【大人鐡69】弘南鉄道「けの汁列車」編

2025/02/22 - 2025/02/23

■はじめに
　今回乗車するのは、弘南鉄道の「けの汁列車」である。弘南鉄道の観光用車両である「津軽『時巡』」号を使用した企画であり、車両をお座敷仕様にして、折詰弁当と「けの汁」が付き、そしてビールや日本酒や焼酎などがすべて飲み放題という内容である。けの汁とは津軽地方の郷土料理のことで、根菜類や豆腐、油揚げなどを醤油もしくは味噌で味付けした汁物のことである。飲み放題付きなのに料金はたったの5,400円であり、この辺りはJRの企画も見習ってほしいところである（弘南鉄道は赤字続きで、大鰐線などは2027年で廃止されてしまうのであるから「もっと料金を徴収してもいいのでは」とも思うが、地元民相手の企画列車であるから、居酒屋程度にする必要があるのだろう）。
　弘南鉄道では、去年7月にビール列車を運行していたが、残念ながら他の予定があって乗ることができなかった。今回は、2月7日（金）、15日（土）、22日（土）にこの列車が企画されたが、7日は最少人数に至らす不催行になってしまった。私は22日を押さえていたが、開催日の10日くらい前になってやっと催行が決定した。
　弘前の安ホテルはすでに押さえてあり、クーポンやポイントを使って支払うのは端数の35円だけである。問題は、どうやって弘前まで往復するかである。大人の休日倶楽部パスが使える期間であれば最高であるが、残念ながらそうではない。そこで、JRの「トクだ値（25%・30%割引）」を使って、往路は新青森までの「はやぶさ」、復路は盛岡からの「やまびこ」を押さえておいた。往路の新青森以降は通常切符で弘前まで移動し、復路は、高速バス「ヨーデル号」で盛岡に向かうこととする。こうすることで、それなりに安価に済ませることができる。ということで、それぞれ「えきねっと」で確保しておいた。
　しかし、出発の5日前、JREバンクの特典（片道4割引）が3枚もメールで届いてしまった。当然こちらの方が安いため、往復ともキャンセル料（320円）を払って取り直すことにした。弘前まで片道1万円程度であるから、かなり安上がりである。

＠弘前駅にて

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エリア 黒石・平川(青森)

• 旅行の満足度: 4.5

■2025.2.22
　最寄駅からJRに乗り、大宮から新幹線「はやぶさ」に乗り換え。新青森までの所要時間は、3時間弱である。
　新青森到着は10時07分で、弘前方面に行く列車の出発は10時48分と中途半端な時間がある。ということで、これまで縁のなかった「太宰弁当」を買ってみることにした。この時間なら、余裕でゲットである。

＠やっと購入

　青森名物の「貝焼きみそ」もあるが、メインは太宰の好物であった「若おいおにぎり」（薄く柔らかい昆布で巻いたおにぎり）である。なおこの弁当にも「けの汁」が入っているが、弁当なので汁なしである。
　今日は大雪の影響で、10時48分発の秋田行は大館行に短縮変更されていた。弘前到着は11時33分、弘南鉄道に乗るために駅前を歩き始めたが、今年はかなりの大雪である。

＠駅前で遭難しそう

　しばし歩き、中央弘前駅にやってきた。弘南鉄道の大鰐線は2027年度をもって廃止が決まっているため、今日はその大鰐線に乗ることにしている。
　久々の乗車であるが、それにしても崩れそうな駅舎である。

＠良い意味で

　券売機はあるがそれは使用せず、窓口で「さっパス」という企画切符を1,000円で購入した。大鰐までは往復で880円であるが、これに温泉（500円）と買い物券（200円）が付いているから、風呂に入ることを前提にするとお得な内容となっている。
　出発5分前に改札が始まったので、2両編成の列車に乗り込んだ。昭和40年製ということで、こちらもかなりの古さである。

＠大鰐線

　大鰐線の存続はこれまでも何度か話題になってきたが、ついに2027年度末（2028年3月）に廃止となることが決まってしまった。たいていは「来年廃止」のような流れが多いが、3年も先というのは、今春に入学する学生の卒業を考慮しているためであるという。
　12時30分に中央弘前を出発し、大鰐には13時04分に到着した。しばし、温泉タイムである。

＠巨大「あじゃりん」

　風呂に入り、売店でおにぎり（ちょうど200円）を買い物券で買ってから、駅に戻った。
　戻りの列車は、14時30分発である。往路で乗った車両とは異なる編成であり、車内には小さな箱がたくさんぶら下がっている。これは「津軽七雪こぎん灯篭」列車として運行される編成であり、夜になるとライトアップされるのであるが、今はまだ昼なのでぶら下がっているだけである。

＠残念

　15時05分に中央弘前に戻り、「虹のマート」でいつもの「いがめんち」を買ってからホテルにチェックイン。しばし休んでから、18時前に弘前駅に向かった。
　受付は、18時少し前から行われた。切符のようなものが渡されたが、これは切符ではなく、抽選券であったことを後で知る。

＠切符ではない

　しばらくして、ホームへと案内された。2両編成の「津軽『時巡』」号であるが、今日は1両半だけの利用である。私は2両目の真ん中付近で、すぐ隣が酒であるからお代わりがしやすい場所である。
　車内はお座敷になっており、机上にはすでに折詰が置いてあった。

＠こういう車内

　自席に座り、飲み物を聞かれたのでとりあえずビールにしてみた（寒いので熱燗でもあればいいのだが、温かい酒はないとのこと）。出発前から一献の開始である。

＠とりあえず

　早速折詰を頂くことにする。特に青森らしいものは見当たらないが、ツマミになれば何でもいいというのが正直なところである。

＠折詰

　青森らしいものとなれば、けの汁である。それも早速配膳されたので、頂くことにした。具が豊富で自分で再現してみたい気になるが、多種多様の具材が入っているので、自分で作るのは大変そうである。

＠けの汁

　定刻の18時17分、弘前を出発した。車内アナウンスによると、この列車の運行は5年ぶりとのことである（理由は当然、コロナである）。
　ビールは2杯だけにして、続きは日本酒にすることにした。ツマミは折詰で充分あるが、虹のマートで買った総菜も追加である。

＠弘前と言えば

　「津軽『時巡』」号は改造車であり、車内の至る所に装飾などがあるが、特に目を引くのは彫刻である。これは、岸和田の彫刻師による制作であるという。私の右側以降には乗客がいないので、その写真を撮りに行ってみた。

＠彫刻

　平賀で追加の乗客が乗り込み、改めてここで、全員で乾杯をした。
　車内には通路がないため、お代わりの酒を手渡しで回していった。電気が少し暗くなり、カラオケタイムの開始である。

＠カラオケボックス風に

　19時00分、折り返しとなる黒石に到着した。ここで30分ほどのトイレ休憩である。トイレを済ませた後、駅前でも少し歩こうと思ったが、雪が多くて断念である。
　ホーム上も、雪だらけであった。

＠雪だらけ

　19時30分に黒石を出発し、車内はひたすらカラオケ大会の続きである（昭和の曲が多いのは乗客の年齢層が原因であろう）。私は、ひたすら日本酒の繰り返しである。車内では抽選会が行われたが、残念ながら私は当たらなかった。

＠日本酒は2種類ありました

　19時50分に平賀に到着し、ここでまた40分のトイレ休憩である。というか、弘南線自体短いため、こうしないと早く着いてしまうのである。
　カラオケを歌うと手ぬぐいが貰えるのだが、音痴の私は歌わなかった。しかし、対面に座っていた方が、抽選会で当選＋カラオケで手ぬぐいがダブっていたため、「もしよろしければ」ということで頂いてしまった。

＠ありがとうございます

　呑んだくれ状態になり、弘前には20時48分に戻ってきた。これで終了である。

■2025.2.23
　今日は弘南線を観光して（こちらにも温泉付き切符がある）、昼前に戻る予定であった。しかし、気掛かりなのは大雪である。「除雪もあるから朝は無理だろう」と思っていたが、昨晩の弘前は全国ニュースのトップになるほどの積雪（20センチ以上）ということで、なんと奥羽本線は夕方まで運休予定であるという。

＠駅前の状態

　しかし、こういう時の咄嗟の対応が旅慣れた者としての腕の見せ所である。まずはバスターミナルに行って盛岡行の切符を買い（当初予定していた「ヨーデル号」）、続いてJRの駅に行って優待の切符を盛岡発に変えてもらった。これで、陸の孤島状態である弘前から脱出が可能である。
　バス代が3,400円追加となるが、盛岡発にしたことにより切符が1,480円安くなり、弘南線観光が無くなったことにより1,000円浮くので、実際の差額はそれほど大きくない。であれば、バスで気分転換できるので、問題はない。

＠駅の運休案内

　気掛かりなのは、似たような考えの人が多くてバスに乗れない可能性である。バスは9時55分発であるが、念のため9時過ぎにバス乗り場に向かった。この時刻なら、当然ながら先頭である。
　しかし、9時半過ぎくらいからかなり混んできて（大行列）、1台のバスに乗れるかどうか怪しくなってきた。案内放送でも「乗れない可能性がある」ことが流れている。

＠バスが来た（天井の雪がすごい）

　乗客はギリギリ乗り切り、定刻の9時55分に出発した。隣にいたおじいさん（このバスを愛用している）によると、通常は6～7人しか乗っていないこともあるという。
　峠を越えて太平洋側に入ると、雪はめっきり少なくなった。盛岡に到着し、その後は新幹線で戻るだけである。
　なお翌日に確認すると、奥羽本線は夕方に復旧できず、その日は終日運休となったらしい。定期路線バスで脱出して、良かったと思う。

＠最後は盛岡発で


＊旅行記および私の詳細については以下で。
「鐡旅」http://www2u.biglobe.ne.jp/~kokuden/tetu.htm