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さて、エジンバラ市内のことを、少し。<br /><br />スコットランドといえばバグパイプである。<br /><br />もともとは、ユーラシア大陸に広く分布する楽器だったらしい。<br />それが、辺境ともいうべきスコットランドに残っているというのは、<br /><br />「文明の原初は僻地に残る」<br /><br />の法則であろう。<br />(⇒今勝手に作った法則なので、グーグルなどで検証しないように)<br />格好からして「動物の胃袋をそのまま使ってます」という愛想のなさだもんね。<br /><br />映画「史上最大の作戦」の中で、ノルマンディーに上陸したスコットランド軍が、バグパイプを先頭に進撃するシーンがある。<br />後ろに続く歩兵は、ヘルメットをかぶっている。<br />が、戦闘に立つバグパイプの奏者は、いわば丸腰なのである。<br />ヘルメットもかぶらず、キルトを捲き、堂々と足踏みをし、進むのである。<br /><br />子供のころ、その映像を見た鯨は、驚き怪しんだ。<br />なぜ銃の前を、楽器が歩いていくのか。<br />で、そのイメージを持ったまま、オトナになった。<br />であるからして、鯨にとってのバグパイプは<br /><br />「銃弾飛び交う最前線、命を張って部隊を先導する」<br /><br />男どもの楽器なのである。<br />

三日続けてレストランで同じものを頼むのはいいがなものか。

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2009/05/10 - 2009/05/11

185位(同エリア845件中)

鯨の味噌汁

鯨の味噌汁さん

さて、エジンバラ市内のことを、少し。

スコットランドといえばバグパイプである。

もともとは、ユーラシア大陸に広く分布する楽器だったらしい。
それが、辺境ともいうべきスコットランドに残っているというのは、

「文明の原初は僻地に残る」

の法則であろう。
(⇒今勝手に作った法則なので、グーグルなどで検証しないように)
格好からして「動物の胃袋をそのまま使ってます」という愛想のなさだもんね。

映画「史上最大の作戦」の中で、ノルマンディーに上陸したスコットランド軍が、バグパイプを先頭に進撃するシーンがある。
後ろに続く歩兵は、ヘルメットをかぶっている。
が、戦闘に立つバグパイプの奏者は、いわば丸腰なのである。
ヘルメットもかぶらず、キルトを捲き、堂々と足踏みをし、進むのである。

子供のころ、その映像を見た鯨は、驚き怪しんだ。
なぜ銃の前を、楽器が歩いていくのか。
で、そのイメージを持ったまま、オトナになった。
であるからして、鯨にとってのバグパイプは

「銃弾飛び交う最前線、命を張って部隊を先導する」

男どもの楽器なのである。

  • で。<br />スコットランドの首都・エジンバラにたどりつくと。<br />駅のBGMは全部バグパイプ。<br />信号もバグパイプ。<br />バスのクラクションもバグパイプ。<br />パトカーのサイレンもバグパイプ。<br />ベビーカーの赤ん坊ですら、バグパイプ風に泣いているのであった。<br /><br />・・・全部ウソですが。<br /><br />とはいえ、町のあちこちに、いわば「辻バグパイプ」の方々がおり、ぴーひゃらぴーひゃらら、と演奏されているのである。<br />エジンバラ城に登ってゆく、ゆるい坂道を、夕方、配偶者と二人、歩いていると。<br />高校生らしい二人組が、バグパイプの練習をしていた。<br />キルトを腰に巻き、格好だけは一人前だが、まだまだ初心者らしく、音は、てんでなっちゃいないのであった。<br />それでも、ふたりは、顔を真っ赤にして演奏する。<br />いや、演奏、というよりは、「とりあえず音は出しています、ヘタクソですみません」というレベルである。<br /><br />しばらく見ていると、パンク風ファッションの若者の一団が通りかかった。やはり高校生くらいだ。<br />なかの一人が、初心者二人組に声をかけた。<br /><br />「ヘタクソだなぁ。ちょっと貸してみな」<br /><br />で、交代してバグパイプを吹く。<br />さきほどまでの濁った音色ではなく、キーンととがった、鋭い音が響く。<br />なるほど、弘法は筆を選ばずなのである。<br />バグパイプを取り上げられた方は、うらやましそうに演奏者を見ている。<br />観光客もたちまちのうちに参集し、やくやの拍手なのである。<br /><br />演奏が終わると、ほれ、という感じで、元の持ち主に、バグパイプは返された。<br />で、二人はこんな会話を交わしたらしい。<br /><br />「きみ、どこの高校?」<br /><br />「エジンバラ西高校のバグパイプ部だよ」<br /><br />「ああ、やっぱりなぁ。音が違うわ」<br /><br />バグパイプは、胃袋の部分に空気を送り込む。<br />演奏の間、常にそれを続けなくてはいけないので、肺活量の勝負、という側面もあるらしい。<br /><br />初心者二人組は、セーネンたちが去った後も、顔を真っ赤にし、路上での演奏を続けている。<br />スコットランドの伝統は、彼らによって、間違いなく受け継がれていくのである。<br /><br />ガンバレよ、と鯨は1ポンドを投げ入れたのであった。<br />

    で。
    スコットランドの首都・エジンバラにたどりつくと。
    駅のBGMは全部バグパイプ。
    信号もバグパイプ。
    バスのクラクションもバグパイプ。
    パトカーのサイレンもバグパイプ。
    ベビーカーの赤ん坊ですら、バグパイプ風に泣いているのであった。

    ・・・全部ウソですが。

    とはいえ、町のあちこちに、いわば「辻バグパイプ」の方々がおり、ぴーひゃらぴーひゃらら、と演奏されているのである。
    エジンバラ城に登ってゆく、ゆるい坂道を、夕方、配偶者と二人、歩いていると。
    高校生らしい二人組が、バグパイプの練習をしていた。
    キルトを腰に巻き、格好だけは一人前だが、まだまだ初心者らしく、音は、てんでなっちゃいないのであった。
    それでも、ふたりは、顔を真っ赤にして演奏する。
    いや、演奏、というよりは、「とりあえず音は出しています、ヘタクソですみません」というレベルである。

    しばらく見ていると、パンク風ファッションの若者の一団が通りかかった。やはり高校生くらいだ。
    なかの一人が、初心者二人組に声をかけた。

    「ヘタクソだなぁ。ちょっと貸してみな」

    で、交代してバグパイプを吹く。
    さきほどまでの濁った音色ではなく、キーンととがった、鋭い音が響く。
    なるほど、弘法は筆を選ばずなのである。
    バグパイプを取り上げられた方は、うらやましそうに演奏者を見ている。
    観光客もたちまちのうちに参集し、やくやの拍手なのである。

    演奏が終わると、ほれ、という感じで、元の持ち主に、バグパイプは返された。
    で、二人はこんな会話を交わしたらしい。

    「きみ、どこの高校?」

    「エジンバラ西高校のバグパイプ部だよ」

    「ああ、やっぱりなぁ。音が違うわ」

    バグパイプは、胃袋の部分に空気を送り込む。
    演奏の間、常にそれを続けなくてはいけないので、肺活量の勝負、という側面もあるらしい。

    初心者二人組は、セーネンたちが去った後も、顔を真っ赤にし、路上での演奏を続けている。
    スコットランドの伝統は、彼らによって、間違いなく受け継がれていくのである。

    ガンバレよ、と鯨は1ポンドを投げ入れたのであった。

  • エジンバラには、結局三泊の滞在であった。<br />夕方に到着し。<br />ネス湖ツアーに一日。<br />街歩きに一日、である。<br /><br />街はまるごと、世界遺産に指定されている。<br />街のどこから見ても、エジンバラ城が見える。<br />城の上には、大英帝国と、スコットランド国旗が、まさに「ヘンポン」と翻っている。<br /><br />で、夕食は、三日間、同じレストランに通った。<br />芸がない、といえば芸がない。<br />三日続けて、キャバクラで同じおねーちゃんを指名するようなものである。<br />または、三日続けて、パチンコ屋さんで同じ台に、座るようなものである。<br />せっかく来たのであるから、いろんな店にいくべきである、というのもまた、ひとつの見解であろう。<br /><br />宿の近くに、飲食店街が集まった「ローズ・ストリート」という通りがある。<br />その中の一軒に、海鮮レストランを見つけてしまった。<br />ここであったが100年目、というヤツである。<br /><br />初日、カキ、サーモン。<br />二日目、カキ、ホタテ。<br />三日目、カキ、ムール貝、ホタテ。<br /><br />なんのことはない、カキを食いにエジンバラに来たようなものであった。<br />メニューは英語であるから、辞書とつき合わせをすれば大丈夫である。<br />

    エジンバラには、結局三泊の滞在であった。
    夕方に到着し。
    ネス湖ツアーに一日。
    街歩きに一日、である。

    街はまるごと、世界遺産に指定されている。
    街のどこから見ても、エジンバラ城が見える。
    城の上には、大英帝国と、スコットランド国旗が、まさに「ヘンポン」と翻っている。

    で、夕食は、三日間、同じレストランに通った。
    芸がない、といえば芸がない。
    三日続けて、キャバクラで同じおねーちゃんを指名するようなものである。
    または、三日続けて、パチンコ屋さんで同じ台に、座るようなものである。
    せっかく来たのであるから、いろんな店にいくべきである、というのもまた、ひとつの見解であろう。

    宿の近くに、飲食店街が集まった「ローズ・ストリート」という通りがある。
    その中の一軒に、海鮮レストランを見つけてしまった。
    ここであったが100年目、というヤツである。

    初日、カキ、サーモン。
    二日目、カキ、ホタテ。
    三日目、カキ、ムール貝、ホタテ。

    なんのことはない、カキを食いにエジンバラに来たようなものであった。
    メニューは英語であるから、辞書とつき合わせをすれば大丈夫である。

  • カキは生、チーズ焼き、半生、とそろっている。<br />鯨は生ガキを食するのが、ジンセーの幸せの33%くらいを占めている、とゆってもいいくらい、カキが大好きなのである。<br />一ダースのカキをじゅるじゅると食し、安い白ワインを飲み、三日とも幸福なのであった。<br /><br />さすがに三日目に店に入っていくと、<br /><br />「この東洋人、また来たよ」<br /><br />といった顔で迎えられ、生カキとワインが、サッと出てきたのであった。<br />あとでガイドブックを見ていると(最初に見ろよ)、その店はエジンバラでもメジャーな海鮮料理の店だったらしい。<br /><br />イギリスとゆうと、魚料理はフィッシュ&チップスの印象が強いが。<br />北海に面した地方では、海鮮料理もまた、名物なのだ。<br />鯨も歩けば海鮮の名店に当たる、というヤツなのである。<br /><br />

    カキは生、チーズ焼き、半生、とそろっている。
    鯨は生ガキを食するのが、ジンセーの幸せの33%くらいを占めている、とゆってもいいくらい、カキが大好きなのである。
    一ダースのカキをじゅるじゅると食し、安い白ワインを飲み、三日とも幸福なのであった。

    さすがに三日目に店に入っていくと、

    「この東洋人、また来たよ」

    といった顔で迎えられ、生カキとワインが、サッと出てきたのであった。
    あとでガイドブックを見ていると(最初に見ろよ)、その店はエジンバラでもメジャーな海鮮料理の店だったらしい。

    イギリスとゆうと、魚料理はフィッシュ&チップスの印象が強いが。
    北海に面した地方では、海鮮料理もまた、名物なのだ。
    鯨も歩けば海鮮の名店に当たる、というヤツなのである。

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