2011/07/12 - 2011/07/26
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motogenさん
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その3の続きです。
メーホンソン北部の巨大魚の洞窟をめざしました。
タイの田舎をバイクで疾走するのは、気持ちの良いものです。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 徒歩 バイク
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
『巨大魚の洞窟』があるという。
その名前が神秘的で、どんな洞窟なのか是非とも見たいものだと思っていた。
前回地図を頼りにバイクで出かけてみたが、走れども走れどもさびしい山道で、途中で強い雨が降り始めてしまい、急坂の手前で戻ってきてしまった。
そんていわくあるスポットだ。
その時は自分の軟弱さに腹をたてたが、ますます行きたいとの気持ちはたかまっている。
今回はそのリベンジだ。
町の北ゲートをくぐり抜け、一路北に向かって山道を走る。
パイに続く道だ。
頼りない女房が後席に座っているが、一緒だと少し心強い。 -
クンユアム経由で来た道路よりも細くて険しいが、交通量が少なくてのんびりと走ることができる。
バス停でバスを待つ人がいた。
もうすぐバスが通る時刻なのだろうか。
そう思っていたら、案のじょうバスが私たちを追い越していった。
小型のローカルバスだ。
明日はこのバスに乗って、私たちもパイに行く予定。 -
110ccのバイクでは、ローギアにしないと登れないような険しい登り坂があった。
その山を登りきると、これまた緊張する急な下り坂が現れた。
低速でおそるおそる下っていくと、山と山に囲まれた里に田んぼが作られていて、大勢の人たちが働いていた。 -
田植えだ。
大家族なのか、隣人の助けを借りているのか、20人くらいの農民が麦藁帽子をかぶってきびきびと苗を植えている。
昔の日本の風景だ。
すぐ向こうの山には霧のような雲がかかっている。
懐かしく、すがすがしい気持ちがあふれ出してくる。
この情景に心打たれ、しばし足を止めてしまった。 -
その先の道路脇に「Fish」という文字が読み取れる看板が立っていた。
看板信の奥に広場があり、駐車場となっていて、お店が建っている。
ここだ、ここだと広場に入って行った。
愛想の良いおばちゃんが手招きする店の前には、豚肉や骨付きチキンが香ばしい煙をたてて炭火の上に乗っている。 -
食欲を誘われたが、まずは奥へと足を進めてみる。
入場料(外国人は100バーツ)を徴収している入り口が見えた。
ここは国立公園になっているようだ。 -
看板を見ると、タイ人は20バーツ。
子供はその半額の10バーツとなっている。
外国人とはだいぶ違う。
-
この橋の下に水量豊かな川の流れがあり、これを渡ると有料公園の中となる。
踏み込むと別世界に入ったような感覚になる。
ちょっとしたクラシックパークのような雰囲気だ。
-
川に沿って樹木が茂っていた。
奇妙にゆがんだ樹木が多い。
その川に沿って遊歩道らしきものが続いている。
川の流れは遅く、たっぷりと水を含んでいる。
静寂そのもの。 -
タイの観光地の素晴らしいところは、人が少ないことだ。
数々の洞窟や遺跡、寺院を訪れたが、自分のペースでゆったりと楽しめる。
こんな自然公園では、自然そのものの匂いというか、樹木や草や水の気がゆるゆると身体の中に入り込んでくるのだ。
危険な場所にも安全装置はほとんどない。
商業主義に毒されていず、無意味に観光客を集めようとの欲が見られない。
日本ならば、人、人、人で、行列を作り、人を見に来たような場所が多い。 -
遊歩道は奥へと続いていた。
本当にここでいいの?
毒へびが出てこないかなぁ?
ワニは?
私は少年に戻って、冒険している。 -
柔らかな苔や水草が広がっている。
単なる洞窟を想像していた私は、ジブリのアニメに出てくるような情景に心踊る。
古い水車もあった。
ぽつりぽつりと人が歩いている。
前を歩く欧米人カップルにはタイ人のガイドがついていた。 -
樹木でおおわれた池が現れた。
樹木の中に建物が建っている。
人の住むような建物ではなく、ガイド施設でもなく、ちょっとした休憩所みたいだ。
-
池の脇に岩場があって小さな階段が作ってある。
コケの匂いや樹木の匂いが充満している。
線香の香りも漂ってくるようだ。 -
岩場を登っていくと、小さな祭壇があった。
タイの洞窟でよく見られるものだ。
何を信仰しているのだろうか。
仏教とも違っているように見える。 -
魚が住んでいるという洞窟は、どう見ても洞窟とは呼べないもので、岩の裂けめの小さな穴だった。
その穴を上からのぞくと、うじゃうじゃと何やら動くものがあり、目を凝らすとそれが鯉のような魚であることがわかってくる。 -
身動きがとれないような狭い穴の中に魚がひしめき合っている姿は、気持ちを暗くさせる。
こんな過酷な環境の中で、魚が生きていることが不思議に思えてくる。
何を食べているんだろう。
産卵はどうするんだろう。
するとあとからやって来た欧米人のカップルが、手に持っていた餌を投げ入れた。
餌は野菜だ。
どこかで売っているのだろう。
魚たちが身体をぶつけ合って餌に飛びついている。
ガイドが魚について説明しているが、流暢な英語なので私にはわからない。
こんな小さな穴の中に、なぜ魚たちが閉じ込められているのかという説明なのだろう。 -
魚については期待はずれであったが、公園の魅力がそれを埋めてあまりあり、すぐに帰るにはもったいなく、あっちこっちと歩き回った。
川を下った先にはしぶきを上げて流れ落ちる滝のような急流まであった。 -
公園の外に出てくると魚の餌を売っている店を見つけた。
「ああ、あの欧米人はこれを買っていったんだね。」
「魚って、こんな野菜を食べるんだ。」
「餌をあげる観光客が来ないと、魚はどうなってしまうの?」
そんな話をした。
聞くところによると、大昔のあの穴は川(池)とつながっていた洞窟で、何かの事件で洞窟と川が遮断されてしまったという。
今の魚はそこに閉じ込められた子孫らしい。
本当なのだろうか。 -
駐車場前の店から香ばしい匂いが漂ってくる。
ここで昼食とした。
歩き回ったあげくの骨つきチキンは格別に美味かった。
どでかい塊だったのに、ぺろりと平らげた。
女房はまたしても、激辛の調味料をたっぷりつけて食べている。
愛想のいい店のおばさんは、私たちが食べ終わると、これも美味いよと豚肉までサービスしてくれた。 -
ちょっと仲良しになった店のおばさんと記念写真。
しかし、食べたチキンや豚肉の写真を撮ることは忘れてしまった。
残念。
名残惜しさはつのるが、ゲストハウスに帰ることにした。
途中、雨が降らないことを祈って。
-
町に近づいてきた。
寄り道をしてみる。
学生らしき姿が多くなり、大学(高校?)の案内板があった。
案内標識にそってわき道に入ってみる。
綺麗な建物があったが、立派すぎて、進入していくのははばかられた。
道は奥に続いている。
学校を素通りして進んでいくと、広いグランドがあり、サッカー場が併設されていた。 -
ゲストハウスに帰って休んでいたが、まだ日は高い。
部屋の中でぐだぐだしているのはもったいない。
観光案内所でもらった地図を見ると、3本の吊り橋がパイ川に架かっている。
怖いもの見たさの私は、吊り橋を探すことにした。
バイクはただ走っているだけで楽しい。
気温は30度を超え、雲の間から差し込む日差しは肌を刺すが、走っていれば何も苦にすることはない。
町を迂回するバイパス道路を走っていく。
快適そのものだ。
交通量がきわめて少なく、道路を独り占めしている気分がまた素晴らしい。
「どこの誰かは 知らないけれど 誰もがみいんな 知っている・・・」
口から鼻歌が飛び出してくる。
そうだ、私は月光仮面だ。
月光仮面になってしまった私は、エンジンを思い切りふかしてバイクをすっとばかした。 -
道の前方に何かいる。
黒い物体が動いている。
近づくとヤギだった。
かわいらしいヤギの家族。
バイクを止めて、女房と一緒にしばらく遊んだ。 -
放し飼いのヤギ。
日本ではとても考えられない。
タイに来て良かった、と思う瞬間だ。 -
川があった。
パイ川というらしい。
パイの山から流れてくるのだろう。
この上流のどこかにつり橋があるばずだ。 -
バイパスから奥に入り込んだ場所に吊り橋はあった。
今は吊り橋の横に立派なコンクリの橋ができていて、吊り橋は使われなくなっているらしい。
吊り橋は見えるが、その橋の入り口が見当たらない。
うろうろしていると、生い茂る草の中から魚釣りの少年たちが現れて、この草をぬって進むと吊り橋に行けると教えてくれた。 -
草をかきわけて、けもの道同然の道を登っていく。
すると鉄のロープで吊り下げられた橋の入り口が現れた。
つたや草がからんでいる。
土台はしっかりしていて、人が乗っても風が吹いても大きく揺れる心配はなさそうだ。 -
しかし、床に渡してある木の板の1/3は消失しており、残っているものの半分は朽ちかけていた。
果たして乗っていいものやら。
ここまで来たら女房の手前、すごすごと帰るわけにいかない。
渡してある鉄のロープをしっかり握りしめ、恐る恐る足を前に出してみる。
へっぴり腰になっているのが自分でもわかる。
こうして3〜4m進むと、真下が見えた。
濁流が音を立てて流れている。
身体が硬直し、頭から血の気が引いてくる。
進むに進めず、戻るに戻れずといった状況になってしまった。 -
「面白かったね」と女房は言う。
「うん、面白かった・・」私も言う。
日本なら、こんな危ない橋があったら、近づけないように鉄条網があって、立ち入り禁止になっているけど、タイはおかまいなしで、はらはらどきどきがたまらなく楽しい。
女房もタイの楽しさを感じてきたようだ。 -
「あっ、カニ!」
すぐそばにカニがいた。 -
バイクのある場所に戻り、つり橋のある場所を超えたさらに上流に進んでみる。
道は細くなってきて、アップダウンが激しくなり、くねくねしていて方向感覚が狂ってきた。
迷子になりそうで心細くなるが、一本道なのだからきっとどこかに出られるだろう。
そう思ってなおも進む。
この心細さが、旅の楽しみだ。
小さな集落があり学校があった。 -
学校の前に小さな雑貨屋さんもあったが、誰もいない。
近くの民家にも人の姿はない。
悪霊のたたりで廃墟となってしまった村か・・・
そんな空想をしていると、二人の子供が歩いていた。
廃墟の村でなくて、少しがっかりした。
ポケットに入っていたキャラメルをあげる。
恥ずかしそうにワイをする子供に励まされる。 -
町に帰ってきた。
事故もなくほっとする。
明日はこの町を去ると思うと、少しさみしい。 -
さて明日のパイ行きバスは何時だろうか。
バスターミナルに見に行くと、案内板には8:30、10:30、12:00、14:00発となっている。
ところがチケット売り場では12:00、14:00のバスのチケットしか売っていない。
売り場の人に聞いても、売店のおばちゃんに聞いても、12:00発としか言わない。 -
気がつくと、ひざ小僧がヒリヒリと痛い。
日焼けして真っ赤になっている。
腕も首筋も火照っている。
「ああ〜! 私もこんなに日焼けしちゃったよ〜・・
日焼け止め、塗ってきたのに・・
あんたはすぐ元に戻るからいいけど、私は冬になったって、真っ黒いまんまんだよ・・
どうしよう・・」
女房が悲鳴をあげていた。
曇っていても、タイの紫外線は強烈なようだ。
-
「バイクに乗ったり、ポンコツバスに乗ったり、辛い料理を食べたり、汚いトイレに入ったりと、タイを楽しんでいます。
お父さんが飽きずにタイに通いたがる気持ちが、よくわかります。
出会う人達はみんな親切で、子供たちは可愛くて、旅行者の私でもすぐに仲良くなってしまいます。
汚くて、非衛生的で、おしゃれなものはないけれど、素敵な景色と常識にしばられない自由があります。
物価も大変安いです。」
女房が東京にいる娘や、家にいる息子にメールを打っていた。
かたわらには私の『指差し会話帳』があり、日頃はくだらないTVばかり見ていて本など読まないくせに、今は熱心に勉強している。 -
ゲストハウスの宿泊棟の中心に、共同の休憩所があって、大きな縁台がおいてある。
風通しが良く、こざっぱりしていて気持ちが良いため、本を読んだり食事をしたりするのに重宝している。
時々他の宿泊者とも顔を会わせ、軽い挨拶を交わすことも楽しいことだった。 -
この夜若い女性二人がやってきて、今流行りのスマートフォンに夢中になっていた。
話す言葉から韓国人のようで、挨拶がてら聞いてみるとやはりそうだった。
それほど美人というわけではないが、タイ人を見慣れた私の目には、白い肌が新鮮だ。
明日はローカルバスでパイに行き、その後チェンマイだという。
偶然ながら私たちの予定とも重なって意気投合するが、この女性たちの話してくれる流暢な英語の大半が理解できない。
この安いゲストハウスに泊まり、安いローカルバスを乗り継ぎ、うら若き女の子だけでタイの片田舎を旅していることに感銘を受ける。
言葉はうまく通じないけど、この女の子たちを応援したくなってしまっていた。
バスの発車時刻は知らないというので、教えてあげた。
12時発のバスがいいと言っている。
一緒にパイに行けるといいな・・そんな気持ちになっていた。
その5につづきます。
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