2009/05/12 - 2009/05/12
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鯨の味噌汁さん
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ソールズベリーを歩いてみる。
こじんまりとして美しい。
街の真ん中を小川が流れ、小粋なホテルも何軒か見かけた。
ああ、この町に泊っても良かったな、と思う。
しかし、きょうはロンドンに荷物を置いてきている。
あすは、日本に戻らなくてはいけない。
駅について時刻表を調べると、北に40分ほど移動するとバースがある。
で、バース発ロンドン行きの最終列車は、午後10時10分。
このままロンドンに戻ってもいいけど。
ついでだから、寄っていこうか、という話になる。
で、やってきた列車に飛び乗る。
通勤通学の時間帯なので、車内は高校生やらサラリーマンで込み合っていた。
途中、いかにもローカル線、という、のんびりした景色の中を列車は走る。
夕方が近い。鉄路の横に、小さな川が、時に近づき、時に離れて続く。
日本のように、コンクリートで固められた流れではない。
ゆっくり流れ、ときどき、ボートが浮かんでいる。
川ぞいの家には、船着場らしいものもある。
いいなぁ。イギリス人って、こんな暮らしをしているんだな、と思う。
-
午後7時すぎ。バースに到着。
世界遺産の街。ゆっくり歩いて、旧市街を一周する。
そもそもbathの語源になった町であるから、ローマの温泉跡、などというものがあり、博物館になっている。
オンセン、と聞くと、鯨はその場でおパンツを脱いでしまいそうになるマニアなのであるが。
残念、現在は入浴はできないのである。
そもそも、その時間についたのでは、博物館だって閉まっているんだけどね。
そのうち、陽が陰ってきた。
午後8時。路地にレストランを見つけ、潜り込む。
入口は小さいが、中に入ると地元のお客さんでいっぱいである。
平日の午後8時だ。
観光客のくる時間ではない。
小柄なウェイターに「席はあるか」と尋ねると、
「席はあるけど、今夜はベーリービズィーだから、料理は遅くなるぞ。それでもいいか」
とゆわれる。 -
最終列車まで、2時間ある。問題ないはずである。
で、腰を落ちつけ、最後のディナーを頼む。
配偶者はビーフストロガノフ。鯨は赤ワインのビーフステーキ。
注文したところで、お互いのモチガネを確認する。
「私、5ポンドしかないよ」
と、配偶者がゆう。
鯨の財布には、2ポンド。
二人合計、7ポンド。
「カード使えるかなぁ」
とゆうと、
「確認してきてよ。こんな時間じゃ、町のキャッシュ・ディスペンサーも使えるかどうかわからないし」
もっともである。
で、近くを通りかかった、店主らしいおかみさんに聞く。
「クレジットカード、OK?」
すると、彼女は残念そうに首を振って、
「ノオ。ユー・キャン・ウオッシュ・ディッシュ」
という。
ええっと、とアタマの中で和訳する。
「いいえ。あなたは皿洗いをすることができます」
ひょえーーーーーーーーーーー。
どっひぇーーーーーーーーーー。
すると、おばちゃんは再びニッコリして、
「イッツ・ア・ジョーク」
モチロン、クレカ支払OKなのであった。
おばちゃん、客をイジるんじゃないっっっっ。
最初の宣言通り、なかなかお皿が出てこなかった。
まぁ、最後のディナーだ。のんびりいこう。
「今回は、中身のこゆい、旅だったねぇ」
と、配偶者に言う。
「そうだね。イベントがあると、やっぱり、いいわね」
「イベント?」
「競馬とか、サッカーとかね。やっぱり、見物だけじゃなくて、何かに参加しないと」
「うん」
鯨と配偶者は、海外旅行に出るようになって、3年たつ。
いつも、四苦八苦の個人旅行だ。
来年は、どこに行こうか。
子供たちは、元気にしているかな。
そんなことを、ぽつぽつと、話した。
そうこうしているうちに、9時半を回ってしまう。
先に入った団体さんの料理が運ばれている。
次の次、くらいかなぁ。
「うーん。ロンドンに戻れないか」
「・・・いいじゃない」
配偶者は、ワインをちびちび飲みながら、のんびりとゆう。
「ダメなら、ここに泊まりましょう。あすの朝、帰ればいいわ」
「それもそうか」
いったん旅に出てしまえば、予定どおりにいかないことがあって当たり前なのである。
英語もロクにできないし、クルマの運転ヘタだし、道に迷うし。
むしろ、だから面白いし、二人して、他愛ないけど、共通の思い出が作れる。
そう思うことにする。
けっきょく、最後の料理が出てきたのが、9時45分。
ふたりは「早食い競走」もかくや、というイキオイで、料理を流しこみ。
満腹のオナカをゆすって、バースの駅に向かったのだった。
英国最後の夜は、レストランのおばちゃんにイジられ、われわれの旅は終わったのである。
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