祈り～三陸の鉄道２０１４年春の記録（８）ＪＲ山田線被災運休区間をバスで（宮古―釜石）

2014/04/20 - 2014/04/21

宮古駅からは東日本大震災で被災して運転再開の目途が立っていなかったＪＲ山田線の運休区間（宮古ー釜石）をバスで移動します。
途中の山田町にある道の駅やまだでバスを乗り継いで釜石駅へと向かいました。
海に近いこの区間は震災の爪痕も生々しく残っており、目の当たりにした現実に言葉を失いました。
途中津波の爪痕が生々しく残る旧大槌町役場の無残な姿を見ながら復興途上の道を進みました。
（記事中、津波で被災した建物の写真があります。閲覧に抵抗のある方はご注意ください。）

エリア 山田・大槌(岩手)

２０１４年４月２１日午前８時。宮古駅前。
宮古駅付近は津波被害は免れた様子ですが、ここから少し離れた場所では大きな被害が出たそうです。
宮古駅はＪＲと三陸鉄道北リアス線が乗り入れていますが、駅舎は別々になっています。

宮古駅 駅

震災被害で運転できなくなっていたＪＲ山田線の宮古―釜石間を路線バスで移動します。
岩手県北バスに乗って途中で乗り継ぎます。

岩手県北バス 乗り物

ＪＲ山田線は内陸部の盛岡から沿岸の宮古を通り、そこから海岸線を南下して釜石までを結ぶローカル線です。
２０１１年３月１１日の東日本大震災で被災して一時は全線で運休となりました。
その後盛岡側から順次復旧して震災からおよそ１か月経った２０１１年４月までには盛岡ー宮古間での運転を再開しました。
ですが、沿岸の宮古－釜石　間は訪れた２０１４年４月時点では運転再開の目途が立っていませんでした。

その後２０１９年３月に復興工事が完了した山田線は三陸鉄道に移管され、盛－釜石―宮古―久慈を結ぶ三陸鉄道リアス線として鉄路で結ばれたものの２０１９年１０月の台風１９号で再び寸断の憂き目に遭っています。
２０２０年３月１１日現在でも一部区間で不通となっていますが、
普代ー久慈　２０２０年３月１４日
釜石―陸中山田　２０２０年３月２０日
にそれぞれ運転再開を予定しており、みたび鉄路での復興を果たすことになります。

宮古駅前のバス乗り場。

岩手県北バス山田方面のバス停

岩手県北バスは国道４５号線を南下します。

バスとすれ違い。

桜が咲く学校の横を通って

この当時閉鎖されていたＪＲ山田線津軽石駅の横を通ります。

津軽石駅 駅

ＪＲ山田線の踏切にも「休止中」の文字がありました。

列車が通らなくなって３年。

雑草の生い茂った線路を見ているのがとても悲しく感じられました。

線路と離れて高台の道を行きます。

プレハブの仮建屋だった岩手県立山田病院。

下り坂になって山田湾が近づくと「津波浸水区間」の表示が見られました。

旧山田病院。
１階が浸水し、しばらく２階で仮診療を続けた後、先ほどの写真の仮建屋へ移ったそうです。
その後２０１６年に高台に再建されと報じられています。

山田町。
津波の爪跡が生々しい建物。

この集合住宅も。窓ガラスが。

山田湾沿いを行きます。

被害の大きい建物。

あちらこちらで復興工事が行われていました。

バス停のすぐ近くに堤防が。

道の駅やまだに着きました。
ここでバスを乗り継ぎます。

道の駅 やまだ 道の駅

道の駅で売られていたお土産を買いました。
岩手銘菓「かもめの玉子」（ミニだけど）→これ、かなりおいしいので以前から大好きです。
「がんばってます山田町」の文字に心を打たれました。

道の駅やまだからは岩手県交通の路線バスに乗り換えて釜石へ向かいます。

路線バス (岩手県交通) 乗り物

津波被害の痕跡が残る場所を通って行きます。

こんな風に更地になってしまった場所もまだまだ多くありました。

大槌町
津波で壊滅的な被害を受けたと報じられました。

バス停の名前に「旧」が付いていることに心が痛みます。

津波被害に遭った大槌町役場旧庁舎跡。

震災対策のために庁舎に残った当時の町長と職員の方４０名が尊い命を落とされたそうです。

きっと、人々の暮らしがあったであろうこの場所も・・・・・

しばらく進むとプレハブで営業しているコンビニがありました。
頭の中ではこんなことも想像していましたが、実際に目の前に見るのとは違います。
２１世紀の日本で、目の前に現実を突き付けられた気がしました。

窓のない民家。

運休となっていたＪＲ山田線の線路に出会いました。

ガード下をくぐるとき、この線路に再び列車が通る日がいつ来るのだろうか？と悲しい気持ちになりました。
（訪れた２０１４年時点では運転再開の目途が立っていませんでした）

沿道には数えきれない数の重機が。

写真ではわかりづらいですが左の看板には
「津波から守ろう　水海防潮堤」と書かれていました。

釜石の市街地に入ってもまだ、こんな光景が見られました。

甲子川沿いに咲く桜の花を見て少しだけホッとした気持ちになりました。

希望につながって欲しい！

釜石駅前に着きました。

釜石駅 駅

駅舎は震災での倒壊は免れたそうです。

★★
多くの人々の命を、生活を奪った未曽有の大災害。
決して忘れてはならないと肝に銘じます。
志半ばで旅立って逝った方々へのせめてもの鎮魂のためにも。

いま、命を与えられている奇跡に感謝し
いま、できる小さなことから始める。
それが命を与えられて、いま、ここにいる者としての務めだと心に刻みます。

２０２０年のいま、また新型コロナウィルスの災禍が日本を、世界を襲っています。
マスクの高値転売などの「自分さえよければ」の許しがたい行いをする者がいる一方で、医療や人々の支援に携わる多くの方々には頭が下がります。

いま、どうすればいいのか、賢く考えて行動しなければ、と肝に銘じます。
すぐに大切なことを忘れてしまう自分自身への戒めです。


相次ぐ災害で犠牲になられた方のご冥福をお祈り申し上げます。
被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
一日も早く日常の生活を取り戻すことを願っています。


（つづく）