東京芸術劇場～劇場ツアー編～

2021/09/19 - 2021/09/19

東京芸術劇場の「コンサートホール」を見学するツアーに参加しました。
この劇場は、東京学芸大学附属小学校跡地を東京都が国から取得し、1990年に竣工しました。
地上10階、地下4階で、下からシアター、演劇用中ホール、クラシック専用大ホールが積み重なっています。
大ホールには何度もコンサートに来ていますが、20年後の改修工事で音響が格段に良くなった記憶があります。今回その秘密にも触れることができました。

エリア 池袋(東京)

劇場前の池袋西口公園は、2019年「GLOBAL RING」として生まれ変わった。
円形で噴水をもつ広場は、かつてこの地にあった「丸池」を再現したもの。

バブルの時代の象徴のような立派な建物で、総工費は320億円。
ガイドツアーは1階ロビーに20人ほどが集合。

吹き抜けのガラス張りの空間は壮大。

地下の「ロワー広場」を見下ろす。
地下1階には劇場が2つ、地上2階には、演劇用の「プレイハウス」がある。

リニューアルでエスカレーターが壁際になったので、円形のチケット売り場が設置された。屋上にスペースは普段は入れないのはもったいない。下に足音が響くからだとか。

「コンサートホール」入口の5階まで、長いエレベータで上がる。
地下鉄の騒音・振動が伝わらないように上階に設計されたもの。
2012年には、84億円をかけてリニューアル工事を行った。
当初のエレベータは、斜めで1階から直線だったが、安全面から壁際に2段に乗り継ぐ形に変更された。

エントランス前の天井には、絹谷孝二作「天・地・人」。
現場で製作したフレスコ画。

「青天の人」

「東京の太陽」当劇場も描かれている。

「ローマの友達」

ハンガリーのマルトン・ラースロー作（5階）
総工費の1％をアートに充てる「１％フォー・アート」による。全部で3億円相当になるか。

コンサートホールの3階席に出る。
天井の音響反射板は、用途に応じて高さを3段階に変えられる。今日はオルガンを使う、一番高い18.7mの設定。最大13.6mまで下がり、オルガンを隠すように反射板も配置できる。以前は舞台後方を開放すると空中庭園が見えたらしい。

横壁は、イタリア産の大理石が使われている。リニューアル工事で音の反射を抑えるため、大理石を加工し、木製のリブが追加された。見た目もピカピカの印象だったが、落ち着いた内装になった。

客席数は1999席で、ぶどう畑のようなヴィンヤード型。椅子の色のグラデーションが美しい。床はナラ材のフローリングに変更した。様々な改修により残響は満席で2.2秒（空席2.7秒）に抑えられた。

オルガンはフランスのガルニエ社製で、パイプ9000本、音色を変えるストップ126本をもち世界最大級。
ルネサンス・バロックオルガンとモダンオルガンが表裏になっていて、3分で反転する。オルガンはホールが竣工した後に設置された。

今日のモダンオルガンは、フランス古典やロマン派の音楽で使われるが、世界でも数が少ない。銀色に輝いている部分は木製で、平均律でチューニングされているので、オーケストラとの相性も良いよう。

本日の公演、プーランクのオルガン協奏曲では、珍しくモダンオルガンを使う。

左壁の照明室より

ステージはリニューアル後、客席側に広くなり、ヒノキ材の木目を横から縦に変更された。

1階席のホワイエには、多田美波作のガラス装飾「調」。立体的なガラスを組み合わせている。

「コンサートホール」の50分の1模型
1時間はあっという間だったが、解散後もガイドさんの話が聞けて良かった。今度は、バックステージも見てみたい。