2019/10/23 - 2019/10/23
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旅人のくまさんさん
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西尾城の『東の丸』の跡地に建てられた『尚古荘』の紹介です。昭和初期に米穀商の岩崎明三郎によって造られた、この地方では珍しい京風庭園を持ちます。現在は、西尾市歴史公園の一部として一般開放されています。
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- 私鉄
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『尚古荘』は、昭和初期に米穀商の岩崎明三郎によって造られた、この地方では珍しい京風庭園です。何よりも、西尾城の『東の丸』の遺構を生かして作庭されたところが大きな特徴です。
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少し離れた場所から眺めた時には、『鹿威し(ししおどし)』かと思いましたが、違っていました。円筒形の背が高い手水鉢に水を送るために設けられた、竹製の水菅と、その支えでした。『鹿威し』と同じように庭園のアクセントになっていました。
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低い竹垣の光景です。茶席にはお似合いの造作のようです。その周りには、『ハラン(葉蘭)』が生い茂っていました。弁当などの間仕切りや飾りに使われるハランについては、後ほど説明します。
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閉まったままの門ですが、『尚古荘』の勝手口当たりになるようでした。かつての西尾城の『東の丸』の跡を利用した邸宅跡だけに、門の上にも、塀の上にも屋根が付いた立派な造りの和風の門でした。
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庭園の一環区にあった東屋の光景です。ちょっと一休みするのに使われそうな、腰掛付きのオープンな造りの建物でした。それでも飾窓や柱など、随所に数寄屋風の工夫が凝らされているようでした。
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生い茂った植物の中に見え隠れしていた石灯篭の光景です。石灯篭は、かつては照明が目的でしたが、庭園では景色の演出に欠かせない道具になっているようです。大きめの笠が付いた、細長い灯篭でした。
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丸竹を編んだ覆いがあった箇所の光景です。周りの状況からも、使われなくなった古井戸の覆いのようでした。釣瓶(つるべ)は置かれていませんでしたが、丸竹を編んだ覆いの上には、滑車が残されていました。
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どちら方向に進もうかと、一瞬、判断に迷うような錯綜した箇所もありました。手入れされた庭木のほかに、アカマツやその他の樹木なども生育しているようでした。右奥に見えている赤い木肌が、赤松のようでした。
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尚古荘の庭園を見学の最中に、ほかに人の姿は見掛けませんでした。用事がある方は、茶席など、建屋内を主に利用されているようでした。願ってもない、貸し切り状態での庭園散策でした。
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自然石をくり抜いて作ったらしい『手水鉢』の光景です。周りにはシダ類の植物の姿がありました。『手水鉢(ちょうずばち)』は、元は、神前、仏前で口をすすぎ、身を清めるための水を確保するための器でしたが、その後、茶の湯にも取り入れられ、露地の中に置かれるようになり、『蹲踞(つくばい)』と呼ばれる独特の様式を形成していきました。和風庭園には欠かせない道具立です。
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春日灯篭風の石灯篭の光景です。『春日灯篭(かすがどうろう)』は、よく知られているように、春日大社が名前の起源になります。 竿(さお)が円形、笠・火袋(ひぶくろ)・中台(ちゅうだい)・地輪(じりん)が六角平面で、背の高い標準的な石灯籠のことです。
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庭内の渓流か、池の上に懸けられた石橋の光景です。立派で大きな自然石を使った橋かと思いましたが、表面に小石がたくさん見えていましたから、自然石に似せたコンクリート製の橋かも知れません。つい、二条城や徳島城等の自然石の石橋などを比較に思い浮かべてしまいました。
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風流な姿をした、背の高い石灯篭の光景です。標準的な春日灯篭とは、外観がかなり異なりますが、春日灯篭の範疇に入るのかも知れません。春日灯篭の一番の特徴は『竿が円形で、火舎が六角の灯籠(精選版・日本国語大辞典)』とされますから、その特徴は満たしているようです。
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石橋越しに眺めた、歌人の佐々木弘綱も利用したとされる茶室の『不言庵(ふげんあん)』の光景です。『佐々木弘綱(ささき・ひろつな:1828~ 1891年)』は、江戸時代末期から明治時代にかけて活躍した国学者で、歌人です。姓は佐佐木とも表記されます。号は鈴山、竹柏園などです。佐々木徳綱の子として伊勢に生まれ、学者の家系だったため、若くして1000首の和歌を詠んだといわれています。
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風流な造りの木橋の光景です。『佐々木弘綱』の子には、歌人として名を遺した、『佐々木信綱(1872~1963年)』がいます。歌誌『心の花』を発行する短歌結社『竹柏会』を主宰し、木下利玄、川田順、前川佐美雄、九条武子、柳原白蓮、相馬御風など多くの歌人を育成しました。文化勲章受章者です。
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建物近くに設けられた飛び石の光景です。『飛石(とびいし)』の起こりは、安土桃山時代頃から露地(茶庭)に用いられるようになったようです。当初は面の平らな自然石が主体でしたが、江戸初期頃からは一般庭園にも打たれ、また切石も用いられるようになりました。建物に出入りする時に履き物を揃える『沓脱石(くつぬぎいし)』等も飛石の一部です。
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イチオシ
『西尾城・東の丸』の遺構を利用して築かれた築山です。石積の上に東屋がありました。この後、築山に登って東屋からの景色も楽しみました。築山は、西尾城址の遺構を生かした造りになっているようでした。
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名前:『ハラン(葉蘭)』
分類;キジカクシ科スズラン亜科ハラン属の常緑多年草。
分布:中国、インド東部、ベトナム、ラオス、台湾、日本に自生。
その他:葉蘭の群生光景です。名称は中国語の『馬蘭』に由来し、清音化して『ハラン』になったようです。 -
『ハラン(葉蘭)』は、庭園の各所に群生していました。左手前に見えるのも葉蘭です。昔は、『バラン』と覚えていた植物です。『バラン(馬蘭)』が清音化して『ハラン』となり、『葉蘭』の漢字が当てられましたが、プラスチックの『人造ハラン』が出現し、連濁して人造『バラン』となり、『人造』が取れて短縮されたのが現在使われる『バラン』のようです。先祖返りしたような呼び名です。
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石積の築山の上にあった『東屋(あずまや)』に登って来ました。その吹き抜けになった東屋内の光景です。『東屋』とは、庭園などに眺望や休憩などの目的で設置される簡素な建屋のことです。『四阿(あずまや、しあ)』の漢字も用いられます。『四阿』の『阿』は、棟の意味です。四方に軒を下ろした寄棟、宝形造などの屋根を持つ建造物を意味します。
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東屋から眺めた、『尚古荘』の庭園光景です。季節は10月で、秋も深まり始める頃ですが、鬱蒼とした緑の光景でした。1000坪を超える『尚古荘』の庭園ですから、庭木の手入れが追い付いていないのかも知れません。ともあれ、自然環境としては申し分がありません。
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同じく、東屋から眺めた、『尚古荘』の庭園光景です。この方角では、築山の周りの石積が見下ろせました。西尾城の『東の丸』の遺構を利用したとされる築山だけに、かなりの大きさでした。
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イチオシ
『東屋』の天井光景です。木造の梁が放射状の幾何学模様になっていました。中央にある黒っぽい八角形の短い柱に、梁が集中していましたが、梁は天井の強度を担うものではなく、飾りに使われているようでした。その背後に立派な別の天井が見えていました。数寄屋好みの演出のようです。
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イチオシ
築山の上に建つ東屋からの園内眺望を楽しんだ後、名残惜しく、振り返って撮影した東屋の光景です。この位置から眺めますと、築山には石垣部分がありました。この辺りが、西尾城の『東の丸』の遺構をそのまま生かした部分かも知れません。
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一列に並んだ同じサイズのの光景です。築山に登る踏み石か、築山の周りの散策用の踏み石か、俄かには判断できませんでした。あるいは、築山の中腹にあった踏み石かも知れません。
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築山の周りの、まだ少し高くなった場所から眺めた庭内光景です。広い庭園ですから、普段は、あまり人が踏み込まないような場所も散見されました。野趣味を残した茶庭と表現してもいいかも知れません。
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築山の周りにあった踏み石のズームアップ光景です。この辺りの踏み石は、表面は平らに加工されていましたが、形や大きさは様々でした。茶亭にはよく似合う踏み石かも知れませんが、地面との段差がありますので、上を歩くのには要注意です。
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名前:『スダジイ』
分類:ブナ科シイ属の常緑広葉樹。
分布:分布の中心は温帯から亜熱帯。
その他: 一般的にはシイタケがなる木として、また食べられるドングリがなる木として知られ、古代から重要な樹とされます。 -
名前:『カクレミノ(隠蓑)』
分類:ウコギ科カクレミノ属の常緑亜高木
分布:本州東北南部以南、四国、九州、沖縄に分布。
その他:スダジイの大木のすぐ横にありました。 -
庭内にあった、道案内の石標の光景です。右側の面の最上部付近に『右』か「左」の文字があるようでしたが、それ以外は読み取れませんでした。推測ですが、かつての街道にあったものが、この場所に移築されたもののようでした。
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