西五反田周辺、寺社巡り散歩

2025/03/13 - 2025/03/13

冬の厳しい寒さも終わりを迎えようとするとある一日、暖かな春の訪れを感じる日差しに誘われ、西五反田、小山、荏原周辺の寺社を散策してきました。どこも観光寺院ではないため、見どころらしきところはほとんどありませんが、寺の中に建つ演歌歌手だった八代亜紀さんの像を見つけたり、江戸時代に辻斬り強盗を重ねていた白井権八となじみの遊女・小紫の連理塚に巡り合ったり、思いがけない墓や史跡に出会うことができました。
史跡を巡りながら散策される場合は、見つけにくい場所もあるため、住所がわかる資料やマップを用意することをお勧めします。

エリア 大崎・五反田(東京)

• 旅行の満足度: 4.5

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 交通手段: JRローカル 私鉄 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

東急目黒線・不動前駅で下車、寺社巡りに出発です。
不動前駅には三田線も乗り入れていて、とても便利になった気がしました。

不動前駅 駅

駅前に設置された表示板。
方向別に寺社の名が書かれていて、散策の力強い味方になりました。

不動前駅 駅

まずは駅から3分ほどの氷川神社へ。
鳥居の先の参道沿いには大木が並んでいました。

氷川神社 寺・神社・教会

高台に建つ社殿の様子です。
緑色の銅板屋根の社殿は堂々としていて、多くのおみくじが巻き付けられていました。多くの人が訪れる神社のようです。

氷川神社 寺・神社・教会

参道と参道わきの広場では、多くの保育園児が保育士に連れられて遊びに来ていました。車が通らず、安心して遊べる参道です。

氷川神社 寺・神社・教会

氷川神社隣に建つ安楽寺へ。
本堂手前には石のフクロウが置かれていました。

安楽寺 寺・神社・教会

墓地に向かう通路には、塩を供えれば願いが成就すると伝わる塩掛け地蔵や、江戸時代に造立された庚申供養塔や馬頭観世音供養塔などが立ち並んでいました。

安楽寺 寺・神社・教会

塩掛け地蔵隣には、辻斬り強盗を重ね処刑された鳥取藩士・白井権八と、権八の後を追って自害したなじみの遊女・小紫の連理塚も安置されていました。

安楽寺 寺・神社・教会

旧中原街道と桐ケ谷通りが交わるところに建つマンション入口に置かれた子別れ地蔵です。1727年に建てられた地蔵で、子供に先立たれた親がこの場所で亡骸を見送ったと伝わっているそうです。

子別れ地蔵 名所・史跡

星薬科大学薬用植物園へ。
正門を入ったところにある警備室で植物園見学の旨を伝え、入園許可証をもらい植物園へ向かいました。警備員の方の穏やかで丁寧な言葉遣いが印象的でした。

星薬科大学薬用植物園 公園・植物園

学生が研究するための植物園ですが、学外の人も無料で見学ができます。
1000種類ほどの植物が栽培されているとのことでしたが、春先だったため葉や花が出ている植物は少なく、ボケの花が咲き始めている程度でした。

星薬科大学薬用植物園 公園・植物園

園内は水生植物園、標本園、野草園、温室に分かれていて、屋外には休憩用のテーブルと椅子が置かれていました。
写真は温室の様子です。

星薬科大学薬用植物園 公園・植物園

後地商店連合会沿いに建つ京極稲荷神社へ。
商店街沿いに建つ、1635年創建の小さな神社です。
下屋敷があった讃岐丸亀城主・京極家の守護神として祀られていたそうです。

京極稲荷神社 寺・神社・教会

京極稲荷神社同様、後地商店連合会沿いに建つスーパー・ライフの入口に置かれています。1667年造立の地蔵尊で、安産、厄除け、子育てにご利益があるとのことです。
九品仏の浄真寺の僧侶が仏道修行のため、毎日浄真寺から増上寺に向かった際に、地蔵堂あたりで朝日が昇ったことから名がついたそうです。
お参りに訪れている方もいらっしゃいました。

朝日地蔵堂 寺・神社・教会

400mほど続く不動前緑道公園を通り、孟宗筍栽培記念碑へ。

住宅街にひっそりと建っています。手前に鍵のかかった門があり碑の触れることはできませんでした。
廻船問屋を営んでいた山路治郎兵衛の一周忌に、息子が父親の歯骨を埋め建てた墓碑だそうです。山路治郎兵衛は鹿児島の孟宗竹を戸越周辺の村に移入し、栽培を奨励、商品化し、農民に収入の道を開いた方とのことです。

孟宗筍栽培記念碑 名所・史跡

木造の大きな門が目を引く長應寺へ。

長応寺 寺・神社・教会

広々とした境内と墓地が印象的な寺です。本堂手前には石がきれいに配置され、境内には土の中から発見されたのでしょうか、土中出現出世不動尊が祀られていました。

長応寺 寺・神社・教会

長應寺から2分ほどのところにある浄土寺の墓地です。
寺は赤坂に移ってしまい、現在の地には墓地のみが残っています。墓地内はきれいに清掃され、いつでも参拝できる状態になっていました。墓地内にある一軒家は閉まっていましたが、参拝客が多く訪れる時期には赤坂からどなたかが来られ、参拝客の対応をするのかもしれません。

浄土寺墓地内に眠る柳亭種彦の墓。
武士だった時期を経て、江戸時代後期に読本の作者として人気を博した人物です。
墓は墓地に入り、まっすぐ奥に進んだ所に案内板が設置されていたので、わかりやすかったです。

柳亭種彦の墓 名所・史跡

長應寺の墓地向かいに建つ専修寺。
堂々とした山門と遠くからでも見える本堂が印象的な寺です。

専修寺 寺・神社・教会

本堂には平安時代から鎌倉時代にかけて造られたと思われる、木造阿弥陀三尊像が安置されているとのことですが、参拝することができず残念でした。

専修寺 寺・神社・教会

専修寺向かいに建つ桐ケ谷寺。
細い通路を上がったところに本堂らしき建物が建ち、本堂から少し離れたところに墓地が造られていました。
第3土曜日に座禅会が開かれたり、外国人対象の講話が行われたりするようです。

桐ヶ谷寺 寺・神社・教会

桐ケ谷斎場向かいに建っています。
戦国時代、荏原周辺はしばしば戦場となり、多くの遺体が散乱していたそうです。江戸時代この地を行脚していた霊源和尚が供養し、堂宇を建てたことが始まりとされる寺とのことです。

霊源寺 寺・神社・教会

不動前駅に向かう途中で立ち寄った安養院。
ビルのような近代的な本堂が目を引く寺です。

安養院 寺・神社・教会

墓地に向かう入り口には木造の山門が建ち、近代的な本堂と対照的な感じがしました。

安養院 寺・神社・教会

本堂と山門の間には、演歌歌手や画家として知られていた八代亜紀さんの像が建っていました。本堂内あるいは墓地内に眠っていると思います。
像とは言え、突然の出会いにびっくりしました。

安養院 寺・神社・教会

不動前駅に向かう途中で通ったかむろ坂。
通りの両側に桜が植えられていて、3月下旬には桜祭りが行われるようです。桜満開の時期に訪れたい坂道です。
坂道の名の由来は、1679年、辻斬り強盗を重ねていたため処刑された鳥取藩士・白井権八の後を追い、自害した遊女・小紫を探しに来たかむろが、ならず者に襲われ池に身を投げたそうです。このことを哀れんだ近くの人たちが亡骸を葬り、この地一帯をかむろ山、山に通じる坂をかむろ坂と名付けたと伝わっているとのことです。

かむろ坂 名所・史跡

最後に訪れた、かむろ坂沿いの寺・行元寺。
門が閉まっていて参拝できませんでした。外から一見すると個人宅のような感じがしてしまいました。HPによると、源頼朝が戦勝祈願をしたとか、17世住職は書家として知られる豊道春海だったと記されていました。

行元寺 寺・神社・教会

かむろ坂沿いに造られた児童公園です
歩道沿いに権八と小紫にかかわる、かむろ坂の由来が木された説明板が建っていました。児童公園に遊女にかかわる説明板、何か不思議に感じました。

ここで散策を終え、不動前駅に戻りました。

かむろ坂公園 公園・植物園