2011/07/12 - 2011/07/26
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motogenさん
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その9からの続きです。
私たちの旅ももうすぐ終わり。
しめくくりの二日間です。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 徒歩 バイク
-
メーサー渓谷に行こうと思いたった。
その近くには象調教センターもある。
街よりかなり北にある。
一度トクトクをチャーターして行ったことがある。
運転手任せで行ったので、おおよその場所はわかるが、詳しい道筋は覚えていない。
でも、行けば思い出すだろう・・
バイクを走らせる。
郊外に出るころには車も減って快適に走れていた。
道路脇にたくさんの馬を放牧させてある野原があった。
県の役所のある広場もあった。
それらを横目で見ながら、ひたすら北上する。
走ること13〜4?、象を描いた巨大な看板が現れた。
左に曲がる道路がある。
ここに違いないと左折してみた。
「WaterFall」の案内板が見つかった。
奥の方からドードーと水が流れる音が聞こえてくる。
入場料を徴収するゲートを超えると、その奥に駐車場があった。 -
食べる店もあったが休息はあとにして、じめじめした山の中に歩きだす。
ゲートでもらった地図を見ると、10カ所に滝の印がある。 -
それは滝の見学というより、トレッキングに近かった。
遊歩道というより山道で、水たまりがあったり、滑りやすい岩場があったり、急勾配の坂があったりした。
草や樹木の葉も湿っている。
切り株の椅子や丸太のベンチがあったが、じっとりと濡れていて座れる状態ではない。 -
行く先は樹木に隠れていて、どこまで続くのか分からない。
滝が現れると、近くに寄って水しぶきを楽しんだが、道はさらに奥へと伸びている。
ちょっと滝を見に・・といった軽い気持ちは捨てた。
体力づくり、トレーニングをする場所なのだと気持ちを切り換える。 -
木の橋が川に架かっていた。
ちょっとした休憩場所になっていて、橋の向こう側から戻ってくる人達が見えた。
橋の下では水遊びをしている人もいる。
やっと人に会えたと嬉しくなった。 -
橋を渡って先に進んでみると、木製の長くて急な階段があった。
女房はあっぷあっぷし、ダウン寸前になっている。
それを励まし登り切る。
すると展望台があった。 -
展望台の一部は壊れていて、床の板がなくなっている。
この奥にはもう道はない。
ここが終点かと安堵のため息をついた。
背中や首回りは汗でびっしょりだ。
下方に見える滝や、その下流の濁流を見ながら息を整えていると、対岸の樹木の中から人の声が聞こえてきた。
目をこらすと、向こう岸にさらに登っていく人影が見え隠れしている。
もらった地図を広げると、どうやらここは6番滝で、上流には7番滝、8番滝、9番滝、10番滝と、まだまだ滝があるようだ。
ここまで来た以上、10番滝まで頑張ってみよう。
気合を入れ直し、疲れた体に鞭打ってさらに上流に向かう道を探した。 -
最後の滝まで登る人は少ないのだろう。
歩道には大きな岩が露出し、木の根が張り出し、普通には歩けない箇所もあった。
道はあっても人一人が歩ける幅しかない。
周りの草の中に毒蛇や毒虫が潜んでいても不思議ではない。
小さな沢を飛び越えなければならない場所もあった。
勾配がきつく、手をついて登らなければならい場所もある。
何度か地図を取り出して、現在位置をさぐろうとするのだが、目印となるものがない。
水の流れる音が遠ざかったり近づいたりしていることから、川べりから離れたり接近したりしていることが分かる。
その水音以外には、人の声も鳥の声も、虫の声すら聞こえてこない静寂な森の中だった。 -
何とか最終地点に到達した。
終着点といっても、特別何かがあるわけではない。
大きな滝があるだけだ。
でもここに来たというだけで満足し、岩を移り渡って滝に接近して、平らな岩盤の上に大の字になって寝ころんだ。
女房の女友だちの海外旅行は、民族舞踊を楽しみながらのグルメや、ブランド店でのショッピング、優雅なホテルやリゾート生活を求めての旅だとうらやましがる。
でも私たちの旅にそんなものは一切なく、アウトドア生活に近い日々を送っている。
でも女房は、それほど悪い顔はしてはいない。
登り坂ではハーハーと息をはずませ、途中何度か足が止まってしまったが、今は元気をとり戻している。
こんな旅もまたいいものだと考えた。
滝の水はドードーと絶え間なく落ちている。
どこからこんなにたくさんの水が湧いてくるんだろう。 -
駐車場まで戻るとチキン焼き飯を食べた。
疲れ果てての昼食は、ただの焼き鶏飯だったのにとても美味かった。
つかの間の休息をとって、バイクでさらに西に向かう。 -
次は『象調教センター』だ。
動物園のようなもので、一度行ったことのある私にはそれほどの魅力はないが、初めての女房には見せてあげよう。
入ってみると、かなりの観光客がいた。 -
象にエサをあげている子供たちの姿を見るのは愉快だった。
怖くてすぐに餌を投げ出してしまう子供、子供の象に餌をあげようと大人の象をかいくぐって餌を差し出す子供、象に近づいただけで泣きだしてしまう子供、パッパッと気前よく餌を与え、すぐに餌を買いにいく子供とさまざまだ。 -
それを見守るお父さんとお母さんもほほえましい。
家族っていいものだ。 -
園内を一周すると、象の水浴びが始まるところだった。
行列を組んだ象の群れが、小川に入っていく。
象使いたちが熱心に象のめんどうをみる。 -
象は冷たい水で洗ってもらって気持ちよさそうだ。
油断していると、象が見物客に水をかけてくる。
-
水浴びを終えた象たちが、飼育場所に帰っていく。
見物客達がそれを追う。
広場で曲芸ショーが始まるのだ。
ショーはサッカーボールをけったり、バスケットボールを投げたり、木材を積み上げたりと、4年前とまったく同じ内容だった。 -
カメラのレンズは象ではなく、それを見る小さな子供たちに向かっていた。
子供たちは恐る恐ると見物席の最前列に出てきて、身を乗り出して驚いている。
その姿が面白い。
そんな無邪気な子供たちを見ていると、私まで楽しくなってくる。
象は最後にキャンパスに絵を描いた。 -
街に帰ってくると夕方になっていた。
「こんな楽しい旅行、はじめてだよ・・」と女房がいう。
タイ人のおおらかさや優しさ、がっちりと管理されていないタイの社会が私は好きだ。
貧しくて小汚いが、活気に満ちている人々の暮し、それを女房に伝えたい。
その私の願いを予想以上に受け取ってくれたようだ。
「お父さんは、旅行コンダクターとして最高だね。」
そうも言ってくれる。 -
チェンマイ門の市場で食料を買い込み、今夜はそれを部屋で食べることにした。
たまにはそんな夕食もいいだろう。
女房は好き嫌いがなく辛いものも平気なので、こんなタイの庶民料理も大丈夫だ。 -
チェンマイ最期の朝がきた。
チェンマイの朝は涼しくて、南国とは思えない。
荷物を預けて、チェックアウトした。 -
チェンマン市内をバイクで回った。
有名どころのワットを見学する。
旧市街の南西の隅に公園を見つけ、散策してみる。
エアポートプラザで昼食をとり、チェンマイ空港まで足を伸ばしてみる。 -
そして最期はワット・チェヨーだ。
チェヨーは日本人好みの、わびさびの感じられる遺跡のあるお寺らしい。
旧市街から北西の方向にある。
そのことをガイドブックで知り、そんな遺跡も見てみたくなったからだ。 -
遺跡を見学して帰ろうとすると、ひげずらの男性がガイドブックを手にしてぶらついていた。
半ズボンにTシャツ、バンダナ、そしてリュックサック、東洋系の顔立ち。
連れの女性も同じような服装で、普通の観光旅行者とは違っている。
おや・・ガイドブックの表紙に『タイ』・・
それを見た女房が話しかけると、私たちと同じ県内の人と分かり、互いにびっくりして話し込んでしまった。
歳は60に近いというが、バックパック風の風貌のせいか、10歳は若く見える。
一カ月前、退職すると同時に旅行に出て、二人で海外をぶらついているのだと言う。
ベトナム、ラオス、そしてタイ・・
旅が趣味で、若い頃には1年以上もアジア、アフリカ、ヨーロッパ、南米と世界を歩き回ったこともあるらしい。
波瀾に満ちた旅の話をしてくれた。
下川裕治に匹敵するような正真正銘のバックパッカーなのだ。
私と女房は畏敬の目となっている。
お別れするのが名残惜しかった。 -
荷物を取りにゲストハウスに戻ると、ターペー門の周辺は一変していて、お祭り騒ぎとなっていた。
門から西に向かう道路はずらりと屋台に埋められ、大道芸まで出ている。 -
日曜日の夕方から始まるウィークエンド・マーケットだと知ったが、夜行バスの出発時間がせまっていて、遊んでいる余裕はない。
残念だ。
荷物を受けると通りかかったソンテオに飛び乗ってバスステーションに向かうしかなかった。 -
ここからあとは、夜行バスに乗ってバンコクのモチットへ、そこからバスを乗り継いでエアポートリンクに、そして空港へと、寄り道なしの一本線だ。
ソンテオは堀端の道路を抜け、ナイトバザール準備中の道路を横切っていく。
夕方の渋滞に巻き込まれ、車の進みはのろのろとしか進まない。
「あっ、犬が道路の真ん中で寝ている。」
女房が声をあげる。
見ると、混雑する道路の中央に寝ころぶ野良犬を避けて、車やバイクが走っている。
「タイって、本当に面白いね。」
店は歩道にまで売り物を並べ、堂々と屋台が並び、通行のさまたげになっているのに誰も文句を言わない。
そんないいかげんなタイという国に、私も女房も魅せられている。 -
夜行バスには食事券がついていて、深夜の途中、休憩所で食事がでた。
たいした料理があるわけではないが、これもまたおつなものだ。 -
バンコクのモチット・ターミナルに着いた。
早朝でもたくさんの人がひしめきあっている。 -
帰国してからの女房は、毎晩タイの夢ばかりを見ると言って笑っている。
タイで撮った600枚を超える写真をスライドショーにして、飽きもせずに何回も見続けている。
スーパーでタイからの輸入のレッドカレーやグリーンカレーのパウダー、ココナッツミルクの缶詰を買ってきては、楽しそうだ。
そのため一週間に一度はタイカレーが食卓に並んでいる。
(画像はエアポートリンクのラチャプラロップ駅の下) -
15日間のタイでつかった費用は、特別無理をしたわけではないのに、二人で6万円弱、およそ2万バーツだった。
予算を大幅に下回った。
航空券代を入れれば、二人で16万円ということになる。
出発前に女房から徴収した分担金10万円は、素知らぬ顔をして払い戻しはしていない。
(画像はエアポートリンクのラチャプラロップ駅)
これで旅行記は完結です。
読んでくださってありがとうございました。
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この旅行記へのコメント (2)
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- trat baldさん 2015/11/03 10:55:40
- 有名観光地を遊ぶ人が使い過ぎ!
- 旅って写真に写る部分はごく一部で大半は自分の心の中に有るんだよねぇ〜!
10万徴収の16万は上手くいったね、ただ総じて滝の名所は日本の様に設備されていないから体力勝負ですね。
今年の乾期を迎えて北部では象が大暴れのニュースが目立ちます、結構怖い動物ですねぇ、、、、
- motogenさん からの返信 2015/11/03 21:50:30
- RE: 有名観光地を遊ぶ人が使い過ぎ!
- コメントありがとうございます。
『旅って写真に写る部分はごく一部で大半は自分の心の中に有るんだよねぇ〜!』
その通りですね。
素敵な言葉です。
時々無性に思い出すのは、何でもない赤土がまい上がる田舎道、そこで見た夕日、迷子になった炎天下の路地、豪雨で道路が洪水になり帰れなくなってしまった小さな村の中・・・
そこで出会った人たち・・
そんな時に感じたものが、今、宝物になっています。
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