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2025年7月8日(火)、午後の3時50分過ぎ、最後のファクトリーエリアへ。ごみから生まれた物質やエネルギーは、やがて素材へと生まれ変わり、このエリアで人の生活で活躍する「もの」へと姿を変える。案内役のドラえもんが日本の建築技術、宇宙開発、「日本のものづくり」を紹介する。<br /><br />このエリアもFactory-01「いのちといのちのあいだを見つめる砂時計」から始まる。次の部屋に入るとFactory-02「かたちになってかたちを変えてこんにちは」。階下の製造工場では、ロボットアームが手際よく3Dプリントを行っている。最後に姿を現すのはスツール。藻類とバイオプラスチックを混ぜ合わせた、特別な素材で作られている。<br /><br />製造工場を回り込んで行くとFactory-03「やわらかなギャラリー」。生まれ変わることを前提に作られたものたちを紹介するギャラリー。<br /><br />最初が「やわらかく作ることで、「長持ちする」」。展示されているのは日本の伝統的な「桶」と「竹かご」に、それからヒントを得た特別なサッカーボール。釘や接着剤を使わず組み立てられる、パズルのような構造。壊れたら、一部分だけを取り替えて、修理できるように作られている。<br /><br />次は「やわらかく作ることで、「リレーする」」。ひとつの布を無駄なく使って仕立てる日本の着物は、そんな視点から作られている。着物は、糸を引き抜けば再び一枚の布に戻すことができ、仕立て直しが簡単。この発想は、スマートフォンにも応用でき、既存のビスなどの留め具を特殊な分解液で粘着力を弱められる接着剤に置き換えたら、使用時はしっかりと固定できて、役目を終えたら簡単に分解できるようになる。次の役割を考えるという発想が、「リレーする」ためのバトンをスムーズに繋げる。<br /><br />次は「やわらかく作ることで、「受け流す」」。日本には昔から柔軟性を持たせることで、壊れることを防ぐという技術がある。例えば、やわらかい鉄で作られた日本古来の和釘は、木の硬い部分にぶつかると自ら曲がって、折れたり止まったりせず、最後まで打ち込める特性がある。また電波塔として世界一の高さを誇る東京スカイツリーの中心には、どこにもつながれていない「心柱」が存在し、地震のときに建物と逆の方向に振れ、全体の揺れを抑えるはたらきをしている。<br /><br />一番奥には「やわらかく作ることで、「吸収する」」。月面探査のための小型月着陸実証機「SLIM」は、月面着陸時にあえて脚部が壊れることで、衝撃を吸収して機体を安全に着陸できる。この考えかたは、京都府の木津川の流れ橋も同じで、かつて何度も洪水の被害に見舞われたこの橋は、増水した川の流れに強度で耐えるのではなく、ロープにつながれた橋桁があえて流され、のちに回収して戻すことが出来るようになっている。<br /><br />通路を戻ると「やわらかく作ることで、「兼ねる」」。畳みかたを変えるだけでさまざまな使いかたができる風呂敷と、世界中に熱狂的なファンを持つ日本発のコンテンツ「トランスフォーマー」。この意外な組み合わせには、「自由自在」という共通点がある。「機能に応じてものを増やす」のではなく、「ひとつのものが担える役割を増やしていく」考え方。<br /><br />次は「やわらかく作ることで、「耐えぬく」」。「堅く守る」という考えかたとは真逆の原理で、耐久性を高める。そんな発想で作られたのが、小惑星探査機「はやぶさ」と「はやぶさ2」のカプセル。大気圏再突入時に発生する1万度以上の熱を遮断するのは困難。そこで自らを蒸発させながら「打ち水」のように熱を冷ますことで、内部の温度を保って耐えぬくことに成功した。古来より日本家屋の外壁に使われてきた「焼杉」も近い考えかたと云える。杉の表面を焼き、炭化させることで腐食を抑え、一般的な外壁材よりも耐久性を高めた。「劣化させる」という発想から生まれた、「耐えぬく」技術がここにある。<br /><br />さらに続いて、「やわらかく作ることで、「受け継ぐ」。伊勢神宮で20年に一度、交互に社殿を建て替え、衣服や服飾品、武具なども新たに仕立て、大御神にお遷りいただく式年遷宮。20年に一度行う理由のひとつに技術継承がある。この期間であれば、多くの職人が一生のうちに二度、あるいは三度、遷宮に携わることができ、技術の継承が出来ると云うもの。伝統技術や文化も未来へつないでいく。それが1300年も続く式年遷宮の思想でもある。<br /><br />「やわらかなギャラリー」の最後は「やわらかく作ることで、日本館も「次へ生かす」」。巨大な建造物である日本館も、「循環」を前提に細部に至るまで工夫がこらされている。壁に使われているのは、間伐材から作られたCLT。万博終了後に解体され、再利用されることを見据えて、可能な限り加工を抑えた工法が採用されている。建物だけでなく、アテンダントが着用するユニフォーム、ショップの販売品用の段ボール製パッケージ、パーツを3つの座面に分解できるスツールなども、リサイクルしやすい素材や構造を採用。「次へ生かす」ために、すでに新たな一歩を踏み出している。<br /><br />次の部屋に進むとFactory-04「二度と見られないはかなすぎる芸術」。目の前に現れる円盤は太古に生きた藻類の化石。その表面に水滴が静かに跡を付けて行く。水滴を受ける円盤は、ひと周りするあいだに乾き、描かれた絵は消滅する。出現した瞬間から、ほのかに消えはじめる繊細な絵画と、水の滴る心地よい音。そのさまは、終わりとはじまりを繰り返す、ひとつの「循環」の現れ。<br /><br />最後はFactory-05「日本館の体験を、日常に持ち帰ろう」。土産ショップ。「藻類×ハローキティ」「BE@RBRICK」「ドラえもん」の日本館オリジナルフィギュアから、日本館からのメッセージ入りマグカップなど、ここでしか手に入らない多彩な商品を販売するほか、未来の日用品となるかもしれない試作品が展示されている。<br /><br />屋外回廊に出て、下りて行くと、途中にバイオガスプラントがある。ここでは万博会場で出た生ごみを、微生物のチカラで水やバイオガスへと分解。さらにバイオガスを使って電気を生み出し、プラントを動かすエネルギーとして生かしている。<br /><br />約1時間で見学終了。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.32012840741692544&amp;type=1&amp;l=223fe1adec<br /><br /><br />次はペルー館へ向かうが、続く

大阪 夢洲 大阪・関西万博 日本館ファクトリーエリア(Japan Pavilion Factory Area,Expo 2025)

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2025/07/08 - 2025/07/08

3809位(同エリア3971件中)

旅行記グループ 大阪・関西万博2回目

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ちふゆ

ちふゆさん

2025年7月8日(火)、午後の3時50分過ぎ、最後のファクトリーエリアへ。ごみから生まれた物質やエネルギーは、やがて素材へと生まれ変わり、このエリアで人の生活で活躍する「もの」へと姿を変える。案内役のドラえもんが日本の建築技術、宇宙開発、「日本のものづくり」を紹介する。

このエリアもFactory-01「いのちといのちのあいだを見つめる砂時計」から始まる。次の部屋に入るとFactory-02「かたちになってかたちを変えてこんにちは」。階下の製造工場では、ロボットアームが手際よく3Dプリントを行っている。最後に姿を現すのはスツール。藻類とバイオプラスチックを混ぜ合わせた、特別な素材で作られている。

製造工場を回り込んで行くとFactory-03「やわらかなギャラリー」。生まれ変わることを前提に作られたものたちを紹介するギャラリー。

最初が「やわらかく作ることで、「長持ちする」」。展示されているのは日本の伝統的な「桶」と「竹かご」に、それからヒントを得た特別なサッカーボール。釘や接着剤を使わず組み立てられる、パズルのような構造。壊れたら、一部分だけを取り替えて、修理できるように作られている。

次は「やわらかく作ることで、「リレーする」」。ひとつの布を無駄なく使って仕立てる日本の着物は、そんな視点から作られている。着物は、糸を引き抜けば再び一枚の布に戻すことができ、仕立て直しが簡単。この発想は、スマートフォンにも応用でき、既存のビスなどの留め具を特殊な分解液で粘着力を弱められる接着剤に置き換えたら、使用時はしっかりと固定できて、役目を終えたら簡単に分解できるようになる。次の役割を考えるという発想が、「リレーする」ためのバトンをスムーズに繋げる。

次は「やわらかく作ることで、「受け流す」」。日本には昔から柔軟性を持たせることで、壊れることを防ぐという技術がある。例えば、やわらかい鉄で作られた日本古来の和釘は、木の硬い部分にぶつかると自ら曲がって、折れたり止まったりせず、最後まで打ち込める特性がある。また電波塔として世界一の高さを誇る東京スカイツリーの中心には、どこにもつながれていない「心柱」が存在し、地震のときに建物と逆の方向に振れ、全体の揺れを抑えるはたらきをしている。

一番奥には「やわらかく作ることで、「吸収する」」。月面探査のための小型月着陸実証機「SLIM」は、月面着陸時にあえて脚部が壊れることで、衝撃を吸収して機体を安全に着陸できる。この考えかたは、京都府の木津川の流れ橋も同じで、かつて何度も洪水の被害に見舞われたこの橋は、増水した川の流れに強度で耐えるのではなく、ロープにつながれた橋桁があえて流され、のちに回収して戻すことが出来るようになっている。

通路を戻ると「やわらかく作ることで、「兼ねる」」。畳みかたを変えるだけでさまざまな使いかたができる風呂敷と、世界中に熱狂的なファンを持つ日本発のコンテンツ「トランスフォーマー」。この意外な組み合わせには、「自由自在」という共通点がある。「機能に応じてものを増やす」のではなく、「ひとつのものが担える役割を増やしていく」考え方。

次は「やわらかく作ることで、「耐えぬく」」。「堅く守る」という考えかたとは真逆の原理で、耐久性を高める。そんな発想で作られたのが、小惑星探査機「はやぶさ」と「はやぶさ2」のカプセル。大気圏再突入時に発生する1万度以上の熱を遮断するのは困難。そこで自らを蒸発させながら「打ち水」のように熱を冷ますことで、内部の温度を保って耐えぬくことに成功した。古来より日本家屋の外壁に使われてきた「焼杉」も近い考えかたと云える。杉の表面を焼き、炭化させることで腐食を抑え、一般的な外壁材よりも耐久性を高めた。「劣化させる」という発想から生まれた、「耐えぬく」技術がここにある。

さらに続いて、「やわらかく作ることで、「受け継ぐ」。伊勢神宮で20年に一度、交互に社殿を建て替え、衣服や服飾品、武具なども新たに仕立て、大御神にお遷りいただく式年遷宮。20年に一度行う理由のひとつに技術継承がある。この期間であれば、多くの職人が一生のうちに二度、あるいは三度、遷宮に携わることができ、技術の継承が出来ると云うもの。伝統技術や文化も未来へつないでいく。それが1300年も続く式年遷宮の思想でもある。

「やわらかなギャラリー」の最後は「やわらかく作ることで、日本館も「次へ生かす」」。巨大な建造物である日本館も、「循環」を前提に細部に至るまで工夫がこらされている。壁に使われているのは、間伐材から作られたCLT。万博終了後に解体され、再利用されることを見据えて、可能な限り加工を抑えた工法が採用されている。建物だけでなく、アテンダントが着用するユニフォーム、ショップの販売品用の段ボール製パッケージ、パーツを3つの座面に分解できるスツールなども、リサイクルしやすい素材や構造を採用。「次へ生かす」ために、すでに新たな一歩を踏み出している。

次の部屋に進むとFactory-04「二度と見られないはかなすぎる芸術」。目の前に現れる円盤は太古に生きた藻類の化石。その表面に水滴が静かに跡を付けて行く。水滴を受ける円盤は、ひと周りするあいだに乾き、描かれた絵は消滅する。出現した瞬間から、ほのかに消えはじめる繊細な絵画と、水の滴る心地よい音。そのさまは、終わりとはじまりを繰り返す、ひとつの「循環」の現れ。

最後はFactory-05「日本館の体験を、日常に持ち帰ろう」。土産ショップ。「藻類×ハローキティ」「BE@RBRICK」「ドラえもん」の日本館オリジナルフィギュアから、日本館からのメッセージ入りマグカップなど、ここでしか手に入らない多彩な商品を販売するほか、未来の日用品となるかもしれない試作品が展示されている。

屋外回廊に出て、下りて行くと、途中にバイオガスプラントがある。ここでは万博会場で出た生ごみを、微生物のチカラで水やバイオガスへと分解。さらにバイオガスを使って電気を生み出し、プラントを動かすエネルギーとして生かしている。

約1時間で見学終了。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.32012840741692544&type=1&l=223fe1adec


次はペルー館へ向かうが、続く

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