2019/07/03 - 2019/07/05
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ウェンディさん
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2019年の夏旅は友人と共に北インドの秘境:ラダックへ。
インド初心者の私がチベット密教の地;ラダックを目指すだなんて、世間知らずで怖いもの知らずなオバちゃんだ・・・周囲の人たちはそう思っていたに違いありません。
でも、友人と私は旅計画で更に難度の高いことを考えていました。
それは、天空の大地;ラダックでのトレッキング。
ラダックはエリア一体の標高が低くても軽く3000mを超える地域で、ラダックの名峰のストックカンリ(標高6150m)登頂も人気のアクティビティの1つです。
さすがに普通のオバちゃんである私たちにはストックカンリは目標としては高すぎなので候補にも挙がることはなかったですが、せっかくチベット文化を味わえるラダックに行くならば、その自然ごとまるごと躰で感じたい…
ラダック旅の計画をし始めたころからそんな風に思っていました。
現地手配会社とは旅計画を立ち上げた2018年の夏からコンタクトをとり、高山病の影響を出来るだけ排除した日程で、トレッキング初心者でも歩けるコースを考えました。
でも、ただの山歩きのみではつまらない。
野生動物に出会える可能性が高く、昔ながらのラダックの生活が感じられるようなルート・・・そんなところを探しました。
そして、出来上がったルートが、Ganda la Trek(ガンダ・ラ・トレック)。
ガンダ・ラ・トレックはMarkha Valley Trek(マルカ・バレー・トレック)の一部を歩く、いわば美味しいとこ取りをしたルートです。
マルカ・バレー・トレックは名峰ストックカンリを中心に4000m~5000mの山域を周遊するトレッキング・ルートで、荒々しく気高い山の峰が続く峠道とみずみずしい草原道を歩く二つの要素から構成されています。
マルカ・バレー・トレックのその全てを歩けば6~7日間の日程が必要ですが、山岳野生動物に出会える可能性が高く、厳しい高山で生活する村の人達の生活を教えてもらえるGanda la Pass(ガンダ・ラ峠:4950m)部分だけであれば健脚の方ならば1泊2日で歩くことができます。
私たちは友人がトレッキング初心者ということもあり、無理なくゆっくり歩けるようにとガンダ・ラ・トレックを2泊3日でアレンジしてもらいました。
ラダック旅行記本編の始まりは、7/1,7/2の2日間を飛ばした7/3のトレッキング編から。
旅程通りに旅行記を綴るならばラダック旅行記の2作目は下ラダックのゴンパ巡りとホームステイ編となる筈ですが、今回の旅で一番印象深く心に刻まれたガンダ・ラ・トレックをあえて旅行記本編の1作目として紹介したいと思います。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 友人
- 一人あたり費用
- 15万円 - 20万円
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
★2019夏 インドの秘境ラダック ホームステイ&トレッキング旅 日程★
□6/29 NRT11:15-DEL17:00 AI307
□6/30 DEL6:45-IXL8:20 AI445 ホームステイ
□7/1 下ラダックのゴンパ巡り ホームステイ
□7/2 下ラダックのゴンパ巡り ホームステイ
☆7/3-7/5 Ganda la Passトレッキング(2泊3日)☆
■7/3 スキュー(3366m)→シンゴ(4138m)
歩行時間:6時間 シンゴ村ホームステイ
□7/4 シンゴ(4138m)→ガンダラ峠(4950m)→ユルツェ(4148m)
歩行時間:7時間 テント
□7/5 ユルツェ(4148m)→ジンチェン(3402m)
歩行時間:3時間半
女性自立支援施設見学 Jig Gyas Guest House
□7/ 6 IXL 11:15-DEL 13:30 AI446
DEL 21:15-8:45(7/7)NRT AI306
ラダック内の手配(ガイド+運転手+宿泊):Hidden Himalaya
★2019夏 インドの秘境ラダック ホームステイ&トレッキング旅 旅行記★
【1】 旅の序章 -高山病・e-VISA・旅行準備
https://4travel.jp/travelogue/11515809
【2】 ガンダ・ラ トレック Day1 -秘境の料理教室@4138m
https://4travel.jp/travelogue/11517166
【3】 ガンダ・ラ トレックDay2 -酸素50% 海抜5000mの絶景へ-
https://4travel.jp/travelogue/11519590
【4】 ガンダ・ラ トレック Day2&3 -宿無し旅人、濁流の川を渡る-
https://4travel.jp/travelogue/11521283
【5】サスポールの洞窟壁画に魅せられて
https://4travel.jp/travelogue/11606651
【6】初めての農家ホームステイ
https://4travel.jp/travelogue/11610553
【写真:7/2に訪れたスムダ・チュン僧院の弥勒菩薩像:マイトレーヤ 翌日からのトレッキングで事故無く、無事に安全に歩けるようにお願いをしてきました】 -
2019年7月3日
ガンダ・ラ(Ganda la Trek)トレック日の朝はチリン(Chiling)村からスタート♪
昨日夕方にチリン村へと到着した友人と私は、村の中を散策したり、お父さんの鍛冶工房を見学したり、来たる2泊3日のトレッキングに向けてリラックスした時間を過ごした。
この日のチリン村の出発は朝7時。
ステイ先のご家族総出でお見送りをしてくださった。 -
イチオシ
私の起床は朝5時。
歯磨きをしに庭へと降りたら、もうお母さんがキッチンで作業を始めていた。
何を作っているの?と聞いたら(英語は通じないので、全てジェスチャー)、「あなたたちのランチボックスよ」という返事。 -
どうやら本日のランチは、ラダック・パンのタギらしい。
あんまり美味しそうな匂いだったので、匂いにつられて竈(かまど)の傍へと行ったら、お母さんが、内緒よ♪と云う顔をしながら、失敗作のタギを千切って分けてくれた。
出来立てのタギは蒸気の中に少し酸味を含んだ独特の風味。
お母さん、ごちそうさま~ -
イチオシ
ステイ先の階段では、ボス猫もトレッキングに出かける私たちをお見送り。
ネコ好きな友人と私は、このお宅に3匹いるアダルト猫の内の2匹をJapanese Magical Handのマッサージ技術で虜にしたものの、このボス猫だけは私たちが近寄ることも許してくれなかった。 -
トレッキングの歩きはじめの地点はスキウ(Skyu)村。
スキウ村はチリン村からマルカ川方向に入った方向にあり、チリン村から車で1時間の場所にある。 -
車を降りたら、歩き始める準備。
靴の紐を締め直し、バックパックの肩紐を歩きやすい長さに再調節する。
ガイドのトクテンさんはサクッと準備を終え、村のゴンパ(写真)へとトレッキングの安全を祈願しに行ってくれた。 -
朝8時ちょうどに歩き始め。
歩き始めは平たんな道なので、歩くのは比較的簡単。
トレッキングポールは友人と1本ずつ使っている。
背中に担ぐバックパックの中身は、トレッキングに必要な最低限のモノだけ。
・雨具(ジャケットのみ)
・薄手のダウンジャケット
・最低限の着替え(ズボン、下着、Tシャツ、ソックス)
・薬(正露丸、抗生剤、痛み止め 各2回分 & 小分けダニ駆除スプレー)
・歯ブラシ、タオル
・トイレットロール
・1日分の飲料水(0.5~1L)
・薄い寝袋
・アミノ酸ゼリー
・カロリーメイト
・赤ちゃん用の携帯おしりふき
と、細かくなりつつも、かなり物品を絞り込んだ。 -
私たちの背中の荷物を軽くしたその理由は、ラダックの標高。
トレイルの歩き始めのスキウ村の標高は3366m。
3366mは富士山でいえば8合目に相当する標高で、この標高が私たちの体にもたらす負担は小さくはない。
そして、この先のトレッキングで私たちを待ち構えているのは4950mのガンダ・ラ峠(Ganda la Pass)。
4950mは私自身も初めての標高なので、歩き切れる自信があるかと聞かれたらYESとは言えない場所だった。
酸素が少ない高標高エリアで、余計なものが入った重い荷物は命取りになる可能性もある。
だから、背中のバックパックの中身は厳選した物品のみ。
勿論、化粧品なんて入っていない。 -
トレッキング道沿いにはワイルド・フラワーの姿。
地面に沿うように茎が伸び、白とピンクの花が咲いていた。 -
道を歩いていると風上から甘い香りが漂ってくることがある。
そんな時は目を前方に向けると…、
ほら! 見つけた。 -
野バラ(Wiid Rose)だ。
ちょうど7月上旬のスキウ村の標高域は野バラが花開く時期。
野バラの花は、北海道に咲くハマナスに似た雰囲気。
でも、その薫りはハマナスよりも濃厚で薔薇そのものだ。 -
気温があまり上がりすぎると花の香りも飛んでしまうが、朝はそんなに気温も高くなく、花の香りが大気中に浮かんでいる・・・
そんな感じだった。 -
この日のトレッキングは明日に向けての足慣らしで、歩くのはスキウ村(3366m)→シンゴ(Shingo)村(4138m)までの8km。
標高差も800mとそれほど厳しいルートではない。
歩きはじめの1時間は、のんびり沢沿いの道を歩くルートだった。 -
沢があるので、ところどころ沢越えもあるが、靴が濡れる程の水量は無く、石の上を飛びながら行けば大丈夫。
川の飛び石を渡るのは初めての友人。
ガイドのトクテンさんが、友人が川を渡るのをサポートしてくれた。 -
このガンダ・ラ トレイルはその昔は僧院の管理下にあった場所なので、トレイル沿いにマントラが刻まれた石版が残されていた。
-
外気温は15℃~20℃位と、歩くのには心地よいトレッキング日和。
でも、空から降り注ぐ紫外線はものすごく強く、日焼け止め、サングラス、帽子は三種の神器の如くトレッカーの必需品だ。 -
歩いていたら遠くから聞こえてきたのは、いくつもの鈴の音とヒズメの音。
音はどんどん近づいてきて、前方に現れたのは馬とロバの隊列。 -
彼等はマルカ・バレー・トレック(Markha Valley Trek)と呼ばれる私たちが歩くガンダ・ラ トレイルを含むルートを6日間で一周するロングトレックに付き添う馬たちで、6日分の食料、燃料、テントなど等全てのトレッキング必需品を運んでいる。
(地図の茶色文字が、私たちが歩くガンダ・ラ トレックのルート)
Ganda la Trek の歩行日程は↓
1日目:スキュー(3366m)→シンゴ(4138m)
歩行時間:6時間
宿泊:シンゴ村ホームステイ
2日目:シンゴ(4138m)→ガンダラ峠(4950m)→ユルツェ(4148m)
歩行時間:7時間
宿泊:テント
3日目:ユルツェ(4148m)→ジンチェン(3402m)
歩行時間:3時間半
逆ルートのジンチェンからユルツェに向かい歩くことも可能だが、2日目のガンダ・ラ峠への登り道が少しだけ急勾配になる。 -
イチオシ
マルカ・バレー・トレックに同行するのは馬だけではなく、料理を作るコックさん達も。
コックさん達はネパールから出稼ぎで来ている方がその殆どだとのことだったが、ネパール人もラダック人もチベット語は分かるので、意思疎通に問題はないとのことだった。 -
馬やロバの数は、20頭は軽く居たと思う。
ガイドさんによると、これでも10~15人程度のトレッキング隊用で8月のトレッキング最盛期になると馬の列が途絶えることなく続くそうだ。
因みに私たちトレッカーは、馬が来たらその場で脇に避けて立ち止まるのが原則。
私たちがむやみに動くと馬を驚かせてしまい、大変なことになる。 -
歩いて行くと、目の前に広がる山の色がどんどん変わっていく。
さっきまで山肌は白っぽい砂色だったのに、私たちの先に現れた谷の色は赤。
これぞ、トレッキングの醍醐味。
1つ谷を越えたその先に、どんな景色が待っていてくれるのか。
それを想像しながら歩くのも楽しい。 -
休憩は1時間に1回。
50分歩いて、10分間腰を下ろして休憩する。
歩き始めの内は、友人が歩き慣れていないために、30分もしない内に友人の「疲れた~」の声が上がっていたが、暫くすると少しずつ呼吸法やペース配分にも慣れてきたようだ。
ガイドのトクテンさんは私たちのためにテルモスにお湯を持ってきていて、休憩時には美味しい紅茶を出してくれた。
此処で飲ませてもらったインド紅茶のTULSI GINGER TEAが良い香りで、私も同じものを帰路のレーのスーパーで購入。
疲れている時に飲むジンジャー・ティは本当に美味い。 -
更にトクテンさんは私たちのために、ドライフルーツとナッツを持ってきてくれていた。
山ではドライフルーツとナッツはエナジー・フード。
カロリーと満腹感、そして汗で失われるミネラルを一気に補給できる最強のトレッキング用オヤツだ。 -
休憩時にふと足元を見るとマメ科の葉をした植物が花を付けていた。
多分、雑草なのだろうが、二枚の花弁から構成されたちょっと面白い形だ。 -
8時に歩き始めて4時間後の12時。
目的の村が近づいてきたことを示すモノを発見! -
山の中の村では、その村の始まりと終わりの場所に経典を納めたマニ・ウォールがあることが多く、目的のシンゴ村にも村の始点にマニ・ウォールがあった。
-
マニ・ウォールの傍の石垣の上には、数多くの奉納された石版。
多分、コレがサンスクリット語の石版で、 -
コチラがチベット語(ラダック語)の石版だろう。
チベット語とラダック語は書き文字は同じで、ラダック人は基本的にチベット語をある程度は理解できる・・・と云うことだった。 -
イチオシ
村の入口のマニ・ウォールから15分も歩くと、そこに見えてきたのは白い大きなテント。
白のテントは村営のカフェで、トレッカーはここで軽食を取ったりお水を購入したりできる。
-
私たちもこのテントの下でランチタイム。
此処から本日の目的地のシンゴ村の中心までは30分弱。
ここまでくれば、もう到着したも同然だ!
村営のカフェでレモン水のペットボトル(1本70ルピー:約120円)を買って、友人と二人で乾杯!
今朝がたチリン村のお母さんが作ってくれたラダック・パンのタギ、蒸かしジャガイモなどを美味しく頂いた。 -
村営カフェでは村の女性が冬の間に作ったフェルト人形が飾ってあり、絶賛販売中。
とても可愛くて欲しかったけれど、まだ明日の4950mへの登り道があるので、今、荷物を増やすのは絶対にダメ。 -
カフェの周囲は村の人達が栽培する大麦畑。
その青々とした大麦畑で、ガイドさんがSnow Cock と呼ぶ鳥たちが大切な穀物をついばんでいた。
ガイドさんに「追い払わなくて良いの?」と尋ねると「彼等は少ししか食べないからOKだよ、人間と鳥と仲良くね・・・」と云う答え。
うわ・・・。これって、仏教の根本を流れる考え方。
私たち日本人が日々の生活に追われて忘れている部分を、ラダックでは自然な流れとして実践している。
因みに、Snow Cock の正式名称はHimalayan Snow Cock 。
英語名ではPartridge、
日本語ではイワシャコ、 ヤマウズラと呼ばれているそうだ。
Snow Cockは日本名のウズラが示すように大空高くは飛べない鳥で、トレイルで飛ぶ姿を何回か目にしたが、それは飛ぶと云うよりも、岩の上から地面に向かってジャンプするついでに羽を広げて少しだけ風に乗って着地する・・・という感じだった。 -
ランチをゆっくりと食べて、シンゴ村に到着したのは14時。
-
村の川で毛布のお洗濯をしている女性達に、本日の宿についての情報を教えてもらう。
シンゴ村には家が3軒あり、その3軒でホームステイの宿泊を持ち回りで担当している。
本日は1軒はお休みで、2軒のみ営業中とのこと。 -
その2軒も、どちらに宿泊するかはゲストには選択権は無く、収入が平等になる様にゲストの割り振りは順番に。
そんな訳で私たちの今晩のホームステイ先は、小川の向こうに見えるこちらのお宿に決定した。 -
家の名はKhangpa-pa 。
ご夫婦が二人で切り盛りしている小さなお家だ。 -
ゲスト用の建物の中を見せてもらって、お部屋を拝見。
私たちはこの宿では1番乗りだったので、好きな部屋を選ばせてもらう。
通路に置いてある椅子の様に見えるもの。
コレはガイドさん用のベッド。
部屋がもらえるのはゲストだけで、ガイドさんは風が抜ける通路で寝なければならない。 -
私たちが選んだのは、2面が窓の日当たりの良いお部屋。
まず部屋に着いたら何をするかって…?
それは、ダニ駆除スプレーの散布。
日本から持参したダニ駆除スプレー(携帯容器に小分けしたダニ・フマキラー)をお布団の周囲にシュッとスプレーし、夜の快適な睡眠空間を確保する。 -
次にするのはトイレの確認。
ラダックのお手洗いは二階式のエコ・トイレット。
昼間の明るい内にその形状と穴の場所をしっかり確認しておかなくと、夜が大変。
トイレはゲストルームの建物に隣接していて、扉が2個。 -
左の扉は行水用の部屋で、
-
右の扉がお手洗い。
お手洗いは2階の床に穴が開いているボットン式で、大小の用をたしたらスコップで砂を自分の落とし物の上へとかけるシステムだ。
(猫のやり方とそっくりだね・・・) -
そして、階下に落とした大小の落下物がどうなるのかはトイレ部屋の建物の脇に行ってみるとよく分かる。
写真は2階建てトイレの建物の背面だが、建物の下部が暖簾の様になっているのが分かるだろうか。 -
大小の落下物が1階部分にある程度堆積すると、この暖簾を持ち上げてかき出し、畑用の有機肥料にする。
日本ではもう100年も前に失われてしまった廃棄物のエコ・リサイクル・システムが、ここラダックでは未だ現役で活躍していた。 -
トイレ見学ツアーに出ていたら、ガイドさんから「お茶ですよ」の声。
ラダックでは、ホームステイ先に到着すると最初に出してもらえるのがお茶。
此処では、高山病にも効くジンジャー・ハニー・レモン・ティを淹れてもらった。
(写真:友人が撮影) -
お茶の後は村の探検タイム。
昨日までは「シンゴ村の4138mなんて私には無理かも~」と若干弱音らしきものを吐いていた友人も、かなり元気。
完全に高度順応が出来たようだ。
勿論、私も高度順応はバッチリ。
ラダック到着初日に悩まされた吐き気も翌日にはピタリと止まり、体調は万全だ。
村には家が3軒しかないので見所も多くはないが、それでもHeritage Houseと呼ばれる建物があった。 -
イチオシ
まずはHeritage Houseの全景を向かい側から眺める。
総石造りでちょっと欧州の中世の田舎町っぽい雰囲気もある・・・かな。 -
近づいていると、その年代物さ加減が良くわかった。
その昔は旅人も宿泊出来たそうだが、今ではいつ崩れるか分からないので、家畜小屋として利用しているそうだ。 -
私たちのステイ先の向かいにある丘の中腹へと登ると、村全体が良く見える。
正面に見えるのが私たちのお宿。
そして、右端のビニルハウスの背後にあるのが2軒目のお宿だ。
ガイドさん曰く、こちらの宿で良かったね♪と。
この2軒目のお宿はかなり年代物で、内部もかなり痛んでいるらしい。
個人的には寝るためのスペースは綺麗な建物であるほうが嬉しいが、今にも朽ちそうだという2軒目のお宿の中も見てみてたかった・・・と少しだけ思った。 -
丘の上にあるのは、村で3軒目のお宿で、本日は宿屋休業dayだ。
小さな女の子が居たので、「ジュレー(ラダック語で、こんにちは♪)」と挨拶してみたのだが、サングラスをかけた二人のおばちゃんに猫なで声で、こんにちはと言われても子供は不審がるだけ。
その表情がこの写真に現れている。 -
イチオシ
丘の上からは村の背後の山の様子が一望。
縦に切り込みの入る岩の裂け方がトルコのカッパドキア(Rose Valley)みたいな感じ。
ヒマラヤの山は基本は隆起で出来ているはずだが、もしかしたらこの辺りでは大昔に火山噴火があり、噴火で堆積した凝灰岩と石灰岩で岩が出できているのかもしれない. -
家のある方に行くと、お母さんが日向で野菜を切っていた。
お母さんは英語が話せたので、作業をしながらちょっとだけお話をした。
そうしたら、女の子が走ってやってきて、その雰囲気は「私のお母ちゃんよ」と主張する感じ。
大丈夫よ・・・。
おばちゃんたちは、お母さんとお話しているだけだから。 -
イチオシ
別れ際にお母さんと一緒に記念撮影。
ほら、女の子も素敵な笑顔♪
お母さんと一緒ならば、安心した笑顔になるのだね。 -
村探検を終えて宿へと戻ると、時間は16時。
ガイドのトクテンさんが、私が会いたかった動物に会いにつれて行ってくれるというので同行することに。
向ったのは先ほどのHeritage Houseの庭にある飼育部屋。
部屋の扉を開けると、そこに居たのは円らな瞳の【ゾ】。
黒牛ではなく、【ゾ】だ。 -
【ゾ】は【牛】と【ヤク】を掛けあわせて生まれた生物。
従順な性格と力強い体躯を持つラダック山間部の農業では欠かせない生き物で、夏場はオトナの【ゾ】は山の奥で放牧されていて村には居ないが、子供の【ゾ】は狼に襲われる危険もあるため、村の近くで放牧しているとのことだ。
旅の前にラダックに関する本を読んでいる時に、この【ゾ】に関する記述があちこちにあり、実際に会ってみたいと思っていただけに、ちょっと感動♪
(オスを【ゾ】、メスを【ゾモ】と呼び雌雄を区別する)
この【ゾ】だが人工的に生まれる生き物の為、生殖能力はあっても、【ゾ】と【ゾモ】を掛け合わせても、次世代の命は生まれてこない。
可哀想な宿命を背負っている生き物でもある。 -
【ゾ】の後は、村の石曳水車小屋を見せてもらおうと思ったのだが、ちょうど石臼の部分が数日前に壊れて作り替えの最中。
この日が新しい石臼の試運転初日とのことだった。
村では大麦も小麦も自給自足。
自分たちで作った作物を、水車を動力とした石臼で引いて製粉する。
小麦粉や大麦粉は毎日の食事に必要な品。
だから、石臼が壊れたのは村の一大事で、この日も村のオジサンが1日でも早く復旧できるように作業をしていた。 -
16時半になり紫外線も弱くなってきたので、ズボンをたくし上げて川で水浴び。
と言っても、水に浸けるのは足だけ。
ヒマラヤの氷河水が流れ出した川の水温は冷たく、とても体全体で水浴びと云う訳には行かない。
(写真:友人が撮影) -
水は冷たいが、歩き疲れた足には心地よく15分位は足を冷やしてリラックス。
友人は5分もしない内に水の冷たさでギブアップし、足を引き上げていた -
私が足を水に浸けている間、友人が何をしていたかって?
それは、なんと髪の毛を洗っていた。
寒いから地肌までは洗わずに、毛先だけ洗ったと言っていたが、4000m以上の高山で髪の毛を洗う・・・とは、けっこう勇気あるよね。 -
髪の毛を乾かす友人を見上げながら、私は足を川に浸し、この大自然の中に来ることの出来た喜びを噛みしめていた。
シンゴ村へと到達する前は、さすがの私も酸素の薄さに恐怖を感じていたし、自分の体力がどの位まで持つのか心配な部分もあった。
ラダックに来てから飲み始めたダイアモックスの効果もあるのだろうが、心配していた酸素の薄さもそれほど気にはならないし、体力的にも十分余力が残っている。
これならば、明日の4950mのガンダ・ラ峠もそんなに大変ではないかな…なんて思っていた。(翌日、ガンダ・ラ峠で、やはり酸素が薄いのは苦しいことと体感したが…) -
17時になったら、ガイドさんがから「食事の準備をしますよ~」の声掛け。
此処で大事なのは「ごはんですよ」ではなく「準備が始まります」ということ。
今回の旅の目的の一つは、現地のラダック文化を味わう事。
どんなふうにお料理するのか、どんな食材を使うのかも私たちの興味の一つだった。
だから、声かけがあったら、すぐにキッチンへ。
キッチンはお父さんとお母さんの居住スペースを兼ねたお部屋で、中では薪ストーブが燃えていて、室内暖かい。
お母さんがえんどう豆を剥いていたので、私もお手伝い。
慣れない包丁での作業は怪我の元だが、手作業ならば任せて欲しい。
(写真:友人が撮影) -
大根やニンジンを金属で突くのは力仕事なので、お父さんの出番。
ラダックでは、お料理は夫婦二人の仕事。
どこかの国の様に、奥さんが台所で一生懸命にお料理している時に、旦那さんはTVでお笑い番組を見て笑い呆けているなんているのは、この地方ではありえない。
夫婦二人、お互いが協力し合って、料理を作っていく。 -
この日のメインディッシュの食材は、ベジのみ。
ラダックの夏は新鮮な野菜がたくさん出来るので、敢てお肉は食べなくても大丈夫だとのこと。
お肉は、体力の必要な冬場のために(生かした状態)でとっておくそうだ。
ボールの中に次々と入れられる食材は、キャベツ、玉ねぎ、にんじん、大根、さやえんどう、トマト、マッシュルームに自家製チーズ。
マッシュルームだけ缶詰で、あとは畑から収穫した野菜たちだ。
チーズが入っているのがこのお料理のポイントで、料理にコクが出る。 -
ボールに入った食材を一気に炒める。
料理は基本は薪ストーブを使うが、中華鍋を使う時はプロパンガスの出番だ。
プロパンガスなどの生活必需品は、お父さんが週に1回くらいのペースで馬を連れて山を下り、レーの町まで買い出しに行っているそうだ。 -
中華鍋で炒めた野菜たちが冷めるまで、おやつタイム。
ガイドのトクテンさんがツァンパと呼ばれるラダックの伝統的なオヤツ(ツァンパは朝食代わりに食べることも多いそうだ)を作り始めた。 -
お父さんも一緒にツァンパ作り。
-
ツァンパは、グルグル茶(バター茶:紅茶+塩+バター)に大麦粉を入れて練り、団子状にした食べ物。
-
出来上がったツァンパに欠かせないのが、ピリ辛ピクルス。
-
練って団子状になったツァンパに、ほんの少しだけピクルスソースを付けて食べる。
味は想像しにくいと思うが、これが旨い!
ツァンパ自体は塩味のみでそのままではあまり旨みは感じないが、ピクルスと一緒になることで味の相乗効果で美味しくなる。
ツァンパはグルグル茶に混ぜても良いが、少し甘めのオマチャ(ミルク・ティー)に入れても美味しい。
ミルク・ティー・バージョンは子供向けらしいが、とろみのある飲み物となり、小腹がちょっとすいたな…なんて時に向いている。 -
グルグル・ツァンパのおやつを食べたら、此処からはちょっとした力仕事。
小麦粉をボールに入れて、畳むように混ぜていく。 -
そして、お父さんが麺棒で小麦粉を伸ばして、お母さんがそのアシスト。
-
伸ばした生地は金属コップで丸く刳りぬいて、更にお母さんが麺棒で伸ばして大きくする。
-
作業にはガイドのトクテンさんも加わり、和気あいあい。
えっ、私たち?
スペースがなかったので、見学していました! -
イチオシ
だんだんと、今日の夕食のメインディッシュが形になってきた。
夕食はモクモク(ネパールではモモと呼ばれている)、ラダック風餃子だ。
具の包み方には家により流儀があり、お母さんのご実家の包み方は茶巾変形型、トクテンさんが子供の頃教わったのは餃子型だ。 -
蒸し鍋3段分のモクモクが包み上がり、それを薪ストーブの上で湯気を上げている鍋にセットしたら、数分で蒸し上がり。
-
夕食は、もう一組のゲスト(イスラエル人のお二人でGPSでセルフ・トレッキング)と一緒に暖かいキッチンで。
皮がしっかりと厚みのあるモクモクは8個も食べたらもうお腹いっぱいで、食後のお茶も入らないくらい。
でも、トクテンさんやイスラエル人のお二人の食べること、食べること。
トクテンさんなんて一人で、私たち二人分のモクモク(16個)をペロっと食べていた。
食事が終わったら、あとは寝るだけ。
明日は最難関の4950mの峠越えのルート。
一緒に頑張って、あの峠を超えようね、きなこさん♪
前の旅行記:ラダック旅 高山病・旅の準備
https://4travel.jp/travelogue/11515809
続きの旅行記:ガンダ・ラ トレック Day2 限界への挑戦
https://4travel.jp/travelogue/11519590
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この旅行記へのコメント (4)
-
- jamokaさん 2019/07/21 23:14:03
- ☆素晴らしい企画☆
- こんばんは☆彡
今後インドへ行くなら私も北インドと決めていました。今回の旅日記はとても参考になりそうって言うか、まんま行きたい感じです(笑)
トレッキング初心者さんと行くって驚きましたが高度順応さえ出来れば大丈夫そうですかね…
ダイアモックスは心強いですね!
下ラダックあたりから吐き気を催したのですか?治まって良かったですね☆花の香りがしたり石版を見たりと目に映る絶景、全てが新鮮なものばかりで楽しくワクワクなトレッキングになってますね~
ジンジャーレモンティーの美味しさ伝わってきましたよ♡
お友達はトイレ順応は大丈夫でしたか?私は秘境トイレは常にドキドキなんですが意外にも悪臭は然程無いですよね…?エコトイレは素晴らしい!砂かけ→堆肥は拍手です♡
今後の高山病を気にしながら次が楽しみです。昔流行ったガンダーラ♪の曲も聴こえてきそう、、違うか、
- ウェンディさん からの返信 2019/07/23 00:02:13
- RE: ☆素晴らしい企画☆
- jamokaさん こんばんは。
インドは今回の旅がお初でしたが、ラダックはインドに包まれたチベットでした。
ラダック人の方は混血の方も多く顔立ちは様々ですが、モンゴル人に近い(日本人に近い)顔立ちの方もいて、レーの町を歩いていると近所のおばちゃんにそっくり〜的な方も見かけました。
高山病予防薬のダイアモックスは、友人は日本で処方してもらい旅の1日前から飲み始め、私は現地で買いラダック到着後にすぐに飲みましたが、やはり1日の差は大きく、私は到着して5時間後には高山病の症状の一つである食欲不振(胃が働かなくなりました)で、ゲロロ〜ンでした。
でも、飲み始めたダイアモックスの効き目なのか、身体が自然に環境に慣れたのか、翌朝には胃もきちんと動きだし朝ごはんも完食。
高山病の症状に悩まされたのはほぼ半日間だけでしたので、軽かった方だと思います。
トイレは基本はボットン・エコトイレで、レーで宿泊したホームステイ先とゲストハウスのみが一応の水洗式でしたが、多分、お水はタンクにお家の方が汲んでくれていたのだと思います。
エコ・トイレの匂いは気にならないので友人も全然平気で、楽しんで砂を落としていました。
ゴダイゴの唄のガンダーラは多分現在のアフガニスタンの地域を指すそうですが、でも、ラダックのGanda la峠のあるあたりもその昔は、シルクロードの一部だったそうなので、もしかしたら・・・なにか縁があるのかも知れません。
ウェンディ
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- TKさん 2019/07/16 22:29:29
- 一気にハイライト。続きが楽しみ。
- ウェンディさん
こんばんは。
いつもながらの、用意周到なアドベンチャーへの準備、さすがです。ハラハラしながら、山登りしている気分になりました。(居間にいながらラクして)雰囲気を楽しませていただきました。
ダニ駆除スプレー(携帯容器に小分けしたダニ・フマキラー)をお布団の周囲にシュッとスプレーするなんて、良いこと聞きました。(メモメモと。)
十分な高山病対策で、約5000メートルのガンダ・ラ峠(Ganda la Pass)越え。私は中国黄龍で、軽い高山病の経験をしているけど、5000メートル高地のトレッキングのつらさはそれ以上と思います。が、難なくクリアー?の様子。
続きを楽しみにしています。
by TK
- ウェンディさん からの返信 2019/07/17 00:33:52
- Re: 一気にハイライト。続きが楽しみ。
- TKさん こんばんは。
インドのラダック旅。
今回の旅は、旅の前に想定していたよりも深く、刺激的で、心に強く残った旅となりました。
旅行記は基本的には時系列で作る方が読み手も読みやすいのは分かっていますが、今回ばかりは、峠に奉納したタルチョの光景が脳裏から離れたくない~と主張するので、トレッキング編からの本編の始まりとなりました。
私の今までの最高到達標高はネパールのABCトレッキングの4130mで、あの時は冬ということもあり、息が上がり、相当苦しかったです。
それなのに、今回のラダック・トレッキングでは、最初の宿泊地シンゴ村の標高がABCとほぼ等しい4138m。
自分でも、私、大丈夫かな?と思う部分がありました。
しかし、実際はDIAMOXの薬効と体の高度順応力のお蔭で、余力を持ちつつ無事にシンゴ村へと到着し、到着後にも村の中へと遊びに出かける程に元気。
この旅行記の翌日にチャレンジする4950mのガンダ・ラ峠へも無事到達でき、私は更にもう少し上まで・・・。
もう少し先になりますが、トレッキング編の次は下ラダックでのゴンパ&ホームステイ編を書く予定にしています。
ラダックは、山も文化も興味深いところです。
ウェンディ
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