2024年スペインロマネスクの旅 エル・ビエルソ編３　サンティアーゴ・デ・ペニャルバ (Peñalba de Santiago)

2024/06/24 - 2024/07/12

2024年6月24日から７月11日までのスペイン旅行。カスティーリャ・レオン州のアビラ県を除く８県とリオハ、アストゥリアス、カンタブリア、バスクの５自治州にある主に西ゴート、モサラベ様式のロマネスク教会を巡る旅になります。

エリア スペイン

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 交通手段: レンタカー
• 航空会社: ANA
• 旅行の手配内容: 個別手配

7月3日水曜日の朝。ホテルの朝食は9時からですが、早めに出発したいとお願いしたところ、8時半に用意していただきました。

バイキングではありませんが充分な内容です。

この日の最初の目的地サンティアーゴ・デ・ペニャルバは、コルヨンから南西にポンフェラダを経由して55kmの距離にあり、ビエルソ地域の南南東に位置するレオン山脈(Montes de León)の一部を形成するアクイリア山脈(Montes Aquilianos)の山中にある標高1100mの村になります。

狭いくねくねした山道を登り下りして村の北外れにある公共駐車場に車を止めました。

この村は、10世紀から保存されている モサラビア芸術の至宝、サンティアゴ デ ペニャルバ教会(Iglesia de Santiago de Peñalba)を中心に、周囲に石積みの家が立ち並ぶ小さな村です。

ペニャルバ川の渓谷沿いの上部にあるこの辺りは沈黙の谷(Valle del Silencio)と呼ばれています。村の起源は４世紀に隠者がこの地に庵を建て生活を始めたことから来ているそうです。

この山岳地域には8世紀以来、修道院や庵の教会が数多くあり隠遁者や修道院の集落がたくさん生まれました。修道制が始まったと考えられている古代都市テーベにちなみテバイダ・レオネサ (Tebaida leonesa)、またはテバイダ・ベルシアーナ (Tebaida berciana)とも呼ばれます。937年に修道院の複合施設の一部としてこの教会が建てられたと記録されています。

サンティアゴ デ ペニャルバ教会の扉口。入口は南側に面しています。

モサラビア様式の馬蹄形アーチがこの教会を特徴づけています。

13世紀に修道院は没落し村はこの教会とともに歴史の陰に埋もれていきました。静かな時の流れは、1931年に国定記念物として認定されるまで、大きな改修もなくモサラビア芸術の中で最も保存状態の良い作品を今日に伝えています。

この村には15軒ほどの家があり人口は20人を下回っていると書かれています。写真に写っているのは教会を管理する方です。教会は月、火が定休日で水曜日から土曜日の10時00分～14時00分と16時30分～20時00分が営業日。日曜は14時までのみとなっています。

扉口の柱頭。植物文様で状態は非常に良いです。

教会の内部。

教会は東西に祭室を持つ両構えの構造になっています。

祭壇には教会の守護聖人、サンチャゴつまり大ヤコブの像が置かれています。

外観は方形ですが、内陣は奥行が細くなる円形というより放物線を描く形式となっており、西ゴートの教会のみに見られる特徴が出ています。

扉口内部の馬蹄形アーチ。

トンネルヴォールトの天井。

教会はラテン十字のプランになっていますので、南北に翼廊があり左右に側祭室が存在しています。

北側の祭室。

交差部にドームあります。

装飾的なフレスコ画が残されていますが10世紀のカリフ時代のものと言われています。

当初は教会全体を覆っていたそうですが、現在はドームと後陣にかけてのみ残されています。

サンチャゴ像。

南側の祭室。

サンチャゴの聖旗。

クーポラ。

今回の旅ではこの教会が一番主要な目的となっていました。本来であればここに泊まりたかったのです。村には１軒の宿がありますが最低でも連泊しないと予約が出来ません。またバーもよろず屋的な１軒のみになります。

教会の外側を廻ります。

交差部上部に方形のドームがのっています。

コーニス、持ち送りは西ゴート教会に見られる渦巻文様が彫られています。

納骨堂として使われていた納屋。

納骨堂の横にある北扉口。

碑文が刻まれています。内容は12世紀のエステヴァン修道院長の時代のもので教会の再奉納に関する物との事です。

鐘楼は18世紀に追加された物で別棟となっています。

後陣からの眺め。

開館情報はこちらが参考になるかと思います。他の教会でもそうですが、多くの教会の管理は村役場で毎年６月に決める事が慣例となっています。情報の変更については各年度で調べるのが大切かと思います。

スレートの屋根が特徴的なこの村はスペインの最も美しい村協会に所属しています。

観光については管理する方に伺いましたが、周囲のハイキングコースをお勧めされました。いずれも歩くだけで半日近くかかります。長期滞在用としてお薦めですね。ロード用の自転車で来た方数人と出会いましたが、山岳ツーリングして来る方もいるようです。急な山道の連続ですのでかなり体力に自信があるのでしょうね。

以下の写真は村を一周して駐車場に戻るまでに撮影した物です。