レンタサイクルで巡る利根運河とその周辺

2023/03/05 - 2023/03/05

明治時代、流山市には利根川と江戸川を結ぶ8.5㎞ほどの運河が造られました。オランダ人の土木技師・ムルデル氏の設計、指導の下、開削され造られた運河です。当時、40㎞程の航路を3日かけて通航していた船が、1日で通航でき、年間およそ四万隻が米穀、木材、薪炭、水産物、醤油などを運ぶことができるようになりました。
運河としての役目は昭和16年に終えましたが、現在も当時の面影を残す水路や景観が残っています。
運河沿いにはたくさんの桜が植えられ、花見の時期には桜のトンネルが造られます。菜の花が咲く土手沿いには、遊歩道や公園が整備され散策を楽しむことができます。
そんなかつての運河沿いをレンタサイクルで巡ってきました。

エリア 柏・流山(千葉)

• 旅行の満足度: 4.5

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 交通手段: 自転車 JRローカル 私鉄 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

東武野田線・運河駅から150mほどの、1日500円という格安の駐車場に車を停め、運河駅構内を通り利根運河に向かいました。
駅構内にはギャラリーがあり、雛人形が飾られていました。
無人のギャラリーで、運河周辺の観光マップやパンフレットも置かれていました。

運河駅 駅

駅から5分ほどで運河水辺公園に到着。
利根運河を挟んだ公園で、浮橋が運河に架かっていて両岸を行き来できます。堤防沿いに遊歩道があり、ベンチや滑り台もあります。近くの利根運河交流館のスタッフによると、土手に菜の花がたくさん咲き、桜の花とコラボする時期はとてもきれいだそうです。休日の午前、散歩する人やベンチで休む人がいる、のどかな雰囲気の明るい公園です。

利根運河 自然・景勝地

運河水辺公園入口で散歩する人たちを温かく迎えるビリケン像。
利根運河会社の支配人さんが招福、病気平癒、学業向上を願って建立したそうです。
現在の像は2代目です。

運河水辺公園 公園・植物園

利根川と江戸川をつなぐ8.5㎞程の利根運河。
現在、運河としては利用されていませんが、川の両岸はきれいに遊歩道が整備され、堤防沿いには桜並木が作られています。土手には菜の花が咲き、地元の人たちの散歩コースになっていました。
土手の上では本格的な自転車に乗ってさっそうと風を切って走っているグループも見られました。桜の季節はとても込み合いますが、桜のトンネルと、桜と菜の花のコラボが楽しめる時期は特におすすめです。

運河水辺公園 公園・植物園

運河駅から6分ほど、利根運河の土手に建つムルデル氏の碑で。
明治時代、利根川と江戸川を結ぶ運河を開削した人物です。土木技師として来日し、川の改修や港の建設を行い、最後に利根運河の設計を手がけオランダに帰国しました。赤茶色の碑には、ムルデル氏のレリーフと日本での略歴が記されています。

ムルデルの碑 名所・史跡

レンタサイクルを借りるために訪れた利根運河交流館。
運河駅から7分ほど、利根運河沿いに建つ国土交通省江戸川河川事務所の１階にあります。
観光案内所も兼ねていて、担当の方から散策に役立つ地図や資料をいただきました。

利根運河交流館 名所・史跡

ひな祭りイベントをやっていて、館内には雛人形や吊るし雛が飾られ、華やかなふんいきでした。
館内には運河についての図書コーナーがありました。

利根運河交流館 名所・史跡

館内に飾られた吊るし雛。

利根運河交流館 名所・史跡

レンタサイクルは半日250円で借りられました。
大人用は4台しかないので予約した方が確実です。
子供用自転車も2台ありました。
3段ギアの自転車で坂道も楽に上れました。

利根運河交流館 名所・史跡

土手沿いには菜の花が咲き始めていて、気持ちよいサイクリングが楽しめました。

利根運河 自然・景勝地

運河駅から江戸川方向に1.5㎞程、運河沿いの土手下の草地に、大師堂と20体ほどの大師像が祀られています。大正時代に整備された新四国八十八カ所霊場として建立されました。

利根運河大師 名所・史跡

異なった顔と衣装の大師の姿はどことなく微笑ましく感じられました。土手沿いにある大師堂への入口には、小さな案内板が掲げられていますが、目立たないので見落とさないように散策してください。

利根運河大師 名所・史跡

運河駅から3㎞程、運河を流れてきた水が江戸川に注ぎ込む河口に造られたこじんまりした運河河口公園。

運河河口公園 (ナガレヤマシ) 公園・植物園

遊具類はありませんが緑豊かな公園で、桜が植えられ東屋も造られています。土手沿いを散歩してきたりサイクリングをしたりしてきた人たちの休憩場所にもなっています。

運河河口公園 (ナガレヤマシ) 公園・植物園

河口の様子です。
写真上、幅が広いのが江戸川。細い水の流れが利根運河です。

運河河口公園 (ナガレヤマシ) 公園・植物園

河口公園で橋を渡り、反対側の土手から運河駅方向に向かいました。
たくさんの桜が植えられたにおどり公園の様子です。
流山工業団地の緩衝緑地として利根運河沿いに整備された公園です。西深井歩道橋近くの東側の公園入口にある石碑に、万葉集から引用されたにほどり（カイツブリ）が名前の由来だと記されていました。

におどり公園 公園・植物園

トレーニング器具があるところや、アスレチック遊具やベンチが置かれているところがあります。訪れた休日の午前、家族連れが遊んでいました。

におどり公園 公園・植物園

運河沿いの遊歩道を進み、運河駅を越えたところにも桜並木がありました。
テーブルとベンチが設置され、お花見には大活躍しそうです。

利根運河 自然・景勝地

運河駅から歩いて8分ほど、眺望の丘と名付けられた運河沿いに造られた小高い丘です。丘の上には東屋が設置され、運河の蛇行する美しい姿を見下ろすことができます。

眺望の丘 名所・史跡

蛇行する運河の様子です。

利根運河について
運河は利根運河会社により、オランダ人土木工師ムルデルの設計指導のもと造られました。1888～1890年に谷津や沼の形を生かして掘削量が最小限になるように造られたので、蛇行する運河になりました。1896年に鉄道土浦線が開通したり、利根川の洪水などで堤防が崩壊したりするなどがあり、1941年に国に買収され運河としての役割を終えました。現在、利根川の洪水を防ぐ治水の役割と、利根川から江戸川に都市用水を導水する利水の役割を担っています。川の両岸はきれいに整地され遊歩道が整備され、堤防沿いには桜並木が作られています。

利根運河 自然・景勝地

テーブルや椅子が設置された丘の下にはさらに桜並木が作られていて、桜並木を見下ろすこともできる絶好のスポットになっています。

眺望の丘から交流館に戻り、自転車を返却、2時間ほどのサイクリングを終えました。
桜の時期に再訪したい利根運河沿いです。

利根運河 自然・景勝地