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イングランドとスコットランドの国境には、両国の国旗が、国道の両側に立っていた。<br />エジンバラまで走り、3日間で約1200キロ走ったクルマを、奇跡的に無傷で返却。<br /><br />で、同時に、「ネス湖バスツアー」を予約してしまう。ひとり35ポンドである。<br />個人旅行を旨とする鯨が、今回なにゆえ、節を屈して、ツアーに参加したのか、というと。<br />3日間で1200キロ、初めての国を運転したので、クタクタになってしまったのである。<br /><br />配偶者によると、ベッドの中でも、カタコト英語でうなされていたらしい。<br />われなが、なんていじらしい男であろうか。<br /><br />であるから、<br />「体制に迎合し、ツアーに参加した」<br />などと、全共闘みたいなことを、鯨にゆってはいけない。<br />ムチャはしてもいいが、無理はしない、というのが、鯨の旅のモットーなのである。<br /><br />ちなみに、オネダンは一人35ポンド、クルーズ大は別で12ポンド。<br />うむむ。おいしい夕食一回分、という感じのオネダンである。<br />これは、エジンバラ駅のインフォメーションで申し込んだのであるが。<br />フツーのホテルで頼めば、前日でも手配は可能だと思われる。<br />エジンバラからのネス湖ツアーというのは、毎日出ているからね。<br /><br />

ネス湖バスツアーに参加してみる

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2009/05/09 - 2009/05/09

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鯨の味噌汁

鯨の味噌汁さん

イングランドとスコットランドの国境には、両国の国旗が、国道の両側に立っていた。
エジンバラまで走り、3日間で約1200キロ走ったクルマを、奇跡的に無傷で返却。

で、同時に、「ネス湖バスツアー」を予約してしまう。ひとり35ポンドである。
個人旅行を旨とする鯨が、今回なにゆえ、節を屈して、ツアーに参加したのか、というと。
3日間で1200キロ、初めての国を運転したので、クタクタになってしまったのである。

配偶者によると、ベッドの中でも、カタコト英語でうなされていたらしい。
われなが、なんていじらしい男であろうか。

であるから、
「体制に迎合し、ツアーに参加した」
などと、全共闘みたいなことを、鯨にゆってはいけない。
ムチャはしてもいいが、無理はしない、というのが、鯨の旅のモットーなのである。

ちなみに、オネダンは一人35ポンド、クルーズ大は別で12ポンド。
うむむ。おいしい夕食一回分、という感じのオネダンである。
これは、エジンバラ駅のインフォメーションで申し込んだのであるが。
フツーのホテルで頼めば、前日でも手配は可能だと思われる。
エジンバラからのネス湖ツアーというのは、毎日出ているからね。

同行者
カップル・夫婦
交通手段
観光バス
航空会社
ANA
  • さてさて。<br />どないなもんかいな、と参加してみた、バスツアーであるが。<br />これが、なかなか、よろしかった。<br />みな個人参加らしく、総勢40人ほどの「即席団体」である。<br />内訳は、ヨーロッパ系40%、インド系50%、東アジア系10%。<br />日本人は鯨たちだけである。<br /><br />一見して、インド人・中国人が多い。<br />彼らが遠いアジアから来ているのか、それともロンドンから休暇で来ているのかはわからない。<br /><br />両国とも、かつての「帝国主義・インテリヤクザ・ほとんど極道イギリス組」に、ヒドイ目にあわされている。<br />インドは植民地にされちまったし、中国に至っては言いがかりをつけられ、戦争に引っ張り込まれ、コテンパンにやられた上に香港を取られてしまった。<br />ゴロツキもかくはあらんや。<br /><br />おそらくたぶん。<br />当時のアジアにおいて「極道イギリス組」の評判は最悪だったであろう。<br />どの国も、<br />「あの国と付き合うと、身ぐるみはがされるわよ。コワイのよ。ちかづいちゃダメよ」<br />くらいに、思っていたはずである。<br /><br />が、それから幾星霜。<br />インド・中国は世界の大国に育ち、オカネをたくさん持って、イギリスに観光旅行にやってきているのだから、国力、なんちゅーのは、つくづく分からんもんなのである。<br /><br />さて。<br />ネス湖に入る前、氷河跡の山塊ルートは、まこと、柄の大きい景色である。<br /><br />スコットランドの北側は、「ハイランド」と呼ばれ、荒々しい自然の残る地なのである。<br />でもって、映画にもなった「ロブ・ロイ」の故郷でもある。<br />さらに、「ハリー・ポッター」に出てくる、蒸気機関車のロケ地(ウェストハイランド鉄道)もある。<br />

    さてさて。
    どないなもんかいな、と参加してみた、バスツアーであるが。
    これが、なかなか、よろしかった。
    みな個人参加らしく、総勢40人ほどの「即席団体」である。
    内訳は、ヨーロッパ系40%、インド系50%、東アジア系10%。
    日本人は鯨たちだけである。

    一見して、インド人・中国人が多い。
    彼らが遠いアジアから来ているのか、それともロンドンから休暇で来ているのかはわからない。

    両国とも、かつての「帝国主義・インテリヤクザ・ほとんど極道イギリス組」に、ヒドイ目にあわされている。
    インドは植民地にされちまったし、中国に至っては言いがかりをつけられ、戦争に引っ張り込まれ、コテンパンにやられた上に香港を取られてしまった。
    ゴロツキもかくはあらんや。

    おそらくたぶん。
    当時のアジアにおいて「極道イギリス組」の評判は最悪だったであろう。
    どの国も、
    「あの国と付き合うと、身ぐるみはがされるわよ。コワイのよ。ちかづいちゃダメよ」
    くらいに、思っていたはずである。

    が、それから幾星霜。
    インド・中国は世界の大国に育ち、オカネをたくさん持って、イギリスに観光旅行にやってきているのだから、国力、なんちゅーのは、つくづく分からんもんなのである。

    さて。
    ネス湖に入る前、氷河跡の山塊ルートは、まこと、柄の大きい景色である。

    スコットランドの北側は、「ハイランド」と呼ばれ、荒々しい自然の残る地なのである。
    でもって、映画にもなった「ロブ・ロイ」の故郷でもある。
    さらに、「ハリー・ポッター」に出てくる、蒸気機関車のロケ地(ウェストハイランド鉄道)もある。

  • が、無知にして蒙昧たるわれわれ夫婦は、当然のように、その両方とも、見ていない・読んでいない・知らない・のである。<br />恰幅のよい、歌うように英語を話す中年男性のガイド氏が、<br /><br />「さぁ、これからハリー・ポッターの映画に出てくる蒸気機関車の横をとおるぜ。<br />みんな注目してくれ、右側の対岸だ」<br /><br />(多分そんなコトを)とゆうと、みんな一斉にバスの右側にカメラを向ける。<br />ワシらもやんないと悪いかなぁ、と思いつつ、配偶者を見る。<br /><br />が、こやつは、どこでも同じなのであった。<br />とりあえずは、熟睡しているのてある。<br />つねにもがもな、なぎさこぐ。<br />乗物に乗ると、5分で寝てしまうのである。<br /><br />いちおう、観光バスなんだから、まわりの景色くらいは、見てほしいものであるが。<br />彼女の脳下垂体にとっては、埼京線もこのバスも、変わらぬものらしい。<br />

    が、無知にして蒙昧たるわれわれ夫婦は、当然のように、その両方とも、見ていない・読んでいない・知らない・のである。
    恰幅のよい、歌うように英語を話す中年男性のガイド氏が、

    「さぁ、これからハリー・ポッターの映画に出てくる蒸気機関車の横をとおるぜ。
    みんな注目してくれ、右側の対岸だ」

    (多分そんなコトを)とゆうと、みんな一斉にバスの右側にカメラを向ける。
    ワシらもやんないと悪いかなぁ、と思いつつ、配偶者を見る。

    が、こやつは、どこでも同じなのであった。
    とりあえずは、熟睡しているのてある。
    つねにもがもな、なぎさこぐ。
    乗物に乗ると、5分で寝てしまうのである。

    いちおう、観光バスなんだから、まわりの景色くらいは、見てほしいものであるが。
    彼女の脳下垂体にとっては、埼京線もこのバスも、変わらぬものらしい。

  • ネス湖はいかにも「氷河の後にできました」という感じの山峡の湖である。<br />バスはアーカート城にたどりつく。<br />お城に入るまでが、ちゃんとお土産物屋さんになっている。<br /><br />ここで、配偶者は<br /><br />「職場へ、ギリのオミヤゲを買うのよ」<br /><br />と意気込んでいる。<br />何しろネス湖だ。<br />ネッシーの本場だ。<br />ネッシー饅頭、ネッシークッキー、ネッシーチョコ、なんでも揃っているに違いない。<br /><br />が、あにはからんや。饅頭もクッキーも、チョコもないのだった。<br />Tシャツ、陶器のオキモノ、ぬいぐるみがあるくらい。<br />そのぬいぐるみも、あんまりかわいくないぞ。<br /><br /><br />ネス湖は、山塊が続くハイランドの、海に近いところにある。<br />だから、船に乗ってみると、両岸が近い。<br />怪物が棲むとゆうには、いささか、狭いのではないか、と思われる。<br />鯨の近所にある、浦和市民プールより、いくらか広い程度ではないか、と思われる。<br />よって、ネッシーとは大きめのウナギではないかしら、などとと想像する。<br /><br />でもって、よくもまぁ、天気がクルクル変わる。<br />雨、風、空の上を雲が走る。<br /><br />ネス湖をナニごともなく北上。<br />湖は狭くなり、細くなり、インバネスの郊外で下船する。<br />ここでバスに乗り換え。<br />エジンバラ市内へ戻るのである。

    ネス湖はいかにも「氷河の後にできました」という感じの山峡の湖である。
    バスはアーカート城にたどりつく。
    お城に入るまでが、ちゃんとお土産物屋さんになっている。

    ここで、配偶者は

    「職場へ、ギリのオミヤゲを買うのよ」

    と意気込んでいる。
    何しろネス湖だ。
    ネッシーの本場だ。
    ネッシー饅頭、ネッシークッキー、ネッシーチョコ、なんでも揃っているに違いない。

    が、あにはからんや。饅頭もクッキーも、チョコもないのだった。
    Tシャツ、陶器のオキモノ、ぬいぐるみがあるくらい。
    そのぬいぐるみも、あんまりかわいくないぞ。


    ネス湖は、山塊が続くハイランドの、海に近いところにある。
    だから、船に乗ってみると、両岸が近い。
    怪物が棲むとゆうには、いささか、狭いのではないか、と思われる。
    鯨の近所にある、浦和市民プールより、いくらか広い程度ではないか、と思われる。
    よって、ネッシーとは大きめのウナギではないかしら、などとと想像する。

    でもって、よくもまぁ、天気がクルクル変わる。
    雨、風、空の上を雲が走る。

    ネス湖をナニごともなく北上。
    湖は狭くなり、細くなり、インバネスの郊外で下船する。
    ここでバスに乗り換え。
    エジンバラ市内へ戻るのである。

  • 途中、ユーメイな「フォースブリッジ」の横を通る。<br />なるほど、これが世界最古の鉄橋か。<br />「恐竜橋」とも呼ばれているそうだ。<br />確かに、大きくて、古めかしくて、恐ろしい。<br />フォースブリッジ・ザウルス、なーんて名前が、合いそうである。<br /><br />と、バスに突然「蛍の光」が流れた。スコットランド民謡である。<br />どうやら、かの地でも「閉店音楽」であるらしい。<br />スコットランドにいるのであるが、同時に武蔵浦和のパチンコ屋さんにいる気分である。<br /><br />ガイドのオジサンが、何やら挨拶をした。<br />と、笑い声と一緒に、拍手が沸いた。<br />ネッシーを見せたかったのに、残念でしたね、なんてことをしゃべったらしい。<br />その拍手が全員だったので、どうやら、その日のツアーで英語を解さないのは、鯨夫妻だけであると知れた。<br />

    途中、ユーメイな「フォースブリッジ」の横を通る。
    なるほど、これが世界最古の鉄橋か。
    「恐竜橋」とも呼ばれているそうだ。
    確かに、大きくて、古めかしくて、恐ろしい。
    フォースブリッジ・ザウルス、なーんて名前が、合いそうである。

    と、バスに突然「蛍の光」が流れた。スコットランド民謡である。
    どうやら、かの地でも「閉店音楽」であるらしい。
    スコットランドにいるのであるが、同時に武蔵浦和のパチンコ屋さんにいる気分である。

    ガイドのオジサンが、何やら挨拶をした。
    と、笑い声と一緒に、拍手が沸いた。
    ネッシーを見せたかったのに、残念でしたね、なんてことをしゃべったらしい。
    その拍手が全員だったので、どうやら、その日のツアーで英語を解さないのは、鯨夫妻だけであると知れた。

  • バスを降りると、エジンバラの空いっぱいに、見事な虹があらわれた。<br />エジンバラ城の向こうから立ち上がり、旧市街の上空を横断し、駅をまたぎ、海の方へと続く、美しい虹である。<br /><br />虹は、もともと「龍」の意味である。<br />龍は、そもそも、ネッシーみたいなもんであろう。<br />エジンバラは、ツアーの最後に、大サービスをしてくれたのであった。<br />

    バスを降りると、エジンバラの空いっぱいに、見事な虹があらわれた。
    エジンバラ城の向こうから立ち上がり、旧市街の上空を横断し、駅をまたぎ、海の方へと続く、美しい虹である。

    虹は、もともと「龍」の意味である。
    龍は、そもそも、ネッシーみたいなもんであろう。
    エジンバラは、ツアーの最後に、大サービスをしてくれたのであった。

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