2022/10/12 - 2022/10/12
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おやじさん
名古屋の表玄関に近く、ビルが林立するグレー一色の街中にあって、名古屋駅から徒歩15分程東に歩いた堀川沿いの四間道には、屋根神を祀った古い街並みや昔ながらの商店街や淺間神社などが残り、少しばかり情緒のある景観が見られる。
- 旅行の満足度
- 2.5
- 観光
- 2.5
- 交通
- 3.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 徒歩
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名古屋の表玄関に近く、ビルが林立するグレー一色の街中にあって、名古屋駅から徒歩15分程東に歩いた堀川沿いの四間道には、屋根神を祀った古い街並みや昔ながらの商店街が残り、少しばかり情緒のある景観が見られる。
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淺間神社は四間道の南の玄関口に東向きに社頭を構えて鎮座します。
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社頭左に社号標、二つの解説板、石の神明鳥居(大正12寄進)を構え、縦に長い社地に作られた石畳の参道の奥にニノ鳥居を構えています。
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社頭の由緒。
「淺間(せんげん)神社由緒記
当神社の創建は江戸時代の「尾張誌」に正保四年(1647)にこの地移せりと記す。
御祭神
本殿祭神 木花開耶媛命、 五穀豊穣、町内安全、子孫繁栄
境内社
富士光稲荷社 祭神 宇迦之御魂之大神 日常生活守護
恵比寿社 祭神 恵比寿様 商売繁盛
天満宮社 祭神 管原道真公 学問成就
秋葉社 祭神 迦具土之命 鎮火・防火
津島社 祭神 建速須佐之男命 除災招福 」 -
由緒の脇にある浅間神社解説。
「浅間神社
境内に樹齢300年を超す楠木や欅が7本あり、市の保存樹に指定。
毎年10月1日、2日に大祭が行われる。」 -
社頭右にあった「四間道町並み保存地区」解説板。
中橋の袂に「龍神」と称する不明社がありますが、これを見ていて発見があった。
町並みのイラストの中で、中橋の袂の社は町並み保存地区5「屋根神」と記されていた。
Gマップの龍神表記のモヤ〃したものが少しスッキリした。 -
これがその社、現在Gマップは屋根神に変っています。
観光地四間道にあってこの朽かた。
河村さん、クラウドファンディングを呼びかけるなり知恵を絞ればなんとかなるのでは?
所在地 名古屋市西区西区那古野1-37
話が脱線した、社頭に戻ろう。 -
鳥居をくぐり境内を進むと二対の狛犬ある。
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手前の色白で薄笑いを浮かべる愛嬌のある狛犬ですが、小さいながら角と宝珠の付いたもの。
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参道左、イチョウの樹の下に手水舎、手水鉢。
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大正11年(1922)寄進の毬と子を持つ狛犬、こちらは風格が漂う。
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ニノ鳥居前から社殿の眺め。
参道右に社務所、神楽殿と続き、正面の拝殿と左右の境内社が主な伽藍。 -
創建は地史に目を通すも定かにはならない、由緒記の「正保四年(1647)にこの地移せり」は場所が記されていない、尾張誌に正保四年、廣井村の河原からこの地に移されたまでは分かった、後はそれ以前の絵図から探すだけなんだが…見つけきれていません。
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拝殿内から本殿方向を眺める。
本殿前の神鏡が鈍く輝き、五七の桐が神紋のようだ。 -
拝殿右の境内社。
浅間八大龍王神、黒っぽい岩が御神体のようだ。 -
手前右の二つの社は手前が恵比寿社、天満宮の相殿でその左が秋葉社。
正面の社は津島社。 -
拝殿左の冨士光稲荷。
本殿右の太い幹は御神木のイチョウ、晩秋には黄色に染まる事だろう。 -
上
欅の木の下から拝殿を見上げる。
下
神明造の本殿の上はイチョウが覆う。
千木は内削ぎ、鰹木も施されているが数は不明。 -
入母屋銅板葺の神楽殿、社務所とは渡廊で繋がっている。
境内で見かける寄進物の多くは大正末期のものが多く、この時期に修復を受けていると思われます。
社頭を横切り四間道を目指す観光客は多いが浅間神社に参拝に訪れる方は少ないようだ。
名古屋城築城は1610年、清州越しが整ったのは1613年とされる。
淺間神社が廣井村の河原からこの地に移されたのが1647年、それ以前の沿革が知りたいものだ。 -
上は尾張名所図会の中橋裏の四間道の挿絵。
左上に五条橋が描かれ、右手が中橋となる、交差点の角に塀に囲まれた淺間神社が描かれている。
堀川沿いに立ち並ぶ蔵の姿は今も当時の面影が残る。
淺間神社
創建 / 不明
祭神 / 木花開耶媛命
境内社 / 富士光稲荷社、恵比寿社、天満宮社、秋葉社、津島社
所在地 / 名古屋市西区那古野1-1-29-3
名古屋駅から堀川方向へ徒歩15分程
公共交通機関でのアクセスは地下鉄桜通線「国際センター」駅降車徒歩5分 -
名古屋市西区那古野1「中村家と屋根神様」
浅間神社の南側の路地を西に向かい、二つ目の交差点を右へ進むと円頓寺商店街に続く路地が伸びている。 -
浅間神社南側から円頓寺商店街方向の眺め。
その昔は写真の様な町屋が軒を連ねていたのだろう。
壁一枚で臨家と接した建物も、今どきの新しい建物に置き換わり、今ではその連なりも一部歯抜けになったり、分断された建屋が連なる光景に移り変わっている。
それでも、表通りはコンクリートの四角いビルが立ち並び、見上げるようなビルも聳えているが、一歩入ればこうした街並みが一部に残り、どこかホッとする場所でもある。
中央の木造瓦葺の建物が中村家で二階軒下に祀られた屋根神様が今回の目的地。
時間の流れと共に、この区画で唯一残ったのが中村家。 -
那古野1丁目まちづくり研究会による「中村家と屋根神様」の解説。
「築200年と云われる旧家・中村家は江戸時代の商家の佇まいを良く残しています。
当家の屋根にある屋根神様はこの地方独特の風習で、津島神社・秋葉神社・熱田神宮の三社を祀り、そのお祀りは今も続けられています。
ここは仏教系の秋葉さんで、静岡県袋井市の秋葉総本殿可睡斎という寺院が本山です。
鎮火防火の秋葉信仰は静岡県の秋葉神社から起りましたが、明治の神仏分離令で、仏教系の秋葉神社は火の神「火之迦具土神」を祀る様になりました。
中村家の秋葉神社は秋葉三尺坊大権現を祀っています、この神は室町時代以前に秋葉信仰で活躍した修験者の事で、天狗又は烏天狗が白狐に乗る形に象徴化されています。
この辺りは円頓寺筋とつながって、昔はにぎやかな御本坊筋とも云われました。」
地方から訪れた人にはとても有難い解説です。 -
二階の軒下に祀られた屋根神様。
今でも現役なのが見て取れます、左右の壁には枠に囲まれた額があり、絵なのか、こて絵だったのか分かりませんが、意匠が施されていたようです。
こちらの屋根神様は四角い箱型の中に祀られ、祭礼の時はこの扉が開けられ社の姿が現れる。 -
こんな高い所に祀られているので御世話も大変。
梯子を架けてお世話する事になります。
なぜ敢えてこの場に祀る事になったのだろう。
軒が連なる町屋の生活は一度火災が起きればすぐに延焼してしまいます、運命共同体のようなもの。
火伏の秋葉さんは必然的に祀りたくなるものです。
見渡せば長屋が連なり地面に社を祀る土地も資金もない、そうした環境下で着目されたのが軒下だったのでしょう。
信心深かった当時、町内で祀られた屋根神様を住人が世話するのが自然に受け入れられていたはず。
自然に当番札が作られ、持ち回りで面倒を見る神社当番が生まれ、それと共に住民同士のコミュニケーションができ、町内は上手く回っていたのだろう。
こうした屋根神様はこの地域ばかりではなく、小牧や木曽川を越えた岐阜県の街道沿いなどに一部残っていますが、高所の御世話は高齢になると難しくなり、建て替えと共に地上に降ろされたり、姿を消すものもあります。 -
海外と違い、日本は古い家屋に価値が生まれないので、家のライフサイクルが短く、築200年の家が残るのは歴史的価値がないかぎり、取り壊されていきます。
古い家屋に対する価値観の違いも屋根神が消えていく要因になっているのでしょう。
お洒落な家が立ち並び、住民も変われば、人の繋がりも薄れ神社当番も回らなくなっていくのだろう。
個人宅や公園の片隅に佇む小さな社が、以前は町民で世話した守り神だった事すら風化していくのだろう。
こうした光景が見られるのも長くはないのかもしれない。
中村家と屋根神様
所在地 / 名古屋市西区那古野1-17-5
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