2024/01/09 - 2024/01/09
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おやじさん
今回は名古屋駅西口から西に徒歩5分強の中村区則武2に鎮座する椿神明社と名古屋駅西口から南に徒歩10分強の中村区椿町18に鎮座する稲穂社を紹介します。
- 旅行の満足度
- 2.0
- 観光
- 2.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 徒歩
-
椿神明社
名古屋駅西口から西に徒歩5分強の中村区則武2に鎮座します。
写真は駅西商店街を西から椿神社前交差点方向の眺め。
昼飲みが出来るいい環境で、そけだけではなく、大正時代には中村遊廓があり、当時のこの辺りは怪しい雰囲気の一帯で、今もその名残を感じさせるところもある。
一方でリニア建設に伴い、街は新たに変わりつつある。 -
上はこれまで廻ってきた神社を落とした地図ですが、明治31年当時の鷹場村集落南端にあたり、鎮座地は赤枠部分で南は笈瀬村になります。
かつて当地が伊勢神宮の神領であったころ、この地には「御伊勢川」と呼ばれた川が流れ、時代と共に表記が変り現在の笈瀬川に落ち着いたようです。
椿神明社では例祭に甘酒祭が行われているようですが、その縁起に笈瀬川と不思議な伝承と興味深いことが記載されていました。
「甘酒祭の起因。
往古(年代不詳)椿ノ森社(神明社) 境内の沢に藤の大樹あり。
年毎に見事なる花を開き、社への参詣者をしてその讃美の声は高く、次第に附近に拡まり、近郷より見物の人、いと沢に集り、為に附近の畑を踏み荒したり。
依つて土地の人相謀りて、之を切倒したり。
然るにその年この村一帯に悪疫蔓延し、村中の人々殆んど思い悩みたり。
村人の一人、智者に占いたるに「これは伐樹の祟りなり、家毎に酒を醸して神に献ずべし」と。
然るに醸酒は難き業なれば、代りに甘酒を作り、笈瀬川(往古この地は伊勢神宮の神領なるによりて、伊勢方と言い、神領地に在る川を御伊勢川と言へり、現在の笈瀬川之なり)の清き流水にて溶き、外宮椿社と内宮郷社神明社の二社(往古は伊勢大神宮より内、外二宮を奉斎し、内宮は現在の元郷社神明社にして、 外宮は元村社神明社(椿社)に当る)に献ぜしめ、そのおさがりを病人に与へたるところ、その御神恵つとに現はれ、忽ちにして疫病は癒え人々安心せり。
爾来牧野の村人は年毎に笈瀬川の清き流れの水を汲みて甘酒を醸し溶き、これを九月十五日試楽祭(前夜祭)の未明に上・下二社(神明社、椿社)を始め牧野村に銀座せる他の社にも奉献し、御神恩を謝し、氏子の幸と安全を祈りたるが今日に伝る甘酒祭の起因なり。
往古は旧暦により九月十五日に執り行いたるが、明治四十年十月より陽暦により十月十五日に改められたり。」
この時代笈瀬川を五十鈴川に見立て、近隣に鎮座する五社(椿神明社、厳島社、天王社、稲穂社、牧野神明社)の中で椿神明社を伊勢神宮外宮、牧野神明社内宮に見立て身近に感じたかったのだろう。
尾張志(1844)に「此オイセといふ文字を近世老瀬とも負瀬とも書するものあれど、是はもと伊勢川といふ名は御といふ尊称をそへたるなれば御伊勢とかくべき也、このあたりは往古に伊勢大神宮の神領にて一楊の御厨といへる此処を伊勢方といひける事あり、其神領地にある川ゆえ伊勢川といへる也、伊勢山をオイセ山といふ同例なり」とある。
笈瀬川には子供好きの河童伝説も伝わり、その川も都市化に伴い、川は蓋がされ暗渠になり河童の痕跡は微塵もなく、笈瀬本通り付近を歩いていると河童のモニュメントが置かれていることくらいだろうか。
なぜ河童が置かれているのか気にも留めずスルーしてきたがここに繋がるようだ。 -
意外にも尾張名所図会に椿の森河童の怪として挿絵が描かれていました。
昔、ひとりの老士が巾下の西に住んでいた。
宝暦6(1756)年7月3日、曙の景色を見ようとして押切田面を歩いていると、小児が一人あとを付けてきた。
これが「河童」であり、強い力で老士の肩に力をかけて引き倒そうとした。
老子は勇強な男であったのでこれを捕え、睨みつけると河童は笈瀬川へ飛び込んで逃げていったという。
お天道さんが見えているのであちらが東なのは想像できるが、朝ぼらけの近いこの場所がどこなのか想像もつかない、後方の森の中に描かれている鳥居がどこなのか気になる、ツインタワーでも書かれていればともかく。 -
現在リニア建設に伴い、名駅周辺のあちらこちらで関連工事が進められ、それにより環境は整備されていきます。
椿神明社も社地北側が工事対象となり、社地が減らされ、それに伴い社殿も南に移動されています。
古くは椿の森と呼ばれた時期もあったようですが、工事に伴い境内の杜が間引かれ、明るくスッキリとした街中の神社に生まれ変わったようです。
社頭全景、右手に「村社 神明社」と刻まれた社号標(1934)と提灯櫓の先に神明鳥居があり、右手歩道側にも鳥居と社号標を持った脇参道があります。 -
薄暗かった境内も陽光降り注ぐ明るい境内に生まれ変わっています。
-
神明鳥居(1924)をくぐった境内左の由緒、これが読み取れなかった。
祭神 豊宇気比売神
例祭 10月16日
甘酒祭 10月15日
月次祭 毎月1日、15日
確実に読めるのはここまで、この先は甘酒祭のものと同様と思われます。
創建等は分からない。 -
鳥居をくぐった先の境内、正面の拝殿に続く参道には二対の狛犬が安置されています。
燈籠寄進年は昭和8年(1933)のもの。 -
燈籠手前の狛犬(1939寄進)
-
拝殿正面全景。
梁間桁行ともに三間の切妻瓦葺の四方吹き抜けの妻入り拝殿。 -
拝殿前を守護する狛犬、寄進年未確認。
-
由緒が読み取れずなんともならないが、椿神明社の鎮座地が伊勢神宮神領であった事から、伊勢神宮の外宮と見立て豊宇気比売神を祀る神社、リニア建設に伴い社地の縮小・社殿移動・修復が行われている。
-
鬼には神明社の文字が入る。
-
境内東側の「村社 神明社」と刻まれた社号標は明治43年(1910)のもので、境内の寄進物の中では最も古い寄進物。
-
幣殿と神明造の本殿(外削ぎ鰹木5本)。
真新しい石垣と玉垣に囲まれたこの神明社、拝殿前からフェンスが建てられ、それ以上先には行けなくなっています。
繁華街に鎮座する境内では猫の姿を見かけますが、こうしたフェンスが猫除けか、大虎と化した人の侵入除けなんだろうか。 -
ひと昔前、駅裏と聞くとあまりいい印象は持っていなかったが、リニア開業を契機に駅裏は生まれ変わろうとしています。
椿神明社
創建 / 不明
祭神 / 豊宇気比売神
境内社 / ・・・
所在地 / 名古屋市中村区則武2-4-10
参拝日 / 2024/01/09 -
椿神明社から南の太閤1丁目交差点の北西角付近に鎮座する稲穂社まで徒歩?7~10分程。
椿町線を笹島方面へ走行中、ここの信号で捕まった時に一度は目にしたことはある神社。
神社の存在は分かっていても、車で訪れるには不便なところというのが正直な感想。
上は明治31年当時の周辺とほぼ現在の比較。
赤枠の部分が稲穂社の鎮座地付近、椿神明社で記載した牧野村に鎮座する五社(椿神明社、厳島社、天王社、稲穂社、牧野神明社)のひとつ。 -
太閤1丁目交差点北側から交差点の眺め。
右側のビルの谷間に玉垣で囲われた社地があります。
街中の神社の印象は間口の狭いイメージがありますが、稲穂社は駅近にあって道路に面していながら、意外に間口が広い神社だと思います。 -
交差点北側から社地の眺め。
繁華街に近い事もあるのか、社殿を祀る覆屋は凄いことになっている。
椿神明社のフェンスが気にならなくなるような、獣を飼育する檻のような鉄柵で完全にガードされている。 -
交差点から北方向に見る社殿。
こうして見ると拝殿や拝所にあたる建物が見当たりません。 -
こうした地域なので、通りに面した社頭のある東側を除き、社地の三方がコンクリートの壁に囲われてしまうのは致し方ない、むしろ良くぞ残されたものだと思いたくなる。
環境がこんなんなので陽光降り注ぐ明るい境内とは言い難い。 -
境内入口の光景。
人通りの多い歩道に面していながら、人の立ち入りを阻むかのように鳥居前にも厳重に柵が作られ、拝殿や拝所の施設がないなど、なにか曰くがありそうです。 -
歩道沿いの由緒に追記としてその理由が書かれていました。
「稲穂社
御祭神 宇迦之御魂神
例祭 毎月2日
初午祭 3月初午日
例大祭 10月16日
秋葉祭 12月16日
大祓祭 12月26日
由緒 文政9年3月当所に御鎮座あり。
当時この地は牧野出郷と呼ばれ天保2年十二戸の民家建設せられたると人家の始とす。
爾来当社はこの里の守護神として崇敬篤く、昭和20年3月不幸戦災罹り焼失せしが、昭和26年10月再建を見るに至れり。
昭和40年名古屋駅西都市改造事業に伴い移築御造営、同年10月工事完了。
社頭に三基御神霊鎮座奉る
追記 平成9年10月拝殿消失し現在に至る」
平成9年(1997)10月、常駐神職不在の稲穂社の拝殿は不審火により焼け落ちてしまったようです。
覆屋前の不自然な大きさの土間も焼け落ちた拝殿の基礎部分と思われます。
今のような形態になったのもこの火災が契機になっているのかもしれません。
こうして厳重にガードされた光景は稲穂社だけでなく、繁華街に鎮座する神社では、心傷めるような内容のお願いが記された貼り紙、過剰とも思える対策が施された神社を見かけます。
賽銭・龍口泥棒などの話題を耳にすると、本来なら神社に不要と思える監視カメラ、撮影中の貼り紙など、多様な人が行き交う場所の氏神を受け継ぐ氏子側の苦渋の選択だろう。
格差社会に歯止めはかけられず、何も信用できない貧しい日本を見る様で悲しくなる。
この扉は、こうして開け放たれている時もあれば、閉ざされている場合もあるようです。 -
見た目に固そうな御影石を綺麗に削り出して作られた年齢不詳の狛犬。
稲穂社自体あまり聞き慣れないので、地史の目次に目を通すも見付けられなかった。
稲穂社は中村区「笈瀬川筋散策コース」のひとつのようで、その解説は以下のようなものでした。
「天保2年(1831)、当時の牧野村住民の内より12戸がこの地に移住して新たに一集落が造られました。
当社はこの里の守護神として祀られたものです」
とのこと。
由緒から見れば、神社は牧野出郷が形成される以前から鎮座していたことになります。
普通なら集落形成と共に神社が祀られるものと思いますが、耕作地の広がりはこの付近にまで及んでいたのかもしれない。
空襲で被災再建、名古屋駅西都市改造事業でこの地に移転、それら年代の地図で姿を消した神社を探して見たが元の鎮座地の見当はつかなかった。
名古屋駅西都市改造事業について調べて見た、椿町のシンボル椿神明社について言及はあったが、稲穂神社移転について記述まで辿れなかった。
空襲からやっと立ち直り、その後の都市改造事業でこの地に遷座しながら不審火とは。
今の時代恐ろしいのは獣ではなく人なのかもしれない、これでは広く開け放つ気にはなれないものだ。
青田の広がる光景が失せた今、五穀豊穣を司ってきた神社がむしろ良くぞ残ったとさえ思う。 -
境内左側の手水鉢(年代未確認)、この周辺には焼け落ちた鬼瓦など遺構が見られます。
新聞記事を引用すべく過去記事を検索するも平成九年までは辿り着けず、被害の詳細は分からなかった。 -
境内左の朱の鳥居は稲穂稲荷社のもの。
はためく奉納幟は今も多くの崇敬者に崇められている証でもある。
横に長い覆屋には稲穂稲荷社の右に稲穂社、稲穂秋葉社が横一列で安置され、稲穂社本殿の正面にあたる場所に土間があり、恐らく消失した拝殿または拝所が建っていたものと思われます。 -
稲穂稲荷社。
檜皮葺の一間社流造のようにみえ、三本の鰹木と外削ぎの千木が付く社殿。
狐の姿は見られず稲荷の雰囲気を感じられない。 -
稲穂社。
檜皮葺の神明造のようにみえ、六本の鰹木と内削ぎの千木が付く社殿。 -
稲穂秋葉社。
檜皮葺の一間社流造のようにみえ、三本の鰹木と外削ぎの千木が付く社殿。 -
社標、石灯籠の寄進年はともに昭和5年(1930)のもの、戦災の被災を免れ、この地に移されたもの。
他にも稲穂社前の黒ずんだ燈籠など、この神社が歩んできた時代を感じさせる寄進物がある。
この辺りの景観はこれからも変わっていくだろう。
長年護られてきたものが何かを引き金にして、忽然と途絶えることがある、これ以上のきっかけは稲穂社に不要だろう。
稲穂社
創建 / 文政9年(1826)
祭神 / 宇迦之御魂神
境内社 / 稲穂稲荷社、稲穂秋葉社
所在地 / 名古屋市中村区椿町18-5
椿神明社から稲穂社 / 太閤1丁目交差点まで?7~10分程?
参拝日 / 2024/01/09
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