武侯祠（葛孔明廟）には孔明の名文として著名な南宋の武将岳飛書と伝える「出師表」の石刻が掲示されています。ここ成都の武侯祠でも、漢昭烈廟（蜀皇帝劉備）にそれが入口左右の壁に掲げられています。左側が「前出師表」、右側が「後出師表」です。後者はしかるべき史書にも記載がなく、偽作と評価されています。そこで、ここでは「前出師表」を示します。全体は６行分毎に石刻された20枚からなります。2013年７月６日撮影のものです。<br />なお、表紙写真は諸葛亮（孔明）塑像です。

成都武侯祠伝岳飛書「前出師表」

6いいね！

2013/07/06 - 2013/07/06

550位(同エリア984件中)

旅行記グループ成都

km45さん

武侯祠（葛孔明廟）には孔明の名文として著名な南宋の武将岳飛書と伝える「出師表」の石刻が掲示されています。ここ成都の武侯祠でも、漢昭烈廟（蜀皇帝劉備）にそれが入口左右の壁に掲げられています。左側が「前出師表」、右側が「後出師表」です。後者はしかるべき史書にも記載がなく、偽作と評価されています。そこで、ここでは「前出師表」を示します。全体は６行分毎に石刻された20枚からなります。2013年７月６日撮影のものです。
なお、表紙写真は諸葛亮（孔明）塑像です。

エリア

成都(中国)

旅行の満足度: 4.5

観光: 4.5

交通手段: 高速・路線バス

地図を見る

『三国志』所載と少し異なる全20枚の石刻です。順に示していきます。

　前出師表
臣亮言先帝創
業未半而中道
崩殂今天下三分
益州疲弊此誠

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

危急存亡之秋
也然侍衛之臣
不懈于於内忠志之
士忘身於外
者蓋追先帝
之殊遇欲報之

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

於陛下也誠宜開張
聖聴以光先帝
遺德恢宏士
之氣不宜妄自
菲薄引喩失
義以塞忠諫

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

之路也宮
府中倶爲一
軆陟罰臧否
不宜異同若有
作姦犯科及
為忠善者宜付

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

有司論其賞
以昭陛下平明
之治不宜偏私
使内外異法也
侍中侍郎郭

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

攸之費褘董
允ホ此皆良實志
?忠純是以先
帝簡抜以遺
陛下愚以爲宮中

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

之事々無大
小悉以咨之然
後施行必能
裨補闕漏有
所廣益将軍向

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

寵性行淑均
曉暢軍事試
用於昔日先帝称
之曰能是以衆
議擧寵以為
督愚以為営中

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

之事事無大小
悉以咨之必能使
行陣和穆
優劣得所也
親賢臣遠小人此先

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

漢之所以興隆
也親小人遠賢臣
此後漢之所以頽
敗也先帝在時毎
与臣論此事
未嘗不嘆息痛

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

恨於桓霊也侍中
尚書長史參軍
此悉貞亮死節
之臣也願陛下親之
信之則漢
室之隆可計日

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

而待也臣本布
衣躬耕南陽荀
全性命於亂世
不求聞達於諸
侯先帝不以臣卑
鄙猥自枉屈

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

三顧臣於草盧
之中諮臣以當世
之事由是感
激遂許先帝
以馳驅後値傾
覆受任於敗軍

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

之際奉命於危
難之間尓来
廾有一年矣先
帝知臣謹慎故
臨終寄臣以大
事也受命以

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

来夙夜憂?恐
付託不効以傷先
帝之明故五
月渡瀘深入不毛
今南方已定甲
兵已足當奨帥三

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

軍北定中原庶
掲弩鈍攘除姦
凶興復漢室還
於舊都此
臣所以報先帝而忠陛
下之職分也至于於

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

斟酌損益進尽
忠言則攸之褘允之
任也願陛下託臣以
討賊興復之効不効
則治臣之罪以
告先帝之

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

霊若無興徳
之言則責攸之
褘允ホ之咎
以彰其慢
陛下亦宜自謀
以諮諏善道察

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

納雅言深追
先帝遺
詔臣不勝
受恩感激
今當遠離

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー
地図を見る

臨表涕泣
不知所云
　岳飛

〔書き下し文〕
　　　前出師表
臣亮言わく。先帝創業いまだ半ばならずして中道にして崩殂す。今天下三分し、益州疲弊し、これ誠に来危急存亡の秋なり。しからば侍衛の臣内に懈らず、忠志の士は身を外に忘るるは、蓋し先帝の殊遇を追うて、これを陛下に報いんと欲すればなり。誠に宜しく聖聴を開張するに、光る先帝の遺徳を以てすべく、志士の気を恢弘し、宜しく妄りに菲薄に自りて、喩えを引きて義を失うて、以て忠諫の路を塞ぐべからざるなり。宮中・府中は?に一体となり、陟罰臧否、宜しく異同あるべからず。若し姦を作し科を犯し忠善を為すに及びては、宜しく有司に付してその賞を論ずるに、陛下の平明の治を昭らかにするを以てし、宜しく偏私し、内外の異法をなからしむべからず。侍中侍郎の郭攸之?費禕?董允等は、これ皆な良実にして、志慮忠純にして、これを以て先帝簡抜し以て陛下に遺す。愚は以て宮中の事を為し、事に大小無く、悉くこれに咨るを以て、然る後に施行し、必ず能く闕漏を裨補し、広く益する所有り。将軍の向寵は、性行淑均にし、軍事に暁暢し、試みに昔日に用いるに、先帝これを称して能と曰い、これを以て衆議は寵を挙げ督と為す。愚は以て営中の事を為し、事大小なく、悉くこれに咨るを以て、必ず能く行陣和穆し、優劣の所を得せしむなり。賢臣に親しみ、小人を遠ざくるは、これ先の漢の興隆せし所以なり。小人に親しみ、賢臣を遠ざくるは、これ後漢の傾頽せし所以なり。先帝の在時、毎に臣とこの事を論じ、未だ嘗て歎息して桓霊を痛恨せざることあらざるなり。侍中、尚書、長史、参軍は、これ悉く貞良死節の臣なりて、願わくは陛下これに親しみこれを信じ、則ち漢室の隆なるを、日に計りて待つべきなり。臣はもと布衣にして、南陽に躬耕し、苟くも性命を乱世に全うし、諸侯に聞達せらるるを求めず。先帝は臣を以て卑鄙とせず、猥りに自ら枉屈し、三たび臣を草廬の中に顧みて、臣に諮るに当世の事を以てす。これに由りて感激し、遂に先帝に以て駆馳を許さる。後に傾覆に値い、任を敗軍の際に受け、命を危難の間に奉り、爾来二十有一年なり。先帝臣の謹慎なるを知り、故に臨終に臣に寄するに大事を以てすなり。命を受けて以来、夙夜に憂歎し、託付して效あらずして、以て先帝の明を傷つくを恐れ、故に五月瀘に渡り、深く不毛に入る。今南方已に定まり、甲兵已に足り、当に奨めて三軍を率い、北に中原を定め、庶く駑鈍を竭し、姦凶を攘い除き、漢室を興復し、旧都に還らんとす。これ臣の先帝に報いて、陛下の職分に忠なる所以なり。損益を斟酌するに至り、進んで忠言を尽す、則ち攸之?禕?允の任なり。願わくは陛下の臣に託するに討賊興復の效を以てせんことを。效あらざれば、則ち臣の罪を治め、以て先帝の霊に告げん。若し徳を興すの言無くば、則ち攸之?禕?允等の咎を責め、以てその慢を彰らかにせん。陛下亦た宜しく自ら謀り、以て善道を諮諏し、雅言を察納し、深く先帝の遺詔を追うべし。臣恩を受けて感激に勝えず。今、遠離に当たり、表を臨みて涕泣し、云う所を知らず。

成都武侯祠博物館博物館・美術館・ギャラリー