2022/12/02 - 2022/12/04
4223位(同エリア5396件中)
RiEさん
旅行2日目。
日帰り旅だと東大寺や春日大社方面に足を向けがちなので、今回は車をコインパーキングに預けたまま公共交通機関を利用して奈良市内を観光し、私は久しぶりだけど夫は訪ねたことがない寺院を巡る。
最初に訪ねたのは12年に及ぶ苦難の末に来日を果たした鑑真大和上が、759年に戒律を学ぶ修行道場として開いた“唐招提寺”。
徒歩で移動して680年に天武天皇によって皇后である後の持統天皇の病気平癒を祈願して発願され、697年持統天皇の時代に完成した後、平城遷都に伴って718年に飛鳥の藤原京から平城京に移された“薬師寺”は、思い出せないくらい長い月日を経ての再訪だったから新鮮だった。
HOTEL近くのクラフトビールが楽しめる“MEAT×PIZZA YAMATO Craft Beer Table”でランチ飲みしてから、ならまちエリアにある古寺“元興寺”へ。
前身は蘇我馬子が飛鳥に建立した日本最古の本格的仏教寺院である法興寺(現在の飛鳥寺)が、平城京遷都に伴い平城京内に移転して名も改め、奈良時代には東大寺や興福寺と並ぶ大寺院だったものの、今はその面影も無いくらいコンパクトだった。
旅行3日目。
奈良中心部から車で移動して、一条天皇の発願により関白だった九条兼家の子:兼俊が創建した紅葉の名所として知られる“正暦寺”へ行ってみると、シトシト雨露が濡らして終わりかけのモミジを艶やかに魅せていた。
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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近鉄奈良駅前から発車している9:23発のバスに乗車して、揺られること25分。
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私は小学校の修学旅行以来、夫は初めて訪れる“唐招提寺”前で下車した。
車道に迫り出した樹木は南大門の屋根を優に超えており、バスでさえ避けるようにして通行しているのが何だかおもしろい。
奈良の大寺のほとんどが勅願による官寺であるのに対して、唐招提寺は12年間の苦難の末に来日を果たした唐の高僧である鑑真和上発願による私院で、759年戒律を学ぶ人々の修行の道場として創建したのが興味深い。
拝観料は大人1人:1000円。唐招提寺 寺・神社・教会
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南大門をくぐると幅広い参道の先に国宝指定されている金堂が姿を現し、一部残っていた紅葉が彩りを添える。
晴天に恵まれ雲1つない冬の強烈な日差しが降り注ぎ、カメラ泣かせのコントラストの激しさに悩まされたので、またしても今回PLフィルターを持参しなかったことが悔やまれた。 -
金堂は数少ない焼失を免れた貴重な建物で、8世紀後半の創建時の姿を残す。
寄棟造の風格あるどっしり構えた姿が凛とした冬の空気に合っていた。 -
正面扉が解放されているから外から参拝をするため、堂内は立ち入り禁止で撮影も不可。
中央に本尊の盧舎那仏坐像・右に薬師如来立像・左に千手観音立像が並んでおり、いずれも国宝指定されていて、厳しくも穏やかな表情に引き込まれる。 -
金堂の裏には鐘楼と、入母屋造の講堂が建っている。
講堂はかつて平城宮に存在した東朝集殿を移築&改築したもので、鎌倉時代に手を加えられたのが現在の姿と伝わるものの、平城宮の遺構として残る貴重な建物でありこちらも国宝指定になっている。 -
視線を上げると屋根瓦の表情がユニークだった。
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講堂も外から参拝出来るようになっていて内部撮影禁止になっており、本尊の弥勒如来坐像・持国天・増長天立像をはじめとする多くの仏像が安置されていた。
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講堂の東側にある東室前には石塔楼が並んでいて、2頭の獅子がじゃれているように見える。
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東室に沿って進んでいくと左に階段があり、その脇に“開山堂”の建物が建っていて、正面扉が開いているから下からでも参拝可能。
ちなみに開山堂正面からも階段が続いているものの、こちらは上がれないため左の階段をのぼっていく。 -
もともと開山堂は元禄時代に徳川家歴代の御霊殿として建立され、1881年に鑑真大和上の尊像を安置するため現在の位置へ移築されたそうで、開山堂の老朽化をうけて2013年に改修工事が行われた際に鑑真大和上を模した御身代わり像を制作し、現在はこの像が安置されている。
階段脇の入口から入って、コの字型の通路を通って参拝し外に出る一方通行になっていて、敷地内は撮影は禁止だった。 -
開山堂の斜め向かいに建っている立派な門構えの建物は、もともとは興福寺の別当坊だった一乗院宸殿の遺構で、1964年に移築・復元した重要文化財の御影堂。
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非公開エリアになっているので特別公開のタイミングを狙うしかないけど、天平時代を代表する日本最古の肖像彫刻であり、国宝指定されている高さ80.1cmの鑑真和上坐像と、1971年から10年を超える歳月をかけて画家:東山魁夷が鑑真和上に捧げた大作(鑑真和上坐像厨子扉絵・ふすま絵・障壁画)が収められている。
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そのまま通路沿いに進んでいくと瓦と土を重ねた塀が続いて、境内の北東の奥まった静かな場所に入口が見えた。
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ここから先は鑑真和上の墓所で、鑑真和上御廟と呼ばれる聖域になっている。
御廟参道を挟み込むようにフカフカの美しい苔が広がっていて、違う世界に迷い込んだような気分になった。 -
真っすぐ伸びる御廟参道を進んで、池を渡った先に…
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鑑真和上の墓がある。
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来た道を戻って西側へ歩いて行くと、燃えるように赤いモミジが塀から迫り出していた。
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はす池に散り沈んでいるモミジも美しい。
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金堂の西側にある戒壇は出家して仏教徒になるための儀式である授戒が行われる場所で、唐から鑑真和上がわざわざ日本にきたのも日本人に戒を授けるのが目的だった。
火災により建物は失われたため現在は3段の石壇のみが残り、白い宝塔は1978年にインドの古塔を模して築かれたものだそうでアンバランスな気がする。 -
唐招提寺から歩いて“薬師寺”へ向かう道中は、真っ直ぐな1本道の間に民家が立ち並び、車の往来も多かった。
西ノ京に位置する薬師寺は興福寺と並ぶ法相宗の大本山で、奈良時代よりも古い白鳳時代の680年に天武天皇によって皇后である後の持統天皇の病気平癒を祈願し発願され、697年持統天皇の時代に完成しその後、平城遷都に伴って718年に飛鳥の藤原京から平城京に移された。薬師寺 寺・神社・教会
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北受付で拝観料大人1人:800円を払って境内へ。
金堂がある有料エリアは白鳳伽藍と呼ばれており、拝観順路に沿って土産物屋も入っている授与所・朱印所を通過する。 -
建物内には薬師如来坐像台座のレプリカが展示されていて、奥にはベンチがズラッと並んでいたけど仕切られていたので団体客向きのスペースなのかも。
本尊である薬師如来坐像が開眼した697年に、薬師如来が座るためのこの台座も造られたそうで、世界各地の様々な文様が集められていることから東西文化の交流を紐解くことが出来るそう。 -
白鳳伽藍は金堂・東塔・西塔・講堂をぐるりと回廊が取り囲む伽藍構成をしているので、この大講堂は後で見学することにして東側から見て周ることに。
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ふと中央に視線を移すと建物の色が異なることに気付く。
後に金堂に立ち寄った際、団体客向けに偶然説法が開かれていたので少し耳を傾けてたところ「白鳳伽藍は朱色で統一された美しい伽藍に見えるけど、色鮮やかな建物は被災して再建された建物であることを示しており、色の無い建物が被災を免れたオリジナルで東塔と東院堂の2つしかありません」と講和していて、通りすがりながら良い情報を知ることが出来た。 -
東回廊を南側に進んでいくと…
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8世紀初頭に長屋王の正妃である吉備内親王が、母の元明天皇の冥福を祈り建立した国宝指定されている東院堂が建っており、現在の建物は鎌倉時代に再建されたもの。
靴を脱いで堂内に入ると、薬師三尊と同じく白鳳期に製作さえれた本尊の聖観音菩薩の美しい立像が待っていた。 -
赤・オレンジ・黄色・緑のコントラストが色の無い建物に華を添える。
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ぐるっと回って中門をくぐって正面を見ると、金堂の左右両側に同じ形の2つの塔が対に建っている。
向かって左側の西塔は朱色が鮮やかさからわかるように1981年に再建されたもの。 -
向かって右側に建つのが東塔で、塔デザインは西塔と同じらしいけど色の印象だけで随分違って見えた。
東塔は平城京移転後に建てられた奈良時代の建築物で、薬師寺の中で最古であり国宝指定されているけど真新しい建物に見える理由は、2020年まで12年に渡る大規模な解体修復工事が行われていたから。
ちなみに三重塔だけど各層屋根の下にもこしと呼ばれる大きな庇がついているため、六重塔にも見えるのが面白い。
東塔前をゾロゾロ通過するバスガイドに引率された修学旅行生たちを見送っていると、どこか懐かしい気持ちになった。 -
白鳳伽藍の中心的な建物である金堂は1976年に再建され、堂内には白鳳期に制作された薬師寺本尊である薬師如来・日光菩薩と月光菩薩の薬師三尊像が安置されている。
薬師寺のように中央に本尊を祀る金堂を整え、東西に2基の塔を配する伽藍配置は薬師寺から始まり、このような伽藍を薬師寺式伽藍配置と呼ぶ。
1528年に戦火に巻き込まれ焼失した金色は豊臣家が本格的な再建に取りかかる予定だったものの、その後豊臣家の滅亡によって400年近く仮堂のままだったが、歴代の薬師寺住職の悲願である金堂の再建を実行するため、1968年から始まった「百万巻お写経勧進による薬師寺金堂復興」によって1976年に現在の白鳳時代様式金堂が再建され、金堂上層には写経が納められた納経蔵が造られた。 -
視線を上げるとしめ縄がだらりと飾られていて、何だか寺院らしくないと思って調べてみると、これは神仏隔たりなく敬う姿だそうで、鎮守の土地上に薬師寺を建てたことから仏様よりも高い位置に土地神を祀っているそう。
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金堂の背後に建つ大講堂は2003年に創建当初の規模で再建された新しい建物で、薬師寺で最大サイズを誇り正面の幅は41m・奥行20mある。
堂内には弥勒三尊像や、仏足石・仏足石歌碑という白鳳時代から奈良時代にかけての貴重な文化財も展示されていた。 -
白鳳伽藍の北側、道路を挟んだ向かいも薬師寺の境内になっていて、こちらを訪れるのは私も初めてだった。
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本坊事務所などを通り過ぎた1番奥にあるのが…
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玄奘三蔵院伽藍は1991年に建てられた新しい伽藍で拝観料は白鳳伽藍とは別料金が発生する。
ただし公開期間が決まっているため、秋期間は9/11-11/30だったため終了したばかりだったので、私たち以外誰もいなかった。 -
玄奘三蔵とは三蔵法師のことで、古代中国の僧侶だった玄奘三蔵はインドに旅して仏教研究を行い、中国にその成果や多数の経典を持ち帰って、東アジアの仏教文化の発展に大きな役割を果たした人物として知られている。
その三蔵法師の遺骨が伽藍中央に立つ八角円堂・玄奘塔に納められているそうで、今回は柵越しだったけど公開時期のタイミングが合ったら再訪したい。 -
薬師寺からすぐの近鉄:西ノ京駅から乗車して、乗り換え含め20分弱でHOTELの最寄り駅の近鉄:奈良駅に戻ってきたのが13:30前。
近鉄奈良駅 駅
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駅からHOTELに続く小西さくら通り沿いにある“MEAT×PIZZA YAMATO Craft Beer Table”でランチを。
土曜日ということもあり14:00になっても満席状態だったけど、料理提供が早いので混雑も気にならなかったし、オリジナルロゴグラスが可愛い。MEAT×PIZZA YAMATO Craft Beer Table グルメ・レストラン
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ガラス張りの先にはある醸造所を眺めながら飲める席もあるし、料理はどれも美味しくて、毎月限定のオリジナルビールが発売されるのでファンが多いのも納得で1杯目はそれぞれ異なる限定味を注文。
私が飲んだのは12月限定醸造の西吉野産富有柿を使用したビールは、柿っぽいオレンジ色をしていて、コクがあって余韻は甘め、柿を思わせる味わいも感じられた。
夫が飲んだのは11月限定醸造のドライでスパイシーなジンジャービールで、薄い黄色をしていてほのかに生姜の香りがあり、サッパリ&すっきりした味だった。 -
一旦HOTELに荷物を置いてから、ゆっくり歩いて20分ほど離れた“元興寺”へ。
近鉄の駅周辺は商店街が並んで飲食店も多いせいか土曜日の夕方は観光客だらけだったけど、1本道を変えると住宅街が広がって時折風情ある町並みが残っていた。
16:00過ぎに到着するとこちらは北門だったようで、拝観受付のある東門まで塀沿いに歩いて行くと小さな行列が出来ており、拝観料は大人1人:500円。
元興寺の前身は日本最初の本格的仏教寺院とも言われる昨日訪ねた明日香村の飛鳥寺で、平城京への遷都の際に現在の地に移転をすると奈良時代は朝廷の庇護を受けて奈良を代表する寺院に成長し、東大寺や興福寺などとともに南都七大寺の1つに数えられた。
大伽藍が並んだ当時の境内の広さは現在の数倍あったそうで、現在の元興寺の周囲に広がるならまちは、昔の元興寺境内とほぼ一致しているというから驚く。 -
東門の正面に建っているので最初に目に入るのが、夕日を浴びて輝く寄棟造の本堂。
かつて僧坊だった建物の一部を改造したもので極楽坊本堂とも呼ばれており、本堂の改築は鎌倉時代に行われているけど奈良時代の建材や飛鳥時代の瓦も使われており、国宝指定されている。
本堂内の拝観も出来るけど撮影は不可で、本尊ではなく智光法師感得の浄土曼陀羅が祀られているため一見の価値あり。元興寺 寺・神社・教会
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向かいの法輪館は収蔵庫になっていて、元興寺が保有する宝物を保管・展示している。
館内には阿弥陀如来像や弘法大師像を至近距離で拝むことが出来るし、国重要文化財にも指定されている貴重な仏像も公開されていて、2階に上がるとさらに奥まった造りをして貴重な資料を見学出来るから思いのほか見どころが多かった。
ただし入口で靴を脱いで見学するため、スリッパが用意されているけど古い建物なので転びそうになるから脱いで見学したところ床の冷たさが直に伝わって足がツラかったので、スリッパが苦手な人は対策グッズを持参した方が良さそう。 -
本堂後方に建っているのは禅室で、こちらも本堂同様に鎌倉時代に僧坊を改築したものだけど一般公開はされていない。
視線を手前に戻すと本堂と禅室と、法輪館と茶室の間に無数に並んでいる整然と並べられた石塔に圧倒されるけど、これは近年まで禅室の北西部石舞台に積み上げられていたものを、1988年に現在の形に並べなおしている。
浮図田と呼ばれており、浮図とは仏陀を指していて仏像や仏塔が稲田のごとく並ぶ場所という意味をもち、これらの石塔には様々な形態のものがあり眺めていると少しずつ形が異なっているのに気付く。
法輪館付近は、密教の教義をもとに5個の部材を組み合わせてつくられた五輪塔が集められていた。 -
浮図田の正面には75㎝四方・熱さ15cm庵治石を陰刻した獅子国型仏足石が据えられている。
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通路を挟んだ奥の浮図田は趣が異なり…
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禅室側に周ってみると、舟形の碑に仏像などを浮彫や線刻した舟型五輪塔板碑が集められていた。
中央の仏像を囲うように一定間隔で配置されていることから、説法に耳を傾けているようにも見えた。 -
通路を挟んだ後ろは背の高い舟型五輪塔板碑が並んでおり、五輪塔自体が浮彫されているものもあった。
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夕日に染まる浮図田はどこか物悲しさがあり、色づいた葉が風に揺られてハラハラ落ちる様子は行き場がなくて彷徨っているようだった。
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少し足を伸ばして“春鹿醸造所”に寄ってみたけど、有料試飲テーブルは外国人観光客グループで埋まっていたし店内も混雑していたため、夫が今夜飲む2合瓶サイズを購入して帰路に就いた。
日中は冬晴れ広がって過ごしやすいけど、夕方になると一気に気温が下がるから寒暖差が身にしみた。春鹿 グルメ・レストラン
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旅行3日目。
“いまなら地域クーポン券”が使える店で自宅用の奈良の地酒を調達してから、山の辺の道から山中へ。
山が濃くなるにつれてポツポツと雨露がフロントガラスに滴り始め、奈良中心部は薄曇りだったけど段々本格的な雨が降り出し、終わり掛けのモミジをしっとり濡らした。
古来から紅葉の名所として知られる“正暦寺”は11月3日-12月初旬のみ駐車料金500円が徴収があるため今回は有料だったけど、普段は無料。 -
車から降りる頃には傘が無いと歩けない程で、風は無いから寒くないけど雨のせいで空気が冷たい。
駐車場から続く道の途中にあったのは【日本酒発祥之地】の碑で、正暦寺が清酒発祥の地であることは種々の古文書から明らかになっており、室町時代の酒造記である『御酒之日記』には「菩提泉」という項があって、菩提山寺=正暦寺で造られている清酒の製造方法が詳細に記載されている。
正暦寺で開発された「諸白づくり」という製法が日本清酒の原型とされていて、荘園で造られた米から僧侶が醸造する酒を僧坊酒と呼び、正暦寺は多い時には120坊を抱えて大量の僧坊酒を作る筆頭格の大寺院だった。
当時の正暦寺では仕込みを3回に分けて行う三段仕込み、麹と掛米の両方に白米を使用する諸白もろはく造り、酒母の原型である菩提酛ぼだいもと造り、腐敗を防ぐための火入れ作業行うなど…近代醸造法の基礎となる酒造技術を確立していたが、正暦寺で清酒が造られるようになった背景には寺自身で財源を確保する必要に迫られたことに始まる。
もともと寺院での酒造りは禁止されていたものの、鎮守や天部の仏へ献上する御酒として荘園からあがる米を用いて寺院で自家製造し、主に貴族や武家に売ることによって大寺院の運営財源を確保していたそうで、現在は当時のような大規模な酒造りは行っていないものの、毎年1月に行われる酒母の仕込みは続けられており「奈良県菩提酛ぼだいもと による清酒製造研究会」に所属する奈良県内7つの蔵元が、その酒母を持ち帰って醸造した清酒を正暦寺福寿院にて販売している。
そう…夫の1番の目的は特別な酒母で造られた日本酒の購入だった。 -
正暦寺は福寿院のある宮殿エリアと、本堂がある本堂エリアに分かれており、各エリア入口を通過したら庭を含めて一切の内部撮影禁止になるためご注意を。
寺院関係者に話を聞いたところ、紅葉の名所ということで撮影場所取り合戦が酷くなりこの厳しいルールが設けられたとのこと。 -
正暦寺は992年に一条天皇の発願により、関白九条兼家の子である兼俊が創建した寺院で10世紀創建の名刹といわれており、かつては86坊の塔頭が渓流を挟んで建ち並んでいたものの、現在では本堂・福寿院・坊舎跡に残る石垣のみとなっている。
菩提仙川越しに臨む宮殿エリアに建つ福寿院では、客殿の県指定重要文化財である鎌倉時代に制作された孔雀明王像や京狩野3代目:狩野永納筆の襖絵、護摩堂に安置されている不動明王像が拝観できる。正暦寺 寺・神社・教会
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境内には楓が多いことから奈良でも有数の紅葉の名所として古くから親しまれており、福寿院から望む借景庭園ではこの色彩豊かな美しい光景を畳に座ってじっくり鑑賞できる。
紅葉は終わりかけだったけど、雨が降ったお陰で鮮やかさを取り戻していた。 -
階段をのぼって客殿エリアへ入るためこれ以降は撮影禁止で、菩提酛清酒の販売もこの福寿院の入口土間で行われている。
・三諸杉…今西酒造
・嬉長…上田酒造
・やたがらす…北岡本店
・百楽門…葛城酒造
・つげのひむろ…倉本酒造
・菊司…菊司醸造
・鷹長…油長酒造
の7銘柄で毎年1月に行われる酒母の仕込み直前のせいか、夫が購入した1番甘味が控えめだという【純米酒の鷹長】はラスト2本だった。 -
2022年の11月3日-12月第1日曜の期間は秋の特別拝観なので入場料が大人1人:800円(通常500円)になるけど、普段は非公開の白鳳時代の秘仏である本尊:薬師如来倚像が本堂内で公開されているのでとても良いタイミングだった。
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シトシト降り続ける雨の中、菩提仙川沿いのゆるやかな山道を上っていく。
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下を覗くと、散ったモミジが積もっていて哀愁漂っていた。
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正暦寺で最も聖域である本堂は1916年に再建されたもので、本堂の境内は普段も参拝可能だけど、本堂内部が開けられるのは不定期。
本堂へ続く石段は観世音菩薩の誓願数に因んだ33段と、阿弥陀如来の誓願数に因んだ48段を合わせた81段あり、この石段をすべて登りきることで観世音菩薩と阿弥陀如来の加護を受けられるとされている。 -
本堂を参拝してから背後に建つ展望台:瑠璃光台に登って本堂境内全体を見渡した後、階段ではなく坂道を通って下りて行くと、石段脇に階段状に並ぶ供養塔や墓石群がひっそり建っていた。
これは正暦寺で亡くなった僧侶の墓石を集めたものだそうで、昨日見た元興寺の舟形の碑よりも少し大きい。 -
紅葉のグラデーションを目に焼き付けながら、2泊3日過ごした奈良旅に終わりを告げる。
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正暦寺で購入した菩提酛清酒【純米酒の鷹長】を2023年の節分に開栓して飲んでみたところ、香りから日本酒らしい昔ながらのガツンと来る味を想像したけど、口に含んでみるとコクがあって少し甘さを感じる味わいで美味しかった。
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旅行記グループ
秋から冬へ移りゆく古都の彩りを巡る旅 in 奈良★2022
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