2019/04/01 - 2019/04/01
6位(同エリア389件中)
旅猫さん
年度初め、初日から仕事を休んで東京桜旅。
いくつか立ち寄る場所を考えていたが、とりあえず、地元から一番近い北区の王子へ向かうことにした。
その後は、雑司ヶ谷に寄り、千鳥ヶ淵から浅草へ回り、最後は上野で美術館へ行く予定だ。
まあ、予定と言うものは、得てして、思い通りにはいかないものだが。
- 旅行の満足度
- 3.5
- 観光
- 3.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- JRローカル 私鉄 徒歩
PR
-
王子駅を出て、駅前から続く音無親水公園沿いに歩いて行く。
ここは、昔の石神井川の流路を利用した公園で、桜と紅葉の季節はとても綺麗なのだ。音無親水公園 花見
-
見上げれば、ほぼ満開の桜が青空に映えている。
やはり、桜には青空が似合う。 -
そして、苔生した石垣には萌黄色が似合う。
今は桜が主役だが、その主役の座は短く、すぐに長い緑の季節がやって来る。 -
なので、今日は桜をしっかり観ようと思う。
-
親水公園に降りて、下から桜を眺めてみる。
ここに植えられている桜たちは、それなりに時が経っているが、枝はいまひとつ。
公園のほうへ枝が張り出すようになれば、かなり綺麗になるだろう。 -
親水公園を歩き、音無橋を潜る。
この橋は何度も渡ったことがあるが、下を潜ったのは初めてだった。
その先で石神井川に突き当たるので、上へと上がり、川沿いに付けられた歩道を少し歩いてみる。
歩道の脇には、馬酔木など色々な花が咲いていた。 -
途中にあった橋で反対側へと渡り、駅の方へと戻って行く。
しばらく歩くと、右手に吊橋が見えた。
何だろうと思い案内板を見ると、音無さくら緑地とあった。
この緑地は、蛇行していた昔の石神井川の流路を利用したものだそうだ。音無さくら緑地 公園・植物園
-
気になり少し歩いてみると、崖のような場所があった。
岩の隙間からは水がしたたり落ちている。
この崖は、旧石神井川の自然露頭で、地層の中には、東京が海底だったころに形成されたものもあり、貝の化石なども観られるらしい。
東京のような大都市では、このような自然の河岸が露頭している場所はとても貴重なものなのだそうだ。 -
流路跡を出ると、上流の方へ戻っていた。
そのすぐそばに架かっていた紅葉橋の上に立ってみると、満開の桜が目の前に。
金剛寺と言う寺の脇に並ぶ桜並木だった。 -
コンクリートで固められた無粋な川を、春のほんの一時期だけ彩る花たちだ。
-
紅葉橋から、石神井川の右岸を歩き、改めて王子駅の方へ。
道端では、もう、シャガの花が咲いていた。 -
音無橋の手前で石神井川と別れ、醸造試験所の跡地へと足を向ける。
以前、春に訪れて桜が綺麗だったことを思い出したからだ。
行ってみると、跡地の位置は公園として整備され、建物の一部が残るだけだった。
それでも、残った桜たちが出迎えてくれた。醸造試験所跡地公園 公園・植物園
-
風が吹くと、花弁がが舞う。
一年で、この季節だけしか見られない、春の光景だ。 -
醸造試験所跡から飛鳥山公園へ。
国道122号線を跨ぐ陸橋からは、飛鳥山と都電の姿を観ることが出来る。
ここは、王子界隈でも好きな場所の一つだ。 -
飛鳥山に入れば、桜の木の下で人々が宴をしている。
江戸時代、八代将軍徳川吉宗がこの地に桜を植えて以来、ここは庶民の花見の名所なのだ。飛鳥山公園 公園・植物園
-
前に訪れた時は、物凄い人出で足の踏み場も無かったほどだが、この日は平日と言うこともあり、それほどでもなかった。
とは言え、人の多さは相変わらずなのだが。
それでも、人に負けないくらい、桜も咲き誇っている。 -
だが、記憶にある飛鳥山の桜と比べると、樹の数が減ったような気もする。
よく見れば、まだ満開ではなく、全体では5分咲き程度である。
満開になれば、記憶の中の飛鳥山の光景と同じになるのだろうか。 -
歳を重ねてくると、梅の花の方が美しく見えてくるという。
確かに、梅の花の馥郁な香りやあの枝ぶりは、日本人の感じる侘び寂に通じる。
かく言う私も梅の花が好きである。
しかし、それでも、春のほんの一瞬を華やかに彩り、さっと散って行く様も、やはり日本人の心を打つ大切な花だと思わずにはいられない。 -
飛鳥山には、元文2年(1737)に建てられた飛鳥山碑が保存されている。
これは、桜を植えた徳川吉宗の事績を顕彰すために造られたもの。
桜の季節、週末には、この石碑の周りにも花見客が座り、近寄ることさえできないので、今回、じっくりと観ることができた。 -
山内には、古い都電の車両も保存されている。
麓を走る都電荒川線で活躍していた車両だそうだ。
現役時代に走った線路の近くで余生を送るこの車両は、幸せなことだろう。 -
山を降り、近くの都電飛鳥山駅から荒川線に乗り、雑司ヶ谷へと向かう。
久しぶりに乗ったが、発車する際のチンチンと言う鉦の音が懐かしい。
電車は大塚駅前を通るが、この辺りは谷のようになっている。
坂を登り、しばらく走れば、雑司ヶ谷の電停に着いた。都電雑司ヶ谷停留場 駅
-
踏切を渡り西側へ。
電停は雑司ヶ谷だが、この辺りの地名は南池袋だ。 -
とりあえず、江戸時代の地図を頼りに歩いて行く。
基本的に、街歩きでは江戸時代から残る道を歩くことにしているのだ。
最近では、再開発による区画整理で、道どころか街が消えてしまっている場合もあるが、この辺りはその心配はない。
歩いていると、路地の奥に綺麗な桜が見えたので行ってみることにした。
そこは、法明寺と言う寺で、山門を彩るかのように桜が咲いていた。法明寺 寺・神社・教会
-
山門前の石段では、背広を着た人たちが腰掛けてお酒を飲んでいる。
花見には良い日和だが、仕事の方は大丈夫なのだろうか。 -
墓地の入口にも桜が綺麗に咲いている。
法明寺は平安時代に創建されたという古刹で、墓地には、地元豊島郡(現在の豊島区など)を支配した豪族豊島氏の墓などがあるようだが、今回は入口までとした。
ちなみに、豊島氏は、戦国時代初期、扇谷上杉氏の家宰太田道灌により攻め滅ぼされたが、生き残った豊島忠次が徳川家に仕えたそうだ。 -
それにしても、ここ法明寺の桜は綺麗だ。
地元では有名らしく、人がひっきりなしに観に来ていた。 -
何より驚いたのは、参道に露店が出ていたことだ。
狭い参道の片側に数店が建ち並び、向かい側には席まで設けられている。
こんなものを見せられては、立ち寄らない訳にはいかない。 -
そこで、焼き鳥と麦酒を買い込み、桜を愛でながら一休み。
天気も良いので、冷えた麦酒が美味い。
焼き鳥自体はかなり寂しかったが、これはこれで楽しい。
花びらが舞い落ち、風情がある。 -
露店の間に、枝垂桜が見えたので行ってみる。
その桜は、観静院と言う、法明寺の塔頭だった寺院の本堂前に咲いていた。
まだ咲き始めと言う感じだったが、何とも言えない美しさがある。
多くの花に言えることだが、すべてが開き切るより、まだ蕾が残っているくらいが一番美しいと思う。 -
参道を抜け、そのまま道なりに歩いて行くと、雑司が谷の鬼子母神堂に付き当たった。
実は、この鬼子母神堂は法明寺の境外仏堂なのだそうだ。
まずは、寛文6年(1666)に建立された本堂に参拝した。
その境内には、上川口屋と言う駄菓子屋がある。鬼子母神堂 名所・史跡
-
創業は、江戸中期の天明元年(1781)。
店には、懐かしい駄菓子が所狭しと並べられている。
駄菓子と言うものは、大人になっても心惹かれるものだ。上川口屋 専門店
-
上川口屋のすぐそばには、樹齢600年以上と言う公孫樹が聳えていた。
高さは30m以上もあるそうだ。
その後ろには、武芳稲荷神社が鎮座していた。雑司ヶ谷鬼子母神のイチョウ 自然・景勝地
-
鬼子母神堂を後にして、表参道を歩いてみる。
入口近くにあった民家では、サクラソウが咲いていた。 -
当ても無く歩いていると、雑司が谷案内処というものがあった。
入ってみると、そこには『すすきみみずく』がいた。
鬼子母神の参詣土産として江戸時代より作られていた雑司が谷の郷土玩具であるが、平成22年(2010)に最後の職人が廃業した後、保存会に寄り継承されているものだ。
ススキの穂が獲れる秋にしか販売されていないと思っていたので、これは嬉しい出会いであった。
迷わず購入し、今は家で飾られている。雑司が谷案内所 名所・史跡
-
案内処の方が、入口においてある人形も郷土玩具だという。
これが角兵衛獅子と言うもので、新潟の郷土芸能を麦わら細工で表現したものらしい。
こちらも江戸時代から受け継がれているもので、かの江戸名所図会にも掲載されていた。 -
案内処の入っている建物の脇から続く小道に入ろうとしたら、猫が数匹屯していた。
こちらの姿を認めると、ほとんどがサッと逃げてしまった。 -
その内の一匹は、上手く隠れたつもりだが、まさに頭隠して尻隠さず状態。
しっかり撮らせていただいた。 -
猫たちが集う路地には、並木ハウスと言う建物があった。
昭和28年に建てられたアパートだそうだが、国の登録文化財に指定された後も、現役のアパートととして使われているらしい。
このアパートは、漫画家の手塚治虫が一時期暮らしていたそうだ。 -
並木ハウスを見ていると、そこかしこから視線が。
先ほど逃げ散った猫たちが、いつの間にかこちらを窺っている。
以前、函館で出会った奴に似ている、ちょっと残念な顔の猫さんは、近付いてもじっとしていた。 -
さらにもう一匹、広い場所に出て来て、ちょこんと座っている。
こちらを見ないが、耳を立てて警戒しているようだ。 -
この後、駅の方から続く街並みを歩いてみる。
風情のある青果店が、この通りを表情豊かなものにしていた。 -
歩いていると、雨がぽつりぽつりと降って来たので、一度散策を中止。
案内処の隣にあった喫茶店で雨宿りをすることにする。
その店のある表参道は欅並木になっている。
その参道でひときわ目立つ建物が、喫茶店の入る砂金家長屋だ。
洋風の五軒長屋で、国の登録文化財になっているそうだ。鬼子母神大門のケヤキ並木 自然・景勝地
-
その建物に入っているキアズマ珈琲へ。
渋い外観からは想像もできないほど洒落た店内だ。
地元の常連さんがお二人寛いでいた。キアズマ珈琲 グルメ・レストラン
-
ホットドックと珈琲を注文。
店内は静かで、とても居心地が良い。
小さな店なので、ひとりで訪れるのが一番だろう。 -
珈琲を飲みながら寛いでいたら、もう歩くのが億劫になって来た。
外へ出ると雨は止んでいたが、雲行きも怪しいので、今日はこの辺で切り上げることにする。
そして、東京メトロ副都心線の雑司が谷駅から池袋駅へ抜けて帰ることにした。
駅へ向かう途中、都電が走り抜けて行くのが見えた。
この日の桜旅はこれでお仕舞。
予定の半分も歩けなかったが、十分に桜を堪能した旅だった。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
この旅行記へのコメント (2)
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
この旅行で行ったスポット
もっと見る
この旅行で行ったグルメ・レストラン
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
旅行記グループ 【武蔵国】東京都(区部)
2
45