祈り～三陸の鉄道２０１４年春の記録（９）希望・全線再開した三陸鉄道南リアス線（釜石ー盛）

2014/04/20 - 2014/04/21

三陸鉄道南リアス線（当時）は岩手県の釜石市から岩手県大船渡市の盛（さかり）駅を結ぶ路線でした。
東日本大震災によって全線で運休となった後、２０１４年４月に全線で運転再開を果たしました。
途中の駅、恋し浜では停車時間を取るなどの観光にも力を入れています。
運転再開して釜石とつながったばかりの吉浜駅では子供たちが旗を振って列車を歓迎してくれました。
沿線の運転再開への期待がひしひしと感じられるとともに、希望の光を見出しました。

エリア 釜石(岩手)

三陸鉄道の釜石駅はＪＲ釜石線の駅舎のすぐ隣にあります。

釜石駅 駅

駅の中ではさんてつグッズも販売していました。

三陸鉄道南リアス線は震災で全線で運休となりましたが、震災からおよそ２年後の２０１３年４月に盛－吉浜　間で運転を再開しました。
北リアス線の全線再開より１日早い２０１４年４月５日、吉浜－釜石　間も復興し全線での運転再開を果たしています。　
訪れたのは運転再開のおよそ２週間後の２０１４年４月２１日でした。

車両の前のエンブレムは三陸鉄道復興にあたって多くの支援をしてくれた中東のクウェートへの感謝を表すものです。
遠く離れた国にまで広がる支援の輪に光を見出します。

釜石駅に停車中の盛行き。
「祝　三陸鉄道　全線復旧」のヘッドマークが誇らしげに。

この当時はＪＲ山田線の釜石から北の宮古まではいまだ不通区間となっていました。
その後２０１９年３月に復興工事が完了した山田線は三陸鉄道に移管され、盛－釜石―宮古―久慈を結ぶ三陸鉄道リアス線として鉄路で結ばれたものの２０１９年１０月の台風１９号で再び寸断の憂き目に遭っています。
２０２０年３月１２日現在でも一部区間で不通となっていますが、
普代ー久慈　２０２０年３月１４日
釜石―陸中山田　２０２０年３月２０日
に運転再開を果たす予定となっています。

１両のディーゼルカーに乗りこみます。

ボックスシート主体の車内は出発時点でも４～５人と寂しい乗客数でした。

釜石駅を出発。

釜石駅を発車するとすぐに美しい桜
右はＪＲ釜石線。

甲子川を渡って。

まだまだ復興途上だった釜石市街。

次の平田（へいた）駅。

平田駅 (岩手県) 駅

駅の前には平田小学校。
子供たちには試練に負けずにスクスクと育ってほしいと心から思います。
子供が育っていく未来が明るい未来でありますように。わたしたち大人が支えていく必要があることを痛感します。

長いトンネルを抜けた先の光に希望を見出しながら。

唐丹（とうに）付近。

吉浜駅
釜石からここまでが訪れた2週間ほど前に運転再開した区間です。

吉浜駅 駅

駅のホームではお母さんたちに連れられた子供たちが運転再開を祝ってくれていました。
子供たちの元気な姿を見ていたらこちらまで元気をもらうことができました。

桜の花も喜んでいました。

復興工事が各所で。

次の三陸駅にもお祝いの横断幕。

多くの方が待ち望み希望をつないだであろうことがひしひしと伝わって来ます。

お祝いの光景と津波の爪痕の生々しい光景を交互に見せられるとものすごく複雑な気持ちになります。
でもこれがまぎれもない現実です。

それでも決して後ろ向きではなく。
逆に被災地の看板に勇気づけられている自分がいました。
「次世代へつなげ。」「花咲く笑顔」ってなんて素敵な！

”恋愛のパワースポット”として有名になった恋し浜駅
元は小石浜だった駅名を２００９年に改称したものです。

恋し浜駅 駅

ここにも桜の花。

列車はこの駅でしばしの停車時間を取ってくれます。

この地区で取れるホタテの貝殻を絵馬にして人々の願いを受け止めています。
この地区のホタテも震災と津波で大きな被害を受けたそうですが、いち早く養殖再開に取り組んだ、と先日のテレビ番組「ブラタモリ」で知りました。

小石浜（恋し浜）駅は三陸鉄道開業当時にはなかった駅で１９８５年にあらたに作られた駅だそうです。

そのためカーブの途中のカント（簡単に言えばカーブ通過時の遠心力を緩和するために外側の線路を少し高くする）を設けているため、停車中の車両が傾いています。
（これも先日のブラタモリで紹介されてあらためて写真を見てなるほどと、気づきました）

幸せの鐘と天使の透かし彫り。
訪れた時にはなかったのですが、その後駅の前に恋し浜ポストが設置され、ここで投函すると願いが叶うとされています。
一人でも多くの方が三陸鉄道に訪れることが大きな応援になりますね。

綾里駅（りょうりえき）。

綾里駅 駅

陸前赤崎駅。

陸前赤崎駅 駅

またまた桜。

終点、盛（さかり）駅に到着しました。

★★
なんにもできないわたしが、この地に足を踏み入れるなんて迷惑で不謹慎なことだと思ってしばらくは行くことができませんでした。まして「旅」で訪れるなんてと。

震災直後の混乱期はそうだったかも知れませんが。
震災から時間も過ぎてテレビの震災関連番組でも繰り返し語られていたのが、とにかく訪れてほしい、物見遊山でもいいから、ということでした。
なんにもできなくてもとにかく行ってみる。ほんの一部でもいいからこの目で見て、感じる。
実際に訪れたことでたくさんのことを考えるきっかけになりました。
経営が厳しいと言われる三陸鉄道に多くの方が乗りに来られたらきっとひとつの応援になるのでは、と思います。

この場所を訪れることができたことに感謝しています。
そしてまだまだ訪れるべき場所がたくさんある、と思っています。

（つづく）

盛駅 駅