滋賀・奈良・京都の旅(12)【三十三間堂/養源院/智積院/西本願寺】

2022/10/27 - 2022/10/27

　12日目からは、コロナ禍3年目の京都観光です。
　国宝の仏像がある三十三間堂、国宝の障壁画がある智積院、世界遺産の西本願寺などを巡りました。

エリア 東山・祇園・北白川(京都)

• 旅行の満足度: 5.0

　京町家を改装、京都産の食材を使ったモーニングメニューがいただける「小川珈琲 堺町錦店」で朝食です。

　九条ねぎとしらすの玉子サンドイッチ。食パンも、珍しい京都産小麦を100%使用したもので、地産地消にこだわる本気度がうかがえます。

　京都ポークボンレスハムとキュウリのサンドイッチ 柚子塩添え

　京都観光3年目にして、やっと開門している時間帯に蛸薬師堂の前を通ったので、初めて参拝しました。東方浄瑠璃浄土の主、薬師如来が安置されているので、正式名は「浄瑠璃山永福寺」だそうです。
　昔々、永福寺の僧が病気の母親のために好物の蛸を買って帰ったところ、蛸から放たれた瑠璃光が母親を照らし病気が治ったとの伝説から蛸薬師と呼ばれるようになったようです。薬師如来の癒しのパワーは瑠璃光だったのですね。

蛸薬師堂 寺・神社・教会

　新京極商店街の蛸薬師堂と錦天満宮の間の路地の奥に小さなお寺がありました。お祀りされている立江地蔵尊は、四国八十八ヶ所の一つ、徳島県立江寺の地蔵尊を模して彫られた分身だそうです。

善長寺 寺・神社・教会

　立江寺の本尊・立江地蔵菩薩像は、元々は光明皇后の安産の念持仏として行基が彫った6センチほどの小さな仏像で、あまりの小ささに紛失を恐れた空海が等身大サイズの地蔵菩薩像を彫ってその胎内に行基の仏像を秘かに安置したとのことなので、京都の立江地蔵尊は空海が彫ったものを模してつくられたものなのでしょう。
　善長寺の入口にある石に刻まれた「くさよけ」とは、恐ろしい伝染病「天然痘除け」という意味で、光明皇后が産んだ皇太子が1歳になる前に逝去→長屋王の変→藤原四兄弟が天然痘で死去という怨念の歴史を思い出すことになりました。

善長寺 寺・神社・教会

　京阪本線で祇園四条駅から七条駅まで移動し、三十三間堂にやってきました。階段状の秋雲壇に上がると奥の方の観音像のお顔までよく見えるため、下から見るよりも断然迫力が増して、まさに圧巻の眺めでした。

三十三間堂(蓮華王院) 寺・神社・教会

　庭園の奥には、豊臣秀吉が寄進した太閤塀が残されていました。

三十三間堂 太閤塀 名所・史跡

　三十三間堂の隣にある浅井家の菩提寺、養源院にやってきました。

養源院 寺・神社・教会

　本堂には俵屋宗達の杉戸絵がありました。白象、唐獅子、麒麟が生き生きとダイナミックに描かれ、一見の価値があります。

養源院 寺・神社・教会

　養源院の隣にある智積院の収蔵庫で国宝の長谷川等伯の障壁画を見学しました。その後、大書院の縁側から名勝に指定されている庭園を眺めました。

智積院 寺・神社・教会

　大書院には、国宝の障壁画のレプリカがありました。長谷川等伯の「楓図」です。当時を再現したレプリカだからこそ、金地がきらきら鮮やかに輝いていて、絢爛豪華な雰囲気が楽しめます。

智積院 寺・神社・教会

　長谷川等伯の子、長谷川久蔵「桜図」(レプリカ)です。幼くして亡くなった秀吉の長男、鶴松が過ごしているであろう極楽浄土を描いていますが、久蔵も「桜図」を描いた翌年26歳で急逝しています。

智積院 寺・神社・教会

　桜の下で戯れるりすの襖絵もありました。

智積院 寺・神社・教会

　赤坂離宮で有名な建築家、片山東熊氏が手がけた旧帝国京都博物館本館だった明治古都館には近づけないようになっていて、大和大路通りから柵越しにのぞくのみでした。写真を拡大してみると、噴水の向こうにロダンの「考える人」が確認できました。

京都国立博物館 美術館・博物館

　豊国神社の国宝唐門を見に行きました。

豊国神社 寺・神社・教会

　豊國大明神の額の左右には、雌雄一対の鶴の彫刻がありました。目を彫ると飛び立ってしまうかもと思い、目のない鶴になっているそうです。　

豊国神社 寺・神社・教会

　扉の下には、出世を意味する鯉の滝登りの彫刻が施されています。先ほど見学したばかりの「養源院」にあった歩くときゅっと音がする鴬張りの廊下を造った伝説の職人、左甚五郎の作品です。今回の旅の前半、滋賀県の三井寺でも、左甚五郎の龍の彫刻を見ました。

豊国神社 寺・神社・教会

　隣接する方広寺にやってきました。

方広寺 寺・神社・教会

　方広寺境内で、家康が豊臣家を滅ぼす策略として利用した国家安康の鐘を見学しました。

方広寺 寺・神社・教会

　鐘楼の天井には、美しい声で鳴く極楽浄土の生物、迦陵頻伽が描かれていました。元々は、伏見城の女性化粧室を飾っていた天井画だそうです。

方広寺 寺・神社・教会

　三十三間堂前からバスで七条大宮まで移動しました。コロナ3年目ともなると、バスが来てもなかなか乗車できないほどの混み具合でしたが、京都駅でほぼ全員が降りていきました。世界遺産西本願寺に向かう前に、西本願寺の僧侶の教育機関が前身の龍谷大学大宮学舎を見学しました。

龍谷大学大宮学舎 名所・史跡

　ミッションスクールのようなかわいいキャンパスで、仏教の学校と聞いて抱くイメージとのギャップに驚きました。

龍谷大学大宮学舎 名所・史跡

　龍谷大学から北大路通りに入り、修復を終えた西本願寺の国宝、唐門を見学しました。

西本願寺(お西さん) 寺・神社・教会

　扉に施された唐獅子をよく見ると、授乳中の唐獅子母子や、母獅子にじゃれついている2匹の子獅子の姿もありました。

　竹の隣には、猫がモデルの虎の彫刻がありました。

　雌の虎だと考えられていた豹の彫刻です。

　川の中に靴を投げ入れて裸足の黄石公。

　拾った靴を差し出す張良は、後に劉邦の軍師になりました。

　境内側には、帝位を譲りたいとの申し出を聞いて穢れてしまった耳を洗っている許由の彫刻がありました。

　その姿を見て、汚れた水を牛に飲ませるわけにはいかないと思い引き返している巣父です。

　御影堂の入口階段前にある雨水を受ける石を両肩で支える天邪鬼の表情も、8匹それぞれ違っていました。

西本願寺(お西さん) 寺・神社・教会

　御影堂や阿弥陀堂の長い廊下では、埋め木を探して歩きました。ハートの埋め木もありました。

西本願寺(お西さん) 寺・神社・教会

　西本願寺から緑青のドーム屋根が見えていた本願寺伝道院です。明治45年に伊東忠太の設計により、西本願寺の信徒のための生命保険会社本社として建てられたもので、イスラム風、イギリス風、和風が絶妙にミックスされた洋館になっていました。

本願寺伝道院 名所・史跡

　ドーム屋根の対角線上には、イギリス風の六角塔がありました。

本願寺伝道院 名所・史跡

　伊東忠太がデザインした怪獣たちが、建物の周りを取り囲んでいました。怪獣の背後に見える通気口のデザインまでレトロです。龍谷大学大宮学舎といい本願寺伝道院といい、西本願寺関連の建築は、仏教のイメージとかけ離れた洋風建築も多いことに驚かされます。

本願寺伝道院 名所・史跡

　七条通を歩いていると、下に向かって太くなっている柱が重厚なレトロ建築、旧村井銀行七条支店がありました。長楽館で有名なたばこ王の村井吉兵衛が設立した銀行だったそうです。

和み館 グルメ・レストラン

　さらに七条通を進むと、旧鴻池銀行七条支店がありました。

　国の登録有形文化財になっているレトロビル、富士ラビットです。フォードの輸入代理店だった日光社の社屋ビルとして1922年に建てられたものです。

　カーテンが付いた高級リムジンが田園を走っているステンドグラスもありました。

　京都駅地下街ポルタにある「Sir Thomas LIPTON」でティータイムです。ヴィクトリア女王ゆかりのケーキに、ハプスブルク帝国皇帝お気に入りのトルテをいただきました。
　シナモンバタークリーム、無花果とラズベリーのジャムを挟んだ英国ヴィクトリアケーキ、スリランカの紅茶ディンブラのロイヤルミルクティー。

サー・トーマス・リプトン ポルタ店 グルメ・レストラン

　ウィーンのホテル・インペリアルの開業時、皇帝フランツ・ヨーゼフを称えるために作ったのが始まりの、インペリアルトルテセット。

サー・トーマス・リプトン ポルタ店 グルメ・レストラン

　夕食は、お得なランチセットが終日注文できる「喫茶マドラグ 藤井大丸店」でいただきました。

喫茶マドラグ 藤井大丸店 グルメ・レストラン

　ランチメニューの中で、唯一プリンもセットされているお子様ランチです。オムライスの上には、旗も立っています。

喫茶マドラグ 藤井大丸店 グルメ・レストラン

　マドラグの名物玉子サンドがいただけるマドラグランチです。サンドイッチとして食べるのが難しいほどの厚みのある卵焼きがサンドされていました。

喫茶マドラグ 藤井大丸店 グルメ・レストラン