2018/05/07 - 2018/05/07
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5月から6月にかけて四国へ歩き遍路にでかけました。
3年ぶり5回目の歩き遍路旅。完全歩きは過去にやっているので、今回はバスや鉄道にも乗って時間短縮(それでも9割は歩きましたけど)。37日間の歩き旅です。
今回は旅行記というよりはお遍路で起こったトピックスやこれから歩き遍路をしてみたいという方への参考情報を中心に書きたいと思います。
その2は外国人と一緒に焼山寺道を歩いた話です。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
"お遍路3日目、四国遍路で最も厳しいとされる焼山寺道を歩きます。あいにく雨。昨晩激しく降り、もうほとんど止みかけとはいうものの、ポンチョが必要です。
6時50分、スペイン人のフランシスコとデンマーク人のサイモンと一緒にスタートです。
前日、今夜の宿を予約しました。僕は焼山寺から10km先の阿野に宿をとりました。が、二人には6km短い鍋岩の宿を勧めました。出発地点の藤井寺から阿野まではアップダウンの多い山道を23km歩かないといけないのです。サイモンは僕の忠告にしたがって鍋岩に、フランシスコは阿野に泊まりを希望しました。二人にかわって電話で予約を入れてあげました。
外国人には言葉の問題があるから宿予約は大変。多くの外国人は僕みたいに知り合った日本人に連絡を入れてもらったり、前日泊まった宿の主人に電話を入れてもらうらしいです。
また、予約を入れずに直接宿にやってくる人もいるらしい。もっとも、宿の方も慣れたもので、突然の事態にも結構フレキシブルに対応されているようです。" -
11番札所藤井寺の境内に焼山寺への登り口があります。
-
端山休憩所。標高225m。
目の前に幻想的な光景が広がっていました。雨のおかげです。 -
道はどんどん高度を上げていきます。森に囲まれた道の石敷道を進みます。雨が止み鳥の鳴き声が聞こえ出しました。
焼山寺道に入って30分もするとフランシスコが遅れ出しました。10分程歩くと、立ち止まってしまいます。かなりきつそう。声をかけると返事は元気いいけれど、足取りは重い。まだ登り始めでこの状態は、ちょっと心配です。" -
柳水庵というポイント。藤井寺から6.6km。標高500m。460mの高さを6.6km歩いて上ってきました。ここには立派な小屋があり休憩には最適。寝転がって腰をのばせる。腰痛持ちの僕にはありがたい場所です。
ナッツなどを食べて小休止。というか、30分も休んでしましました(大休止ですね)。僕とサイモンはストレッチしたりして後半に備えますが、フランシスコはぐったり座り込んで動かない。全く元気なし。僕はこの時点でフランシスコが阿野の宿までたどり着くのは無理だと思いました。
「ここは中間ポイント。焼山寺まではあと6km。この先は今までよりさらにハードになるよ。焼山寺からサイモンの宿までは4km、フランシスコの宿までは10km。大丈夫かい?」と二人に問いかけます。すると二人から
「OK」と返事がきました。
“おいおいフランシスコ、ちょっとは自覚しろよ”
サイモンも“フランシスコ大丈夫?歩けるのか?”って顔してました。
お遍路は自己責任です、自分のことは自分で決めなければなりません。フランシスコが自分で大丈夫だと言うのなら、僕がダメ出しすることはできません。あとでどうなってもそれはフランシスコの自己責任。" -
柳水庵をでると上りになります。出発して10分もしない間にフランシスコが立ち止まります。これを何度か繰り返し、10分毎が5分毎になり、とうとう坂の途中で座り込んでしまいました。俯いて大きく息して苦しそう。それでもここは山の中、進むしかありません。
(写真は2015年撮影) -
浄蓮庵というポイント。このすぐ手前に長い階段があって、へとへとで俯きながら歩いていると、突然大木をバックにした弘法大師像が目の前にあらわれます。そのお姿は神々しくて、歩き遍路を励ましてくれます。サイモンはその姿にいたく感動していました。一方、フランシスコはそんなもの見る余裕がありません。
「フランシスコ、提案があるのだけれど。今夜の宿まで残り16kmもある。今夜の宿を鍋岩に替えないかい?」
「大丈夫かなあ?」
彼は阿野まで歩くといったことを後悔してたけれど、宿をキャンセルするは悪いと思って気にしていたようです。
僕はフランシスコが自分から宿を替えたいと言ってくることを期待して待っていました。先程も書きましたが、お遍路では自分のことは自分で決めるべきなのです。昔は無理して行き倒れになったお遍路さんや事故にあって死んでしまったお遍路さんもたくさんいたけれど、それも自己責任。お遍路の衣装は白装束ですが、これには死装束の意味もあったとされています。フランシスコが僕の提案を突っぱねて途中で動けなくなったとしても、彼が解決しなければなりません。だから僕から宿替えの話は持ち出したくはなかったのです。僕の目には柳水庵の時点でフランシスコは阿野まで無理だとわかっていたけれど、宿の話はしなかった。ただ、浄蓮庵に着いたのは13時。阿野の宿をキャンセルしなければ宿に迷惑がかかります。午後になると食事の準備を始めるからです。だから焦っていました。宿替えを提案したのはそんな事情があるからです。
まず鍋岩の宿に電話して部屋と食事の予約をとったあと、阿野の宿をキャンセルしました。
(写真は2012年撮影)
*古い写真を使っていますが、フランシスコに気遣ったり、質問に答えたり、あれやこれやと気にすることが多くて、藤井寺を出てから焼山寺に着くまで、写真を撮る余裕がなかったのです。" -
浄蓮庵をでると下りになります。木の根のごつごつした道だけど、上りよりは楽。
でもフランシスコの状態は僕が思っていたよりもひどかった。浄蓮庵からは下りだからフランシスコもついてこれると思ったけれど、彼の足取りはますます重く、5分も進むと止まってしまうようになりました。おいおいって感じ。これでは鍋岩の宿に着けるのかさえ怪しくなってきました。 -
標高745mの浄蓮庵から一気に450mの左右内の集落まで下ってきました。フランシスコは座り込んで、というよりへたりこんで、顔があがりません。
ここで目に入ったのはタクシー会社の広告(というか、山道のどこかにタクシーの看板があったはずってうっすら憶えてました)。日本語の読めない彼らには、何が書いてあるのかわからない。
「サイモン、ここにタクシー会社の広告があるよ。電話番号も書いてあるだろ」とサイモンにむかって話しかけました。するとサイモンが「フランシスコ、歩けるかい?」と声をかけました。
フランシスコの答えは「一歩も歩けないよ。タクシー呼んでくれ」でした。
なぜフランシスコにではなくサイモンに話しかけたか。
前にも書きましたが僕の英語はまったくのブロークン。記憶にあるわずかな単語をつないで文章にするので、たぶんヘンテコな表現をしています。スペイン人であるフランシスコにとっては母国語でない英語でしかもへんてこりんな英語だから、中身が通じないこともしばしばでした。ところがサイモンは頭の回転が良くて、僕のヘンテコ英語でも9割方理解してくれるのです。そこで僕のヘンテコ英語を正しい英語に直してフランシスコに通訳してくれるのでした。
タクシー会社に電話をかけます。
車が出払っていて、40分程待ってもらわないといけないということでした。フランシスコに伝えると彼の返事は「待つ。もう動けないよ。」でした。
タクシー会社に行き先を伝え、「スペイン人で日本語が通じないけどよろしく」と言って電話を切りました。
フランシスコには次の一言を言っておきました。
「日本のタクシーは料金が高いけど、ドライバーは正直だから騙されたわけじゃないからね。」
スペインのタクシーは安いから、びっくりしたんじゃないかな。 -
フランシスコを残してサイモンと焼山寺を目指します。左右内から標高700mの焼山寺まで再び上ります。
藤井寺から焼山寺への区間は上って下りての繰り返し。標高差だけなら1000mクラスの山に登るのに匹敵する道です。
14時30分、焼山寺に着きました。藤井寺から7時間。
前回は4時間30分で越えた道を今回は7時間かかりました。 -
杉木立と垂れこめた雲が音を吸収して静かな境内。
「焼山寺道は僕にとってはチャレンジだったんだ。歩ききれて幸せだよ。」とサイモン。
さらにはこんなことも。
「知ってるかい。デンマークの最高峰は標高200mなんだ。」 -
1時間ほど焼山寺で過ごしてから山を下ります。サイモンとは鍋岩でお別れです。
そこからは急げ急げ。途中の玉ヶ峠はきつくて息が上がったけど、そこさえ乗り切ればあとはドンドン下るだけ。阿野の宿には18時に着きました。
この後、二人に会うことはありませんでした。
二人共最後まで歩くと言っていたけれど、どうなったかなあ。特にフランシスコは嫌になっっちゃったんじゃないかって、ちょっと心配してます。フランシスコを庇うわけじゃないけど、多くの外国人は重いバックパックを担いでいる。10kgは超える。僕らとは条件が違います。それだけ担いで標高差1000mを越える山道はきついよ。
同じ宿の泊り客は3人、スイス人1人とドイツ人2人でした。外国人が増えたよねえ。 -
(ご参考)
○藤井寺→柳水庵 6.5km。起伏大。柳水庵直前に急で滑りやすい下りあり。きつい★★★。好き★★。
○柳水庵→浄蓮庵 2km。標高差250mを上る。きつい★★★。好き★★。
□浄蓮庵 好き★。
○浄蓮庵→12番焼山寺 4km。標高差350m下ってから300m上り返す。きつい★★★★。好き★★。
□焼山寺 好き★。体力に余裕があれば奥の院へ(後記)。
○焼山寺→鍋岩 3.5km。下り。舗装路より地道が早い。
○鍋岩→阿野 6.5km。舗装路を下る。リズムで足が前に出る。スピードの出しすぎ注意。
途中の玉ヶ峠は短いが急な上り。きつい★★★(玉ヶ峠)。
●阿野→13番大日寺 10.5km。楽。
[別格ルート]
●阿野→別2番童学寺 6km。歯の辻から長いアップダウン。童学寺手前の地道は草繁茂で通れず。
●童学寺→13番大日寺 6km。歯の辻まで打戻り。その後は平坦。
[寄り道]
□焼山寺奥の院 焼山寺からさらに標高差240m上るので時間と体力のある人むき。途中に大蛇を封じ込めたという大岩、山頂に小さな祠あり。山頂に至ったときの達成感がたまらない。きつい★★。好き★★
*遍路地図には鍋岩から神山温泉経由で大日寺にむかう遍路ルートが記載されていますが、僕は通ったことがないので感想は書けません。"
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