2013/07/14 - 2013/07/14
44位(同エリア176件中)
キートンさん
2010年のグランドサークルから3年ぶりのアメリカ国立公園めぐり。
旅の後半の起点となるオレゴン州ポートランド。
「コロンビア渓谷ツアー」を終了して、アムトラックに乗車するまでポートランドの街を少し散策し、その後いよいよグレイシャー国立公園に向けてアメリカ大陸横断列車のひとつ「エンパイアビルダー号」に乗車します。
- 旅行の満足度
- 3.5
- 観光
- 3.5
- 交通
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 30万円 - 50万円
- 交通手段
- 鉄道 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
「コロンビア渓谷ツアー」の帰着点「ペダル・バイク・ツアーズ」からダウンタウン北部の「オールドタウン」までは歩いてすぐ。
とりあえず昼食をとろうと思っていると、「サブウェイ」の「$4LUNCH」を発見。
このエコノミー度に迷わずここでランチすることにした。 -
オールドタウンでは見ておきたいところがあった。
「オレゴン・ニッケイ・レガシー・センター」。 -
入場したのが14:50頃だったが、閉館時間が15:00だった。
しかし店員の配慮で15:15まで見学をOKしてくれた。
入場無料で、こじんまりとしているので「博物館」というより「資料館」という感じ。
「Nikkei」とは「日系」のことで、オレゴン州の日系移民の歴史と文化を伝える資料館なのである。
ただ、「地球の歩き方」にも載ってなく日本人にはあまり知られていないせいか、日本語のパンフや解説は一切ない。
「日系」の資料館なのに日本語解説がないなんてあんまりだ・・・ -
ここで日本語の解説が入手できなかったので、以下はインターネットで調べた内容が主となる。
ポートランドはオレゴン州の北西部に位置し、その東南東80kmにオレゴン州最高峰のマウント・フッド(標高3425m)がある。
これは北部に接するワシントン州から見たジオラマで、マウント・フッドの右側にポートランドが位置する。
オレゴン州とワシントン州の境界に沿って「コロンビア川」が流れていて、先ほどツアーで行って来たコロンビア渓谷はそのコロンビア川によって浸食された渓谷なのである。 -
初期(明治時代初期)の日本からアメリカへの移民は、主にハワイとアメリカ西海岸のシアトル(ワシントン州)、ポートランド(オレゴン州)、サンフランシスコ(カリフォルニア州)に渡った。
オレゴン州に初めて日本人が移住したのは、日本の農村地帯が人口増加と貧困にあえいでいた明治時代、アメリカ西海岸がゴールドラッシュに沸いていた時代の1880年代。
中国人の移住を米国政府が禁止したことにより、低賃金の外国人労働者に対する需要が高まったことを受け、何千人もの日本人がオレゴン州に渡り、野菜や果物を栽培する農業に従事し、鉄道工事や伐採道路工事、魚の缶詰加工や製材などの仕事に就くようになったという。 -
イチゴ畑で働く日系人たちの写真。
マウント・フッドが見える「フッドリバー」という場所。
「オレゴンから愛(From Oregon with Love)」のオープニングにもこのマウント・フッドが登場する。
日系人の間では「オレゴン富士」と呼ばれる。
「オレゴンから愛」で叔母夫婦(古谷一行と木の実ナナ)が住んでいたとされるのはフッドリバーから南の「セントラルオレゴン」の「マドラス」という町だったようだ。 -
日系移民には乾物や缶詰など多くの食料品が日本から送られていたようだ。
-
「もし、あなたの家を立ち退くように強いられて、自分で運べるものだけ持って行けるとしたら、あなたは何を持っていきますか?」(トランクの上にあるメッセージより)
1941年、真珠湾攻撃により反日感情が高まり、翌年西海岸の日系人は強制収容所送りとなる。
土地や車などの資産を二束三文で売り払い、売れないものは置き去るしかなかった。
トランクに詰め込めるだけが持って行ける全てだったようだ。 -
市民権が与えられていない日系移民だけでなく、アメリカ国籍を持つ移民の子孫までもが強制収容所送りとなったようだ。
全体の約2/3はアメリカで生まれ育った二世・三世だったようだ。
「私はアメリカ人だ!」という主張も通じない
強制収容所の建設工事が追いつかない状況で、収容しきれない日系人は一時的に「アセンブリーセンター」という仮の収容所に抑留された。
「ポートランド・アセンブリーセンター」もそのひとつ。 -
「アセンブリーセンター」はカリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州に16か所設けられた。
中でもサンタ・アニタは競馬場の悪臭立ち込める馬舎という劣悪な環境の仮収容所だったようだ。
「ポートランド・アセンブリーセンター」は、3500人以上の抑留者が4カ月間、最小限の仮設住宅で暮らすことになったようだ。 -
ベニヤ板の粗末な仮設住宅で仕切りも少なくプライバシーはあまりなかったようだ。
ブヨなどの害虫に悩まされたようで、ハエ取り紙がぶら下がっている。
どれくらいの期間ここにいて次はどこに送られるのかは知らされなかったようだ。 -
「ポートランド・アセンブリーセンター」は小さな町のようだったという。
軍隊は6人の日系アメリカ人を責任者に任命し、20に分割された部隊を調整させた。
抑留者には様々な仕事が与えられたようだ。
賃金水準は、非熟練労働者は8ドル/月、熟練労働者は12ドル/月、プロフェッショナルは16ドル/月だったようだ。
これらの写真を見る限りは悲愴感は感じられない。 -
1942年2月から日系移民は市民権を得た日系アメリカ人も含め約12万人が立ち退き、アメリカ全土の11か所に設けられた収容所に強制収容された。
強制収容所の多くは人里離れた内陸部に設けられた。
強制収容所内には、急ごしらえの粗末な住居や各種工場、農場、病院、商店、学校、教会、劇場などが作られ、自由に収容所外部に出ることはできなかった。
11か所の強制収容所のうち、オレゴン州に住んでいた日系人の多くはアイダホ州のミニドカ収容所に送られたようだ。
バラックの住居は長さ約100フィート×幅20フィート(30m×6m)だった。
バラックは4〜5家族が入れるように分割されていた。
この模型からは6部屋に分かれているようだが・・・ -
ミニドカ収容所の住居が再現されている。
テーブルや椅子はいかにも間に合わせで造った感じだが、絵が描かれた衝立が質素感を和らげている -
英語の解説によると部屋は約20×25フィート(6m×7.5m)。
家族の構成によって、部屋のサイズは異なっていた。
各部屋には薪もしくは石炭ストーブと家族人数分の簡易ベッドがあり、天井からコードで電球が下がっていた。
収容された者は自分たちで廃材を使って家具を組み立てたりしたようだ。
強制収容により、多くの財産を失い物資が不足していたようだが、工夫して必要なものを造る時間はいくらでもあったようだ。 -
別室では、ポートランド在住のアーティスト、カワノ・ユキヨによる「BLACK RAIN」の作品が展示されていた。
カワノ・ユキヨは広島出身の第三世代の被爆者のようで、「黒い雨」=原爆投下後に降る放射性降下物を降らせた「原子爆弾」を表現しているようだ。 -
そろばんや包丁など日本特有の小道具の展示もある。
終戦を迎えた1945年には収容所が次々と閉鎖され、収容者は自由の身となったが、社会復帰は困難を極め、そのほとんどが収容前に住んでいた土地ではなく、別の土地へ引っ越したり、日本に戻ったりしたという。
その後、日系アメリカ人とその支持者らは米国政府に働きかけ、差別的な法律の撤廃に成功し、土地の所有権を得、米国市民権を取得する許可を得る。
1988年にはレーガン大統領が「市民の自由法」に署名し、人種差別に基づく日系人強制収容の事実の謝罪と補償をおこなうことを決定した。 -
「オレゴン・ニッケイ・レガシー・センター」を出る時、店員が「ジャパニーズ・アメリカン・ヒストリカル・プラザ」が川沿いにあることを教えてくれた。
昨日に訪れたところだが、ホテルに戻る途中になるのでそこを通ることにした。 -
昨日今日とマックス・ライトレイルで渡った「スティール橋」を、今度は歩いて渡る。
-
ダブルデッキの上下ともに歩道があるので便利だ。
ポートランドは自転車道の整備が進んでいて、自転車通勤をする人が全米で最も多い都市だという。
日本では見かけることのない変わり種の自転車もよく見かける。 -
ホテルで荷物をピックアップして、マックス・ライトレイルでアムトラック・ユニオン駅にやって来た。
ここからアメリカ大陸横断列車のひとつ「エンパイアビルダー号」に乗車する。 -
今夜は贅沢に個室寝台である。
ポートランドからイースト・グレイシャーまで27,400円だった。 -
向かい合わせの座席だが、ひとりじめである。
列車は定刻通り16:45に出発。 -
まずはウエルカム・シャンパンのサービス。
なんだかリッチな気分。 -
アメリカ合衆国の鉄道の営業距離は225,500kmで世界最長である。
ただし、国土が広いからという理由もあり、日本やヨーロッパの方が密度としてはずっと高い。
そして旅客輸送よりも貨物輸送の割合が圧倒的に高いのも特徴である。
移動距離が長い都市間は飛行機の利用が多いことと車社会であることから、旅客としての需要が少ないのだろう。
貨物は今でも陸上輸送の主役となっているが、旅客に関しては、ちょっと贅沢にのんびり車窓でも楽しみながらというイメージが強いようだ。 -
今日の夕食と明日の朝食も付いている。
ただ、スポーケンという駅でシアトル発のエンパイアビルダー号と連結するまでは食堂車がないので、このような弁当となっている。
ボリュームはそれほどでもないが、飛行機の機内食よりは美味しい。 -
「エンパイアビルダー号」のルートマップ。
毎日上下1便づつ運行している。
シカゴ〜シアトルまたはポートランド間を2泊3日で走る。
スポーケンから西側はシアトル発着とポートランド発着に分かれている。
食堂車はシアトル便に連結されているので、ポートランド便にはないのである。
今回はこの大陸横断列車の西側約1/3程に乗車する。 -
「エンパイアビルダー号」の時刻表。
今回乗車するのは下の方の区間。
往路はポートランド発だが、復路はシアトル着にした。 -
ポートランドを出発してすぐに列車はコロンビア川を渡り、その右岸側をさかのぼって行く。
コロンビア川の右岸側(北側)はワシントン州で、対岸はオレゴン州である。
対岸には今日「ペダル・バイク・ツアーズ」のツアーで訪れた「ヒストリック・ハイウェイ」が走っている。
あのような絶壁に大小の滝がかかっているのだろう。 -
コロンビア川はカナダのブリティッシュコロンビア州のカナディアンロッキーに源を発する大きな川である。
川沿いの景色は色々な表情が見られて車窓が楽しめる。 -
カスケードロックスに架かる「ブリッジ・オブ・ゴッズ(神々の橋)」。
この名は、かつてこのあたりで暮らしていた先住民の伝説に由来しているという。 -
さすがに大陸を流れる大河は日本の川の規模とは違う。
一見湖のように広く、小島が浮かんでいたりする。 -
対岸にフッドリバーの街が見える頃、その向こうに「オレゴン富士」こと「マウント・フッド」が姿を見せた。
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フッドリバーを過ぎると徐々に緑が少なくなり、乾燥地帯のような岩肌になってきた。
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「BNSF」はバーリントン・ノーザン・サンタフェ鉄道の略称で、北米における貨物輸送シェア1位の鉄道会社である。
その前身のひとつである「グレート・ノーザン鉄道」がこの路線を建設した。
グレート・ノーザン鉄道はかつて日本郵船と提携してシアトルから横浜・香港へ定期航路を就航したこともある。 -
「ジョンデイダム」
堤体は高くないようだが、放流口から凄い水しぶきが上がっている。
船舶の通過のための航路水位調節機能も有しているようだ。 -
スケール感がわかりにくいが、右下に白いトラックと思われる画像から判断すると、かなりの高低差があるように思われる。
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風が強い地域なのか、風力発電の風車がよく見られる。
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20:00前、まだ明るいがまた緑の多い風景となった。
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ベッドメイクは乗務員にしてもらった。
昨日までは暗くなるまで外を歩き回っていたが、今日は16:30頃にこの列車に乗ってからのんびりしっぱなし。
車窓を眺めながら贅沢な時間を過ごしている。 -
いよいよ日没が近付いてきた。
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寝台列車には共同のシャワー室がある。
空いていれば浴びようと行ってみたら、空いていたので使用した。
列車内のシャワー室なので広くはない。 -
バスタオルは10枚程度置いてあった。
使用後は赤いランドリーバッグへ。
これで気分もサッパリ。 -
どっぷりと日が暮れてきた。
明日、目が覚める頃にはモンタナ州に入っているはず。
今日は早いがそろそろ眠りに就くとしようか。
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