「市電」環状線で生まれ変わるすすきのへ＆札幌市営地下鉄61.7％【JAL福岡千歳線増便記念・JR北海道99.3％の旅その２】

2023/12/09 - 2023/12/09

　１泊２日の北海道旅行。札幌市内での滞在は、３時間に満たない短いものでした。お目当ては環状運転になった市電の未乗区間の「のりつぶし」です。
　ついでに地下鉄も極力、未乗区間を意識して乗ってみたところ、乗車率は６割超えになりました。次回には全線踏破できるかな。

エリア 札幌(北海道)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• グルメ: 5.0
• 交通: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 3万円 - 5万円
• 交通手段: 私鉄
• 旅行の手配内容: 個別手配

　ＪＲ新札幌駅から、地下鉄の新さっぽろ駅へ。なぜ地下鉄駅は、ひらがな表記なのか…確かに特殊な読みではあるけど、日本人ならほぼ分かるはず。
　ピクトグラムは、昔の車両のままでした。ここに限らず、札幌市営地下鉄のサイン類や駅の内装は開業時のままの所が多く、なんだか懐かしい感じがします。

新さっぽろ駅 駅

　手狭に感じられたＪＲの駅に対して、地下鉄の駅は余裕たっぷり。セブンイレブンもあって便利です。

　今回、地下鉄には２回しか乗らない予定ですが、それでも土日専用の１日乗車券「ドニチカきっぷ」が安くなりそうだったので購入しました。わずか520円、安すぎでは？
　使用済み券は回収箱に入れるよう、あちこちで周知されていました。適当に捨てたものでも、拾えば使えちゃいますもんね。

　電車に乗ると、窓が開いていてびっくり。しかも端の２ヶ所だけでなく、６ヶ所も。コロナの５類移行後も、窓開け換気はしっかり励行されているんですね。
　寒い気候から、コロナの流行は他の地方より早く、波も多かった北海道。感染症への警戒心は強いようです。そういえばマスク着用率も高いように感じられます。

札幌市営地下鉄 東西線 乗り物

　それでもインフルエンザの流行水準は現在全国トップ。窓から聞こえてくるゴムタイヤの独特な走行音を聞きながら、頭を抱えてしまいました。
　新さっぽろから約２０分、西１１丁目で下車。

西１１丁目駅 駅

　斜めに張られた五輪カラーのタイルが、なんともエモい！レガシーとして、いつまでも残してほしいです。

　駅に直結したビルも、昭和レトロって感じでひかれます。時間さえあれば、喫茶店にでも寄ってみたいところでした。
　札幌五輪と高度経済成長の波にのった、熱い時代の名残りをあちこちから感じられます。

　西１１丁目駅は、大通公園の西端にあたります。ここあたりまで来ると、観光地というより市民のための公園といった空気。タワマンも建ってます。
　福岡では２０度を超え、１２月としては記録的暑さとなったこの日。札幌も１０度越えで、シトシト雨模様です。どうせ降るなら雪の方がいいなと、身勝手な南国人は思います。

大通公園 公園・植物園

　五輪マークは、前の札幌五輪のレガシーなのか、次の札幌五輪誘致を目指すものなのか。

　大通公園の端っこには、札幌市資料館の素敵な洋館がそびえます。旧道庁の赤レンガもいいけど、こちらもいいねえ。

札幌市資料館 美術館・博物館

　さて札幌で降りた目的の一つが、「市電」への乗車です。今は純粋な市電＝市直営の路面電車ではなく、線路は市が保守管理を行い、運行は外郭団体の札幌市交通事業振興公社が担う上下分離方式が導入されています。
　近くの西１５丁目の電停へ。運行情報モニタで、今電車がどこにいるのか、分かりやすく表示されています。

西１５丁目停留場 駅

　待つほどもなく、電車が現れました。派手な不動産会社の広告で彩られた、北欧スタイルの丸みを帯びた電車です。車内はぎっしり満員状態。
　なおこの電車は４日後、運転士がいない状態で乗客を乗せたまま動くという、重大インシデントを起こしてしまいました。

札幌市電 (路面電車) 乗り物

　札幌の「市電」は、2021年に延伸を果たしました。これまでラケット状にぐるり回る形態の路線でしたが、終点同士を結んだ、きれいな環状線へと進化です。
　かつての終点・西４丁目でどっと乗客を降ろした後、カーブを切って新線区間へと踏み出します。

西4丁目停留場 駅

　この区間は歩道側に線路を寄せた、「サイドリザベーション」と呼ばれる線路形態になっています。歩道からの乗り降りがしやすく、違法駐車を防ぐ効果も期待できそう。
　万一違法駐車されてしまったら、身動きが取れなくなるリスクもありそうですが。

　大通とすすきのという一大繁華街に発着しながら、表通りに姿を見せていなかった「市電」。他都市の路面電車に比べ脇役感のあった電車も、目抜き通りに進出して目立つようになりました。
　狸小路電停からは、その名からは想像が及ばないような大きなアーケードが連なっています。熊本や鹿児島の市電みたいな光景です。

狸小路停留場 駅

　すすきのに到着。既存区間には既に2001年には乗ったので、「環状」の電車で、「完乗」を達成しました。

すすきの駅 駅

　いわずと知れた、東京以北最大の繁華街「すすきの」。すすきのビルのニッカのネオンが、揺るぎないシンボルです。

　すすきの交差点を走るようになった「市電」も、新たなシンボルと言えそう。スマートな低床電車「ポラリス」が、近代的な都市景観として花を添えます。
　しかし後続に「ポラリス」が来ていたとは…まだ乗ったことがない電車だったので、乗れずに残念です。

　そして、すすきのビル向かい側に新たに登場したランドマークが「COCONO SUSUKINO」。先週、第一期オープンを果たしたばかりの、大型商業施設です。
　飲食店からシネコンまで。スーパーマーケットが入っているのは、都心回帰を象徴するラインナップと言えるかも。

　実はこんな施設ができていたことも現地で知ったくらいで、北海道の情報は自然体で過ごしていても入ってきません。事前に知ってたら、目当ての店に狙いをつけて楽しんだろうなと思います。
　残念ながら予備知識もなかったのでスルーして、今度は地下鉄南北線の人となりました。

札幌市営地下鉄 南北線 乗り物

　ほほお、大人１人に対して幼児４人無料とな。福岡市地下鉄は１２月１６日から、同伴幼児無料の人数制限をなくしますが、札幌市の動きに影響されたのかもしれません。

　地下鉄南北線もゴムタイヤ式で、加減速性能の良さと、独特の走行音に札幌らしさを感じます。
　一方でＪＲへの直通が絶対できなかったり、特殊な構造ゆえランニングコストが高かったりと、デメリットも少なくないとか。

　１０分ほど揺られて、終点・麻生着。札幌の地下鉄３線は、それぞれ半分以上乗った計算になります。次に来た時に集中して乗れば、全線踏破できそう。
　ただ地下鉄の「乗りつぶし」って、正直楽しくないんですよね…。どうせ車窓も楽しめないのだからと夜に取組むことが多いのですが、札幌の場合は、街の夜の魅力が勝りそうです。

麻生駅 駅

　九州人としては「あそう」と読んでしまいがちなこの街の名は、「あさぶ」。
　麻生駅周辺の雰囲気は、福岡の地下鉄で例えると藤崎か別府ってとこでしょうか。

　脇道に入ると、夜は賑わってそうな雰囲気も。

　すすきので呑むのも楽しそうですが、あえて地元臭を感じながら麻生で呑むってのもオツかもしれません。

　麻生駅から徒歩10分。ビルの密度が薄くなってきた場所に、JR学園都市線の新琴似駅があります。駅前広場を持った、立派な高架駅です。
　どうせなら地下鉄も新琴似まで延ばせば便利だったのにと思いますが、学園都市線が通勤路線に変貌したのは国鉄民営化後の話。昭和５０年代に「汽車」と接続するなんて発想はなかったのかも。

新琴似駅 駅

　駅の反対側は、自衛隊官舎か、大学の学生寮か何かかな？ と思って調べたら、民間の団地でした。
　外気オープンでない廊下の集合住宅を見ると、どうしても官舎か寮を連想してしまいます。

　高架下にはセブンイレブンとパン屋さんが入っていました。１２時過ぎだけど昼飯の時間も取れないので、道産小麦使用というクリームパンを買って、間食にしました。
　パン生地はもちろんうまかったのはもちろん、クリームも濃厚で絶品。さすがは北海道、普通のパン屋さんのレベルも高いです。

　「１２時５２分発、北海道医療大学行きの列車の改札中です」の放送に誘われ、自動改札をくぐりました。
　自動改札の駅で、もはや「列車別改札」なんて有名無実だと思うのですが、律儀に続く北海道独自のシステムです。寒い中、わざわざホームに上がらないでくださいという親切心だと受け止めています。

　エスカレータとホームも、ドアでしっかり仕切られた北国仕様。近代的な通勤路線でも、北海道らしさが感じられて面白かったです。
　ここから、学園都市線こと札沼線の旅が始まります。

JR札沼線 (学園都市線) 乗り物