2015/12/29 - 2015/12/31
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mistralさん
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年末の奈良の旅を計画していて、奈良ホテルの予約が取れた。
過去に満室の為、あきらめたこともあったホテル。
今回は新幹線と宿泊がセットになっている旅をJRの窓口で予約に行った際、まだ空室があることがわかった。
日本のクラシックホテル、日光の金谷ホテル、軽井沢の万平ホテル、箱根の富士屋ホテルの四ホテルの中では、宿泊してみての印象だが一番グレードが高いように思われた。
館内ツアーもあって参加させていただいたが、説明下さったホテルマンの男性の方の熱のこもった説明で、ホテルの歴史を伺い、旅行記に載せてみたくなった。
そんな理由から、今年初めの旅行記は奈良のクラシックホテル、奈良ホテル
の旅行記から始めます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 新幹線 私鉄
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
近鉄奈良駅から
奈良ホテルまで歩いてやって来た。
日本が日露戦争に勝利し
関西にも迎賓館が必要とされたために
明治40年着工
明治42年創業の
国の事業として誕生したホテルであり
日本鉄道省の管轄だった。 -
ホテルの設計はおなじみの辰野金吾氏。
ジョサイア・コンドル氏に師事し
奈良ホテル設計の他に
東京駅、日銀本店などの設計を手掛けた。 -
奈良公園の高台に建つホテルは
見事に古都の雰囲気に溶け込んでいる。
本館の外観は桃山御殿風の檜造り。 -
屋根には
特徴的な鴟尾が。 -
本館玄関を入ってすぐ
上を見上げると
約9メートルの高さの格天井の
吹き抜けが広がる。 -
-
-
客室までの廊下は
幅が広く、天井高もあり
ゆったりとしている。 -
一泊目は本館の部屋がとれた。
クラシカルな設え。 -
スティーム暖房は大正3年に導入されて以来、
今も健在。
エアコンと併用されている。 -
保守点検作業は毎日行う必要があり、
午前1時から5時の間にボイラーの運転を
停止し作業をしているとのこと。
午前6時ごろにはカンカンという
スティームハンマー音が聞こえてくる。 -
それぞれ木製のドア毎に
外部にはアルミサッシがつけられていて
二重サッシとなっているので
館内はとても暖かい。 -
水廻りは
リノベーションされている。
但し本館は小さめ。 -
荷物を置いて
ロビーへ向かう。 -
擬宝珠が普通は赤色かと思っていたが
ここの階段にあるのはベージュ色?
説明を聞いて納得した。
奈良の伝統工芸「赤膚焼」製で
これは奈良ホテルにしかないものだそうだ。
もともとは金属製だったものが
戦時中、供出したために代用品として
製作されたもの。
大塩正人釜の製作。 -
ホール近くにあるロビー 「桜の間」。
正面にある大時計は平成の天皇が即位された折に
記念に設置されたもので
両陛下もすぐ前のソファにお二人で座られて
15分毎になる時計の音色をお聞きになられたそうだ。
陛下がすわられたソファに腰かけて、写真撮影をした。
多分、説明を聞いた誰もが、そうやって写真を撮っているかも。 -
アインシュタイン博士が
大正11年滞在された際に
弾かれたピアノ。
脚部に鉄道省の動輪マークが。 -
戦時中は避難させていたが
その後、行方がわからなくなる。
宿泊された際に
ピアノを弾く博士の写真を
見つけ出し、そこからホテルの
ピアノの特定へ繋がっていった。
ここへ里帰りしたのは2009年のこと。 -
ロビーに掛けられている
上村松園 作
「花嫁」
戦後、進駐軍がここを使用する事が決まり
その前に、館内にある多くの絵画を
しかるべき場所に避難させたという。
そのお陰で、名画の数々が今に残っている。 -
バーとティーラウンジへの入口。
-
欄間にはめ込まれたガラスが
寺院を浮き彫りにしていて
きれい。 -
ティーラウンジ
-
「ザ・バー」
ここでウェルカムドリンクを
いただいた。 -
ティーラウンジを
取り囲んでいる回廊。 -
明治44年
乃木大将が宿泊された際
お手植えされたという
松が。 -
廊下には
ご宿泊された折の
皇室の方々の
写真パネルが並ぶ。 -
-
-
-
突き当たりには
ダイニングルームが。 -
メインダイニングルーム 三笠
-
内部の
折り上げ格天井。 -
1922年ドイツにて製造の
スタインウェイのグランドピアノ。
自動演奏装置もついていて
スタインウェイでは珍しいもの。 -
ホテルに宿泊された
外国人のお客様の為に
日本のお土産として鉄道省により
製作された団扇の原画。
川合玉堂 作 -
同
横山大観 作
レストランの壁に掛けられていて
すぐ近くに食事をされている
方もおられ
食事時間が終わった頃に
改めて見せていただいた。 -
-
館内ツアーの説明の中に
長崎ホテル(写真)が度々登場する。
奈良ホテルとの因縁があったようだ。
明治31年創業からわずか10年間で閉館となった
幻のホテルとされている。
設計はジョサイア・コンドル氏。
英国人の貿易商、トーマス・グラバーらの
出資で設立されたようだ。 -
写真パネルより
明治31年 長崎ホテル開業
明治37年 日露戦争開戦 外国人の宿泊客が減少したため
長崎ホテルの経営が悪化し 競売広告が新聞に載った。
明治40年 奈良ホテル 着工 設計は 辰野金吾氏
明治41年 辰野氏 長崎入りの記録あり
長崎ホテル 閉館
明治42年 奈良ホテル 開業
二つのホテルの関連を示すように時系列に出来事が並べられている。 -
なんの関連もないような二つのホテルだが
思いがけない物の発見から
両ホテルが結びついていく。 -
平成25年、ホテル内の一部改装工事の折
廃棄されるべく出てきた箱の中に
銀食器が納められていた。
その数、239点に及んだ。
中には鉄道省の管轄であったことを示す
Japanese Goverment Railways を意味する
JGR の刻印や
Nagasaki Hotel Limited 所有の食器である
ことを示すNHLの刻印が刻まれていた。 -
長崎ホテルは、当時長崎の外国人居留地にあった
極東一と言われた高級ホテルだったという。
閉館にあたって、Nagasaki Hotel Limited と
Nara Hotel のイニシャルが同じであることから
奈良ホテルが譲りうけたと思われる。
それぞれのホテルの設計者同士が
子弟関係にあったことも関係があるかもしれない。 -
すっかり錆ついていた
カトラリー類を
まず従業員が磨き
その後、プロの手に
委ねられた。 -
スプーンの他に最近まで使用されていた
ティーポットにも
NHL(NagasakiHotel Limited)の刻印が
残されていた。 -
綺麗になって
一式が
長崎に里帰りも果たした。 -
創業当時のレジスターブックに残る
宿泊客のほとんどは
外国人のようだ。
中に日本人のお客の名前も
あるが、
やはり英文字で記入されている。 -
-
-
鉄道省の
当時の路線図を示すポスター。
どなたかから寄贈されたようだが、
かなり珍しいらしい。 -
東京駅駅舎が
今は改修工事のあとは
三階建てとなっているが、
本来の三階建ての姿で
描かれている。 -
-
昭和10年
満州国 溥儀皇帝が宿泊される際
大倉陶園の食器が新調された。
当時ホテルの経営は鉄道省だったため
金縁には動輪のマークがみられる。 -
鉄道省のロゴマークである
「動輪」が側面に
刻まれている。 -
-
-
-
火除けのおまじないとされる
鴟尾瓦が
ホテルには14基あるそうだ。 -
-
数々の文化財を今も使いこなす為に
最新のホテル以上のメンテナンスを
していると思われるのに、
そんなことを感じさせないおもてなしの
仕方はとても心地よいものだった。 -
夕焼けが
高台にあるホテルの前庭から
よく見えた。 -
-
新館のエントランス。
-
本館客室。
-
本館玄関。
-
-
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この旅行記へのコメント (6)
-
- しにあの旅人さん 2021/04/29 15:10:52
- こんにちは
- kummingさんの新着ブログからきました。奈良ホテルの詳細は、こちらを読むようにとなっていました。
なるほど詳細です。
今書いている旅ブログで、参考に堀辰雄の「大和路」を読みました。このエッセイは1941年10月、奈良ホテルをベースに奈良を歩き回った作品なので、「奈良ホテルとはどんなもんじゃい」と思っていました。
すげー、堀辰雄はこんなホテルに長期滞在しながら書いたのか、と感心しました。
1941年10月というと、太平洋戦争直前ですから、外国人を含めて観光客も少なくて、部屋代も安かっただろう、などといらぬお節介でした。
豪華なだけではなく、すごい歴史があるホテルだったのですね。
調査旅行のような旅ばかりで、この種の超豪華ホテルには縁が、今後も多分ないと思います。これで泊まったことにいたします。
- mistralさん からの返信 2021/04/30 10:41:51
- Re: こんにちは
- しにあの旅人さん
こんにちは。
kumming さんの新着旅行記からの遠征!ありがとうございました。
私も早速訪問してきました。
おっしゃる通り、矢印でmistralの旅行記のご紹介をいただいてました。
当時を振り返りますと、館内ツアーに参加、その後もう一度物足りず写真を撮りに引き返したりしたようです。
読み返してみましたが、今の私が読むと、随分説明たらずで、
その後旅行記はだんだんくどくなってきたように思い、
このぐらいあっさりしていた方が良い、と反省もしました。
旅行記のグループ化の効用もわかりました。
当時はまだ飛鳥には行きつけず、
その後飛鳥の地に踏み込むようになって、段々歴史にも
興味を抱いてきたようです。
しにあさんは次なるターゲット?がすでにおありのご様子。
いつもながら文献からの考察を経て
現地訪問されるにあたり、訪問地ではどんなふうに取材を
進めるかまで組み立てをされ
その上での現場にての取材をされるわけですから
多分映画監督さんと同じような立場に立たれ
(監督は色々の下準備は全てスタッフがするのでしょうが)
だからこその映画化も、とお思いになるお気持ちが
良くわかるような気が致します。
mistral
- kummingさん からの返信 2021/04/30 16:28:27
- 横レス♪
- しにあさんにもこちらをご訪問頂けて良かったです♪
何しろ説明不足のわたしんち、mistral さんの詳細な説明&お写真で、自分の足らざるをカバーして頂く作戦、大成功^o^
横レスにて、失礼致しますm(_ _)m
-
- わんぱく大将さん 2016/01/11 00:55:51
- 歴史を感じますね
- mistralさん
また、歴史のあるホテルに泊られましたね。 建物もそうですが、中が博物館のようなのがいいです。 客室もオリジナルに近いのが又、いい。
暖房器具はここでも一緒です。 まあ、西洋版パラドールってとこですかね。
窓の枠に、さらに端にあるのはガラスを保護するものでしょうかね?
それと長崎のホテルのことは知りませんでした。 戦争もあったのでしょうが、スポンサーが国というのと一実業家の違いも、もしかしてあったのかも。
明日のこの時間は雨のサンチアゴの街をうろうろしてるかも。BCNも風がきついので、飛行機心配ですがね。
大将
- mistralさん からの返信 2016/01/12 20:32:59
- RE: 歴史を感じます
- 大将さん
今頃はサンティアゴ デ コンポステーラ?
パラドールでおくつろぎでしょうか?
1月の寒い時期に行かれたんですね〜
お出かけ前の慌ただしい時に
コメントをありがとうございました。
使われているガラス
古い物は、表面がなめらかでなく
歪んで見えたりするところが、大好きです。
> 窓の枠に、さらに端にあるのはガラスを保護するものでしょうかね?
> それと長崎のホテルのことは知りませんでした。 戦争もあったのでしょうが、スポンサーが国というのと一実業家の違いも、もしかしてあったのかも。
ガラスの四隅の黒いもの、
何でしょうね?強度を保つためにあるのでしょうか?
新しいものに変えずに、古いものを生かしきる精神の
現れなんでしょうね。
> 明日のこの時間は雨のサンチアゴの街をうろうろしてるかも。BCNも風がきついので、飛行機心配ですがね。
ガリシアは雨が多いと聞きました。
お風邪などひきませんように。
mistral
- わんぱく大将さん からの返信 2016/01/17 21:40:12
- RE: RE: 歴史を感じます
- > 大将さん
>
> 今頃はサンティアゴ デ コンポステーラ?
> パラドールでおくつろぎでしょうか?
> 1月の寒い時期に行かれたんですね〜
> お出かけ前の慌ただしい時に
> コメントをありがとうございました。
>
> 使われているガラス
> 古い物は、表面がなめらかでなく
> 歪んで見えたりするところが、大好きです。
>
> > 窓の枠に、さらに端にあるのはガラスを保護するものでしょうかね?
> > それと長崎のホテルのことは知りませんでした。 戦争もあったのでしょうが、スポンサーが国というのと一実業家の違いも、もしかしてあったのかも。
>
> ガラスの四隅の黒いもの、
> 何でしょうね?強度を保つためにあるのでしょうか?
> 新しいものに変えずに、古いものを生かしきる精神の
> 現れなんでしょうね。
>
> > 明日のこの時間は雨のサンチアゴの街をうろうろしてるかも。BCNも風がきついので、飛行機心配ですがね。
>
> ガリシアは雨が多いと聞きました。
> お風邪などひきませんように。
>
> mistral
mistralさん
日頃の行いがいいもので、下痢と嘔吐にやられ。 いまだにお粥です。
大将
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