2019/01/13 - 2019/01/13
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しにあの旅人さん
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前回まで、日本書紀の記述に従い、外房、内房のヤマトタケルを祀る神社、古代の旅人のたすけになっであろう古い神社を訪ねてきました。内陸にある神社も、やがて長狭国葦浦、現在の安房鴨川市江美吉浦に続く道と考えてきました。
しかし千葉県には、どうみても長狭国葦浦に合流するとは思えない路沿いに、ヤマトタケルを祀る神社が数多くあります。
今回はそのうち、木更津から茂原まで房総半島を横断する、現在の国道409号沿線にある神社を訪ねます。
木更津周辺、上総牛久周辺、茂原近郊です。現在の409号線は茂原で128号線と合流します。古代の路もほぼこの道筋でしょう。橘樹神社に向かいます。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 自家用車
-
恐縮ですが、これまでの詳細は以下をご覧になってください。
「日本書紀編その一、房総海の路序章」
https://4travel.jp/travelogue/11418839
「日本書紀編その二、房総海の路・ヤマトタケルを祀る神社」
https://4travel.jp/travelogue/11423588
「日本書紀編その三、房総海の路・式内社-安房国から長狭国葦浦まで」
https://4travel.jp/travelogue/11423588
「日本書紀編その四、房総陸の路・熱田神社、下立松原神社」
https://4travel.jp/travelogue/11428536
「日本書紀編その五、房総陸の路・長狭街道、高蔵神社、大井神社」
https://4travel.jp/travelogue/11431129
「日本書紀編その六、房総陸の路・莫越山神社2社」
https://4travel.jp/travelogue/11433245
「日本書紀編その七、房総玉浦、陸路か海路か」
https://4travel.jp/travelogue/11439092
「日本書紀編その八、房総玉浦、瀧口神社、玉前神社、橘樹神社」
https://4travel.jp/travelogue/11442651 -
木更津周辺の神社です。
木更津にはヤマトタケルや弟橘姫に関する伝説が多くあります。しかし日本書紀、古事記には、走水での嵐のあと木更津にヤマトタケルが漂着したという記述はありません。古事記には入水した弟橘姫の櫛が7日後に海辺に流れ着いたと書いてありますが、場所は書いてありません。
私たちは、ヤマトタケルとは一人ではなく、5世紀末から7世紀にかけて、房総を旅した古代の多くのますらをの物語であると思っています。旅人の記憶、伝承が各地に残り、祠のようなものに祀られていたのではないか。当初祀られていたのはヤマトタケルではありません。
720年の日本書紀の成立後、房総の人々はこの地を旅した英雄の名を見いだし、祠の祭神をヤマトタケルの名に変えた。あるいは土地の伝承に基づいて、ヤマトタケルの名を冠する神社を創建した。
これが私たちの想像です。 -
八剱八幡神社。
木更津の駅のすぐ近くに鎮座します。木更津は内房の中規模都市ですが、そのど真ん中でした。 -
お参りしたのは2018年10月11日でした。七五三のお参りの家族がいました。本来は11月15日のはずですが、ちょっと気の早いお参りでした。
-
工事中でした。
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ご祭神
誉田別命(ほんだわけのみこと(應神天皇))
息長足姫命(おきながたらしひめのみこと(神功皇后))
足仲彦命(たらしなかつひこのみこと(仲哀天皇))
素盞鳴命(すさのおのみこと)
日本武尊(やまとたけるのみこと)
社伝によれば創建は景行天皇40年となっていますが、これは西暦110年ですから、この年代が史実とは考えられません。しかし同社伝は「往昔このあたり一帯の地を八剱の里と呼び、この里の神を八剱の神と称え、この神に仕えるはふりを八剱と申したと伝えられております」
古くからこの地に祀られていたのは土地の産土神(うぶすなかみ)です。
それがヤマトタケルの記憶なのでしょうか。
八幡神社として応神天皇を祀ったのは後世であるということです。
実際の創建年代は不明ですが、歴史文献上、鎌倉時代初期には存在が確認されているようです。 -
高柳八幡神社。
木更津の、アクアライン連絡道のすぐ近く、木更津よりにあります。町と田園風景の混ざり合ったところでした。 -
掲示板に貼ってあった由緒を無理して撮影してきました。村または町の神社ですが、もり立てようという地元の方の熱意が感じられました。この規模の神社では、由緒もご祭神も境内にはなにも書かれてないことが多いのです。
八剱八幡神社の兼務社です。創建年代は不明。
ご祭神は、
譽田別尊(ほんだわけのみこと)
伊豫親王(いよしんのう)
日本武尊(やまとたけるのみこと)
吉備眞備(きびのまきび)
橘逸勢(たちばなのはやなり)
火雷天神(ほいかずちのあめのかみ) -
神明神社。
高柳八幡の兼務社。創建年代不詳。 -
同神社のホームページによれば「住民が日本武尊・景行天皇を慕って祀ったものである」
ご祭神は、
天照皇大神(あまてらすおおみかみ)
日本武尊(やまとたけるのみこと)
景行天皇(けいこうてんのう) -
比較的広い境内です。夏休みなど、地域の方々が毎朝ラジオ体操をやっていそうな感じです。
-
吾妻神社。
陸上自衛隊木更津駐屯地の正面、神明神社のすぐ近くです。 -
八剱八幡神社兼務社。
創建年代不明。 -
境内の由緒書。
ヤマトタケルを直接祀る神社ではありませんが、木更津と切り離せない弟橘姫を祀ります。 -
鏡池。
-
鏡池の伝説です。もとより記紀に裏付けとなる記述はありません。しかしこうした伝説をあちこちに残す魅力が、ヤマトタケルと弟橘姫にはあるのです。
私たちもまた、その伝説のあとの神社をこうして訪ねています。魅力は現在もまだ衰えていません。 -
小湊鐵道上総牛久駅、茂原周辺の神社です。上総牛久は木更津から直線約20キロ、409号で約22.5キロです。茂原までは直線約10キロ、409号で約16キロです。
木更津の神社は、ヤマトタケル房総上陸地に近いので、書紀が語る内房、外房経由の路の出発点と、考えることは可能です。しかし、上総牛久の周辺の神社は、この回の冒頭で述べた、どうみても長狭国葦浦に合流するとは思えない路沿いにある神社です。
現在の木更津から茂原に続く、房総半島を中央部で、内房から外房に横断する古代の路の存在を想像させます。409号線は、現在別名房総横断道路といいます。 -
御嶽(みたけ)神社。
車1台がやっと通れる集落のはずれにありました。車載のカーナビははやばやとお手上げ、グーグルマップのカーナビでもたどり着けない。諦めかけたとき、やっと鳥居を見つけました。 -
扁額もなにもありません。
-
由緒も、ご祭神を示すものはなにもなし。
千葉県神社庁のHPによれば、
ご祭神、
日本武尊(やまとたけるのみこと)
とあるだけです。創建年代、由緒不明です。 -
荒れたお社でした。
-
これは何なのでしょう。
-
鬼気迫るものがありました。
なにか奇妙なものを連れて帰りそうで、長くいたくない。 -
2018年10月11日に訪れたときは、これが荒沢神社だと思って帰ってきました。しかしその後荒沢神社はこの建物からさらに山路を登ったところにあることが分かりました。この建物は太子堂というお寺でした。
2019年1月13日再訪しました。 -
太子堂の右横に山路の入り口がありました。
-
山路を登ります。
-
見えてきました。
-
本殿。
千葉県神社庁によれば、
ご祭神、
日本武尊(やまとたけるのみこと)
それ以外は創建年代その他詳細不明です。 -
真新しいしめ縄でした。見守る人はいるのです。
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正面から降りる階段がありました。
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石段は不揃いで、崩れかけています。
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これが正面参道でした。小さな集落につながっていました。
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小さな墓地が隣接し、
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台座と擬宝珠だけになった墓石がありました。でもお花が供えられていました。
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太いサルスベリが枯れ始めていました。
-
左から二つ目の石碑には「聖徳太子」と刻まれていました。だからこのお寺は太子堂なのですね。でももうほとんど読めません。
-
太子堂前の台地より、国道409号が見えます。それほど遠くありません。
荒れた、小さな神社でしたが、何故か心に残るものがありました。
かつては村の鎮守様として、人々に親しまれてきたのでしょう。千葉県神社庁、その前身の神社を束ねる組織の台帳に、「祭神 日本武尊」と記されてはいたでしょうが、もしかすると、村人はご祭神がヤマトタケルであることを知らなかったかもしれません。荒沢様などと呼ばれていたかもしれません。
このあたりはバブルのころの開発の波に乗り損ねました。過疎化が進んでいるようです。
ヤマトタケルの記憶が途絶える日が来るのは、そう遠いことでないかもしれません。
☆☆☆
10月ナビでたどり着いたのは太子堂でした。周囲はくねくね山路で尋ねようにも人がいない。どうしようもなく、目につくあぜ道を上ったり下ったり。人家はあるのです。が、人がいない。
と、とある農家の庭に人影が見えます。早速行ってみます。生け垣に囲まれた庭先で、手ぬぐいで姉さんかぶりの人が何かの実を選別しているようでした。声をかけても顔もあげてくれません。ぐんぐん近づいてぐんぐん声は大きくなります。なんてったって、他に尋ねる人もいないのですから。幸いにもおばあさんは入り口に近い所で作業中でしたので傍らまで行き、驚かさないように、丁重に声をかけます。やっと顔を上げたおばあさん、「まあまあ、気がつかなくて・・・耳が遠いもんでね」とにこやか。
「わたしも、もう年だから、ナーンモわからなくて。私いくつに見える?」
なんだか話し相手を見つけて嬉しそう。
さあ? 髪も黒いし顔つやもいいし。
「わたし、もうすぐ百よ」どうだ!という表情。
すごいですね、お若いですね。お元気ですね-。と本気で感心してしまった。
それで荒沢神社の場所を聞きます。
「昔はあったんだけどね」「昔はお祭りもにぎやかにあったよ」
今は太子堂しかないんです。と告げても別に寂しくもなさそうに、
「耳も遠いし、年とったら何の役にもたたん」
おばあさんはザルに入った黄色の実を選びながら淡々と話します。
黄色い実はミラベルという、フランスではよく見る果実です。プラムの一種で、桜のような花が咲き、秋に親指と人差し指で作った輪くらいの、黄色い実が甘くて、生でも食べるし、タルトにして食べるものです。
果物好きの母が柿やミカンと共に植えて、母の晩年にやっと実をつけるようになっていました。
母も生きていたら・・・なんて考えてしまう、あたたかな秋の日でした。
翌年再訪したときは違う道から行ったので、そのお宅のご様子はそれっきりです。
おばあさんお元気ですか、神社はありましたよ。
☆☆☆ -
淡洲(あわのす)神社。
-
ご祭神、
日本武尊(やまとたけるのみこと)
この神社も、千葉県神社庁の資料でも、創建時期、詳細不明です。
平地で、周囲には新しい住宅地もありました。上総牛久の駅から車で1.5キロくらいの距離です。ここから直線で1.5キロ離れただけの荒沢神社とはずいぶん雰囲気が違います。新しい住宅地が多くなると、荒沢神社とは違う意味で、ヤマトタケルの記憶が失われる可能性があります。 -
長谷(ながや)神社参道。並木は桜でした。春に来てみたいものです。
-
急な階段を上ります。
-
拝殿。
千葉県神社庁によれば、
ご祭神は、
天照皇大神(あまてらすおおみかみのみこと)
誉田別命(ほんだわけのみこと)
事代主命(ことしろぬしのみこと)
大山咋命(おおやまくいのみこと)
日本武尊(やまとたけるのみこと) -
仁和2年(1133年)創建と伝えられています。また文明18年(1486年)より600年前の創建という伝承もあるそうです。9世紀末となります。
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残念ながら昔の面影はとどめていないようです。
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木更津から茂原に至る路の最後の神社です。
ここから現在の国道409号に出て、橘樹神社まで約8.5キロの距離です。
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