2022年1月25日(火)2時10分頃、禅居庵から建仁寺境内に入る。建仁寺には約4年半前の2017年9月15日(金)に一人で来たことがあり、その時に書いたものがあるので、そのまま引用する。<br /><br />--------------17/9/15訪問記(ここから)--------------<br />京都五山の第3位に列せられている寺院。地元では「けんねんさん」の名で親しまれている。日本に臨済宗を伝えた栄西が1202年、鎌倉幕府2代将軍・源頼家の援助を得て、京都における臨済宗の拠点として建立された。創建当時は天台、真言、禅の3宗並立であったが、創建から半世紀以上経た1259年頃から純粋禅の寺院となる。応仁の乱による焼失のほか、たびたび火災にあっており、創建当時の建物は残っていない。<br /><br />南側正面、八坂通りに面した四脚門の勅使門は重文。平清盛の異母弟である平教盛(12年のNHK大河では駿河太郎が演じた)の館門を応仁の乱後に移築したものと伝えるが定かでない。様式的には鎌倉時代末頃の建築。三門は「望闕楼」の別称がある。静岡県浜松市の安寧寺から1923年に移築したもので、江戸時代末期の建築。<br /><br />浴室は湯気で体を温める蒸し風呂。1628年によって建立。楽神廟は江戸時代前期に造営されたと云われている。栄西禅師の母が岡山・吉備津神社の末社・楽の社に参詣した後、夢に明星が現れて栄西を懐妊したことから祀られている。のちの永平寺を開いた曹洞宗の開祖・道元が栄西の孫弟子で、建仁寺でも修養を重ねたということで、道元禅師の修行の遺跡がある。<br /><br />江戸期のものと伝わる楼門の奥は、栄西禅師の墓所である開山堂。平成の茶苑は、栄西禅師がもたらした茶の招来800年を記念して91年に作られた植樹栽培した覆い下茶園。桑の碑は同じく栄西禅師が中国より持ち帰って桑が日本に広まったと云うことから05年に建立された。<br /><br />陀羅尼の鐘は修行僧が寝につく亥の刻過ぎに、観音慈救陀羅尼を一万返唱しながら撞くことからこう呼ばれる。花見小路に続く北門は、江戸時代前期の寛永年間(1624～1645年)に建てられた本瓦葺きの高麗門で、京都府指定文化財。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.1737177863018897.1073743461.100001801017376&type=1&l=949e2c47c8<br /><br />法堂は本尊を安置する仏殿と講堂にあたる法堂を兼ねている。1765年の建立。2002年に創建800年を記念して天井に小泉淳作により双龍の絵が描かれた。素晴らしい!<br /><br />方丈も重文。室町時代の建物で、もと広島の安国寺にあり、関ヶ原の合戦後に斬首された安国寺恵瓊が1599年に移築したもの。東側に設けられた大玄関を介して本坊と連結する。庭園・大雄苑は白砂に緑苔と巨石を配した枯山水庭園。七代目小川治兵衛の作庭で、植治の作品として枯山水は非常に珍しい作庭。<br /><br />方丈に置かれた十一面観音像は東福門院が寄進されたものだが、09年1月に拝観時間内に上着にくるんで持ち出された(盗難)そうだが、犯人は捕まり、無事戻されたとのこと。桃山時代の海北友松が描いた「竹林七賢図」、「琴棋書画図」、「雲龍図」、「山水図」、「花鳥図」の襖絵があり、重文だが、本物は襖から掛軸に改装し、京都国立博物館に寄託されており、京都文化協会とキヤノンが共同で取り組む綴プロジェクトで複製されたレプリカを身近で見ることができる。栄西禅師八百年大遠諱事業の一貫として、染色作家として活躍する鳥羽美花が奉納した作品もある。<br /><br />東陽坊は北野大茶会の際に千利休の高弟・真如堂東陽坊長盛が好んだと伝えられる茶室。二畳台目下座床の席で、構成・意匠ともに薮内家の燕庵に共通する点が多く見られる。大正年間に現在地に移築された。<br /><br />本坊の奥には潮音庭と◯△囗乃庭と云う2つの新しい中庭がある。その奥の大書院に俵屋宗達の「風神雷神図」。ただし、これも綴プロジェクトで作られたレプリカで、国宝の本物は京都国立博物館。隣の陶製十六羅漢像は清水五条の陶器職人たちが、それぞれ自分の最も得意とする技術で作り上げ建仁寺へ献上したもの。「臨済禅師喝」もレプリカだけど、迫力あり。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.1737182386351778.1073743462.100001801017376&type=1&l=3ffb2366ca<br />--------------17/9/15訪問記(ここまで)--------------<br /><br />今回の訪問で見たものの中で、この前回の訪問で見なかったものは2つ。ひとつは大書院に展示されていた細川護煕元首相の瀟湘八景図襖絵。2014年に細川家の菩提寺でもある建仁寺塔頭の正伝永源院に奉納されたものが前年(2021年)の6月から特別公開されていた。<br /><br />御開山御誕生880年を記念し手がけた四季山水図の襖二十四面の作品。瀟湘(しょうしょう)とは、中国の湖南省に瀟水・湘水という河があり、これらが合流して洞庭湖という大きな湖にそそぐ地域の名。古くから伝説や神話が残る此の地は、数多くの詩人や画家たちが訪れる中国有数の景勝地として知られている。11世紀の北宋時代に活躍した画家・宋廸が、八通りの景観を選び豊かな自然を絵画化したのが瀟湘八景図のはじまり。現在、宋廸が描いた瀟湘八景図は遺っていないが、史料を基に再現された。<br /><br />八景とは町の賑わいを描いた「山市晴嵐」、遠く海上を帆船が行き交うさまを描いた「遠浦帰帆」、のどかな漁村の光景を描いた「漁村夕照」、遠くうっそうとした山寺の鐘が響き渡る情景を描いた「烟寺晩鐘」、しとしとと降る夜の雨の情景を描いた「瀟湘夜雨」、湖上に浮かぶ月を描いた「洞庭秋月」、砂浜に雁が舞い降りるところを描いた「平沙落雁」、山に雪が降り積もるさまを描いた「江天暮雪」の8つ。日本には鎌倉時代頃に伝わり、多くの画家が画題にし、それぞれ様々な情景を描いた。<br /><br />もうひとつは、本坊玄関近くの俵屋宗達風神雷神図(レプリカ)の隣り合わせの部屋に並べられてる牛丸和人さんの風神雷神をテーマにした絵画。牛丸和人さんは1961年生まれ。美術教師として中学校で教えた後、県立高校の校長などを経て、現在は佐賀市にある西九州大短大部教授として学生たちの指導にあたりながらアーチストとしての活動を続けられている。<br /><br />2020年に描き上げた風神雷神をテーマにした絵画を訪れた建仁寺で紹介したところ、寄贈を依頼され、2021年12月に4点の作品が奉納された。この日展示されていたのはそのうちの2点で、風神雷神図屏冬の京と風神雷神図屏夏の京。この他、風神図と雷神図はニューヨークで開催された展示会に出展されたものとのこと。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.9670858732984064&type=1&l=223fe1adec<br /><br /><br />この日建仁寺で開催された京都仏教会のイベントに参加するが、続く

京都東山建仁寺(Kennin-ji temple,Higashiyama,Kyoto,Japan)

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2022/01/25 - 2022/01/25

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2022年1月25日(火)2時10分頃、禅居庵から建仁寺境内に入る。建仁寺には約4年半前の2017年9月15日(金)に一人で来たことがあり、その時に書いたものがあるので、そのまま引用する。

--------------17/9/15訪問記(ここから)--------------
京都五山の第3位に列せられている寺院。地元では「けんねんさん」の名で親しまれている。日本に臨済宗を伝えた栄西が1202年、鎌倉幕府2代将軍・源頼家の援助を得て、京都における臨済宗の拠点として建立された。創建当時は天台、真言、禅の3宗並立であったが、創建から半世紀以上経た1259年頃から純粋禅の寺院となる。応仁の乱による焼失のほか、たびたび火災にあっており、創建当時の建物は残っていない。

南側正面、八坂通りに面した四脚門の勅使門は重文。平清盛の異母弟である平教盛(12年のNHK大河では駿河太郎が演じた)の館門を応仁の乱後に移築したものと伝えるが定かでない。様式的には鎌倉時代末頃の建築。三門は「望闕楼」の別称がある。静岡県浜松市の安寧寺から1923年に移築したもので、江戸時代末期の建築。

浴室は湯気で体を温める蒸し風呂。1628年によって建立。楽神廟は江戸時代前期に造営されたと云われている。栄西禅師の母が岡山・吉備津神社の末社・楽の社に参詣した後、夢に明星が現れて栄西を懐妊したことから祀られている。のちの永平寺を開いた曹洞宗の開祖・道元が栄西の孫弟子で、建仁寺でも修養を重ねたということで、道元禅師の修行の遺跡がある。

江戸期のものと伝わる楼門の奥は、栄西禅師の墓所である開山堂。平成の茶苑は、栄西禅師がもたらした茶の招来800年を記念して91年に作られた植樹栽培した覆い下茶園。桑の碑は同じく栄西禅師が中国より持ち帰って桑が日本に広まったと云うことから05年に建立された。

陀羅尼の鐘は修行僧が寝につく亥の刻過ぎに、観音慈救陀羅尼を一万返唱しながら撞くことからこう呼ばれる。花見小路に続く北門は、江戸時代前期の寛永年間(1624～1645年)に建てられた本瓦葺きの高麗門で、京都府指定文化財。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.1737177863018897.1073743461.100001801017376&type=1&l=949e2c47c8

法堂は本尊を安置する仏殿と講堂にあたる法堂を兼ねている。1765年の建立。2002年に創建800年を記念して天井に小泉淳作により双龍の絵が描かれた。素晴らしい!

方丈も重文。室町時代の建物で、もと広島の安国寺にあり、関ヶ原の合戦後に斬首された安国寺恵瓊が1599年に移築したもの。東側に設けられた大玄関を介して本坊と連結する。庭園・大雄苑は白砂に緑苔と巨石を配した枯山水庭園。七代目小川治兵衛の作庭で、植治の作品として枯山水は非常に珍しい作庭。

方丈に置かれた十一面観音像は東福門院が寄進されたものだが、09年1月に拝観時間内に上着にくるんで持ち出された(盗難)そうだが、犯人は捕まり、無事戻されたとのこと。桃山時代の海北友松が描いた「竹林七賢図」、「琴棋書画図」、「雲龍図」、「山水図」、「花鳥図」の襖絵があり、重文だが、本物は襖から掛軸に改装し、京都国立博物館に寄託されており、京都文化協会とキヤノンが共同で取り組む綴プロジェクトで複製されたレプリカを身近で見ることができる。栄西禅師八百年大遠諱事業の一貫として、染色作家として活躍する鳥羽美花が奉納した作品もある。

東陽坊は北野大茶会の際に千利休の高弟・真如堂東陽坊長盛が好んだと伝えられる茶室。二畳台目下座床の席で、構成・意匠ともに薮内家の燕庵に共通する点が多く見られる。大正年間に現在地に移築された。

本坊の奥には潮音庭と◯△囗乃庭と云う2つの新しい中庭がある。その奥の大書院に俵屋宗達の「風神雷神図」。ただし、これも綴プロジェクトで作られたレプリカで、国宝の本物は京都国立博物館。隣の陶製十六羅漢像は清水五条の陶器職人たちが、それぞれ自分の最も得意とする技術で作り上げ建仁寺へ献上したもの。「臨済禅師喝」もレプリカだけど、迫力あり。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.1737182386351778.1073743462.100001801017376&type=1&l=3ffb2366ca
--------------17/9/15訪問記(ここまで)--------------

今回の訪問で見たものの中で、この前回の訪問で見なかったものは2つ。ひとつは大書院に展示されていた細川護煕元首相の瀟湘八景図襖絵。2014年に細川家の菩提寺でもある建仁寺塔頭の正伝永源院に奉納されたものが前年(2021年)の6月から特別公開されていた。

御開山御誕生880年を記念し手がけた四季山水図の襖二十四面の作品。瀟湘(しょうしょう)とは、中国の湖南省に瀟水・湘水という河があり、これらが合流して洞庭湖という大きな湖にそそぐ地域の名。古くから伝説や神話が残る此の地は、数多くの詩人や画家たちが訪れる中国有数の景勝地として知られている。11世紀の北宋時代に活躍した画家・宋廸が、八通りの景観を選び豊かな自然を絵画化したのが瀟湘八景図のはじまり。現在、宋廸が描いた瀟湘八景図は遺っていないが、史料を基に再現された。

八景とは町の賑わいを描いた「山市晴嵐」、遠く海上を帆船が行き交うさまを描いた「遠浦帰帆」、のどかな漁村の光景を描いた「漁村夕照」、遠くうっそうとした山寺の鐘が響き渡る情景を描いた「烟寺晩鐘」、しとしとと降る夜の雨の情景を描いた「瀟湘夜雨」、湖上に浮かぶ月を描いた「洞庭秋月」、砂浜に雁が舞い降りるところを描いた「平沙落雁」、山に雪が降り積もるさまを描いた「江天暮雪」の8つ。日本には鎌倉時代頃に伝わり、多くの画家が画題にし、それぞれ様々な情景を描いた。

もうひとつは、本坊玄関近くの俵屋宗達風神雷神図(レプリカ)の隣り合わせの部屋に並べられてる牛丸和人さんの風神雷神をテーマにした絵画。牛丸和人さんは1961年生まれ。美術教師として中学校で教えた後、県立高校の校長などを経て、現在は佐賀市にある西九州大短大部教授として学生たちの指導にあたりながらアーチストとしての活動を続けられている。

2020年に描き上げた風神雷神をテーマにした絵画を訪れた建仁寺で紹介したところ、寄贈を依頼され、2021年12月に4点の作品が奉納された。この日展示されていたのはそのうちの2点で、風神雷神図屏冬の京と風神雷神図屏夏の京。この他、風神図と雷神図はニューヨークで開催された展示会に出展されたものとのこと。
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この日建仁寺で開催された京都仏教会のイベントに参加するが、続く