2022/04/02 - 2022/04/02
7位(同エリア164件中)
旅猫さん
4月最初の週末、今年最初の花見をしに、深川を訪れた。今回は、仙台堀川と大横川の桜を観た後、最後に、下町の小さなワイナリーを訪ねた。
(2022.04.09投稿)
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 3.5
- グルメ
- 4.5
- 交通
- 4.0
- 交通手段
- JRローカル 私鉄 徒歩
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特急『あかぎ6号』に乗り、上野駅へと向かう。花見の季節とあって、上野駅は混み合っていたが、銀座線のホームへと向かう人はそれほど多くは無い。ホームドアには、パンダと桜があしらわれていた。
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三越前駅で半蔵門線に乗り換え、清澄白河駅で下車。今日は、ここから門前仲町へと歩いて行くことにする。駅の出口があった場所は、江戸時代、これから向かう霊巌寺の境内であった場所である。
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裏道へと入ると、下町の風情が残る街並みがあり、趣のある商店もみられた。個人商店が多く残る街は、良い街である。
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霊巌寺の前まで来ると、猫が日向ぼっこをしていた。毛の長い、野良猫とも思えない奴だった。
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霊巌寺は、江戸時代、埋め立て地であった霊巌島に創建された寺院である。明暦の大火で類焼した後、現在地に移転したそうだ。
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この寺には、老中首座として寛政の改革を行った松平定信の墓がある。以前一度訪れたことがあったが、桜の季節はまた、風情があるものだ。
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境内には、江戸六地蔵のうち、五番目に鋳造されたものがある。現存する五体のうち、観たのは、新宿の太宗寺のものと、ここだけである。
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霊巌寺の向いに、ふたつの寺があった。そのうちのひとつ、長専院に立ち寄る。長専院は、徳川四天王の一人であった榊原康政の孫である榊原忠次により開基された寺である。その境内には、出世不動尊なるものが祀られていた。元は不動寺に伝わった像で、かなり由緒のあるものらしい。
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近くにあった成等院と言う寺の境内には、紀州出身の豪商紀伊国屋文左衛門の墓があった。墓域の中心には、昭和になってから建てられた大きな石碑があり、実際の墓は、その左奥にある。しかし、東日本大震災の影響で立ち入ることは出来なくなっていた。
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成等院から西へと向かうと、清澄庭園に突き当たる。その脇を走る大通りは清澄通りである。その通り沿いに、昭和の佇まいを残す町並みが続いている。まるで、清澄庭園を守る壁の様である。
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よく見ると、それぞれの建物に、凝った意匠が施されている。調べてみると、旧東京市が、関東大震災後の復興事業の一環として、昭和3年(1928)に建てた店舗向けの住宅だそうだ。建設されてから90年以上も経っているが、現在でも店舗などとして利用されている。
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通りを挟んで反対側には、『南総里見八犬伝』で知られる曲亭馬琴が誕生したと言う場所もあった。その説明板の足元には、『南総里見八犬伝』の冊子を模した記念碑が置かれていた。
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そのすぐ先に、明治40年創業と言う和菓子屋『伊勢屋』があった。焼き団子が名物だと言うので、立ち寄ってみることにした。店内では、おにぎりなども売られていたので、昼食用に浅利めしのおにぎりを併せて購入した。店を出ると、すぐ南側を仙台堀川が流れている。そこに架かる海辺橋からは、綺麗な桜が観られた。
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その川の南側に続く遊歩道を歩いて行く。都内では、千鳥ヶ淵や上野山、飛鳥山、目黒川など名の知れた花見の地があるが、それらは大混雑するので、最近は避けることにしている。ここは、人影も疎らで、ゆっくりと桜を観ることが出来る。
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しかし、桜は盛りをやや過ぎ、散り始めていた。それでも、青空の下での花見は、やはり気持ちが良い。
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木更木橋へ出て、橋の上からの景色を楽しむ。仙台堀川沿いには、約900mに渡って両側に桜並木が続く。川幅がそこそこあるので、川面を覆うような景観は観られないが、素晴らしい眺めであることは間違いない。
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これで満開であれば、もっと美しいことであったろう。
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川沿いには宴会が出来る様な場所が無い上、店なども無いので、遊歩道は非常に静かである。誰もが、のんびりと花見を楽しむことが出来る。
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散り始めの樹も多かったが、まだ蕾を付けた樹もあった。もうしばらくは、美しい景色を楽しめそうである。
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仙台堀川の桜を堪能した後、裏道を辿って清澄通りへ戻ることにした。
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その途中で、見事な対比を見せる紅白の花桃に出会った。狭い民家の庭先に咲いていたのだが、花数が多く、遠目からでもとても綺麗だった。
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清澄通りに出て南へと歩いて行くと、左手に心行寺と言う寺があった。深川七福神のひとつ福禄寿を祀る寺である。境内の片隅には、江東区内で最も古いと言う、鎌倉時代の元享3年の銘がある五重の石塔があった。
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心行寺を出て、首都高の高架を潜る。その高架下にあった公園の片隅に、『とみおかばし』と書かれた橋の親柱が置かれていた。それは、かつてこの地に流れていた十五間川、通称油堀に架かっていた『富岡橋』のものであった。十五間川は埋め立てられ、現在はその上を首都高が走っている。
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門前仲町駅のある交差点を過ぎると、大横川に架かる黒船橋に至る。この大横川も、両側に桜並木が続いている。仙台堀川よりもさらに見事な景観で、江東区一の桜の名所だけのことはある。眺めていると、花見客を載せた船が過ぎて行った。
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大横川は、江戸時代、大島川と呼ばれていた。当時の黒船橋は、現在の場所よりも少し東側に架かっていた小さな橋であった。
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水辺の遊歩道を歩き、すぐ東側にある石島橋に出る。そこからの桜の景色も素晴らしかった。
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石島橋から少し戻ると、古石場川親水公園がある。以前、そこは木材の運搬に使われていた古石場川が流れていたが、今は水路が往時の面影を残しているだけである。
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公園の途中には、かつて川に架かっていた古石場橋がある。昭和4年(1929)に架けられた鋼製のガーター橋で、なかなか均整の取れた美しい橋であった。
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公園内に木製のベンチがあったので、伊勢屋で買い込んで来た焼き団子とおにぎりを食べることにした。団子は出来たてだったのでまだ暖かく、もっちりとしてとても美味しかった。おにぎりのほうは、浅利が感じられずがっかりであったが、味は悪くはなかった。
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黒船橋へ戻ると、歩道の上に、船の形をした花壇がいくつも置かれていた。春の花が咲き、なかなか綺麗であった。
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黒船橋から、今度は西側へと歩いて行く。この辺りは、河川改修されているため、江戸時代の地形とは大きく変わってしまっている。現在川が流れている場所は、当時、尾張徳川家の抱屋敷があった場所である。
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越中島橋へ出ると、その北詰に大島桜が咲いていた。白い花と一緒に葉が出るのですぐわかる。ちょうど花見の船が下を通って行った。
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その先にも、染井吉野の並木が続いている。淡い桜色の染井吉野と比べると、大島桜の白さがよく分かる。
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越中島から石川島の方へと向かう。その界隈にも桜の綺麗な場所があると聞いていたためである。ところが、途中の路地裏で、小さなワイナリーを見つけてしまい、吸い寄せられてしまった。覗いてみると、ちょうど開店したところであったので、立ち寄って行くことにした。
深川ワイナリー東京 グルメ・レストラン
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そこは、深川ワイナリーと言う、都内でワインを醸している数少ない場所であった。葡萄は、日本各地や海外から輸入したものを使っているそうである。
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以前は、店内でイタリアンを食べながらワインを飲めたそうだが、コロナ禍とは関係無く、現在は試飲と販売だけとなっていた。
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試飲は、20ml(200円)と50ml(300円)があったが、種類が多いので、20mlでいただくことにする。まずは、甲州種のスパークリングから、甲州のノンフィルター、甲州樽発酵と飲み、最近よく見かけるようになったオレンジワインもいただいた。
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樽発酵のシャルドネもあったので飲んでみたが、樽の香りもきつくなく、悪くはなかった。
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赤は、長野産のマスカットベリーAの樽仕込みを飲んだ後、神戸産のメルロ種を使ったものも試してみた。樽を使っていないため、香りはメルロ種らしいもので、とても懐かしい感じであった。そして、最後に自信作だと言うカベルネ・ソービニヨンをいただいた。これが思ったよりも美味しく、気に入った。
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ワイナリーの方と話をしているうちの盛り上がり、通常は出していないと言う、ソービニヨン・ブランとシュナン・ブラン、甲州とシャルドネを合わせたものを飲ませていただいた。偶然見つけたワイナリーであったが、東京の下町でワインを造っているというのは面白かった。
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ワイナリーで時間を過ごしてしまったので、この日はこれで切り上げ、帰ることにする。もう一度黒船橋から桜を眺め、門前仲町駅から上野駅へと向かった。
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地下鉄の車内で、ふとお気に入りの鯖の燻製が思い浮かび、上野広小路駅で途中下車。そこから上野駅へと向かう途中にある福神漬けで有名な『酒悦』に立ち寄り、鯖の燻製を買い込んだ。桜の花見を楽しんだ週末。綺麗な桜の景色と美味しいワインに癒された一日であった。
酒悦 専門店
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この旅行記へのコメント (2)
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- ポテのお散歩さん 2022/04/12 03:33:42
- 川沿いの桜並木
- 旅猫さん こんばんは。
東京は桜が多い都市ですね。
主な川沿いには必ずと言ってよいほど桜並木があり、とても美しいです。
目黒川や神田川の桜を見た時は奇麗で驚きました。
公園も桜の名所が数多くありますね。
今回歩かれたのは仙台堀川や大横川など。
清澄庭園は一度だけ行った事があるのですが、こちらの川沿いも
桜並木が続いているのですね。隅田川が大きいので、小さな川かなと
思っていたらどちらの川幅も広いのですね。
東京に住んでいた時は、どの町にも川や公園に桜の美しい所があるなぁと
感じていました。 有名どころでは無くても、同じような規模の桜並木が
多いのが良いですね。
友達が東陽町に住んでいるので、この辺りを散歩しているのかなぁと
地図を見ながら拝見しました。
お花見の途中で下町のワイナリーを発見されて、良い出会いでしたね。
こんな所でワインを醸造されているなんて、ビックリです。
ポテ
- 旅猫さん からの返信 2022/04/12 08:50:50
- RE: 川沿いの桜並木
- ポテさん、こんにちは。
いつもありがとうございます。
東京の都心部は、結構桜が多いですね。
どこへ行っても、桜が観られます。
特に公園や川沿いには、たくさん植えられています。
今回訪れた仙台堀川と大横川は、都内の名所とは違い穴場です。
日曜日だと言うのに、遊歩道にはほとんど人がいませんでした。
どちらの川も、江戸時代に運河として掘られたものです。
船が重要な輸送手段だったので、川幅が当時からそこそこありました。
お友達が東陽町にいらしゃるのですね。
母方の実家が、以前深川にあったそうなので、この界隈はどこか親しみを感じる街です。
偶然見つけたワイナリーですが、東京でワインを造っているとは驚きでした。
そこそこ美味しくて、お土産に一本買ってしまいました。
旅猫
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