の晩餐など、重要な場面で常にイエスに
寄り添っています。 -
すべてのパーツに精密な模様が描き込まれています。
ここがステンドグラスの最高点なのでしょうね。 -
イギリスにおけるステンドグラスの歴史
19世紀ヴィクトリア女王の時代になって、
急激に発展したことがわかります。
そして、世界大戦で失われてしまったことも。 -
ステンドグラスの原画の使い方
当初は、原画の使い回しは不可だったのが、
密かに借用されて来たことがわかります。 -
ステンドグラスの原画(複製) 1900年頃
智天使(ケルビム)が描かれています。
中央に書かれている「IHC」は、ギリシャ語でイエスを表す文字です。
まるで身近にいる子供たちを写しとったような写実感があります。 -
ステンドグラスの原画(複製) 1901年
イギリスのブリンクバーン プライオリーという町の教会の依頼で
製作されました。
天使が持っている帯には、聖ミカエルの文字が見えます。 -
26.「キリストの公生涯(The Ministry of Jesus)」 1875年頃
元々10枚のパネルから成る高窓で構成されていたと考えられます。
館内では現在、そのうち7枚を展示しています。
(作品27で、後の4枚を紹介します) -
この3枚のパネルは、中央上部に嵌められていたもので、
中央には最も重要な磔刑と -
復活の図が描かれています。
-
右のパネルの上部です。何のシーンかな?
-
その下は、「幼子よ我に来たれ」ですね。
今回、何度か見たモチーフです。 -
左のパネルの上部です。
聖書が愛読書の人にはすぐにわかるんだろうな。 -
その下のパネルです。
-
3枚の上部に書かれている「WL(ウィリアム・リーフ)と
EL(エレン・リーフ)のマークは、
この作品を教会に寄進したリーフ家当主とその娘のイニシャルです。 -
リーフ家の紋章です。こちらは白鳩がメインになっています。
鳩が掴んでいるのが「ツルウメモドキの葉」です。 -
27.「キリストの公生涯(The Ministry of Jesus)」 1875年頃
本作を教会に寄進したリーフ家は、
19世紀のイギリスで絹の貿易によって成功し、
その後医療の分野で、ホメオパシーという療法の研究にも関わりました。 -
左側の作品の上部には、青地にツルウメモドキの葉3枚と3匹の蜂、
白鳩によるリーフ家の紋章が描かれており、
紋章のモットーは「葉は散ることはない」、
つまりリーフ家が栄え続けることを意味します。 -
イエスが馬小屋で生まれたシーンには、白鳩が見られます。
-
出エジプト。
-
リーフ(葉)の名にちなんで、葉の装飾模様が多く描かれています。
-
28.「預言者イザヤ(The Prophet Isaiah)」19世紀末~20世紀初
四大預言者の一人であるイザヤは、
「見よ、乙女が身ごもって男の子を産み」といった
聖母マリアへのお告げや、キリストの降誕を暗示したと
考えられています。 -
28.「メルキゼデク王(Melchizedek King)19世紀末~20世紀初
※28は2作品に振られています。
旧約聖書に登場するメルキゼデク王が、
戦いに勝利したアブラハムを祝福するため、
パンと葡萄酒の聖杯を手にしています。 -
29.「聖オズワルドに守護される兵士」
20世紀初め パーシー・ベーコン工房
聖オズワルドは、戦いに赴く前に十字架を立てて祈りを捧げ
大勝利を手にしたことから、木の十字架と共に描かれます。
作品7「四人の聖人伝」でも描かれていました。 -
29.「リチャード1世に守護される兵士」
20世紀初め パーシー・ベーコン工房
※29は、2作品に振られています。
「右手前の盾を持った人物がリチャード1世。
十字軍で活躍したことから、イングランドの騎士道精神を象徴する
王として、多くのステンドグラスに登場します。
どちらの作品も、戦いに赴く兵士の家族が、兵士の無事を祈って
教会に寄進した作品と考えられます。」
ステンドグラスに現代の兵士の姿が描かれているのを初めて見ました。
背後の女性たちは「ナイチンゲールたち」ですね。 -
30.「聖ニコラウス(St.Nicholas)」 19世紀末~20世紀初め
聖ニコラウスは、子供たちを助ける多くの伝説を持つ、
子供の守護聖人です。サンタクロースのモデルです。 -
30.「聖クリストフォルス」 19世紀末~20世紀初め
クリストフォルスとは「キリストを担う者」という意味。
川辺で出会った幼児を肩に乗せて川を渡っているシーンです。
幼児はずんずん重くなり、川を渡ることは困難を極めましたが、
なんとか渡り切ると、幼児はイエスであったという話で、
このモチーフは、どこの教会でも絵画などで見ることが出来ます。 -
「僕、イエスだよ~~」とピースサイン。
何故、イエスを担いで川を渡らなければならないのか。
渡ったから聖人なの?どうもよくわからないキリスト教の世界。
でも、本当にこのモチーフは磔刑図のごとく頻繁に見られます。 -
31.「この人を見よ 神を見よ 聖人達(Ecce Homo,Ecce Deus)」
1890~1900年頃 クレイトン&ベル工房
6枚セットの作品で、「人として」と、「神として」の2人のイエスが
中央の2枚に描かれています。 -
右側から順に見て行きます。
残念ながら、説明のあるイエスしか描かれている人物は特定できません。 -
大きな鍵を持っているので、そこから推測できるのかな?
-
中央右側は復活したイエスです。顔の横には「神を見よ」を意味する
ラテン語「Ecce Deus(エッセ デウス)」が書かれています。
その右手には磔にされた時の傷跡(聖痕)が残っています。 -
神様になったので王冠を被っています。
-
左側が磔にされる前のイエス。
「この人を見よ」を意味する「Ecce Homo(エッセ ホモ)」が
書かれており、これはイエスが十字架に架けられる前に
公衆の面前で罪を問われた時の言葉です。
よく見れば、茨の冠を被り、手首には縄が掛けられているけれど、
処刑される囚人には見えません。 -
額には茨でついた傷から血が出ています。
これも聖痕とされることがあります。 -
白百合を持っているので、聖母マリアでしょう。
-
蛇が絡みついた杯を持っています。
6枚のパネルは、非常に統一性が高く、
ちょっと個性が感じられなくなって来ました。 -
32.「カンタベリー物語(The Canterbury Tales)」 20世紀初め
3枚のうち、中央のパネルが作品32です。 -
上から見て行きます。
「カンタベリー物語」とは、イングランドの詩人ジェフリー・チョーサーが14世紀に書いた未完の物語集で、
カンタベリー大聖堂へ巡礼に向かう人々を語り手に仕立てた
24編から成っています。 -
真ん中です。
騎士、粉屋、尼僧、免罪符売り、貿易商、医師、農夫など
様々な階層の登場人物の特徴を、当時最新の技法を駆使して
見事に描き分けています。 -
画面下部には、本を手に気難しそうな表情を見せるチョーサーも
描かれています。
花柄の衣装の青年の左側2人目の黒衣の人物です。 -
33.「奏楽の天使(The Angel Musicians)」19世紀末~20世紀初
楽器を奏でて神を讃える天使。
中世以降、多くのステンドグラスに描かれて来た奏楽の天使には、
様々な古楽器が正確に描かれており、資料としても興味深いです。 -
右側は弦楽器プサルテリーを持つ天使。
-
天使の衣装に珍しく文字が描かれています。
複雑なグラデーションの美しい衣装です。 -
下部には6枚羽根の天使セラフィムが描かれます。
青は完全なる知恵と理解を表します。 -
左側の天使は、ハンディーオルガンのような楽器ポルタティーヴを
持っています。
手のひらサイズのパイプオルガンみたいですね。
この楽器にも天使が付いているのが可愛い。 -
その下部には6枚羽根の天使ケルビムが描かれています。
赤は神への完全な愛を表します。
小天使の見分け方はどうすればわかるのかな? -
さて、中央に吹き抜けがあるため、コの字型になっている
2階の展示室も、あと1作品です。
画面左端に見えているのが、最後の作品34です。 -
この作品は難物です。ご覧の通り、吹き抜けの梁がすぐ前にあるので、
離れて全体を撮ることが出来ません。 -
作品の前は細い通路なので、真下から頑張って撮っても、この有り様。
ご勘弁ください。
34.「四大預言者 四大教父 四大福音史家」 1892年頃
3層構造で聖書の世界を表現した4枚の高窓。
上段には、旧約聖書における神の代弁者であり、救世主の伝達者である
イザヤら4人の預言者が描かれています。 -
上段と中段の間に挟まれた天使と標語。
-
中段には、キリスト教における偉大な神学者であり、ラテン教会における
四大教父として知られるグレゴリウスら4人の聖人が描かれています。 -
下段には、新約聖書の核心となる福音書をもたらすマルコやルカなど
4人の福音史家の象徴である羽根のある獅子や牛が描かれています。 -
作品34には実はまだティンパヌムが残されています。
これが作品35となっていて、背中合わせに展示されています。 -
中央が、勝利の軍旗を持った「神の子羊」アグヌス・デイ。
光に包まれた子羊は、人々の犠牲となって十字架に架けられた
イエスそのものを表します。
旧約聖書の時代から、罪の贖いとして生贄の子羊が捧げられます。 -
「神の子羊」の両脇を飾る窓。
こういう形なのには意味があるのでしょうか?
ティンパヌムは、主題の窓ではないので、形や大きさが自由で、
目立たないけれど個性的な部分かもしれません。 -
これで全作品を見終わりました。
さすがに疲れました。3館を一辺に見ることにしなくて良かったです。 -
こちらは展示作品ではなく、売店付近にありました。
-
複製なのかもしれませんが、綺麗なので掲載します。
次回は、「小樽芸術村」の「似鳥美術館」と「旧三井銀行小樽支店」に
行きます。
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