2011/07/12 - 2011/07/26
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motogenさん
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その6からの続きです。
この日もバイクで冒険です。
しかし、とんでもないことになってしまいました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- バイク
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
朝の町の様子を見ようと散歩をする。
すでに町は活動を開始していて、屋台からは朝食のにおいが漂ってくる。
私は熱い豆乳と、そこに付いてくる揚げてあるパンのようなものが好きだ。
-
パイの町にも坊さんがいて、地元の人たちは道に出てタンブンしていた。
信心心などない私なのに、がすがしい気持ちになってくる。
いい朝だ。 -
今日もバイクで走ってみる。
目指すはモーペン滝。
中国村よりさらに北になるはず。
-
途中の道端にブタの親子を発見する。
小さくて可愛い子ブタを触ろうと近づくが、ちょこまかと逃げてしまう。
追いかけても追いかけても、つかまえることはできない。
時々村人に出会う。、
女房が覚えたての「サワディ・カ」と挨拶すると、とろけるようて笑顔を見せてくれる。 -
タイヤが滑りそうな坂道を登っていくと滝が現れた。
坂道の突き当たりに広場があり、駐車場になっている。
大きな樹木で囲まれた、うっそうとした森の中の駐車場だ。
-
駐車場に屋根だけの小屋があって、おじさんが修理をしていた。
挨拶すると人の良さそうな顔で応えてくれるが、言葉がうまく通じない。
山の中でほかに人の姿はなく、おじさんがいてくれるだけで何だか心強い。
-
静まりかえった森の中から、水の流れ落ちる音が続いている。
崖のような急斜面の下に滝が見えた。
広場から下りていく道がある。
人ひとりが歩けるような細い道だ。
その道を伝って滝の中に降りていった。 -
滝といっても『ナイアガラ』や『富士の白糸』のような、空中を水が舞うような滝ではない。
急流だ。
タイの滝はほとんどがそうだ。
滑りそうな岩から岩へと飛び移ったり、両手をついて伝い歩いた。
静寂な山奥にドードーと流れる滝の流れが別世界を造り、ここは2年前と何も変わってない。 -
山を下っていくと、茶色に変色した山の斜面に数人の人が動きまわっていた。
焼き畑農業で暮らしている地元の人たちだ。
見ていると、草を焼いた斜面に苗を植えているようだ。 -
民家もあった。
ニワトリやブタが放し飼いにされていて、餌を探して庭をぶらついている。
家から離れ、遠くさまよっているものたちもいる。
犬やネコも野放しにされているが、ニワトリやヒヨコを襲うことはなさそうだ。
みんな仲良く暮らしている。 -
幼い子供が遊んでいた。
包丁にも似た大きなナイフで、バナナの茎を加工している。
思うようにならないようだ。
手を切らないかと心配になって、
「何してるの?」と声をかけると、恥ずかしそうに下を向いてしまった。 -
滝とは正反対の方向にあるエレファントキャンプに向かった。
店に到着すると、にこにこ顔で迎えてくれたおばちゃんに肩を押され、座らされたのはTVの前だった。
写っているのは川で遊ぶ象だった。
象が鼻で水を吸い込み、乗っている客に噴水のようにかけている。
「ほら、こんなこともするんだよ・・」
とおばちゃんが楽しそうに説明する。
ああ、ここのトレッキングって川にも行くのか・・
軽くそう考えただけで、象に乗ることばかりが頭の中にあり、TV画面を真剣には見ていなかった。
単なるプロモーションビデオだと勝手に決めつけていたのだ。 -
どの象に乗るんだろう。
どの辺まで歩き回るんだろうか。
象を見ていると、私たちの順番がきて象小屋に案内された。 -
はしごのついた高い台があって、その台の上から象に伝い乗る。
下から見ると何のことはないが、上に登ると3階まで登ったような気がしてくる。
滑り落ちそうで、これがまた怖い。
象に乗ろうとしたことを後悔しはじめる。 -
落ちたら骨折しそうなほど、象の背中は高かった。
椅子の上に乗るのかと思っていたら、裸の象だった。
タオルがかけてあるが象の毛がちくちくし、むしろの上に乗っているようだ。
つかまるところは象の胴体に回してある一本のロープだけで心細い。
象の背中は前後左右、おまけに上下にも揺れ動き、しだいに乗っている位置がずれてきてしまう。
滑り落ちないように中央に戻るだけのことが難しい。
2〜300m進んだだけでへとへとになってしまっていた。 -
バイクに乗った欧米人が立ち止まり、私たちにカメラを構えるが、私の笑顏はきっと硬直していただろう。
野良犬が近づいてくると、象使いが大声をあげて犬を追い払っている。
もしかして象は犬が大嫌いで、犬が近づくとパニックを起こすのかもしれない。
そんなことを考えていると、このまま向きを変えて早く帰りたくなってくるが、私の気持ちを理解できない象は、のしのしと歩き続ける。 -
やっと車やバイクの走る鋪装道路からはずれて、川に向かう道に入った。
アップダウンがあるので、前に滑り落ちそうになったり、後に滑りそうになったりする。
付き添ってきた女性が川の手前で、持っているものを預かると大きなバッグの口を広げた。
カメラ、腕時計、財布、バイクや部屋の鍵・・
ポケットの中のものを渡すと、サングラスもと言う。
サングラスも・・?
まだ私は気づかなかった。
この後、何が起こるかということを。 -
ゆるい斜面をズルズルと川に入ったところで、象の首にまたがっていた象使いが川の中に降りてしまった。
川の深さは1mほどか。 -
象使いが川の中から象に命令する。
すると象は後ろ足を折り曲げて、ちょうど犬がお座りをするような姿勢になってしまった。
ああっ、ああっ・・
私たちは必死にロープにしがみつき、後に落ちないように踏ん張る。 -
するとその時、象はごろんと横に寝たのだ。
ヒー〜〜!!
片足だけ象に引っかかっている無理な姿勢のまま、私は川の中に落ちていく。
女房はすでに川の中に浸かっていた。
象の下敷きになってはならじと、私はロープにつかまりながら、象の横っ腹によじ登る。
すると象は起き上がり、今度は反対側に滑り落ちそうになってしまうのだった。 -
やっと元に戻った。
何てことをしてくれるんだ。
涙さえ出てくるありさまだ。 -
しかし、それで終わったわけではなかった。
再び象は寝転んでしまう。
またもや私たちは水の中。 -
それを何度も何度も繰り返す。
とっくに10回以上になっているはず。
全身ずぶ濡れ、頭からも泥水がしたたっている。
おぼれかかっている女房を心配する余裕もない。
無理な姿勢が続き、身体の固い私は足がひきつりそうだ。 -
象が鼻で水をかけるが、もうそんなものたいしたことではない。
水など怖くはない。
怖いのはおぼれること。
そして象の下敷きになること。
命がかかっている。
タイのことだ。
安全なんて二の次で、とにかく楽しければよい国だ。 -
店のビデオをよく見なかったことを後悔した。
あれはただのプロモーションビデオではなかった。
前の客が体験した実写だったのだ。 -
悪夢のような時間が過ぎ、帰路についた。
少し離れた川辺を見ると、私たちと同じように川に振るい落とされている欧米人たちがいた。
像使いが「ワン、ツー、スリー」と号令をかけると、象が思い切り横転する。
その度に、真っ赤なビキニの女性や青いビキニの女性たちが、悲鳴をあげて川の中にたたき落とされているのだ。
私は涙が出るほど笑ってしまった。
自分たちと同じように残酷な目にあっている人たちを見ると、なぜか嬉しくなってしまうものだと知った。 -
店に帰ると、おばさんがビデオを見せてくれた。
私たちが写っている。
付き添っていた女性が写したものだ。
自分の悲劇も、ここで見ると忘れ難い喜劇に見えてくる。
動画と静止画をCD2枚に焼いて400バーツだというので、買うことにした。 -
ふと気づくと、短パンのポケットに何か入っている。
出してみると、パスポートと折りたたんだ紙幣、車の免許証だった。
パスポートと出国カードに押されたスタンプはにじんでしまい、出国カードは判読がむつかしい。
私たちはずぶ濡れのまま、ゲストハウスへの道を走った。
初めからわかっていたら、事前にシャツは脱ぎ、水着のパンツをはき、貴重品は全部預けるべきだった・・と悔やんだ。 -
しかし走っているうちに、こんな面白い経験はなかなかあるものではないと、笑いがこみあげてきた。
不思議だった。
髪の毛までぐしゃぐしゃにしている女房も、バイクの後で笑い転げている。
他の観光客が乗った象のそばを通り過ぎても、もう象は怖くなかった。
必死になって象の身体にしがみついていたのだから。
翌日、脚の内側の筋肉が異様に痛くなっていて、ヒョロヒョロと変な歩き方になっていた。
これが強烈な思い出に残る、私たちのパイだ。
その8につづきます
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