2022/03/31 - 2022/04/05
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復旧・復興が進む熊本。今回は熊本のシンボルで日本三堅城に名が挙がる熊本城を紹介します。震災から早6年。道や階段を塞いでいた石垣は片付けられ、被害を受けた櫓の下にも大きな鉄骨が入るなど復旧に向け工事が進んでいますが、まだ手付かず状態の所も多く、完全復旧までにはかなり時間がかかりそうです。甚大な被害を受けた熊本城。天守の見学が再開されたと聞き訪れました。※熊本城の完全復旧は2037年の予定
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- 同行者
- 家族旅行
- 交通手段
- 自家用車
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今回紹介するのは3度目の訪問となる熊本城。
2016年の震災から6年が経過した『今』を見ようと訪れました。
日曜日の朝…。
この日は開園に合わせてホテルを出発。
熊本城の正門にあたる西大手門側から入るために、二の丸駐車場を利用した私たちです。
※元太鼓櫓と西大手門は解体 -
9時前の駐車場はご覧のようにガラガラでしたが、見学を終えた11時頃にはどの駐車場も入場待ちの車で渋滞が発生。
熊本城は人気の城のひとつですし、晴れた週末ということもあり混雑を予想し朝一番の来城にしたのは大正解でした。
入場券は事前にネットで購入。
来城の時間がはっきりしないのであればその場での購入となりますが、駐車場で待たされ更に券売所で並ぶことを考えると、早めに訪れる方が良いと思います。 -
ボランティアガイドさんによる案内受付を行っている総合観光案内所、熊本城ミュージアム・無料のコインロッカー・食事処などが利用できる『城彩苑』と、二の丸広場(二の丸駐車場)間を運行する無料のシャトルバス。
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こちらは二の丸駐車場の所にある券売所。
※二の丸広場 -
この二の丸駐車場には、ちょっとした無料休憩所もありますよ。
その建物を横目に見ながら、特別公開北ルートへと進んでいきます。 -
この熊本城は、西から東にかけて三の丸、二の丸、本丸という縄張りですから、それを考えると西が表で、東が裏(搦手)。
入城はやはり表玄関の方から…ということで、私たちは解体された西大手門から入ることにしました。
初めに見えてくるのが元太鼓櫓…のはずでしたが、震災後この建物は解体。
石垣は二次災害防止のためモルタルが吹付けられていたり、防護ネットが設置されています。 -
後方に見えているのは、奉行丸の南西隅に置かれている未申櫓。
画像手前には隅角部の石垣だけで耐えていた西大手門がありましたが、こちらも解体されました。
西大手門は最も格式が高い門だっただけに、早期復元を期待したいところ。
しかし崩落したままの状態で残っている所も多いので、気長に待つしかありません。
※解体された部材は保管されています。 -
南ルートからの帰りに撮影した未申櫓。
城の角部には大抵櫓が置かれていますが、昔は時刻だけでなく方角も干支で表していましたので、城を訪ねると櫓に干支の名が使われている所が多いことに気付かれるでしょう。
ちなみに北が子(ね)、東が卯(う)、南が午(うま)、西が酉(とり)ですので、南西なら未申。
この奉行丸には奉行所が置かれていたことから、そう呼ばれています。
先程紹介した城彩苑は、この櫓のすぐ南側。 -
震災直後は道に崩れた石垣が散乱していましたが、その石垣も撤去されて現在はこのような見学ルートが確保されています。
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震災前と震災後の様子を紹介しているパネル。
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こちらは特別公開北口にある北口券売所。
その後方にあるのが南大手門。 -
拡大してみると棟瓦の右端が下がり、櫓の下には鉄骨が入っています。
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反対側(奉行丸側)から見た南大手門。
この行幸坂は車両の動線と言われていますが、震災直後は崩落した石垣で道が塞がれてしまいました。 -
漆喰の壁もかなり剥がれ落ちています。
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9時の入場に合わせて行われる『開門の儀』の様子。
右から肥前大村藩初代藩主の大村喜前(おおむらよしあき)。
日本初のキリシタン大名『大村純忠』の長男で、彼もまたキリシタンでした。
しかし禁教令の発令により、自ら棄教し仏教徒となった大名。
続いては、肥後熊本藩初代藩主の加藤清正。
三大築城名人そして土木の神として知られていますが、信長の後継者争いと言われる賤ケ岳の戦いで武功を挙げた人物(賤ケ岳七本槍のひとり)です。
次は、肥後宇土城主でキリシタン大名の小西行長。
商人から武将にのし上がった異色の大名です。
そして一番左の人物は、小西家家臣で後の加藤家家臣だった南條元清。
初名は小鴨元清で、秀吉の朝鮮出兵で手柄を立てた人物です。 -
西から見る天守(大天守)と小天守。
天守は3層6階地下1階の造りで、小天守は2層4階地下1階。
石垣を見ると下部は緩やかな勾配ですが、上に行くにしたがって急角度になっている武者返し。
この画像では分かり難いのですが、小天守に近づくと建物と石垣の境の所には防衛用に設けられた下向きの鉄串(忍び返し)が並んでいます。熊本城 名所・史跡
-
今度は天守の建物の西側の面と南側の面を比べてみましょう。
最上階の南北には唐破風が有りますが、東西には無し。
また下の階には、四面に千鳥破風が施されています。
天守見学がこれ程早く再開されるとは思いませんでしたが、鉄筋コンクリート造りだったのが大きな被害に繋がらなかったようです。 -
東から見た天守と小天守。
熊本城は籠城に備えた堅固な造りで、城内には食料になる銀杏が植えられていたり建物自体も『食べられる城』と言われ、畳には白芋茎(ずいき)が使われ、土壁には干瓢が塗り込まれていました。
「 腹が減っては戦ができぬ!」
確かにその通りですね。
勿論現在の城は復元されたものですから、食べることはできません。 -
本丸北側の石垣もご覧のような状態。
崩れた石垣は色々な所に並べてありますが、その場所が1ヶ所や2ヶ所の話しではないので、石の数も半端ではありません。 -
天守内部。
2016年の震災の後、天守&小天守の建物内部には耐震のダンパーが設置されました。
画像は小天守穴蔵のクロスダンパー。 -
リニューアルした天守。
震災前よりも展示が充実し、見やすくなったように感じます。
出来れば見学の前に、各フロアーの映像による説明を見ておきましょう。
見どころを逃すこともなければ、展示資料を見る上でも理解しやすいと思います。
画像は天守1階にある御上段(天守最上階/6階)の模型(加藤時代)。
南北の面に唐破風が施されていたのがこの部分です。 -
模型とは言え襖にも絵が描かれ、手が込んだ仕上がりになっています。
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こちらは石垣の説明ですが、今まで石垣に興味がなかった人もこれを読んでおくと次の城を訪れた時に見方が変わるかもしれません。
特に熊本城は1本の石垣で耐えた櫓が話題になりましたので、是非この説明もご覧ください。 -
鯱瓦。
城の屋根には良く鯱が載っていますが、これは城郭の革命児と言われた信長が中国の屋根瓦を摸して龍の代わりに鯱を載せたのが始まりと言われています。
火災が発生すると、口から水を吐き出し火を消してくれるという伝説の生き物『鯱』。
熊本城の屋根にも鯱が載っていましたが、震災の時に屋根瓦と共に落下してしまいました。
現在は復元された物が取り付けられています。 -
熊本城出土瓦。
中心の●より周囲の●を小さくしてある『細川九曜紋』は、肥後細川家の紋。
参考までに、加藤家の紋は蛇の目。 -
天守焼失の痕跡。
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細川家に伝わる御吉例具足(ごきちれいぐそく)。
関ヶ原の戦いで細川忠興が着用していた『黒糸威横矧二枚胴具足』と『山鳥尾頭立黒塗越中兜』は、歴代藩主たちの甲冑制作の規範となりました。 -
本丸御殿の障壁画。
煌びやかな本丸御殿ですから、見学再開が待ち遠しいです。 -
学生さんであれば、熊本城を訪れる前に西南戦争について少しだけ下調べをしておくと良いでしょう。
この戦の直前に発生した火災も謎に包まれていますが、その説明も書いてありますのでお見逃しなく。 -
学生さんだけでなく、大人の学び直しにもお勧めの熊本城。
「へ~っ!」と驚くことが沢山ありました。 -
展望フロアの6階。
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そこから見る特別公開南ルート。
天守からの帰りは、こちらのルートを歩きます。 -
本丸御殿内部の見学は再開に至っていませんが、闇り通路だけは柵の外から見ることができます。
以前はこの下を歩いた記憶がありますが、現在は柵があり見るだけとなっていました。 -
籠城戦が長引いても水不足に陥らないよう、熊本城には100を超える井戸が掘られています。
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特別公開南ルートのこの橋も、復旧工事が行われている今だけのもの。
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東竹の丸の重要文化財櫓群。
熊本城の東側には国指定重要文化財の櫓がずらりと並んでいただけに、近づけなかったのは残念です。 -
先程の画像を拡大したもの。
特別見学通路から見た時には櫓群の被害はそれほどでもないのかと思いましたが、北十八間櫓や東十八間櫓は石垣が崩れ建物も倒壊。
残った櫓群も、深刻な被害を受けていました。 -
今度は石垣。
こちらは加藤時代に築かれたものと言われていますが、地震の影響で沈下し石の間に隙間が生じています。 -
先程の石垣の左部分がこちら。
『二様の石垣』と呼ばれるスポットですが、ここでは加藤時代と細川時代に築かれた石垣の違いを比べることができます。
それぞれの隅角部を見ると右の石垣には不揃いの石が積まれていますが、左は建築技術が進んだ算木積み。
また勾配の角度も異なり、緩やかな方(右)が加藤時代に築かれたもので、左が細川時代のもの。 -
連続桝形。
崩落した石垣は取り除かれていましたが、残った石垣にはモルタルが吹付けてあり崩落を防ぐ安全対策が講じられています。 -
この辺りも石垣が崩落して階段を塞いでいましたが、今はご覧の通り。
何となく歩けそうな気もしますが、安全確保のため観光客の私たちは特別ルートから見るだけとなっています。 -
特別公開南ルートから見る天守と本丸御殿。
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数寄屋丸は、茶会や能などを楽しむために造られた文化交流の場。
1階部分は穴蔵に造られた土間で、2階は書院造りの座敷になっています。 -
しかし地震で石垣が崩れ、建物の下部が剥き出しになっていました。
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桜は散り始め。
石垣は、安全対策のためネットがしてあります。 -
西出丸の北西隅に置かれている戌亥櫓。
飯田丸五階櫓の『奇跡の1本石垣』は有名ですが、実は1本の石垣で櫓を支えていたのはそれだけではありませんでした。
この戌亥櫓もそのひとつ。
地震により石垣部分が大きく崩れてしまいましたが、今は足場が組まれ櫓の下にも鉄骨が入り解体作業が進められています。 -
こちらは来年の春に再びその姿を見ることができるようですが、熊本城全体の復旧作業はまだ2~3割程度と聞きました。
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土木の神セイショコさん(加藤清正公)を主祭神とする加藤神社。
学業成就、商売繁盛、病気平癒の御利益が有ると言われていますが、負け知らずの武将にちなんで必勝祈願に訪れる人も多い神社。
何と言っても、「かとう=勝とう」ですからね。加藤神社 寺・神社・教会
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熊本城のパンフレットにもカメラマークが付いていますが、加藤神社は熊本城の人気撮影スポットですので、写真好きの方は是非足を延ばしてみましょう。
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加藤神社から撮影したのがこちら。
手前にある大きな建物は、現存の宇土櫓(重要文化財)。
その大きさから、第3の天守と呼ばれています。 -
今度は南側から宇土櫓の被害状況を見てみましょう。
西南戦争、大戦、そして今回の大地震の被害も免れたかのように見えましたが、残念ながら建物の歪みが酷く解体保存されることになりました。
テレビの画面越しに見るのと、自分の目で見るのとでは大違い。
宇土櫓に付属していた続櫓も倒壊し、今は櫓がポツンと建っているだけ。
このような状況下で城を見学するというのもある意味貴重な体験ですから、解体される前にじっくり見ておきましょう。
天守には優美な千鳥破風や唐破風が施されていましたが、宇土櫓は直線的で力強さを感じる起り(むくり)破風。
元々天守に匹敵する櫓ですから、破風効果も加わり実に堂々として見えます。
加藤神社から3つの櫓を撮影出来るのも、今のうち。
解体されたら暫くは、天守と小天守だけの写真になります。 -
旧細川刑部邸は三の丸跡にある武家屋敷で、紅葉の名所として知られています。
『秋のくまもとお城まつり 城あかり』が開催される時は、普段入れないエリアの散策や紅葉のライトアップが楽しめますので、その時期に合わせて旅行を計画されるのも良いのではないでしょうか。
※現在は休園中
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