2019/10/29 - 2019/10/29
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さっとん姉さん
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今回のミャンマーへの旅の終盤に、ロイコーを再訪した。
山登りの業界では、ピークハンターという言葉がある。深田久弥氏の日本百名山などを、一つ一つ虱潰しに登っていくやり方である。
三十歳台を中心に山登りをしていた私には、このやり方は合わなかった。
私は、どちらかというと、気に入った山を何度も繰り返し登るリピーター・タイプである。
旅も同じで、三か月前に訪れたロイコーをどうしてももう一度訪れたくなった。
デンマークの哲学者ゼーレン・キェルケゴールに言わせると、人生は「反復」だそうである。
私はまさにその反復を繰り返しつつ、齢を重ねてきた。
さてさて、今回のロイコー再訪も、どういうことになりますやら。
サブタイトルは、乃木坂46の2014年後半、生田センター曲へのオマージュである。
(斉藤飛鳥>ミャンマーつながりも。)
前回のロイコー滞在中に、やり残した事がたくさんあった。
前回の旅は、日本のガイドブックにまったく情報が載っていないロイコーという都市に四泊し、手探りであれこれトライしてみたといったところ。
情報不足ゆえ、自分が望んでいたような手応えを得られたとは言い難い。
最大の心残りは、CBTプログラムにアクセスできなかったこと。
CBTプログラムとは何か?
☆☆☆以下、板坂真季氏のweb上の署名記事からの引用。長くてすみません。☆☆☆
《2018年から外国人の自由訪問がOKに》
内戦状態にあったカヤー州は停戦実現後もしばらくは観光客の立ち入りを禁止していましたが、2014年に解禁。それを機に、ミャンマーで人気が出たのがカヤン族村を巡るツアーでした。タイにあるような作り物ではない、彼らが長年暮らしてきた村を訪れる旅です。拠点となるのはカヤン州の州都ロイコーで、ここからカヤン族が住むパンペット村へは車で40分ほどで行けます。実は2014年以降も外国人が訪問するには前日までに関係機関の許可を取る必要があったのですが、それも2018年1月から不要になりました。
《観光収益を住民に還元するCBTに指定》
村の開放に伴い、(ミャンマー)政府はパンペット村を「Community Based Tourism/CBT」の対象地域に指定。村の文化や自然を観光資源として活用し、その利益が住民たちの手に渡るようにしようという試みです。現在、観光客は一定の観光料を村へ支払い、CBTへ参加する家庭は機織りや農作業といった「観光パフォーマンス」で観光客をもてなし、対価を村から受け取る仕組みができています。まだまだ始まったばかりですが、土産物店が集う広場やカヤン族料理レストランなどが整備されるなど、日々進化を遂げています。
(https://www.ab-road.net/asia/myanmar/inle_lake/guide/16143.html から引用)
おわかりいただけたであろうか?
私が、タイでもラオスでも追い求めていたのは、このようなプログラムなのである。
CBTの詳細及び「3K村」(Kは村に暮らす民族の名称をアルファベット表記した際の頭文字)については、このあとの旅行記本体をとくとご覧あれ。
【今回の旅程】
バンコク
↓
メーソート
↓ ☆ミャンマー入国☆
ミャワディ 1泊
↓
パアン 4泊
↓
ヤンゴン 1泊
↓
ピイ 3泊
↓
ヤンゴン 1泊
↓
ロイコー 4泊 ~この旅行記~
↓
ヤンゴン 1泊
↓ ☆ミャンマー出国☆
バンコク
(2019.11.14加筆)
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【10月29日(火)ロイコー2日目、ツアー初日、二つの村へ】
午前03時30分起床。まあまあよく寝られた方である。
せっかく早起きしたので、早朝の散歩をしてみることにする。前回は考えもしなかったことだが。 -
ナワディホテルから歩いて3分のロータリーに建つ時計塔。
-
前回最初に歩いたコースをたどり、時計塔からミョーナン・パヤーMyo Nan Pagodaとモスクを見学し、橋を渡ってゆっくり戻って来た。
-
前回の滞在中、スコールに会い、このモスクで雨宿りをした。
-
☆☆☆工事中の橋の近くは野犬の溜まり場になっている。☆☆☆
今朝の散歩は30分ぐらいしかかからなかった。
早朝のパヤーの中で仏像に向かって一生懸命に祈りを捧げている地元の人々の姿がとても印象的であった。 -
☆☆☆朝の食堂。☆☆☆
午前07時から三階のルーフトップの食堂で朝食。ミャンマー人の先客が10人くらいいた。 -
宿泊客が多かったせいか、ビュッフェ形式であった。
前回滞在時の朝食の内容と重なるものがある。ここの料理が美味しいことを思い出した。
三角の揚げ豆腐、ミャンマー独特のバナナ、芽が出かかった大豆を蒸したものなど。何となく懐かしい味。モヒンガーが美味しかった。 -
☆☆☆二日間ともこの車で移動。20年前くらいに流行ったトヨタ車。☆☆☆
午前08時00分にピックアップしてもらう約束だったので、10分前に廊下に出て外の様子を見ていた。
ガイドらしき女性がホテルに入って来るのが見えた。下りて行くと、その女性と玄関先で鉢合わせした 。
今日のツアーの女性ガイドMs.ウェイであった。ドライバーのMr.ポボとも挨拶し、07時55分出発。 -
☆☆☆左がMs.ウェイ、右がMr.ポボ。☆☆☆
Ms.ウェイの印象は、最初はややとっつきにくい感じであったが、今日一緒に過ごすうちに割と気さくで気立ての良い女性であることがだんだん分かった。
年齢は23歳。デモソ出身。ガイドの仕事をすでに二年間しているそうだ。
日本人のガイドをするのは私が初めてだということで、何か嬉しそうであった。気のせい? -
☆☆☆Ngwe Taungの市場。☆☆☆
ロイコーの市街地を出る直前に、橋のたもとにあるロイコー市街で一番大きな市場の前を通った。
有名なデモソの市場のことを尋ねたついでに、彼女からデモソの手前の別の街の市場は今日開かれているので寄って行かないか、という提案があった。 -
☆☆☆カエルの干物。ラオスやタイ北部でもポピュラーな食材のようである。☆☆☆
Ngwe Taungという街のようだ。市場は私から見るとかなり大きな規模であるが、デモソはもっとずっと大きいと彼女は言う。
いろいろな面白い食材が売られていた。
Ms.ウェイがつまみ食いみたいに平気で店頭の食材をヒョイと一つまみ口に入れるのが面白かった。 -
デモソ市街の手前にあるNgwe Taung Dam(正確にはダム湖)で停車。
前回のロイコー滞在時に、ここに寄ることをドライバーさんから提案されたことに私が気がつかず、通り過ぎてしまった場所である。
エレファント・ライディングをやっていた。やや小さ目の象が二頭土手の上にいた。Ms.ウェイは象が苦手なのか、かなり怖がっていた。
昨日もう一軒の旅行会社で見かけた日本のおねい様二人組がここにいた。別の旅行会社のツアーで来ているようである。 -
湖の土手下に売店が何軒か出ていて、カヤン族の女性の店もあった。声をかけると快く写真を撮らせてくれた。何か買ってあげればよかった。
-
三か月前にも通った道を進み、車はパンペット村へ向かった。途中三箇所あったチェックポイントのことは、よく覚えていた。
幹線道路を少し外れたパンペットの市場(前回はここに立ち寄った)の横を通り過ぎ、どんどん奥へと進んで行く。
前回一番奥まで入った広場の辺りを通過し、さらに奥の方へと車は進んで行く。
Ms.ウェイの話では、パンペットには全部で五つの集落があると言う。そのうちの三番目の集落(サローンガナッという名称)で車は停まった。 -
この集落では、二軒のカヤンの家に立ち寄らせてもらった。
最初の家は、80歳台のお婆さんが切り盛りしていた。 -
☆☆☆臼と杵を用いた脱穀作業。☆☆☆
足を怪我している娘さんと二人暮らしだということである。
我々を歓迎してくれて、湯を沸かしてライス・ワインの準備を始めてくれた。 -
私ももう一本の杵を持たせてもらい、短い時間であるが、お婆さんと一緒に脱穀した。
-
ところが、その後から別の団体客がやって来た。Ms.ウェイは、機転を利かせて別の家へ私を誘導した。
※ 私の想像であるが、この集落で観光客を受け入れているカヤンの女性の家はごく少数であると考えられる。そのため、特定の家に観光客が集中するのであろう。CBTの特徴の一端が垣間見える。 -
二軒目は60歳台のお婆さんの家である。
ここでも私たちをとても歓迎してくれた。 -
壁にはたくさんの写真が貼られている。
この女性はかなり有名なカヤンのようだ。
私も、webで拝見した記憶がある。 -
家の奥に蓄えられた瓶入りのライス・ワイン。
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この家のライス・ワインを飲ませてくれた。私は初めて味わう。
日本のどぶろくのようなものを想像していたが、もっとすっきりしていて飲みやすい。ライス・ワインと呼ばれる理由がよくわかる。 -
お婆さんは、私たちのために楽器を演奏してくれた。
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二軒目に立ち寄った家。
私たちが帰る時、お婆さんが手を振ってくれた。 -
車でパンペット村の入り口の市場(土産物屋が集合している)から数えて二つ目の集落へ戻り、もう一軒、土産物屋のスペースがある家に立ち寄った。
ここのお婆さんもとても気さくで、私たちを歓迎してくれた。 -
☆☆☆お婆さんはこの葉っぱで上手に笛を吹いてくれた。☆☆☆
彼女は、約20年前の混乱の最中、家族とともに一時タイ側へ逃げていたことがあるという。
6か月ぐらいタイ側に留まって、またこちらへ戻ってきたとのことである。
私は、今年の6月にタイのメーホンソーン滞在中に訪れた同じカヤン族(タイ側の呼称ではパドゥン・カレン族)のナム・ピアン・ディン村に暮らしている80歳台の女性の写真※を見てもらった。
※私の最初のメーホンソーン旅行記を参照。
ひょっとしたら知り合いではないかと思ったのであるが、彼女は知らないと言っていた。 -
☆☆☆右側はMs.ウェイ。☆☆☆
彼女も、楽器を演奏してくれた。 -
この女性も、有名なカヤンのようである。
-
☆☆☆大きな商店の奥の部屋で食事をいただいた。☆☆☆
この後三つ目の集落※へ戻り、Ms.ウェイと共に昼食を取った。
調理をしてくれた女性を紹介された。彼女は支援プログラムで外国人ゲスト向けの料理をするトレーニングを受けたそうだ。
※この日のツアー終了後に、ここがサロンガナッと呼ばれる集落であることを確認できた。 -
☆☆☆出された料理はミャンマースタイルのカレー。ヤンゴンの街中などの食堂の料理とほとんど同じである。☆☆☆
三軒目の家に寄っている時からスコールが始まった。
食事中は一時小止みになっていたが、その後雨は降ったり止んだりを繰り返した。 -
12時を過ぎ、次のカヤー族の村へ車は進んで行った。少し長目の移動だったので、不覚にも私は少しうとうとしてしまった。
12時25分カヤー族が暮らすタニーラーレHtay Nee La Leh村に到着した。 -
三か月前にも私はツアー初日にカヤー族の村に来ている。
私は、てっきり別の村へ来たものだと思い込んでいた。この後、事実が明らかになる。
最初に休憩所のようなところに案内された。お茶を出してくれた。
どうやらここで、案内役としてこの村の女性ガイドをMs.ウェイが依頼したようである。
三か月前の時は、そのような手続きを取らなかったので、私はぼんやりしていた。 -
この村のCBTプログラムについてのイラスト入りの解説ボード。
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次に連れて行かれた一軒の家では、カヤー族の民族衣装を身にまとった高齢の女性が出迎えてくれた。
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彼女は、かなり長い時間に亘って、竹の筒に弦を張った民族楽器を演奏してくれた。
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さらに、私たち旅行者にも同じように演奏するよう勧めてくれた。
私も隣に座って演奏させてもらった。 -
実は、前回のロイコー滞在中に私はこの女性にこの村で会っているのだが、家の中の雰囲気がまるで違う。
彼女の家にいる時、少し後から欧米人の二人の観光客を案内して、前回私が二日間のツアーのドライバー兼ガイドをしてもらったMr.ペブトゥが現れた。
彼の方が先に気がついて私に声をかけてきた。私は一瞬で事情を理解した。
おそらく次のような事情であろう。
カヤー族の伝統衣装を今やきちんと着ることができる高齢者は非常に少なく、この女性がこの村の唯一の存在ということなのであろう。
Mr.ペブトゥは、前回(私を案内した時)も今回も、おそらくCBTプログラムを通さず、直接ゲストをここへ案内して来たのだと思われる。彼の傍らにガイド役の人物が見当たらなかったからである。 -
☆☆☆家の軒に魔除けのための鶏の骨が取り付けられている。Ms.ウェイによると、カヤー族にとってとても重要な習慣とのこと。☆☆☆
このお婆さんの家を後にした後、ガイドの女性に連れられて、 私、Ms.ウェイ、Mr.ポボの三人は、村のはずれにあるカヤー族の聖なる場所へ連れて行かれた。 -
途中、ガイドの女性とMs.ウェイが、どこかの家の敷地に二回も勝手に入り込んで大きな蜜柑(緑色だった)を一人数個ずつ勝手にもぎ取っていた。
そして、後で皮を剥いてムシャムシャ食べていた。
Mr.ポボも、彼女たちから渡された蜜柑を食べていた。
日本であれば、窃盗罪でアウトである。 -
☆☆☆聖なる場所。☆☆☆
聖なる場所は、動物の頭骨などを生贄に捧げ、狩りの成功や農作物の豊作などを祈る場所のようであった。
ここを囲んで村人が総出でお祭りをするという説明であった。 -
山羊くらいの動物の頭骨などが散乱している。
-
☆☆☆聖なる場所は、田畑と村の境界にあった。☆☆☆
最後に再び最初の休憩所へ戻ってきた。
Ms.ウェイがガイドの女性にお金を支払っているのを見て、私はCBTの仕組みをかなり理解できた。 -
☆☆☆カヤーのトーテムポール。右端に写っているのがガイドの女性。手に蜜柑を持っている。☆☆☆
この村での滞在は、午前中のパンペットと比べるとやや物足りない気がしたものの、手応えは十分あったと思う。
(前回は、膝下に装着するカヤー族独特のリングを作る過程をお婆さんに見せて貰った。) -
☆☆☆ロイコー市街へ戻る途中、雨脚が強くなった。☆☆☆
今日の二つの村巡りは、結果的には前回のロイコー滞在時の二日間に及ぶツアー初日の「おさらい」をしたような内容であった。
しかし、CBTプログラムを通して村の家々を訪れることで、私が考える《観光客としての好ましいスタイルでの山岳民族の村への訪問》が実現できたと思う。私はかなり満足していた。
休憩所にいる時、Ms.ウェイから明日のツアーについてのプロモーションがあった。
今朝の車の中で私は、明日は休養日にすると言っていたので、Ms.ウェイは私の体調を気遣ってくれた。
私は、「大丈夫。明日もツアーに行きたい。」と考えを改めた。
もう一つの「リアルな村」(Ms.ウェイの言葉)として、カヨー族の村がお勧めだという。
ロイコー市街から車で片道3時間かかるが、行くだけの価値はあるとのことである。
Ms.ウェイのスマホで写真などを見せられた。 -
この後のツアーの行き先として、3か月前に訪れたリス族の村を再訪することぐらいしか私には思いつかなかったので、彼女の提案に乗ることにした。
Ms.ウェイは、「今日はカヤンとカヤーの村を訪れ、明日はカヨーの村へ行く。あなたは、今日と明日で3Kの村へ行く。」と言った。
この旅行記の表題の3Kは、これに因んでいる。
13時35分に出発。村を出る頃から再び雨足が激しくなった。しばらくすると直ぐに雨は止んだ。
14時20分ホテルに到着。予想よりかなり早く戻って来た。 -
☆☆☆旅行会社へ向かう途中、工事中の橋の近くに停まっていた小型ソンテオ。 日本でこの軽トラに乗っていた人物は、どこぞかの峠でドリフトをカマしていたのであろうか?☆☆☆
15時前に一度外出。旅行会社Amazing Kayah Travel and Toursへ直行した。女将さんがいた。
Ms.ウェイからプロモーションがあったことを伝え、明日のカヨー族の村へのツアーの申し込みをした。料金は150ドル(約16,640円)である。
今日と同じガイドとドライバーをリクエストした。
ビールと水を買って部屋に戻った。
またしても夕方ベッドの上でうたた寝してしまった。目が覚めたら18時半を過ぎていた。
一時間半くらい寝ていたらしい。すぐに外出する。 -
昨日入った店の手前にあるThazin Restaurantという食堂に入る。ダゴン・ビールのドラフトがあった。2杯飲んだ。
料理は、鶏肉のカシューナッツ炒めを注文。
まあまあ美味しいが、やはり量が多い。ミャンマーの食堂あるある。 -
みゃあみゃあと私の足元にまとわりつく猫に、鶏肉の切れ端を何度か与える。
お通しとして、スライスしたトマトに砂糖が軽くふってあるものが出てきた。トマトと砂糖の取り合わせは、ちょっと新鮮かも。
【2日目、了】
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