2020/10/18 - 2020/10/19
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ミズ旅撮る人さん
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小樽の観光地のど真ん中にある「小樽芸術村」。
2016年7月、公益財団法人 似鳥文化財団によって開設され、
「似鳥美術館(旧北海道拓殖銀行小樽支店)」「旧三井銀行小樽支店」
「ステンドグラス美術館」の3館で構成されています。
どれか1~2館だけを見てもいいし、共通券を使って3館とも見てもよし。
私は1日で見てしまっては、駆け足になってもったいないので、2日に掛けて見ました。
1日目は、「ステンドグラス美術館」です。ここに行くために、小樽まで来たのです。
ゆっくり、じっくり見学しました。
旅行記を書き始めた当初は、1階と2階の2回で終わると思ったのですが、
作品をじっくり紹介したいので、1階だけで2回になってしまいました。
2回目の今回は、1階の後半と、2階の3作品です。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通手段
- JALグループ JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
前回は作品番号9までを紹介したのですが、
9には「おまけ」がありました。
作品の前のガラスケースの中に置かれているティンパヌムです。
ティンパヌムとは、教会建築に設けられる、
梁と屋根の間のアーチ型や三角形の壁面部分のことです。
ステンドグラスの場合は、その壁面を飾るための装飾窓を言います。
ガラスに、壁のステンドグラスが映ってしまって、かなり見づらいです。 -
このティンパヌムは、作品9「十字架のキリスト」の上部に
嵌っていたステンドグラスで、
イエスが磔にされるまでの受難に関する道具類が描かれています。
中央部上段、右のパネルには、ユダが裏切りによって得た銀貨30枚が
巾着に入っています。
その真下は、磔にするための釘、左は茨の冠です。
また、最上部の十字架の中に描かれている文字は「IHC」で、
イエスを表しています。 -
9.「慈善(Charity)」1903年頃 クレイトン&ベル工房
新約聖書に書かれた「人のするべき善き行い」をテーマとしています。 -
上部中央は、作品5「信仰・慈善・希望」と同じで、
「慈善」を表しています。 -
上部左のパネルは「飢えている時には食べさせる」
(人物の下に英語で書かれています) -
右上は「病気の時には見舞う」(「YE」は二人称の古語です)
-
その下には「裸の時には衣服を着せる」。
-
中央下部は「道に迷えば、招き入れる」。
このパネルの一番下に制作者が書かれています。
ANDREW MATTHEWS 1903 -
下部左は「のどが渇いている時に飲ませる」
人々が日常的に行うべき慈善行為を
文字が読めなくてもわかるように描かれました。
大抵の文字は読めませんが、これは実にわかりやすい簡単な英語なので、
読めることに感動を覚えました。
変な話ですが「ちゃんと意味のある言葉だったんだなあ。」と
思ってしまいます。
だって、読めたためしがないんですから。 -
中央上部のパネルで、「慈善」を具象化した女性にすがる子供たち。
-
足の描写も立体的で、その足に踏まれている植物も、
1枚1枚、色も種類も違います。 -
11.「昇天(The Ascension)」1890~1900年頃
クレイトン&ベル工房
処刑されたイエスが、復活してから昇天するまでの
一連の場面を表しています。 -
左下には天使の脇に空になった墓が描かれており、
イエスの復活を表しています。 -
中央下部では、復活後のイエスが庭師の姿で現れます。
膝をつく女性(マグダラのマリア)に対し
「まだ天の父なる神に会う前なので、
私に触れてはならない」と伝えています。
説明にはこう書かれていたのですが、「庭師の姿」には見えません。
下部に「Touch me not」と書かれています。
女性は穢れた存在という困った偏見を植え付けたのが、これですね。 -
右下。イエスは「私は善い羊飼いである。
善い羊飼いは羊のために命を捨てる。」と言ったとされています。
「善き羊飼い」の話は、作品3でも扱われていました。 -
上部左の5人の弟子たち。
-
右側の6人の弟子たち。ユダが除かれているので、全部で11人です。
-
中央の天使たち。陶器のような顔には表情が無く、「キリストの昇天」を
物語るには、晴れがましさがないのが気になります。 -
そして上部中央に「昇天したイエス」。
ちゃんと手足に聖痕があります。
イエスの後光が、仏教の舟形光背(こうはい・仏様が背負ってるやつ)
みたいだなと思ってしまう仏教徒です。
そうして見ると、蓮弁の上に立ってる?(雲だけど) -
その雲をアップにすると、赤い部分にも実にみごとな柄が
描き込まれています。 -
「昇天したイエス」の上部は、如何にもゴシックを思わせる
塔のたくさんある建物が描かれています。 -
12.「復活(The Resurrection)」1914年頃クレイトン&ベル工房
「クレイトン&ベル工房」は19世紀末~20世紀初めの
イギリスにおいて最も大規模なステンドグラス工房であり、
多くの聖堂に作品を提供していました。
当時のこの工房の特徴の一つとして、
人間を解剖学的に捉えた絵付けが挙げられます。
特に顔や手足に注目すると、筋肉の流れに沿って
縞状に絵付けが施されていることがわかります。 -
中央上部に、磔にされ息絶えたイエスが、
石棺から立ち上がり、復活する様子が描かれています。
左手に十字架を持ち、右手の3本の指を立てるのはお決まりのポーズ。
ピースサインって、これを真似たのかな?
頭上の天使がイエスを表す「IHC」の看板を持っています。 -
右側上部にはローマ兵士の上に祝福する天使たち。
-
天使たちが何故か可愛くない。
工房の違いでこうなるのかな? -
左側上部も、同様の構図。ローマ兵士たちは皆、寝ています。
-
左下部。「SASA」って何だろう?
-
このパネルの左下には、いくつかの紋章が書き込まれています。
-
右側は、「SCSC」。さて?
僧侶が持つ教会から垂れ下がったリボンに「IONA」とあります。
これはスコットランドのアイオナ島にあったアイオナ修道院を
指していると思われます。
中世前期のキリスト教布教の中心地で、
中世ケルト教会において最も格式の高い修道院でした。 -
下段中央は、鎧姿の騎士の姿。
下部にこのステンドグラスの由緒来歴が書いてあるけど、
ちょっと文字が読めません。 -
足元にドラゴンがいるので、「悪竜退治」で有名な
イングランドの守護聖人聖ゲオルギウスかな? -
13.「富と慈悲 愛と収穫(Wealth and Mercy,Love and Harvest)」
19世紀末~20世紀初 ヒートン・バトラー&バイン工房
「描かれた人々がどちらを向いているかにご注目いただきたい。
或る者はうっとりとした表情を浮かべ、
また或る者は膝をついて祈っていますが、
その視線はいずれも、中央の2枚のパネルの間に注がれています。
この中央2枚の下側に、石段の一部のような物や、
衣服の裾が見られることからも、
本来はこの間に、イエスか聖母などの神聖な存在が描かれたパネルが
もう1枚存在していたと考えられます。 -
左側のパネルです。貧しそうな人々が左斜め上を見上げています。
-
背後に帆船が描かれています。
この人たちは、船に乗ってやって来たのでしょうか。 -
イチオシ
人々の奥に、ラクダを連れた青年がいます。
このラクダが非常に精緻に描かれていて、
人間よりも良く描かれているのではと思ってしまいます。 -
右側です。こちら側の人々は左を向いています。
確かに、4枚のパネルの中央に誰かいたのだとわかります。
一番重要な部分がないのは残念ですが、中心にいたのは誰なのか。
推理する楽しみがあります。
立っていたのか、座っていたのか、何をしていたのか。
ミロのビーナスの失われた腕のように、無いことで、
より一層作品への興味が増すことも芸術作品の中には、ままあります。 -
膝まづく女性の顔は、ちょっと男性っぽくて、
ロセッティの描く女性のようです。
衣服が粗末なことからも、貴族のレディではないことがわかります。 -
また、右側のパネルの背景は山で、その手前はブドウ畑です。
たわわに実ったブドウを収穫している風景が描き込まれています。
キリスト教を最初に国教としたのは、アルメニアやジョージアで、
これらの国では、ワインも最初に作られました。
ジョージアのワインは独特のカラフルな陶器に入っていて、
容器のために買いたくなります。
現在のアルメニアは、イギリスのチャーチル首相がこよなく愛した
コニャック(ブランデー)でも有名です。
キリスト教とお酒は深い関係が続いています。 -
14.「天使の祈り(The Angels’ Prayers)」
19世紀末~20世紀初め
2人の天使が十字架に祈りを捧げていることから、
本作は、追悼の意味を持つ作品であったと考えられます。 -
天使の顔や羽根の描き方が変わりました。
尚一層、絵画に近くなったようです。
個人的には、ステンドグラスらしさが減って来たかなと感じます。 -
天使の衣装は、柄だけでなく、色のグラデーションまで
楽しめるようになっています。
より複雑な色が使われるようになって、絵画的になっています。 -
舌を出した獅子の描写は、もっとアップにすると、
すごいことがわかります。
この作品では、至る所に聖書の言葉が見られ、ヨハネの黙示録からは
「死に至るまで忠実であれ。そうすれば、あなたに命の冠を授けよう」
と象徴的な言葉が書き込まれています。 -
15.「奇跡の行い(Works of Miracle)」1874年頃
左:盲人の治療
イエスが自分の唾液で泥をこね、盲人の目に塗っている。
これは視力の回復と、キリスト教の教えに目を開かせたという
両方の意味を表しています。
右:中風者(動けない病人のこと)の治療
身体を動かせない病人を動けるようにしたイエスの奇跡。
屋根に開けた穴から寝台を吊るして、
地上まで下す様子が描かれています。 -
16.「奇跡の行い(Works of Miracle)」1874年頃
作品番号15の左半分で、全部で4枚のパネルになっています。
左:ラザロという男性は、死んでから4日が経っていました。
イエスが彼に呼び掛けると、包帯を巻かれたままの姿で
棺桶から起き上がってきたと言う。
右:ベトザタの池
ベトザタの池は、奇跡が起こると信じられており、
多くの病に苦しむ人々が集まっていました。
池のほとりで、長い間動くことの出来なかった重病人に、
イエスが「起き上がりなさい」と声を掛けると
病人はすぐに歩き出したという。
「荒唐無稽」そのものの話ですが、世界には、これを信じている人が
想像もつかないくらい多くいるということに驚かされます。 -
18.「悪竜を踏み敷く大天使ミカエル
(St Michael the Archangel Slaying the Dragon)」
19世紀末~20世紀初め
大天使ミカエルは、ステンドグラスに描かれる天使の中で
最も有名な天使であり、お告げの天使聖ガブリエル、
癒しの天使聖ラファエルなどとともに、様々な場面に登場します。
聖ミカエルが踏みつけている悪竜は、キリスト教に敵対する者や、
伝染病、人の悪い心などを表しています。 -
大天使ミカエル。正義の象徴。そんな顔ですね。
ミカエルの名前は、ヘブライ語で「神を名乗るのは誰だ」という意味。
「だれが神に比べられようか、神を名乗る者は私が倒す」として、
ミカエルが神の番人であることを表わしています。
英語でマイケル、ドイツ語でミヒャエル、フランス語でミシェル、
イタリア語でミケーレ。
モン・サン・ミシェルの修道院の天辺に立っている金色の像も
ミカエルです。 -
ミカエルの頭上にいる天使たち。この子たちは可愛いなあ。
羽根が孔雀の羽根のようになりました。 -
17.「十字軍に遠征する聖王ルイ」と、
対の作品だったと考えられます。
美術館に展示されている場所の関係で、前回紹介しましたが、
もう1度載せておきます。 -
「旧高橋倉庫」は、1923(大正12)年、実業家・政治家の
高橋直治により、大豆を収める倉庫として建てられました。
骨組みは木材で、外壁に石を積み上げた「木骨石造」の倉庫は、
防火性や遮熱性に優れ、工期が短く経費も軽減できることなどから、
商業都市として急速に発展した明治時代中期から大正時代の小樽で
多く作られました。
現在も運河沿いに立ち並ぶ倉庫群は、
当時の小樽の繁栄を物語っています。
倉庫内を飾るステンドグラスは、約100年前、
小樽の最盛期と同じころにイギリスで製作され、
教会の窓に嵌められていたものです。
しかし、20世紀後半のイギリスでは、人々の教会離れや
町の再開発などによって、いくつもの教会が取り壊されました。
当館所蔵のステンドグラスは、
そうした教会の窓から取り外され、日本に運ばれて来たものです。」 -
似鳥(ニトリ)が、イギリスのステンドグラスを
集めたきっかけは何だったのでしょう?
ニトリは似鳥昭雄が1972年に設立しました。札幌で育った似鳥氏は、
北海道への支援を続け、コンサドーレ札幌のオーナーにもなっています。
2016年「小樽芸術村」を創設。 -
さあ、1階の作品は見終わりました。
階段を上がって行きましょう。 -
19.「最後の晩餐(The Last Supper)」1901年頃
アラン・バランタイン&ガーディナー工房
絵画やステンドグラスのテーマとして良く取り上げられる
「最後の晩餐」。
イエスが弟子であるユダの裏切りを知っていながら、
そのユダも含めた弟子たちと最後の食事をとる場面です。 -
イエスが「この中に裏切り者がいる」と告げ、
驚いて顔を見合わせる弟子たちの姿が描かれています。 -
右端のパネルの手前の男がユダで、腰には裏切って得た銀貨
30枚を入れた袋を提げています(写真では、袋は写っていません)。 -
「最後の晩餐」で目を惹くのは、
女性のように見えるヨハネではないでしょうか。
12人の弟子たちの中で最年少のヨハネは、
大抵の作品でイエスと反対側に身を倒しています。 -
「最後の晩餐」というテーマで描かれた作品はたくさんあります。
もちろん一番有名なのはレオナルドダヴィンチのものでしょう。
これなら、それぞれが誰だか、検索すればわかります。
しかし、このステンドグラスでは、ユダの位置が違うことから、
他の弟子たちもダヴィンチと同じ位置とは限らず、
人物を特定することは意味がないので、言及しません。 -
えらくハンサムなイエスですね。光輪が、有名な絵皿のよう。
背景の暗い色が、人物を浮き上がらせます。 -
パンはイエスの肉、ぶどう酒はイエスの血と言われます。
このパンをぶどう酒に浸して渡した相手が裏切り者だと
イエスは言いました。 -
20.「善き羊飼い」 19世紀末~20世紀初め
迷子の子羊を肩に担いだ羊飼いの背後に、オオカミが描かれています。
これは、新約聖書に書かれている「オオカミが来るのを見ると
羊を置き去りにして逃げる羊飼いと、
羊のために命をも捨てる善き羊飼い」の部分を元にしています。
羊飼いはイエス、オオカミはキリスト教徒を迫害する者たちや
異教徒を表しています。 -
20.「放蕩息子の帰還」 19世紀末~20世紀初め
ある家に2人の息子がいました。長男は家に残って父を助け、
次男は財産を分けてもらい旅に出ました。
しかし次男は放蕩の末、全財産を失い、反省して家に戻ります。
すると父は喜んで次男を迎えました。
父の下でまじめに働いていた兄は不平を言いますが、
父は「後悔して戻った子は、死んだ子の生き返りに等しい」と
諭しました。
一度はキリスト教の教えから離れた者でも、
悔い改めれば許されることを表しています。 -
21.「種まく人(The Sower)」 19世紀末~20世紀初め
荒れ地に種を蒔いても実りを得るのは難しく、
石だらけの道で枯れてしまったり、
せっかく芽が出ても周りの茨に覆い尽くされてしまったりします。
しかし、良い土地に蒔かれた種からは、多くの実りを得ることが出来ると
イエスは説きました。
これは、言葉を聞いても信じようとしない人を「荒れ地」に、
信じる人を「良い土地」に例えています。 -
21.「善きサマリア人(A Good Samaritan)」
19世紀末~20世紀初め
イエスが、本当の隣人とは誰かを諭した寓話です。
旅の途中で強盗に襲われ大けがをしたユダヤ人を、
通りかかったユダヤ人たちは見て見ぬ振りをしました。
しかし、そこに通りかかったサマリア人(ユダヤ人と敵対関係にあった
民族)が彼を手厚く介抱し、宿屋へ送り届けました。
本作に描かれているのは、サマリア人が自分のロバにユダヤ人を乗せて、
宿屋へ連れて行く場面です。 -
これまでとは違い、全体的に派手な色遣いで、
くっきりとした絵柄になっています。
20.と21.は2つの作品ずつまとめられているので、
同じ番号で2つの作品があります。 -
2階の一部分は、吹き抜けになっていて、
作品8「神とイギリスの栄光」が壁面を飾ります。
今回はここまでです。次回は2階の作品の完結編です。
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